子ども・子育て支援新制度

私立幼稚園と新制度

高田 晴喜 氏
(佐賀市教育委員会保育幼稚園課 主任)

講演中の会場風景講演中の高田晴喜氏の写真

こんにちは。佐賀県佐賀市教育委員会保育幼稚園課の高田と申します。本日は、子ども・子育て支援新制度に関する自治体の取り組み事例の紹介で、「私立幼稚園と新制度」というタイトルで佐賀市の取り組み事例をご紹介いたします。「私立幼稚園と新制度」というタイトルではありますが、新制度に向けての取り組みというよりは、佐賀市と市内の私立幼稚園が、現在のような関係を構築するに至った経過というような内容でお話しします。

まずは、簡単に佐賀市をご紹介します。佐賀県は九州の北部、福岡県と長崎県の間に位置しており、佐賀市はその県庁所在地です。19年に合併を経て、現在は人口約23万5000人、世帯数9万7000程度の規模です。合併前の佐賀市と比較しますと、面積がかなり広くなりました。南は有明海、北は福岡県福岡市、東も福岡県大川市などと隣接しており、幼稚園や保育園の県境を超えての広域利用なども一部行われている状況です。

昨年10月1日現在の佐賀市内の教育保育施設の状況一覧です。施設数としては、保育所38園のうち4園が佐賀市立、公立の保育所。こども園が22園。地域型保育事業を実施している施設が9園。施設型給付による幼稚園が3園で、うち1園は佐賀市立の公立幼稚園。そして、私学助成等による幼稚園が17園となっております。こども園を含む、私立幼稚園の近年の状況がこちらの一覧です。平成19年に最初の幼保連携型認定こども園が認定を受けて以降、私立幼稚園がこども園に移行する形で確実にこども園の数が増えました。20年度時点では、こども園が4園だったのに対して、幼稚園が36園でしたが、新制度がスタートする前年度の26年度時点では、こども園が20園に対し、幼稚園が19園。施設数において、こども園が幼稚園を上回りました。そのまま新制度の開始に至り、市内の幼稚園の半数以上がこども園として運営されています。

続いて、新制度開始に至るまでといいますか、佐賀市の行政組織体制についてお話しいたします。佐賀市におきましては、市民目線での分かりやすさと幼保小連携の必要性から、平成15年4月に幼保部局を一元化しまして、就学前児童を所管するこども課という部署を、教育委員会事務局内に創設しました。その後、平成25年4月には、各部署をより専門化して、制度改革等に迅速に対応するために、こども課を、保育幼稚園課と、こども家庭課に分割しました。そういった経緯を経て、現在の子育て関係の部署はご覧のようになっております。なお、佐賀市の子ども・子育て会議や事業計画については、保育幼稚園課が中心となり、関係各課と協力して実施しています。保育幼稚園課の組織体制はご覧のとおりです。

続いて、このような体制の下で実施してきた幼稚園に関連する事業等を、1番から8番という形で挙げております。1つ目が幼保小連携です。平成17年から担当課である、現在の保育幼稚園課に指導主事を配置して、佐賀市の幼保小連携プログラム「えがおわくわく」を利用した連携の実践を進めてまいりました。具体的には、年長児担任や小1担任対象の連携プログラム研修会や、校長会、園長会、所長会などにおける幼保小連携に関しての啓発、保育所や幼稚園の研修会における指導などを行っております。昨年度で取り組みの開始から10年を経て、入学時期の児童も落ち着いており、いわゆる小1プロブレムのような様相を示す学級はほとんど見られなくなりました。また、ここ数年で校区単位での年3回程度の幼保小連携会議や、相互参観、幼稚園・保育園と小学校の交流活動などがほぼ定着し、各地域の実情に応じた方法でそれぞれ特色のある取り組みが行われるようになりました。

2つ目は、幼保における特別支援体制の充実です。平成21年から、現在の保育幼稚園課に特別支援相談員を配置しております。幼稚園や保育園を訪問し、職員や保護者に対応や支援のアドバイスを行っております。個別の指導計画、支援計画の作成指導を行い、小学校への円滑な接続につなげています。

3つ目は、管理栄養士による食育指導です。平成17年から現在の保育幼稚園課に管理栄養士を配置しております。園児や職員への食育指導などを徐々に進め、現在は市内のすべての教育保育施設で食育指導や、アレルギーのある園児の就学アドバイスなどを行っております。

4つ目は、認定こども園運営費補助事業です。佐賀県安心こども基金の認定こども園事業費を活用し、幼稚園型認定こども園の保育所機能部分に対する事業費の補助を実施してまいりました。この事業は、当時の私立幼稚園連合会からの要望や、佐賀県からの働きかけを受け、21年度から予算化しました。新制度開始の前年度まで継続しました。

5つ目は、私立幼稚園預かり保育の推進事業です。私立幼稚園における預かり保育機能の強化、園施設の有効利用などを目的として実施してまいりました。なお、同じ内容の佐賀県の補助事業とは別に、市の単独事業として実施しております。

6つ目は、私立幼稚園の特別支援教育奨励費補助事業です。私立幼稚園における障がい児保育機能を強化して受け入れを促進することで、障がいを持つ児童への幼児教育の振興を図ってまいりました。こちらも、先ほどと同じく、同じ内容の県の補助事業とは別に、市の単独事業として実施しております。

7つ目は、佐賀市の私立幼稚園・認定こども園連合会との意思疎通ということで、取り組みの具体例を列記しております。同連合会への研修費等の補助や、要望書への市からの回答などは、毎年度継続して行っております。また、佐賀市の子ども・子育て会議では、同連合会の副会長様を委員に任命させていただいております。他にも関連団体等で主催される説明会や勉強会等へ参加したり、同連合会と佐賀市の市長や教育長を中心で行う懇談会等に担当課長や担当者も同席するなどをし、継続的な意思疎通を図ってきました。

8つ目はその他としておりますが、これまで挙げた1から7のような事業を実施しつつ、幼稚園関連では就園奨励費補助事業、保育園関連では一連の事務事業を保育幼稚園課が担当課として実施してきましたので、新制度が開始される以前から、保育園事業者・幼稚園事業者双方において市の担当窓口として定着し、私立幼稚園との安定した関係の構築に至ったものであると考えております。

新制度開始に向けての取り組みとして、こちらに挙げているテーマで幼稚園事業者を対象とした説明会等を実施しました。市と事業者の認識を合わせておくために、どちらかというと必要に迫られて実施してきたものではありましたが、その都度、具体的なお話をすることができたので、事業者の方にも説明会をしたということ自体で好意的に受け止めていただけた側面はあったようです。

次に新制度移行の私立幼稚園における事業の実施状況ですが、こちらの様になっております。私学助成の幼稚園で1園ですが、今年度の当初から地域型の小規模保育事業を実施していただいています。

続いて、新制度準備時期の工夫といいますか、今から考えるとよかったのかなと思った2点を挙げました。1つは、課の担当者名と連絡先を明らかにした一覧を、市内のすべての小学校と教務主任の先生、幼稚園・保育園に送付し、「電話の近くに掲示しておいてください」という形で施設内での共有をお願いしました。あらかじめ、こちらから担当者をお知らせしたことで、事業者で新制度の準備に際して、相談先が分からないとか迷うことがなかったのではないかと思われます。

もう1つは、施設の利用申請の受付方法です。従来から、こども園においては各施設において入園者の決定を行っていました。ところが新制度が開始されるにあたり、佐賀市も既に待機児童がある状況でしたので、こども園についても市で申請を受け付けて利用調整を行うことになった結果、園が希望者を把握できない状況が生じました。そこで、当該園を1園指定で申請する場合に限り、園による代理受領を認めることにしたことで、園は一定の申請者把握がかないました。また、市では窓口の事務軽減になりました。今思えば、双方にとってよかったのかなと思います。

新制度を準備する過程で、特に私立幼稚園との関係で苦労した点を2点ほど挙げております。1つは、市が利用調整をし、入園児童を決定することへの抵抗感があったこと。そしてもう1つは、制度自体の仕組みが伝わりにくいことでした。あらためて考えてみれば、それまで長い間、従来の制度でみっちりやってこられていたわけで、新しい制度のことは分かりませんと言われても至極当然かなと、今となっては思います。私たちも必死だったところはあるのですが、もう少しその状況を準備の段階で自覚して、幼稚園側の立場に立って進めれば、もっとよかったのかなと反省するところはあります。

来年度の予定です。現在、私学助成で運営されている幼稚園のうち2園が認定こども園に、1園が施設型給付の幼稚園に移行を予定しておりまして、引き続き新制度への移行が進むことになります。

公立幼稚園についても簡単に触れたいと思います。佐賀市の佐賀市立幼稚園は1園のみです。公立幼稚園の1号認定児童の保育料には、平成27年度から2年間の経過措置を設けており、29年度には1号認定児童の公私間の差がなくなる予定です。また、新制度における公立幼稚園の役割ですが、平成20年度から隣接する佐賀市立の小学校と幼小一環教育に取り組んでおりまして、今後も佐賀市の幼児教育の拠点として幼小連携の実践を進めていきたいと考えております。また、特別支援事例への対応を強化することによって、幼児教育の機会を保障する役割も担っていく必要があると考えております。

最後にまとめとして、新制度に移行したことでのメリットと思われるものを挙げました。私立幼稚園にとっては、事務の煩雑さが多少は解消されたのではないかと思っております。保護者と子どもたちにとっては、施設の選択肢が増えたこと。あとは所得に応じた、または多子軽減による保育料が設定されるようになったこと。そして、市にとっては利用調整において紹介できる施設や範囲が広がったことなどを挙げております。今後の検討事案ですが、こども園の0歳、1歳の利用定員増加。こども園の幼稚園部分園舎改築補助の必要性判断などを挙げております。

ここまで、市と幼稚園の関係構築の経過ということで事例を紹介いたしました。市と私立幼稚園でよい関係が築けている、または円滑に新制度への移行が進んでいるということであれば、その本質的なところは、園の先生たちの多大なご尽力と事業へのご協力のおかげだと思っております。本当に感謝でいっぱいです。

最後に、ちょっとだけ観光案内をさせていただければと思います。今年は、2年に1度開催されている熱気球の世界選手権が、佐賀市で開催されることになっております。世界の国々を代表するトップパイロットが集結しまして、世界チャンピオンを決める大会です。前回がブラジル大会でしたが、そこで日本人として初めて優勝を飾った藤田雄大選手の活躍等も期待されますので、よろしければお越しください。開催は、今年の10月28日から11月6日です。おそらく、佐賀に来られたことがある方はほとんどいらっしゃらないと思いますので、ぜひお越しいただきたいと思います。心よりお待ちしております。

以上、駆け足ではありましたが、佐賀市の事例紹介を終わります。つたない話で大変失礼いたしました。最後までのご清聴、ありがとうございました。(拍手)

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