内閣府 Cabinet Office, Government of Japan

内閣府ホーム  >  内閣府の政策  >  子ども・子育て本部  >  子ども・子育て支援新制度  >  イベント・広報資料  >  平成27年度 子ども・子育て支援新制度フォーラム  >  事例紹介 静岡県藤枝市:藤枝市の地域型保育について

子ども・子育て支援新制度

藤枝市の地域型保育について

藁科 重人 氏
(藤枝市健康福祉部児童課保育政策係 係長)

講演中の会場風景講演中の藁科重人氏の写真

皆さま、こんにちは。静岡県藤枝市の藁科と申します。よろしくお願いします。それでは早速ですが、本市の地域型保育事業について発表いたします。この地域型保育事業は皆さまのご存じのとおり、小規模保育A型・B型・C型、家庭的保育などの総称となりますが、この地域型保育は本市のために制度化されたと勘違いしてしまうほど、本市にとってはメリットがある取り組みやすい制度だと思っております。もちろん課題もありますが、新制度初年度にも関わらず、大きなトラブルもなく順調に運用できていると思っております。

本日は、本市がこれまでに取り組んできたことについて「特に幼稚園などとの連携についての発表を」と事務局から依頼されておりますので、その点を中心に発表いたします。

まず本市の紹介です。本市は静岡県のほぼ中央に位置しており、県庁所在地である静岡市の西に位置しております。人口約14万6000人。静岡県内で6番目に大きい人口規模です。新東名高速道路や国道1号線といった主要幹線へのアクセスもよく、政令市の静岡市へは車で約20分。富士山静岡空港へも車で約35分という好立地にあります。このような立地条件からか、先の国勢調査速報値では人口が5年前と比較し、1500人も増加していました。

次に本市の概要ですが、本市の最大の特徴はサッカーの町であるということです。本市では、「サッカーのまちドリームプラン」という計画書を策定し、サッカーを核とした町づくりに注力しております。そして、本市のサッカーの歴史は古く、有名なところではサッカー日本代表キャプテンの長谷部誠さんや、中山雅史さん、名波浩さんなど、多くのプロサッカー選手を輩出しております。本年度は高校サッカーのカテゴリでも活躍にも注目が集まりまして、男子は名門の藤枝東高校が冬の全国大会に出場しまして、結果は1回戦で敗れてしまいましたが、地元では大変な盛り上がりを見せました。女子では藤枝順心高校が全日本高等学校女子サッカー選手権大会で見事9大会ぶり2度目の優勝を果たしたということで、本市にとって新年早々の明るい話題でした。

続いて、本市の町の特徴は、JR藤枝駅を中心に、中心市街地活性計画に基づく都市開発が進んでおり、マンションやホテル、商業施設の出店が相次いでおります。その一方で、豊かな自然が残る中山間地域もあり、大都市圏から田舎暮らしを求める転入の方も多く見られます。都会と田舎が近接している状態です。産業や食文化の面では、本市には豊富な地下水という貴重な資源がありまして、それを活用した酒蔵が市内に4つもあります。それぞれ特徴のあるお酒が造られております。また、本市には「朝ラー」という食文化があります。これは朝からラーメンの略になります。スライド内の左側が冷たいラーメン、右側が温かいラーメン。この2杯のラーメンを一度に食すのが通の食べ方になります。本市に来られた際は、ぜひ朝ラーとお酒をご賞味いただければと思います。

続いて、本市の基本政策です。先ほども人口増の話をしましたが、本市は地理的条件だけでなく、市民の暮らしの基本となる4つの政策が充実していることも本市が選ばれているゆえんであると思っています。本市では、健康予防、教育、環境、危機管理の4つの政策の頭文字を取って4K政策と言っております。本市は市民の生活に直結する4K政策の充実が、安心して子供を産み育てられる環境の構築につながるものと確信しており、4K政策の日本一を目指して、職員と市民が一丸となって取り組んでいます。

次に、平成21年を基準年として、その後の人口増加率をグラフにまとめたものです。静岡県全体をはじめ、県内ほとんどの自治体が人口減にある中で、本市は増加を続けてきました。その主要因が、やはり社会増によるものです。このグラフは上方向が社会増ですので、本市は6年連続の社会増となっております。このように、本市は着実に人口増加してきましたが、人口増加の一方で、保育所待機児童も増加して、児童福祉担当課としては保育の受け皿の確保を最重要課題として取り組んでまいりました。その結果については、保育定員の状況というスライドにまとめたとおりです。本市として特に注力したのが、幼稚園の認定こども園化と地域型保育の拡充です。

子ども・子育て支援制度の推進についてです。本市はこの新制度に対して後ろ向きになることなく、制度を最大限に活用する気持ちをもって、保育所、幼稚園、認定こども園に積極的に働きかけをしてまいりました。また、当時の認可外保育所に対しても情報提供に努め、市の認可取得を促してまいりました。ただ、行政の押し付けにならないように、事業者自らが判断できるように、行政側のメリット、事業者側のメリット・デメリットなど、さまざまな情報提供に努めながら、事業者への配慮も怠らないようにしてきました。資料の左下にあるように、子ども・子育て支援新制度では地域型保育事業所は幼稚園などと連携協定を結ぶ必要があります。この連携協定に関する情報提供も行い、そのコーディネートも本市が行いました。その結果、すべての地域型保育事業所が連携協定を締結できました。この点は、幼稚園や認定こども園などの設置者のご理解・ご協力に大変感謝するものです。

続いて、連携協定に関するフローになります。この連携協定に関する本市の方針は、地域型保育事業所任せにしないとしました。その理由として、地域型保育事業所がいきなり幼稚園や保育園に出向いて「来年度から連携してください」とお願いしても、幼稚園・保育所は困惑するだけですし、地域型保育事業所も見ず知らずの園に伺うことは相当なストレスだと思いました。したがって本市としては、私たち行政が間に入ってコーディネート役を果たすことが必要だと考えました。そこで本市はまず、幼稚園協会の会長に相談へ行きました。その時、幼稚園協会の会長から「幼稚園に対してメリットがあるなら、その仕組みを受け入れてもよいではないか」というありがたいお言葉をいただきまして、幼稚園協会が主催する理事長会・園長会での説明の機会をいただくことができました。並行して保育園の園長会でも説明してきました。

本市は理事長・園長会などの場を活用しながら、幼稚園や保育所の経営者であるトップの理解を得ることを最重要視して、時間をかけて丁寧に説明してきました。また、当時の認可外保育所や家庭的保育についても同様に説明会を開催し、経営者や代表の方々の理解を得ることに重点を置きました。認可外保育所と家庭的保育については、すべての園に伺うこととしました。その際、実際にどこの園と連携したらよいか、それぞれの連携相手を地域性や小学校への接続の観点、経営者の考え方などを分析し、子どもたちが安全に移動できる手段やルートも加味し、具体的な連携相手を市が提案しました。そして、協定書の書きぶりなども調整し、連携先のマッチングを市が行い、最終合意の場である個別契約のタイミングを地域型保育事業所に、こちらから指示をしたということです。本市はこのようなフローをもって連携協定に取り組み、その結果、連携協定率100%を達成できました。本年度についても同じようなフローで、現在7園に対応しているところです。

手前みそで大変恐縮ですが、成功要因を掲げてみました。まず、本市の特長として大きく4つあります。1つ目は本市にある幼稚園と認定こども園がすべて私立であり、加えて本市の幼児教育を長きにわたって支えていただいていることに対して、市が理解しているということ。そして、すべての園が藤枝市私立幼稚園協会に所属しており、幼稚園協会全体が非常にまとまりのある協会であるということ。そして2つ目の特長は、幼稚園の所管が市長部局にあったことが挙げられます。幼稚園を教育委員会が所管する市町が多い中、本市は従来から市長部局が所管していたので、子ども・子育て支援新制度の担当が幼稚園の先生方とコミュニケーションがとれる環境にあったということです。そして3点目として、良質な認可外保育所が存在したこと。4点目として、県内ナンバーワンの家庭的保育(保育ママ)の実績があったということです。これら4つの特長を本市の強味として、これまで築き上げた信頼関係をもって積極的なアプローチを行ってきたことが成功の要因であると考えます。このことは長年積み重ねてきた賜物であると、あらためて感じているところです。

続いて、地域型保育事業の成果です。この部分は、行政としてのメリットになりますが、地域型保育事業は地域の保育ニーズに合わせて、ピンポイントに認可枠を増加できること。そして、機動的な対応が可能であることが最大の売りだと思っています。本市もこの地域型保育事業のメリットを最大限に活用しまして、平成26年度から本年度にかけて保育定員307人増加したんですが、そのうち174人を地域型保育で、本年度についても地域型保育所で129人分確保する見込みです。このことは、地域型保育事業に取り組んできて見えたことになります。連携交流という仕組みによって、保育の質の向上が期待できるということです。地域型保育事業所の保育士はふだんなかなか自由に動きまわれません。他の園と交流して感じられることは、保育士にとってとても貴重なことだと思いますし、孤立という不安がないことは、日々の保育面においてもプラスに働くものと考えています。連携という仕組みから行政職では対応できない部分を、連携先の専門職が補ってくれるので、やはり地域型保育事業を推進していくうえでは、連携協定はとても大切なことだと、あらためて感じています。

続いて、地域型保育事業所からいただいた声を紹介します。サンプル数は少ないのですが、本市の地域型保育事業所全17園に対してアンケート調査を実施したところ「市の認可を受けてよかった」と15園が回答しました。その理由として一番多かったものは「認可を受けた」ということで、保護者の安心感につながっているということになりました。これにより途中退園が減ったようです。次に多かったのが経営面の安定。そして、保育士の拡充が図れたということでした。新制度のことを話し始めたころは、事業者から大変不安の声が多かったのですが、理解を得るのに苦労したこともありますが、今は市の認可を受けたことへの満足が高いことが分かり安心しています。しかしながら、実際の交流についてはスタート直後ということもあり、交流があまりなされていないようですが、それでも半数の園はなんらかの交流をしていることが分かりました。具体的な連携につきましては、保育や幼児教育の情報をもらっていたり、大型遊具を利用させてもらっているようです。今後、このような連携が活発化されることを期待します。

次に、幼稚園側の声を紹介します。内心、多くの反対の声をいただくかと思っていたのですが、建設的なご意見をいただき、こちらも安心しています。まず、多くの先生方から子ども同士が互いに様々な影響を与え合うとの認識から、子どもたちの育ち合いの機会になっているという声をいただきました。そして、幼稚園児が自分より小さい子と接することから、優しさや思いやりの心を育てるという声。地域型保育事業所の卒園後、幼稚園への入園につながるというものでした。このような点はよい面かと思いますが、その一方で先生方からいただいた声で新たな課題が見えてきました。それは互いの理念や方針、連携することの意味をお互いに理解したうえで行うことが、とても大切だということです。そして、幼稚園舎や遊具の構造などが3歳以上を想定していることから、この点も互いに理解しておく必要があるということです。先生方からいただいた声を、今後の参考にしていきたいと思っております。

続いて、今後の取り組みについてですが、本市はまだまだ認可保育園が不足の状態です。次年度以降も保育の定員の拡大を図るものでありますが、そのうちの約200人分は地域型保育で対応することを考えております。そして、地域型保育事業を今後も推進していくうえで取り組むべきこととして、地域型保育事業所の保育の質の向上に取り組む必要があると思っています。それには、認可保育所の連携、あるいは保育者の研修機会の増加など、質的向上に対する仕掛けは、行政が行うべきものと考えています。そしてもう1つ、地域型保育事業を卒園した子供たちの進路をしっかり確保するということです。幼稚園の認定こども園化に取り組んでいきたいと考えています。特に、地域によっては地域型保育事業所の充実により、2歳児の保育定員よりも3歳児の保育定員が少ない地域があり、この点は早期に対応すべきことと理解しています。

最後になりますが、本市の子ども・子育て支援事業計画に掲げた基本理念は「子どもが未来を創る」です。すべての子どもたちが、すくすくいきいきと育つ町。すべての子どもたちの笑顔がいっぱいの町。すべての子どもと、その保護者を支援していく気概をもって「オール藤枝」の体制で取り組んでまいります。市と事業者は同じ幼児教育と保育に携わる者同士です。仲間意識を持って、互いに刺激し合って、ともに成長していくことが大事であると考えております。そして、いくつもの地域型保育事業所を見てきて感じていることは、地域型保育事業所には地域を元気にするパワーを秘めていると思っております。地域型保育事業所自ら元気を発信して、その元気が源となって地域の活性化につながっていくことを期待するとともに、子どもたちが地域のアイドル的存在となり、地域に愛される保育所になることを切に願っております。今後も藤枝市、そして私個人が、これからも子どもたちの未来を全力で応援していくことを誓って発表を終えたいと思います。ご清聴ありがとうございます。(拍手)

内閣府 Cabinet Office, Government of Japan〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)