株式会社ビティー(建設)すまいる保育園八尾南/大阪府八尾市

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立ち上げ時のポイント
  • 保育事業立ち上げ準備として、役員が保育士資格を取得し、民間保育施設の園長経験者を相談役として迎え入れた。
  • 駅の目の前にあり本社からも徒歩5分のビルの1階の物件を確保した。
  • 支援機関が主催する共同利用企業のマッチング会に参加する等、共同利用の契約先企業を確保するために積極的に活動した。
  • 保護者に対して認可保育施設と違いがないことを丁寧に説明し、既に運営している別の保育施設を見学してもらうことにより、企業主導型保育施設という聞きなれない名称への不安解消に努めた。
設置者の概要
○企業概要 ■事業所 本社(大阪市平野区)京都、名古屋、東京に営業所
■設立年 平成4年7月
■資本金 2,000万円
○業種 建設、卸売・小売、医療・福祉、サービス
(保育施設専門の厨房設備の設計施工、建築・リフォーム、給食用品・保育用品の販売、保育園運営、人材紹介業等)
○従業員規模

・単独 83人(うち女性) 66人
9割が大阪勤務。

○企業の特色

・保育施設専門の建築事業で創業し、施設設立や運営に関するノウハウや人脈を徐々に獲得。

・平成26年より大阪市で小規模保育施設(A型)を3ヶ所運営。

・企業主導型保育事業の設置や運営に関するコンサルティング業務、人材紹介業務にも事業を拡大。

保育施設の概要
○所在地 大阪府八尾市(人口:約27万人)
○地域の特色

・八尾市は近畿地方のベッドタウンで、大阪府内43市町村のうち上位5位に入る待機児童数を抱えている。近年増加傾向にあり、平成29年4月時点では63人であった。

・保育施設は大阪市との市境にある。隣接する大阪市の待機児童は平成29年4月時点で325人と府内1位である。

○設置方式 単独設置・共同利用型
○設置場所

・本社より徒歩5分で、地下鉄谷町線の終着駅である八尾南駅の目の前のビルの1階という利便性の高い場所。

○運営方式 自主運営方式
○開設日 平成29年2月
○利用定員と利用者数

・定員:50人(うち地域枠25人)
従業員枠(0歳児2人、1歳児4人、2歳児4人、3歳児5人、4歳児5人、5歳児5人)
地域枠(0歳児2人、1歳児4人、2歳児4人、3歳児5人、4歳児5人、5歳児5人)

・利用者数:23人(うち地域枠16人)※平成30年1月時点
従業員枠(0歳児3人、1歳児3人、2歳児1人、3歳児0人、4歳児0人、5歳児0人)
地域枠(0歳児6人、1歳児8人、2歳児1人、3歳児1人、4歳児0人、5歳児0人)

○開所時間 通常保育 平日・土曜7:30-20:30(延長保育20:30-22:00)
一時預かり 平日・土曜9:00-17:00
○保育施設の特色

・職員の目が隅々まで行き届くよう施設内部の区画数を少なく設定

・食育に配慮し、給食を作っている人の様子を子どもが保育室から見えるように厨房を配置。

○費用の状況

・初期費用約5,886万円(うち助成分約4,415万円)

・年間運営費用約1,129万円(うち助成分952万円)

設立までの流れ

時期 内容
開設2年4ヶ月前
平成26年10月
社長主導のもと、大阪市内で小規模保育施設(A型)2ヶ所を開設 ⇒社内での設置検討
開設1年2ヶ月前
平成27年12月
大阪市内に3ヶ所目の小規模保育施設(A型)を開設 ⇒社内での設置検討
開設10ヶ月前
平成28年4月頃
企業主導型保育施設(会社としては4ヶ所目の保育施設)の設置を検討開始 ⇒社内での設置検討
開設9ヶ月前
平成28年5月頃
社内でニーズ把握のためのヒアリング調査実施
既に3ヶ所の小規模保育施設の運営実績があるため、今回も自社運営を選択
本社から徒歩5分の駅前ビルに場所を確保
⇒ニーズの把握、設置方式の決定、運営方式の決定、設置場所の決定
開設8ヶ月前
平成28年6月頃
児童育成協会への申請手続き ⇒申請手続き
開設6ヶ月前
平成28年8月
施設設備のリフォーム(~平成29年1月)
利用者の募集
⇒施設整備、利用者の募集
開設5ヶ月前
平成28年9月
八尾市からの連絡 ⇒自治体との調整
開設4ヶ月前
平成28年10月
保育人材確保開始(~平成29年1月)
地域向け説明会開催
開設準備開始(~平成29年1月)
⇒人材確保、地域向け説明会開催、開設準備
平成29年2月 保育施設開設(利用者募集のみ継続) ⇒開設

設置検討の段階

保育施設の設置の経緯

株式会社ビティーは、創業以来、近畿圏を中心に保育施設の設計、建築を手掛けてきた。実績を積み重ねる中、社長は、ハード面でのノウハウは十分にあるが、保育施設の運営というソフト面では知らないことが多いと感じるようになった。より保育現場の実情に即した提案を顧客に行うためには、自ら保育事業を運営することが必要と考え、小規模保育施設A型を運営することにした。

保育事業立ち上げの準備として取締役の一人(現保育事業担当役員)が、通信講座のテキストを利用して保育士資格を取得した。それと同時期に、取引先より、民間保育施設の園長経験者を紹介され、相談役として迎え入れた。これにより、保育事業を立ち上げる準備ができ、平成26年に大阪市内で2ヶ所の小規模保育施設の運営をはじめた。

小規模保育施設を運営してみると、制度上2歳児までが対象であるため、利用者には3歳の壁が立ちはだかっていることがわかった。利用者が3歳で転園しなくてもよい施設を運営したいと考えていたところ、企業主導型保育事業が制度化されるという情報を入手した。助成要綱等を確認すると、自社の従業員の子どもを含め、就学直前までの子どもを対象とした保育施設をつくることが可能であったため、同制度を利用することを決めた。

保育施設として使用できる場所の調査をはじめたところ、1ヶ月ほどで本社から徒歩5分かつ駅前ビルの1階という好立地の場所に広い空きスペースが見つかった。この場所であれば、自社の従業員の福利厚生の充実を図ることができ、地域の待機児童解消にも貢献できると考え、保育施設を設置することとした。

駅の目の前のビルの1階に設置

ニーズ把握の実施

本社近くで従業員向けの保育施設を設置するにあたり、社内でニーズ把握を行った。既に他の保育施設を利用している従業員数人に意見を求めたところ、新規に設置予定の保育施設への転園の希望は出なかった。大半の従業員が八尾市以外の在住であり、近隣に住んでいても、既に子どもの友人関係が構築されているため転園を希望しなかった。一方、これから保育施設を利用する可能性のある従業員から利用希望の声があがったため、設置に向けて動き出した。

設置場所の確保

小規模保育事業を立ち上げた時の経験から、物件を探す際には複数の不動産会社に相談した。探し始めてすぐに本社から1km圏内で、定員50人に対応できるという同社が求める条件に合致した物件が見つかった。2年ほど空室だったテナントスペースで、本社から徒歩5分、かつ駅前で立地もよく、100m2以上の敷地面積もあった。自社の建築士に採光・換気・排煙等、保育施設としての基準を満たす物件であるかを確認させ、その場所に決めた。ただし、100m2を超える面積を保育施設として利用するには、施設の用途変更の手続きが必要であった。すぐに手続きを始めたものの、許可が下りるまでに2ヶ月ほどの時間がかかり、物件を決めてから着工できるまでに数ヶ月を要した。

施設設備については、内部の区画数を少なくし、大きな空間として利用できるようにした。職員の目が隅々まで届きやすく、子ども同士の交流も容易になった。区画数を少なくした分、トイレは施設の中心に配置し、3方向に出入り口を設け、どこからでもすぐに入れるようにした。

壁ではなく棚で間仕切り
施設面積273m2うち保育室157m2

運営方法の検討

既に大阪市で小規模保育施設を3ヶ所運営しているため、そのノウハウをもとに自主運営方式を選択した。

企業内に向けた対応

福利厚生としての側面

自社の従業員については、保育料の70%を福利厚生費として会社が負担することにした。

企業内での説明

同社の保育事業は社長の発案で、担当役員である取締役主導で進めてきた。すまいる保育園八尾南は同社としては4ヶ所目の保育施設であり、社内で設置を反対する声はなかった。企業主導型保育事業の申請段階で社内に向けて開設日を発表したほか、助成決定時・着工時・竣工時には都度社内で説明会を開催した。

地域とのかかわり

自治体との連携

平成28年9月、公表された助成企業一覧を見て八尾市の子育て支援課が挨拶にきた。市は企業主導型保育施設の設置に非常に協力的で、地域の情報を提供してくれた。また、市政だよりに地域枠での利用者募集に関する記事を掲載し、市役所窓口に同園のパンフレットを置いてくれた。

日頃から疑問点等があると行政に相談しており、八尾市や大阪府とは良好な関係性が構築できている。

地域枠の取扱い

地域の待機児童削減に貢献するために、地域枠での受け入れも行うこととした。利用者の募集のために、保育施設の改修工事中は、現場に「園児募集中」という看板を設置した。また、地域枠利用者に向けた説明会も開催した。「企業主導型保育事業」という聞きなれない名称に不安を持つ保護者も多かったため、認可の事業所内保育事業との違いがないことを丁寧に説明した。また、新設する保育施設をイメージしやすいよう既に同社が運営している小規模保育施設を見学してもらった。不安の解消に努めた結果、見学者は全員入園した。

すまいる保育園八尾南は、大阪市との市境に位置している。駅前ビルの1階という利便性の良さも影響し、八尾市民だけではなく、大阪市民も多く利用している。地下鉄の終着駅の目の前で、保育施設前の道幅も広いため、バスや自家用車で遠くから通園している利用者もいる。

保育室の様子

近隣住民とのかかわり

保育施設の入るビルの2階以上はマンションであるため、何らかの対応が必要と考えていた。まず管理会社に連絡し、マンションの管理組合に社長が挨拶に出向いた。住民向けに保育施設設置に関する説明会も開催した。

開設に向けた具体的な準備段階

施設整備に関する法令の遵守

保育施設の建築を専門とする同社は、施設整備に関する法令の遵守の手続きで苦労することはなかった。

自治体等への手続き

申請に必要な書類の準備などは、過去3件の小規模保育施設の設立経験が大いに役立った。八尾市に提出したものは、認可外保育施設の開設届、防火責任者登録、防火訓練届等であった。

企業主導型保育事業の共同利用企業の募集に関しては、大阪商工会議所や大阪府が積極的であり、随時相談している。

利用者負担の検討

保育料を独自に設定することは難しいと考え、児童育成協会が提示したモデル保育料でスタートした。結果として地域の認可保育施設の保育料と同水準になっている。

保育士等の必要人材の確保

すまいる保育園八尾南の園長は、既に大阪市内で運営している保育施設の従業員からの紹介で確保し、その他の保育士の半数は同社の従業員の人脈を通じて採用した。一部人材紹介会社やハローワークなどを利用することもあった。

各種研修等への対応

行政や保育事業者が行う研修には積極的に参加している。それぞれの研修開催情報は、日頃から自治体や保育事業者と密に連絡を取ることで入手できている。また、同社が運営する他の保育施設と合同で勉強会を行っている。

設立後の運営

保育計画の作成

現場の保育士が月齢・発達に応じた計画を作成している。作成した計画は、民間保育施設の園長経験を持つ同社相談役が確認している。

食事の提供・衛生管理・健康管理

食育を保育の柱の一つと位置付け、給食作りに力を入れている。給食を作る音や匂いも食育の一環と考える同社ならではのリフォームを施し、厨房は給食を作っている人の様子が保育室から見えるように配置した。

またアレルギー対応には特に配慮している。決して誤食が起きないように、職員間で情報を共有し、アレルギーの種類に応じて食器の色を変える、調理・配膳・担任の3段階の確認をする等の工夫をしている。

衛生管理に関しては、手洗い、消毒、日々の清掃の徹底を心がけている。またオゾン発生器を設置し、感染症の予防に努めている。

健康管理は登・降園時の保護者とのコミュニケーションを基本とし、検温・目視・連絡帳等で、日々の健康状態を把握している。また、健康手帳を作成し、発育・発達状況を確認している。

厨房

安全管理

ヒヤリハットを記録、確認する体制を整え、常に安全な環境づくりを目指している。保育日誌など保育士間や、保育施設と本社間の情報共有には保育所保育指針対応ソフトを活用している。これにより本社も保育施設の状況を分析し、懸念事態が発生した場合は速やかに情報交換を行い対応策を講じる等、日常業務の支援をしている。

苦情等への対応と家庭と地域への情報提供

保護者との日々のコミュニケーションにより、信頼関係を築くことに努めている。苦情は真摯に受け止め、本社も交えて解決を図り、社内研修や打合せ等により共有し、改善を図っている。

家庭への情報提供としては、連絡帳も含めた日々のコミュニケーションの他、毎月の園だよりの発行を行い、地域に向けてもイベントの案内・告知を行っている。

地域の子育て支援

子育てに悩む保護者の支援として、一時預かりを実施している。一時預かりは通常保育への宣伝にもなるとも考え、土曜日も含めてサービスの提供をはじめた。これまで一時預かりで受け入れた子どもについては、母親が妊娠中に安静が必要となったり、病気の手術という差し迫った理由が多かった。認可保育施設や公の一時預かりの場合、前月中に利用申請して枠を確保しないと預けられない場合が多いが、同社の施設では企業独自で受け入れの判断ができる。現在は土曜日の実施は取りやめたが、同施設の一時預かりは緊急の場合でも利用できるため、地域の人にとって心強い受け皿となっている。

そのほか、施設見学や地域の人も交えたイベントを開催し、地域の子育て支援の拠点になることを目指している。

利用定員枠の運用

現在、同社は近隣の障害者の就労継続支援A型事業の事業所とメーカーの計2社と共同利用契約を結んでいる。開設に先立って近隣企業への挨拶回りをしたところ、先方が共同利用に関心を示し、契約につながった。その他、福祉・介護施設などから、病児保育をしていればすぐにでも契約したいとの話もあったが、病児保育を実施していないため共同利用契約には至っていない。

開設後も共同利用企業の募集のために積極的に活動している。チラシを作成したり、企業主導型保育事業の相談支援機関であるOSAKAしごとフィールド主催のマッチング会にも参加した。今のところ契約に至った事例はないが「そのエリアで保育所を探している従業員がでた場合には連絡する」と声を掛けてもらっている。

関係機関や近隣保育施設などとの連携

配慮の必要な子ども(具体的には発達障害の恐れや、DVの懸念、ネグレクトの兆候が感じられた場合)については、市の保健センターや子育て支援室と連携して対応するようにしている。近隣の認可保育施設等とは研修会への参加を通じて交流を図っている。

受け入れ時間や体制の工夫

早朝、夕方は子育て支援員に補助に入ってもらうなど調整し、保育士はできるだけ保育に専念できるように配慮している。

企業担当者・利用者の声

企業担当者の声

これまで小規模保育の経験はありましたが、企業主導型保育事業を利用して初めて自社の従業員のための保育施設を設立、運営することになりました。既に働いている従業員を意識していましたが、開設後の求人に対する応募が著しく増えるというありがたい変化があり、思いもよらない効果を感じています。

利用者募集に協力してもらうなど八尾市をはじめ自治体との連携も常に円滑に行えています。地域の待機児童解消に貢献するためにも定員50人という規模を活かし、頑張っていきたいです。

従業員枠利用者の声

少人数ならではの保育の良さを感じています。運動会でも1人ずつゆっくり演目を見せてもらうことができ、子どもののびのびとした様子がよく分かり、とても楽しめました。保育園での生活を送るようになり、出来ることや言葉が増えました。給食がおいしく、家でもよく食べるようになっています。

一人ひとりに目が行き届き安心して預けられることに、日々感謝しています。

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