株式会社ニチイ学館(福祉・保育)ニチイキッズみきまち保育園/和歌山県和歌山市

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立ち上げ時のポイント
  • 全国各地の従業員が安心して働ける環境の整備を目指し、全国98の支店所在地域すべてに企業主導型保育施設の設置・運営を計画した。
  • 各園の近隣企業との共同利用契約だけでなく、全国各地に保育施設を設置という特徴を生かし、全国展開している企業との包括的な共同利用契約サービススキームを策定した。
  • 設置場所の検討・人材の確保は、支店担当者が地域の事情を踏まえて実施した。
  • 地域枠の満定員時に地域枠の利用希望があった場合には、勤務先へ共同利用契約により従業員枠の利用が可能であることを案内し、従業員枠としての利用も提案した。
設置者の概要
○企業概要 ■事業所 本社(東京都千代田区)、全国4ヶ所に支社、98支店
■設立年 昭和48年8月
■資本金 119億3,300万円
○業種

・医療事務・介護・保育

○従業員規模

・グループ全体 93,828人(うち女性) 83,873人

・単独     88,531人(うち女性) 80,516人
グループ全体の50,000人が医療関連事業、40,000人が介護事業での従事。保育事業に関しては1,600人。
和歌山地域では、介護・医療事務等での分野を含め1,000人程度が従事。

○企業の特色

・基幹事業は、医療関連事業、介護事業、保育事業と人材養成事業。

・全国98ヶ所に支店を設けている。

・保育事業では、全国で認可・認可外保育施設209ヶ所を運営。

保育施設の概要
○所在地 和歌山県和歌山市(人口:約37万人)
○地域の特色

・市内の公立認可保育施設のうち、乳児保育や標準保育(11時間開所)を実施していない園もあるため、0,1,2歳児を中心に待機児童が発生。平成29年4月時点の待機児童数は23人だったが10月時点で261人となっている。

○設置方式 単独設置・共同利用型
○設置場所

・商業地区にあるオフィスビルの2階。

・徒歩圏内に和歌山城公園をはじめ複数の公園がある。

○運営方式 自主運営方式
○開設日 平成29年4月
○利用定員と利用者数

・定員:18人(うち地域枠9人)
従業員枠(0歳児3人、1歳児3人、2歳児3人)
地域枠(0歳児3人、1歳児3人、2歳児3人)

・利用者数:17人(うち地域枠9人)※平成30年2月時点
従業員枠(0歳児3人、1歳児3人、2歳児2人)
地域枠(0歳児3人、1歳児3人、2歳児3人)

○開所時間 通常保育 平日・土曜8:00~19:00
○保育施設の特色

・大通りに面し、南向きで日当たりが良い。

○費用の状況

・初期費用約2,800万円(うち助成分約2,000万円)

・年間運営費用約4,400万円(うち助成分1,800万円)

設立までの流れ

時期 内容
開設7年前
平成22年頃
自社の従業員のための事業所内保育施設設置に関する構想が浮上 ⇒社内での設置検討
開設10ヶ月前
平成28年6月
保育事業本部が企業主導型保育事業に関する情報を入手、支店のある地域全てに保育施設を設置する事業計画を作成・経営層に方針を説明 ⇒設置方針の検討、運営方式の検討
開設8ヶ月前
平成28年8月
和歌山支店にて物件探し(~9月) ⇒設置場所の検討
開設6ヶ月前
平成28年10月
児童育成協会への助成申請(助成決定は平成29年2月)和歌山市に設置に関する届出 ⇒申請手続き、自治体との調整
開設4ヶ月前
平成28年12月
オフィスビルの2階に確保したスペースの改修を開始(~平成29年3月)
共同利用契約企業との調整
⇒施設整備、利用者の募集、共同利用企業の調整
開設3ヶ月前
平成29年1月
園長を含めた職員の募集 ⇒人材確保
平成29年4月 保育施設開設 ⇒開設

設置の検討

保育施設の設置の経緯

医療関連事業、介護事業が中心的事業であるニチイ学館は、平成15年に保育事業に参入した。全国各地で認可・認可外保育施設の運営、企業・病院等からの委託を受け事業所内・院内保育施設の運営、保育士の派遣等を行っている。自社の従業員を対象とした事業所内保育施設に関しては保育事業参入後、社内において、人材採用力の強化、離職予防、職務環境の向上等、仕事と家庭の両立(ワークライフバランス)支援になると考え、必要性が話題には上っていたものの、従業員が全国各地に点在するため、保育施設の設置場所に関する不公平感の解消が出来ず具体化していなかった。

企業主導型保育事業については、本社の担当者が、いち早く情報を入手し、同制度であれば、助成金を活用しながら自治体の意向に左右されることがないため全国各地に保育施設を設けることが可能となり、従来より事業所内保育施設設置の際に課題となっていた設置場所の不公平感を解消できると考えた。

本社では、全国98の支店所在地域すべてに企業主導型保育施設を設置・運営することを事業計画として取りまとめ、経営層に諮った。この事業計画はすぐに承認され、場所の選定・人材の確保・自治体との調整等の実務を各支店の担当者が行うことが決まった。

同社では、事業計画の段階で、全国各地における保育施設の設置という特徴を生かし、全国展開している企業との包括的な共同利用契約サービススキームを構築した。またあわせて、各地域でも地元企業との共同利用契約を促進することとした。

ニチイキッズみきまち保育園がある和歌山地区では、和歌山支店が単独で契約を結んだ病院、介護施設、司法書士事務所等の4法人を含め、計40の法人と共同利用契約を結んでいる。支店の担当者が介護・医療分野で取引きのある企業に話を持ちかけ、実際に施設を見学してもらい、契約に至った。現時点での従業員枠の利用は、ニチイ学館1人、全国共同利用契約4人、地域の共同利用契約3人となっている。

ニーズ把握の実施

設置にあたり本社にてすべての地域で一定以上のニーズがあることを把握した上で全国統一での設置が決められたため、支店ごと、地域ごとの従業員のニーズ把握は実施しなかった。

設置場所の確保と施設設備に関する法令の遵守

同社では全国どの地域でも18人定員を基本とし、120m2ほどの広さを用意することを設置の条件とした。また、設置場所は原則県庁所在地の市区町村もしくはそれに準ずる商業地とし、公共交通機関からの利便性も考慮した。この条件を満たす物件を探すため、和歌山支店の担当者は、複数の不動産会社に声を掛け、10~20件の物件を見学した結果、現在の設置場所を選定した。

現在の保育園がある物件は市の商業地域の中心部で、幹線道路に面しており、市内のどこからでも通園しやすい。またオフィスビルの2階にあり、外からもわかりやすい場所にある。さらに南向きで非常に日当たりがよく、近隣に和歌山城公園など散歩に出かけるための公園も複数あり保育園を運営する上で適切な環境と判断し選定した。

同社は既に多くの保育施設を設置・運営していたため、施設設備の改修に関するノウハウも十分に持っていた。面積が100m2を超えると用途変更手続きが必要であったため、同社の支店担当者が建築士とともに和歌山市で手続きを行った。

内部の設計時には、子どもが手を挟まないよう扉に切込みを設ける、鍵やコンセントを子どもの手の届かない高さに設置する等、全国的に共通で施している安全配慮を地元の施工業者と共有し、改修を進めた。

保育施設の外観

保育室の様子1

企業内に向けた対応

福利厚生としての側面

自社の従業員が利用する場合は、月5,000円の保育所手当を支給することとした。

企業内での説明

事業計画の承認を得てから、各事業分野の社内の会議や研修の場において、企業主導型保育施設の設置計画について周知を行い、保育施設の利用促進を図った。組合に対しても通常の会合とは別途説明の場を設けた結果、組合からも歓迎され、運営開始後には組合報の中でも保育施設設置の意図や利用促進について取り上げてもらい、全社的な周知を図った。

地域とのかかわり

自治体との連携

認可外保育施設としての届出は中核市である和歌山市へ提出し、和歌山県には設置後に報告を行った。和歌山市では待機児童対策に積極的に取り組んでおり、子育てカウンセラーを配置する等、保護者ができるだけ保育施設を利用しやすい情報提供に努めていた。ニチイキッズみきまち保育園も市の待機児童解消に貢献したいと考え、施設に関する情報を市に提供し、保護者からの問い合わせがあった際には園案内のパンフレットを渡してもらうように依頼した。現在利用者のうち2人が実際に市の紹介による申込者であり、自治体とも連携を図りながら運営を行っている。

保育室の様子2

保育室の様子3

地域枠の取扱いと利用定員枠の運用

ニチイ学館の企業主導型保育施設は、自社従業員および提携法人従業員の保育の受け皿であるとともに地域の待機児童の解消を目的としていたため、全社共通で地域枠は上限の50%と設定した。

ニチイキッズみきまち保育園では、従業員枠、地域枠ともに、利用希望者は随時施設見学を受け入れている。

近隣住民とのかかわり

同じオフィスビルの入居者に対しては、ビルのオーナーが保育施設の開設について説明を行った。近隣は住宅地ではないが、子どもが散歩に出る際等、地域の方が喜んで手を振ってくれる光景が見られ、保育園へのご理解をいただいているとともに子育て支援の取り組みについてご興味をいただけている。

開設に向けた具体的な準備段階

利用者負担の検討

全国各地で企業主導型保育施設の設置を進めているニチイ学館では、保育料を内閣府の実施要綱記載の目安金額と同額に全国一律設定した。地域枠の利用者は保育料のみの負担となるが、共同利用契約による従業員枠の利用者については保育料のほかに、共同利用企業より利用に応じて、月々一定の額を負担してもらっている。

保育人材の確保

一部の地域では保育士の確保に苦労している事例もあるが、和歌山地区では応募数も多く、順調に採用が実現した。支店担当者が知人の保育士に相談したところ、保育士同士のネットワークで複数の人材の確保ができたという事例や、ハローワークや折込チラシで、保育士も企業主導型保育施設の利用ができることをPRしたところ、必要としている人材の確保につながった。

各種研修等への対応と人材育成、専門性の向上

同社では、全国統一的な研修プログラムを用意している。保育士は各地域ブロックでの研修に参加するほか、各施設で独自に作成した年間研修計画に基づき、スキルアップに励んでいる。

保育施設入口

設立後の運営

保育計画の作成

各施設で保育計画を立案し、支店、本社にて内容を確認している。

食事の提供

各施設に必ず栄養士を配置し、自園調理を行っている。給食メニューは本社から提供はあるが、それをもとに各施設で地産地消を心がけた独自の食事作りを行っている。子どもたちが豆むきをした日には、それを給食の食材として利用する等、食育にも力を入れている。

衛生管理

感染症防止のため保育園入室時の消毒液の利用徹底はもとより、各個人のタオルは使用せず、子どもでも引き出せる高さに設置した紙タオルを使用し衛生面にも留意している。

苦情等への対応

利用者等からの苦情があった場合は、必ず記録をとり、保育施設から各支店経由で本社に報告している。現場保育士で対応が難しいケースについては、各支店担当者が利用者等と直接話をするようにしている。そのために、各支店担当者も保育の現場に入り、子どもや保育士、また保護者とも日常的に接し、コミュニケーションを図っている。

家庭、地域への情報提供

全社のホームページの中に各施設のサイトが用意されている。更新に関する方針・規定等は本社で決め、掲載内容については保護者が興味のある内容を、子どもたちの園での様子が伝わりやすいよう保育園にて気をつけながら作成し、支店、本社のチェックを受けた上で発信している。

また、利用者向けには月1回の園便りの発行を行い、ホームページ内で利用者専用ページを設け、写真を購入することができるサービスも提供している。

地域の子育て支援

全社的な方針として、保育施設のことを知ってもらうため、月1回地域の子育て支援のためのイベントを開催することを推奨している。内容は各施設で検討し、案内チラシの近隣へのポスティングやホームページ等で告知している。

関係機関や近隣保育施設等との連携

入居するオフィスビルでは定期的に防災訓練が行われるため、子どもたちも一緒に参加している。他のフロアの入居者からも温かく見守られている。

受け入れ時間や体制の工夫

各施設に栄養士や調理スタッフを配置している。業務上調理スタッフは子どもたちと直接接する機会が少なく、情報が不足する傾向があるが、同施設では食育活動等を通じて調理スタッフもできるだけ子どもに接する機会を増やし、皆で保育する体制を組んでいる。

イベント案内チラシ

企業担当者・利用者の声

企業担当者の声

全国各地にいる従業員が安心して働ける環境の整備を目指し、企業主導型保育施設の設置を進めてきました。同制度は、会社の考えを反映した小規模で温かみのある保育を提供することができるため、自社の従業員だけでなく、地域の方にも喜んで利用いただいています。

従業員の採用面談時には、保育施設が完備されていることを伝えており、子育て世代の人材確保において大きく貢献しています。今後も、仕事と子育ての両立支援、地域の少子化社会対策の受け皿として、保育ニーズに応じた子育て支援施設の設置を進めていきたいと考えています。

共同利用契約企業の声

子どもの預け先を確保するために、いつも目にしていた同施設に飛び込みで問い合わせをしました。そうしたところ、会社同士の共同利用契約により、従業員枠で子どもを預けることができると紹介してもらい、すぐにその枠を活用することにしました。預ける前はなんとなく「認可保育施設がいい」と思っていましたが、預けてみると非常にクオリティが高く、満足しています。

ただでさえ、自身の子どもを預けることができ、助かっているのですが、経営する法人で求人を出す際にも「保育施設と提携している」とPRすることができました。実際保育施設の利用が可能であることを理由にした応募が増えており、思いもよらない効果を感じています。既に働いている従業員も、会社が働きやすい環境を整備しようとしていると受けとめているようです。

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