タイム・アロー八重山株式会社(宿泊)ひばりの保育 石垣のいえ/沖縄県石垣市

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立ち上げ時のポイント
  • 一級建築士の資格をもつ担当者が施設の設計を含め、保育施設の設置・運営の準備全体を担当した。
  • 開設当初は保育士が運営に慣れるまでの負担を考慮し、人員配置に余裕を持たせ、18人定員のところ12人でスタートした。
  • 従業員枠の利用者を確保するために、地域向け説明会に参加した保護者の企業に共同利用の提案を行った。
  • 施設工事はホテルの営業を停止せずに実施するため、閑散期である1~3月に行った。
  • 宴会場(大広間)を保育施設へ転用した。
  • ホテルという建物上、避難経路が2経路確保されていた。
  • 保育施設の食材をホテルと同じルートで確保した。
  • ホテルの宿泊客向けにも一時預かりサービスを実施している。
設置者の概要
○企業概要 ■事業所 本社(沖縄県石垣市)
■設立年 平成20年3月
■資本金 300万円
○業種 宿泊
○従業員規模

・グループ全体  848 人(うち女性) 599 人

・単独       27 人(うち女性)  18 人

○企業の特色

・石垣島で、ホテル、ゲストハウス、コンドミニアムの3つの宿泊施設を経営。

・正社員は2人で、残り28人はパートやアルバイト。

・グループ会社では、首都圏を中心に不動産業を展開 ホテル開発・運営や介護事業等も手掛けている。

保育施設の概要
○所在地 沖縄県石垣市(人口:約5万人)
○地域の特色

・国内外からの年間100万人を超える旅行客が訪れる観光地。

・市が待機児童対策として私立認可保育施設の設置や地域型事業推進するほか、積極的な保育士確保を行った結果、石垣市の待機児童数は減少傾向にあり、平成28年4月時点で143人であったのが、平成29年4月時点で31人となった。

○設置方式 単独設置・共同利用型
○設置場所

・船着場から近く、観光地の中心にあるホテルの4階に設置。

・周辺は宿泊施設で囲まれている。

・近くに公園あり

○運営方式 外部委託方式
○開設日 平成29年4月
○利用定員と利用者数

・定員:18人(うち地域枠9人)
(0歳児4人、1・2歳児14人、3~5歳児0人)

・利用者数:17人(うち地域枠4人)※平成30年2月時点
従業員枠(0歳児4人、1歳児6人、2歳児3人)、地域枠 (0歳児1人、1歳児3人、2歳児0人)

○開所時間 通常保育 平日・土曜・日曜 7:30~18:30
○保育施設の特色

・内装にガジュマルのシンボルツリーを設置。室内に居ながら自然を感じるインテリアとしている。

・防犯上の配慮から、子どもの出入りは、フロント前のホテルの正面入り口を使用。

設立までの流れ

時期 内容
開設1年11ヶ月前
平成27年5月頃
ホテルの空き室の有効活用として保育施設設置を提案 ⇒社内での設置検討、設置場所の選定
開設1年前
平成28年4月頃
従業員への個別の聞き取りを実施
保育施設の設置について石垣市に相談、企業主導型保育施設としての設置を決定し、児童育成協会に申請
⇒ニーズの把握、自治体との調整、設置方式の決定、申請手続き
開設6ヶ月前
平成28年10月頃
利用者募集のための地域向け説明会を開催(~平成29年1月に、月1回、計4回開催) ⇒利用者の募集
開設5ヶ月前
平成28年11月頃
施設整備を開始(~平成29年3月)
保育人材の確保開始(~平成29年1月)
⇒施設整備、人材確保
開設3ヶ月前
平成29年1月頃
地域向け説明会に参加した保護者の企業へ共同利用の提案(~2月) ⇒共同利用の調整
平成29年4月 保育施設開設 ⇒開設

設置検討の段階

保育施設の設置の経緯

タイム・アロー八重山は、平成21年石垣島でホテルククルを開業した。売り上げは順調に伸び、平成28年には、石垣島に簡易型宿泊施設であるゲストハウスと長期滞在も可能なコンドミニアムも開業した。

年中無休のホテルで働く従業員を確保するためには、土日も開所する保育施設が必要と考えていた。それと同時期に、経営するホテルで使用していなかった大広間の活用方法も検討していた。沖縄県の待機児童数は、東京都に次いで全国第2位であり、ホテルのある石垣島も待機児童問題を抱えていた。

そこで、タイム・アロー八重山では、ホテル4階の大広間を改修し、地域の子どもを受け入れる環境を整備するために、保育施設を設置することにした。

保育施設の設置について市役所に相談したところ、企業主導型保育事業の紹介を受けた。タイム・アロー八重山の従業員数では従業員枠を満たすことができないが、共同利用があれば保育施設の設置・運営も可能になるため、企業主導型保育事業を活用することを決定した。

設置決定後、近隣企業を訪問し、保育施設の紹介を行うとともに共同利用の提案をしたが、石垣で初めての企業主導型保育事業であったため、いずれの企業も契約に至らなかった。そこで方針転換し、地域枠に応募してきた保護者が就業する企業に、共同利用の提案を行った。その結果、現在、病院やホテルなど計13社と共同利用契約を結んでいる。

石垣港離島ターミナルにほど近い場所にあるホテルククル

ニーズ把握の実施

設置に際し、従業員にヒアリングを行った。ホテルは年中無休だが、石垣には日曜・祝日に開所している保育所がなかったため、日曜に保育を求める声があった。病児保育に対するニーズもあったが、同社として初めて手掛ける保育施設であるため、開設の段階での実施は見送った。また、石垣市の保育事情を調べたところ、0~2歳児の待機児童数が多かったため、低年齢児を対象とした。

設置場所の確保と事故等への備えと安全管理

保育施設の設置場所は、経営するホテルの4階にある大広間にした。ホテルの開業当初、大広間は宴会場として使用することを考えていた。しかし、上下を客室で囲まれ、同じフロアにも客室があることから、夜間の騒音の影響から宴会場としては使用できずにいた。延べ床面積は93m2と、用途変更手続きが不要であったため保育施設への転用にも適していた。

大広間の改修にあたっては、宿泊客に子どもの声が響かないよう、防音根太(床下に入れるクッション性の防音材)や防音壁を取り付けた。

子どもたちの建物への出入りは、防犯上の観点からホテルの正面入り口が最適であると考え、子どもたちはフロントの前を通って、4階の保育施設まで移動するようにした。1階から4階までの移動は宿泊客と同じエレベーターの利用を基本としたが、階段でも移動できるよう、子ども用の手すりを設置した。また、子どもが手をはさまないタイプの自動ドアを設置した。そのほか、防犯カメラの設置、保育施設の家具の角をとる、備品類は子どもの手の届かない場所に置くなどの安全対策を施した。

内装は、沖縄らしさを表現するためにガジュマルのシンボルツリーを設置するなど、デザインも工夫した。

なお、施設工事はホテルの営業を停止せずに実施するため、閑散期である1~3月に行った。

改修前改修後の大広間 改修後の保育施設

ホテルフロント前

ガジュマルのシンボルツリー

地域とのかかわり

自治体との連携

保育施設の設置検討の段階で石垣市児童家庭課に相談したほか、開設直前に市に利用者募集への協力を依頼した。

地域枠の取扱い

地域の子どもを受け入れることに伴い、平成28年10月から平成29年1月にかけて毎月、地域向け説明会を開催した。保護者が参加しやすいよう、ホテルの入り口脇の食堂で実施した。保護者も石垣では待機児童が多いことを認識しており、説明会には毎回10~20人が集まった。同社が経営するホテルは地域で一定の知名度があることが保護者の安心感につながった。

企業主導型保育事業の名前を初めて聞く保護者の不安を解消するため、同事業の制度概要を含め、保育施設について丁寧な説明を行うことを心がけた。

開設に向けた具体的な準備段階

施設整備に関する法令の遵守

保育施設の設置検討の主担当者が一級建築士であったため、施設基準や必要な手続きについては熟知しており、市への確認や届出等、施設整備は円滑に進んだ。企業主導型保育施設では避難経路を2つ確保する必要があるが、ホテルという建物上、既に確保されていた。

利用者負担の検討

保護者の負担を軽減するため紙おむつの提供や衣服洗濯等のサービスを導入した。

保育士等の必要人材の確保

開設までの短期間で石垣島移住希望の人材を見つけなければならず、園長等保育士の確保は非常に苦労した。

(石垣市の保育士への補助金対策が後押しした)

設立後の運営

食事の提供

専任の調理員を雇い、石垣市の栄養士が認可保育施設向けに作成したメニューに沿って食事を提供している。食材については、ホテルと同じルートで確保している。

地域の子育て支援

保育士主導で、子育て支援のイベントを開催し、同施設やホテルのPRとして役立てている。

人材育成、専門性の向上

企業主導型保育事業という新しい制度の下での保育であり、ルーティンワークだけではないため、そのことが保育士のモチベーションと人材育成に繋がっている。保育士自らがイベントを計画するなど独自の取り組みができることも、保育士にとっての魅力となっている。

保育室の様子

利用定員枠の運用

開設当初は保育士が運営に慣れるまでの負担を考慮し、人員配置に余裕を持たせ、18人定員のところ12人の受け入れでスタートした。

現在の利用者は17人(うち3人がホテルククルの従業員の子ども)で、1人分の余裕を持たせている。これはダイビングを目的に訪れる宿泊客向け等に、一時預かりサービスの提供をはじめたためである。

受け入れ時間や体制の工夫

開所時間は従業員の勤務時間に合わせて設定している。現在の同社従業員としての利用者は清掃スタッフの子どもであり、延長保育のニーズがないため、通常時間内で対応している。

企業担当者・利用者の声

企業担当者の声

従業員の福利厚生のための施設ですが、地域、周辺企業にともにwin-winの関係となる施設を目指しています。実際に地域の待機児童解消に役立っている実感もあるため、今後はこの石垣で築いたノウハウを、グループ会社のある他の地域でも展開していきたいと思っています。

従業員枠利用者の声

保育施設入口

石垣には日曜日に開いている認可保育施設がなかったのですが、「ひばりの保育 石垣のいえ」で土日も含めて預かってもらい、仕事を継続することができました。自分の職場に子どもがいるため、仕事時間中に様子を見ることもでき、とても安心しています。

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