少子化対策

パネルディスカッション

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パネルディスカッション 14:15~15:30

テーマ:「働き方を見直そう!みんなで意識を変えてみよう!」~次世代イクメンに期待したいこと~

コーディネーター:安藤 哲也(NPO法人ファザーリング・ジャパン副代表理事)

パネリスト:伊藤 綾(ゼクシィ統括編集長)
中山 秀征(タレント)
成澤 廣修(文京区長)

パネルディスカッションの様子1 パネルディスカッションの様子2

「どのように働き方を変えて、意識を見直したか」

安藤


安藤 哲也氏

「働き方の見直し」をテーマにパネルディスカッションを進めていきたいと思います。日本では、慢性的な長時間労働が深刻な問題になっていますが、そういった状況から子育てにも問題が出てきます。例えばよく聞くのが、30代の子育て中のお父さんたちは、自分の仕事は終わっているにも関わらず、上司が帰らないからついつい9時10時まで職場に留まってしまう。その間、家では小さな子どもをお母さん一人で抱えて大変なことになっている、というようなケースです。

だから仕事をするなということではなく、仕事と家庭のバランスをうまくとるために、働き方を来週から少し変えてみようよと、そのためのヒントを今日のディスカッションで導き出せるかなと思っています。

本日は、仕事と家庭との両立をして、笑顔で子育てをしているという方々にパネリストとしておいでいただきました。

まずは、家庭を持ってお子さんが生まれた後、意識や日々の生活はどのように変わっていったか、お聞かせください。

伊藤


伊藤 綾氏

私は結婚して、夫が転勤となったこともあり、仕事を辞め、しばらくは専業主婦でした。その後、契約社員として『ゼクシィ』の編集部に入り、正社員に、それから編集長となり、本当にバリバリ働く日々でした。編集長業務は非常に多忙で、出産前は残業も頻繁、平日は、ほとんど外食で済ませることが当たり前の状況でしたが、5年前に出産して、子どもが保育園に通うようになるとお迎えがあるので、それに間に合うように帰るためには、同じ仕事でありながら週の多くは定時まで、だいたい夕方5時か6時台に仕事を終えなければいけないという状況になりました。自分の仕事が定時に終わることができるとはとても信じられない、考えられないような状態でしたが、できる限り定時までに仕事を終わらせるという試みをこの4年間やってきたという感じです。もちろん毎日私が必ず帰宅するのではなく、夫と分担しながら臨機応変に取り組んでいます。

実は、はじめは、子育ては、仕事をする上でハンデになるのではととらえていました。そのハンデを取り返すために、いかに効率を上げるか、そんなことばかり考えていました。しかし、しばらくすると、ワークライフバランスは、男性にとっても女性にとっても、仕事する上で強みのひとつにもなりうるんだと思い始めました。

例えば、私の場合は出産前はほとんど外食ですませることが多かったのですが、出産して家事・育児をするようになってから、新婚の女性のテンションが上がるような付録を部下たちと一緒に考案したところ、それが好評で雑誌の売上げが上がったりしました。例えば「乙女すぎるドライバーセット」。このドライバーについても、それまではかわいいものがほとんどありませんでした。台所にいると鍋の柄がゆるんだり、タオル掛けのねじが緩んだりします。こういうもので可愛いものが付録にあったらいいんじゃないかというのは、部下とみんなで、生活を大切にすることで生まれたものです。

ほとんどの仕事には、生活者とかお客さま視点が大事で、男性でも女性でも生活者であるというのは有効なスキルになると思いました。

中山


中山 秀征氏

まず、子どもたちに必ず会えるのは朝。朝食はできるだけ子どもたちと一緒に食べるように心がけています。

その他、運動会や授業参観については、学校側が1年のスケジュールを早めに出してくださるので、あらかじめそれを事務所に伝えて、スケジュール管理し、学校行事のある日は、仕事はオフにして、できるだけ参加させてもらっています。実は、独身時代は、休みも取らずに本当に仕事ばかりしていました。それが、結婚して家族ができて、子どもたちにあわせ、夏休みや冬休みをとるようになり、生活スタイルが大きく変わってきました。こうして休みをとることで、休んでも仕事にさして影響がないことも分かりましたし、逆に休んだ分、違うところで取り返すとか、もっと効率的に仕事をしようという風に、仕事と生活のバランスがとれるようになりました。

先ほど、森大臣から『「育ボス」を会社の中に育てたい』というお話を伺いました。「育ボス」は、上司から部下に「休みなさい」ということを言ってあげるもの。育休を取った人が上司になれば当然そういったことが可能になってくるわけですね。今、突然というのはなかなか難しいかもしれませんが、でもそういう姿勢を今から植え付けていくことが、今後につながっていくのではないかと、思いました。

最近の若い方は、大学に行って就職して、そして働き盛りのときに結婚をしない、婚期が遅れて、出産も遅れてくるということで様々なタイミングが遅れてきているような気がします。

そういった中で、やっと結婚し、子どもを持つタイミングが来たにもかかわらず、今度は、今、仕事がのっているから、一番楽しいから、休めない。もし育休を取って長く休んだとしたら私のこのステージはどうなってしまうのか、いざ休んで、果たしてその職場に戻れるのだろうかということを、これだけ多くの方が不安に思っている。この状況が、まったくもって改善されないようでは、この国は一体どんな国なのかということになってくると思います。

成澤


成澤 廣修氏

私は、35歳で結婚して、子どもが生まれたのは44歳になった時でした。結婚して9年間子どもができなかったということもあり、かみさんの妊娠が分かった時に、子どもができたら精一杯の愛情を注ぎたいなと思い、母体のケアが必要とされる産後8週間前後をめどにまとまった休みを取ろうと考えていました。

そんな中、安藤さんに相談したところ、新聞記者にポロっとしゃべり、おかげで毎日新聞の1面トップになりました。区長が汚職で逮捕されても1面トップにならないけれど、育児休暇を取るというと1面にトップに、当時はそれほど、反響が大きいことでした。

働き方も夫婦それぞれだし、時間の使い方も体調もそれぞれ、そんな中で、共に怒り怒られ、注意し注意される中で新たな気付きがあって、それぞれの家庭でカスタマイズして作り上げていくしかないだろうと思うのです。

共稼ぎの家庭と、専業主婦の人の家庭でも子育ての仕方は全然違うし、同じ家庭でも、お父さんとお母さん、それぞれ子どもと過ごしている濃密な時間の長さも違います。そんな中で、何とか子どもに主体的に向き合って、まずは家族の単位で子育てをしていくことを日々心掛ける必要があると思います。

安藤

僕の講演を聴きに来るお父さんたちに言うのは、「世の中がイクメンブーム」だからとか、「ワークライフバランスが大事と言われている」から育児するわけじゃないんだよと。家族と一緒にいる時間を増やすことがあなたの人生にとって大事なことなんだよと伝えています。よく「ノー残業デー」とか週に1回早く帰る日を設定している会社がありますが、あれもただ帰るだけではなくて、「早く帰って何がしたいのか」がないと意味がないんですよね。

ノンアルコールビールは、確か育休中の女性社員が企画を考えた商品だということをご存知でしょうか。改良を重ねて、男性でも飲めるような商品になってブレイクしたということなんです。だから伊藤さんがおっしゃった消費者目線、あるいはママ目線。パパだってもしかしたらあるかもしれない。育児をするということがすごく仕事にもプラスになり、いろんなアイデアが生かされてくるというのが、かなり実証されているなという感じがします。

~少子化に関するデータ紹介~

1.子育て世代の男性の働き方

安藤

ここで2枚のスライドを見ていただきたいと思います。

子育て世代の男性の働き方

まず、子育て世代の男性がどういう働き方をしているかというスライドです。週60時間以上の長時間労働をしている人は、かつての高度経済成長期よりもどの年代においても若干下がっているのですが、ただちょうど子育て期の30代の男性に限って見てみると、実は5人に1人、つまり20%がまだ週60時間以上も働いているという実態があるわけです。

さっき言ったように、それが独身ならいいけれども、核家族で家に小さい子どもがいて、あるいは赤ちゃんが生まれたばかりでこういう働き方をしていると、やはり色々問題が起きてしまうのではないでしょうか。

子育て世代は職場では立場が弱い。休みもなかなかとれない。上司に「子どもが熱だから休ませてくれ」とはなかなか言えないのです。僕も大企業で管理職をやっていましたが、上司がまず変わらないとなかなか社内は変わらないなということを痛感しました。当時は保育園にお迎えもあったので、週に2回は必ず定時で帰ることを決めて、自分で働き方を調整していました。部長の僕が真っ先に帰るので若い人たちもみんな帰りやすいのです。独身のスタッフからも「これでようやく彼女とデートできます」なんて声も。前の管理職時代は残業漬けだった社員も「今日は早く帰って子どもをお風呂に入れてあげるんだ」なんて言ってました。

伊藤

今、約60名の部下がいて、当然ママもたくさんいるのですが、パパもいます。独身者も多いのですが、基本的には、お母さんだからワークライフバランスを実現するという考えからいかに脱却できるかということが「育ボス」にとっては重要だと思います。独身の20代であっても、やはり見ていると、生活を大事にしたり、自分の大事な人を大切にする時間が増えれば増えるほど、仕事のアウトプットが良くなってくる面もあると思います。なので、お母さんだけの話ではないということがとても大事だと思います。

2.夫の育児参加と第2子出生の関係性について

安藤

今日は少子化対策の話なのでもう1枚スライドを見ていただきます。

夫の育児参加と第二子出生の関係性について

いま日本の出生率は1.41なので2人目がなかなか生まれないのですが、第2子出生と夫の育児参加の関係性を見ているデータです。つまり第1子のときに夫が育児に関わってきた頻度が多くなればなるほど、実は第2子出生確率が高いという傾向が出ています。

かつて日本の家族の多くは大家族で、おばあちゃんがいて育児を母親だけが担わなくてもいいシステムがありました。今は、都市部などはマンション住まいの核家族が多く、そういう中で、父親が長時間労働だから、母親だけが一人で長時間育児をしている状態を生み出しているわけです。そうすると辛くなります。育児が楽しく思えない、子どもを愛せないというお母さんがいま多いけれども、そういうケースではやはり夫が早く帰ってきて、土日だけではなく平日も子育てに関わり、ママを精神的にもケアできれば、大変だけど育児が少し楽になっていく、楽しくなっていくのではないかと思います。成澤さん、これを見てどうですか。

成澤

これはまた別の調査結果ですが、生まれるところには2人目、3人目が生まれているという状況が文京区ではでてきています。

保育園や幼稚園でも兄弟がいる家庭というのが、ここ10年ぐらい前から見てみると徐々に増えてきている印象がありますが、そういった状況から子育てに前向きなお父さんたちが少しでも増えてきたということが裏付けされているのではないでしょうか。

安藤

皆さん、このデータをどうご覧になりますでしょうか。様々な状況、年齢とか経済的な問題もありますが、少子化対策をするのであれば、その1つの重要な施策が男性の育児参加であるということをある種、証明したデータだということです。

~「家族の日」にちなんだ覚えてトクするクイズ~

司会の安藤さんによる、少子化にまつわる掛け合いのクイズを来場者の皆さんと一緒に行いました。

クイズ1

安藤

色々な家庭がありますが、現在、日本では「共働きの世帯」と「専業主婦世帯」どちらが多いでしょう?

クイズ1 正解は共働き世帯

安藤

正解は共働き世帯ということですね。これが変遷なのですが、昭和55年頃は、男性雇用者と無業の妻からなる世帯が1000万を超えていたんです。一方、共働き世帯はこれだけしかありません。

これが時代と共に変わります。分岐点が平成9年、ここで逆転するんです。この頃からグッと共働き世帯数が伸びてきて、リーマンショック後は、働く女性が増えてきて、専業主婦の世帯はさらに減少していったわけです。であるがゆえに、今、保育所の待機児童問題が出てきてしまっている。これについては区長、どうですか。

成澤

共働き等世帯数の推移

昭和55年頃と今とでは、親の働き方は全く変わってきていますよね。

文京区でも新しいマンションがどんどんできて出生数も15年前に比べて1.7倍になっている状況で、転入者がどんどん入ってくると保育所が足りなくなるという状況があります。ところが、実は不思議なデータがあって、東京全体で共働き世帯は増えて昔と逆転しているのですが、保育所に行っている世帯と幼稚園に行っている世帯とどっちが多いかというデータを取ると、依然として幼稚園の方が多いのです。

というのは、いわゆる低年齢の頃はお母さんが仕事を辞めて幼稚園に行っているということと、プラス幼稚園が預かり保育を夏休み中もやるようになってきて、ある程度パート勤務等については対応できるようになってきているということもあるのかもしれません。しかし、恐らく東京中の自治体が今、待機児童解消に悩んでいるところです。来年4月に文京区でも待機児童をゼロにしようと思って、かなりボリューム感がある計画をつくったのですが、安藤さんもブログで書いたりしたおかげで、どんどんそれを見て転入が始まるんです。

安藤

子育て世帯が文京区に住みたいと、なだれ込んできている。

成澤

なだれ込んできて、また足りなくなるんじゃないかとドキドキしています。

安藤

これは喜ばしいことであり、また悩ましいことでもあるということですね。

クイズ2

安藤

現在、女性の平均初婚年齢は30歳となっています。それでは30代前半、35歳までの女性の未婚率はどれくらいでしょうか。1.約15%、2.約35%

クイズ2 正解は2.約35%

安藤

正解は2.ということですね。34.5%、およそ3人に1人が未婚ということになります。

年齢別未婚率の推移

伊藤

女性の30歳からもう少し先のところだと、仕事も一番変化があるときだったりしますし、結婚して出産をするか、しないか、あるいは、どうやって自分の人生、これから30代を生きていくかということを本当に悩んでいる方が多いなというのを『ゼクシィ』の読者を見ていてもとても実感します。

安藤

ある結婚情報会社の調査で結婚相手に求める姿勢で1位になったのは、確か夫となる「男性の家事・育児への協力姿勢」です。

伊藤

今、読者の皆さんを見ていても、結婚するときに、彼が仕事と家庭の両立を一緒にできる人か、もし子どもが生まれたら育児を主体的に分担してくれる人か、ということをとても気にしていますね。

そこで『ゼクシィ』では、「妄想用婚姻届」を付録として作りました。例えば「家事の中で、夫は何をやる、妻は何をやる」という記入項目を入れてあります。それから「作ってほしい献立」にも夫婦それぞれの欄を付けています。真面目に話し合おうとするとなかなか難しいかもしれませんが、新たに家族を築く時にこそ、楽しく話し合って、2人のワークライフバランスができるような形を考えてほしいと思い、作成しました。

「みんなで意識を変えていくためには」

安藤

それでは、またパネルディスカッションに戻りたいと思います。日本人は、周りを見て空気を読み過ぎるところがあり、「今日は子どもの誕生日だから早く帰ろう」という行動が、なかなかとれない。職場の理解や協力、ルール作りのためにできることについて、皆さんが心がけてしていること等をお聞かせください。

中山

参観日や保護者会、卒業式など、そういった学校行事は、たいてい事前に分かります。分かるところだけでも、先に仕事先の予定に入れておいた方が、職場の相手の印象も悪くないと思いますし、それほど理解のない人は、そんなにいないと思います。事前に予定を入れておくことで、逆に「その代わりここはやるよ。」というように、仕事が円滑にいくこともあると思います。でも、こういったことは、自分の子どもが生まれてから初めて分かりました。それまでは、色々聞いて頭でっかちになっていても、実際生まれると、聞いていたことと違っていたり、違う感情が芽生えたりする。子どもが生まれてスイッチが入ったんだと思います。

僕は趣味が子どもです。四人の子どもが一人ずつ独立していくと、恐らく「自分は抜け殻になってしまうんじゃないか。」という不安にかられています。これから中学、高校と進学していけば、もう自然と親離れしていきますし、旅立っていかなければならないわけですが、そうすると、子どもと一緒にいられる時間はあっという間に終わってしまうんだなと、改めて感じています。

昨日までおむつを替えていたのにというような子に、反抗期が来て、学校でこんなことがあったとか、先生に怒られたりとか、色んなことをやっていく中で、それも成長の一つだと思いながらも、こんな時期も終わってしまうんだという一抹の寂しさを感じながら、毎日を送っています。子どもは騒いでうるさくて、こちらもとてもエネルギーを使うけれど、子どもが発しているエネルギーを得る方がよっぽと大きいし、その疲れをも吹っ飛ばしてしまう力を持っているのも、また子どもです。だから、僕は、もし今「子どもなんて、結婚なんて」と思っている方がいたら、「いや生まれてみなきゃ分からないし、生まれたらまた違う気持ちに変わるというのが親じゃないか」と伝えたいです。

伊藤

ママでもパパでも、そうではない人もできる限り長時間労働から脱却して生活することでインプットを増やし、仕事にも繋げていくことが大事だと思います。

生活しているとか、有休を取ったり、看病のことも、色々なことをなるべく仕事の中でも、雑談でもいいのでアウトプットする。生活者視点から学んだヒントをそこはかとなく表現するということを職場でするようにしています。

自分自身が子どもを持つ前は、育児のイメージというのがなかなか分からなかったのですが、なるべく肩肘張らずに自然体で、リアルな育児を周りともシェアできるように、とそんなことを思ったりもしています。

成澤

男性の育児休暇については、こういうものだからこうしなさいと言われても、先ほど安藤さんがおっしゃっていたような金銭的なロスや、同じ職場の同僚に迷惑を掛けちゃいけないとか、キャリアや心の壁があって、男性の場合はなかなか一歩前に踏み出すことができない。

文京区役所は、私が育休を取ったのと、育児介護休業法が改正になったのがまったく同じ年だったので、いいタイミングだろうということで、全ての制度の見直しをしました。そのときに作ったのが「男性職員の育児休業取得促進要綱」です。これは自分で言うのもなんですが、なかなかの優れものです。ただ単純な話で、「部下が言い出す前に上司が育児休業を勧める」ということを義務化しました。

要は、周囲への報告や、出産手当申請の届出など、子どもが生まれることが分かったタイミングで、必ず、上司から該当の男性職員に「こういう制度があるから取ってもいいですよ」と勧めるようにしました。

知らない人がいるかもしれないし、夫婦の中でそのことについて話し合ったことすらなかったかもしれない。だから夫婦の中で、取ったほうがいいのか、取ってはいけないのか、自分はどうしたらいいのかというのを言い出しにくいのだったら上司から勧めましょう、というふうに制度設計しました。

成果は、それまではゼロでしたが、平成24年度は取得率は18%でした。育休そのものは取れなくても、これは男性だけに認めている制度ですが、例えばお母さんが産気づいて入院する瞬間や、退院して家に帰ってくる等、生後2カ月以内ぐらいの何らかのアクシデントが予想されるような時に、お父さんも休める、育児参加休暇や出産時特別休暇という制度があって、取得率は8~9割で、ほとんどの職員が取得しています。これは、上司が休みを勧めることによって、若い子育て世代の男性の子どもや家族のために休みを取ることのハードルがグッと下がったということを示していると思うので、これはまさに「育ボス」ですよね。

若い人の中でもなかなか休みを取れない人たちは、いずれきっと社会の中で自分が勧める側になるわけです。30代の人は必ず40代になり、40代の人も50代になるのだから、勧める側になったときに、子どもが生まれたばかりの人たちに勧められる側になろうよと。そういう人たちを増やしていくためにも、今は必ず所属長が「育ボス」をしなければならないというのが文京区役所のルールです。

安藤

企業に勤務していた時に有給休暇がなかなか取れていないという課題がありました。

一般的に1年間に20日間ぐらいの有給休暇が企業にはあるのですが、日本の有給休暇の消化率は、平均46%ぐらいです。ところが働いている母親はほとんど100%取っているわけです。なぜかと言うと、子どもが病気したりしたときに使う。あるいは保護者会は平日ですから、母親はそれを使っているけれども、働く父親はそれをなかなか使えない。

僕が管理職の時に行ったのは、4月の段階である程度、有給休暇20日間の予定をスタッフに全部出させるんです。まだ夏休み等決めてないかもしれないけれども、とりあえず入れてよと。家に帰って奥さんと相談して、ここへ入れてほしいと。それで集めたものを一覧にして貼り出す。そうするとAさんがここで休むのだったら、僕はここで休もうかなとか、色々と調整をし始めて、見ていると結果的にバランス良く休むのです。それで一年が終わってみたら、その年の取得率は95%でした。

つまり、いきなり1週間前に、「部長、来週有休ください」って言うから、「お前、今忙しいだろう」と言われて無理だと思ってしまう。だからあらかじめ年間のスケジュールみたいなものをみんなが決めようというルールにしておけばいいのかなと僕は思っています。

働き方をただ見直すのではなくて選択肢を増やしていくということが大切なのかなと思います。最近は、フレックス勤務、在宅勤務、時短勤務等もあります。その人の家庭の事情に応じた多様な働き方を会社がちゃんと認めて、それに対して評価を上げたり、下げたりしないようなことをしていかなければいけない。つまり長時間働ける人が一番偉いのではなく、いろんな働き方の中でそれを認め合う補完し合う社会になることで、本当の意味での働き方が変わっていくのではないでしょうか。

会場のみなさんへのメッセージ

安藤

最後にみなさんからご来場の皆さま、またここ文京区はある意味「イクメンの聖地」ですので、パパやママたちにむかってメッセージをいただけますか。

中山

子育ては、日々本当に色々大変な部分があると思います。僕は結婚したときは三歩下がってついて来いという気持ちで家内と結婚しましたが、今では三歩下がってついて行ってるという状況ですが、同じようなお父さん方は他にもいらっしゃると思います。僕は、それにまた非常に心地よさを感じているというか、後方からの眺めというのは悪くないなと思っています。

家内から学んだこと、子どもから学んだこと、自分にはなかったんだなということ。夫婦というのは当然違うところで育って価値観も違います。でもそれだからこそ補う部分が必要で、それをお互いに埋めていくということを見せていくと、子どもはそれを見ながら成長していくと思いますし、良いところも悪いところもあって補いながらやっていくのが夫婦なのかなと思っています。

子育てしていると当然ながら悩みます。何が正解か分からないし、他の家ではやり方や考え方が違ったりする。でも「うちはうち、人は人」、僕はこれを大事にしていこうと思っています。うちの長男がよく、「○○ちゃんちはこうやっているのに、うちは何で」って言います。そういう時には「いや、それはうちのルールだから、恐らくそのご家庭にはそのご家庭のルールがあるだろう。向こうがいいと思っても、うちは駄目ということがあるように、うちがいいと言っても向こうは駄目ということがあるんだ、みんな一緒でなくていいんだよ。だから楽しさがあるじゃないか。」と。その家族のルールというものを自信を持ってつくっていくことが大事なんじゃないかと、僕は、つくづく思っています。

伊藤

トレードオフをしないということ。女性もそうですし、男性もそうですが、色んなことをハンデと思ったり、トレードオフしたりしない。いろんな経験が全部、すべてにおいていいフィードバックになったり、結果を出すエンジンになるという考え方で、大変なこともありますが、新しい時代、新しい価値観、新しい家族のあり方をみんなで一緒に作っていければというふうに思います。

いま、結婚式の変化を見ると、カップルの方は結婚を「家族のスタート」と捉えています。昔であれば、いい旦那さんのところにお嫁に行けて良かったねとか、恋愛のゴールのような演出が多かったのですが、最近は2人を応援するようなゲストからの演出があったり、2人の宣言があったり等、スタート感が漂っています。どういう結婚、どういう家族だったら自分が幸せになりたいとか、なれるかなということをみんなが考えられるきっかけに、結婚式の場もありたいと思っています。

家族、友人、自分のために過ごす時間というのは会社にとって悪い時間ではなくて、それで自分が人を大事にする、会社に戻ったときに同僚やお客さま、クライアントなど、そういう周囲の方々を大事にできる心持ちでいられるようになる、それが非常に大きいと思います。

成澤

それぞれの家で色々な働き方があって、色々な子育ての仕方があるけれども、夫婦でよく話し合って、カスタマイズして、それぞれの家で最もベターだと思う結論を出していくことが大切なんだなと日々感じています。

日本初の「育ボス」は、松下幸之助です。松下幸之助さんが日本に根付かせた週休二日制は、今から考えるとかなりの働き方革命です。でも週休二日制が導入されて業績が落ちたとか、つぶれたという会社を僕は知りません。働き方を変えてつぶれた会社はないはずです。

経営者のトップもそうですし、そこで働いている従業員、サラリーマンにとってもそうだけれども、自分が働き方を変えたからといって、同期入社100人のうち、100人が1つの会社で社長になれるわけじゃない。働き方を自分が家族との時間を大切にするために変えたからといって、それが理由で何かになるなんていう因果関係は薄いと思うので、松下幸之助がこの国に週休二日制を根付かせたように、男性も女性もワークライフバランスが取れる社会にしていくために一歩踏み出すことが、それぞれの家庭にとってはすぐに結果が出ることだと思うし、だからといってマイナスになるということは基本的にはないはずだと、改めて申し上げたいと思います。

先ほどクイズの中で、30代前半の女性の3人に1人が未婚であるというデータがありましたが、一方では、厚生労働省が40歳を過ぎて不妊治療をする人たちには医療費助成をしないという方向性を出しています。そうなるとそこは最後のリミットになってくるわけです。卵子の老化だとか、最新の医学的な知見によると男性の不妊も原因のかなりの割合を占めているし、まっすぐ泳げない精子という問題もいま医学の世界ではクローズアップされています。

非正規労働の問題や、女性の社会進出もあって結婚年齢が男女ともにどんどん遅れてきているけれども、でも本当にそこまで結婚しなくていいのと、自分自身のことを振り返ってもう少し考えたほうがいい。そのことを私自身は今回の少子化対策のタスクフォース*の委員となり、強く感じているところです。

*第2期少子化危機突破タスクフォース:「少子化危機突破のための緊急対策」(平成25年6月7日少子化社会対策会議決定)(以下「緊急対策」という。)を着実に実施することを目的として、緊急対策に基づく具体的な施策の推進等について検討を行うとともに、施策の効果等の評価に資するため、森まさこ内閣府特命担当大臣のもと開催。

安藤

誰かに優しくしたり、人を大切にする気持ちは、まず自分が満たされていないとだめですよね。家族がいて、そこに帰って自分が癒されると、会社に行っても多分優しくなれるんじゃないかという気がします。

本日は「家族の日」ということでのフォーラムでしたが、「家族の日」って実は毎日なんですよね。1年に1回だけやって来るわけじゃなくて毎日が「家族の日」。毎日いつでも家族が笑い合える日であってほしいし、僕自身もそういう家庭をこれからも継続していきたいなと思いました。本日のフォーラムが皆さんの気付きとなって、今日から家庭、社内あるいは地域へ浸透していく力になることを願ってパネルディスカッションを終了したいと思います。本日はどうもありがとうございました。

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