少子化対策

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第3章 仕事と生活の調和の推進

第1節 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の重要性

1 働き方をめぐる問題点

○急速な少子化の進行の背景には、就労と出産・子育てとが二者択一となっている状況がある。その原因として、共働き世帯が増加する中、多様な働き方の選択ができていないことや非正規労働者の増大、長時間労働など、国民一人ひとりにとって、自身の望む生き方の実現を困難にしている「働き方をめぐる様々な課題」が存在している。
○まず1つ目の問題点として、出産前後の女性の就業状況をみると、出産する1年前には仕事を持っていた人(有職者)のうち約7割が、出産半年後には無職となっている。
○日本労働研究機構「育児や介護と仕事の両立に関する調査」(平成15年)によると、出産前後で仕事を辞める理由としては、「仕事と育児の両立の難しさでやめた」(24.2%)、「解雇された、退職勧奨された」(5.6%)となっており、約3割が両立環境が整わないことを理由に辞めている。
図 両立が難しかった理由

○働き方の2つ目の問題点としては、仕事優先の働き方による長時間労働や休暇が取りづらいことにより、男性が家事や育児の時間が十分に確保できないということがある。
図 6歳未満児のいる夫の家事、育児時間(週全体)

○男女共同参画会議の下に置かれた「少子化と男女共同参画に関する専門調査会」による「少子化と男女共同参画に関する意識調査」(平成18年)によると、約8割の男性が家事・プライベートを仕事と同等以上にしたいとする希望があるにもかかわらず、現実には、5割以上の人が「仕事優先」となっており、希望と現実の間に大きなかい離がみられる。
○働き方の3つ目の問題点としては、両立支援制度は着実に整備されてきているものの、職場において仕事と生活の調和を実現できるような仕事の仕方になっていないため、実際には利用しにくいといった問題がある。

2 働き方の改革に向けた提言

○仕事と生活の調和の実現を目指した働き方の改革は、我が国が少子化の流れを変えるとともに、若者、女性、高齢者などの労働市場への参加を促進し、社会経済の長期的安定・持続可能性の確保を目指す上で最優先の課題であるため、少子化対策の観点のみならず、企業経営や経済の生産性の向上、男女共同参画の推進の観点からも重要性が指摘されている。
図 両立支援策を利用促進する上での問題

○経済財政諮問会議の下で開催された労働市場改革専門調査会の第1次報告(2007年4月)では、年齢や性別にかかわらず働きたい人が働けるような弾力的な労働市場を目指すとともに、特にワーク・ライフ・バランスを実現するための取組の基本的な在り方を明らかにし、そのための10年後の数値目標が示された。
○男女共同参画会議の下に設置された「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」の報告(2007年7月)では、仕事と生活の調和実現に向けた社会基盤づくりの取組や、多様な人材から高付加価値を生み出す企業・組織のマネジメント改革の在り方が整理された。
○重点戦略検討会議の中間報告(2007年6月)では、関係府省や地方公共団体が一体となって、総合的に体系的な施策の展開を図っていく必要があるとされた。
○「経済財政改革の基本方針2007」(2007年6月)においては、年内を目途に「ワーク・ライフ・バランス憲章」(仮称)及び「働き方を変える、日本を変える行動指針」(仮称)を策定することが明記された。

第2節 「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」の概要

1 憲章及び行動指針の策定経緯

○2007(平成19)年7月、内閣官房長官を議長とし、関係閣僚、経済界・労働界、地方公共団体の代表等からなる官民トップ会議が設けられ、同年8月には官民トップ会議の下に「働き方を変える、日本を変える行動指針」(仮称)策定作業部会が設けられて議論・検討がなされた。同年12月18日に憲章及び行動指針が決定され、同日とりまとめられた「子どもと家族を応援する日本」重点戦略にも反映されている。

2 憲章及び行動指針の性格及び意義

○憲章は、仕事と生活の調和の実現に向けての国民的な取組の大きな方向性を提示するものであり、行動指針は、憲章を受けて、企業や働く者、国民の効果的な取組、国や地方公共団体の施策の方針を数値目標なども交えて具体的に示している。

3 憲章の概要

○憲章においては、今、我々に求められているのは、国民一人ひとりの仕事と生活を調和させたいという願いを実現するとともに、少子化の流れを変え、人口減少下でも多様な人材が仕事に就けるようにし、我が国の社会を持続可能で確かなものとする取組であり、仕事と生活の調和の実現に向けた取組が必要であるとしている。
○憲章は、仕事と生活の調和が実現した社会とは、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」であるとしている。
○憲章は、目指すべき社会の実現のためには、まず労使をはじめ国民が積極的に取り組むことはもとより、国や地方公共団体が支援することが重要であり、仕事と生活の調和の促進に積極的に取り組む企業における取組をさらに進め、社会全体の運動として広げていく必要があるとし、企業と働く者、国民、国、地方公共団体の果たすべき役割をそれぞれ示している。

4 行動指針の概要

○行動指針は、憲章が「仕事と生活の調和が実現した社会の姿」として掲げる社会を実現するために必要な諸条件を示すとともに、これを実現するため、企業や働く者、国民の効果的な取組、国や地方公共団体の施策の方針を定めている。
○仕事と生活の調和の実現の取組は、個々の企業の実情にあった効果的な進め方を労使で話し合い、自主的に取り組んでいくことが基本であるが、国と地方公共団体も、企業や働く者、国民の取組を積極的に支援するとともに、多様な働き方に対応した子育て支援や介護などのための社会的基盤づくりを積極的に行うこととしている。
○行動指針は、数値目標の設定や、「仕事と生活の調和」実現度指標の活用により、仕事と生活の調和した社会の実現に向けた全体としての進ちょく状況を把握・評価し、政策への反映を図ることとしている。
○行動指針は、社会全体の目標として、政策によって一定の影響を及ぼすことができる項目について、10年後の数値目標を設定している。
○「仕事と生活の調和」実現度指標は、「個人の実現度指標」と「環境整備指標」を数量的に把握するものであり、仕事と生活の調和が実現した社会として憲章が掲げる社会の実現状況を把握できるように作成されている。
図 仕事と生活の調和の推進

5 憲章及び行動指針に基づく取組

○憲章及び行動指針に基づき、仕事と生活の調和を推進していくため、2008(平成20)年を「仕事と生活の調和元年」と位置づけ、憲章及び行動指針の理念を国民一人ひとりに理解を求めることとしている。
○政府として憲章及び行動指針を推進していく中核的組織として、2008年1月、内閣府に「仕事と生活の調和推進室」を設置し、官民トップ会議の事務局、関係省庁、労使、地方公共団体などとの連携・調整等を行うこととしている。
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