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少子化対策

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第2節「子どもと家族を応援する日本」重点戦略の概要(4/4)

6 重点戦略の具体化に向けて

前述したとおり、第2次ベビーブーム世代が30歳代半ばを迎えている今、少子化対策は待ったなしの状況である。次世代育成支援の社会的コストは「未来への投資」であり、働き方の見直しと保育等の子育て支援の社会基盤の整備を「車の両輪」とする重点戦略の考え方を現実のものとするべく、各般の取組を推進していくことが求められている。

(2008年度予算への反映)

2008(平成20)年度の政府予算においては、憲章及び行動指針並びに重点戦略を反映し、働き方の改革による仕事と生活の調和の推進を図るための取組や、多様な働き方に対応した保育サービス等の子育て支援策の充実を図っている。

憲章及び行動指針に基づき働き方の改革を進めていくための取組としては、

 ・  我が国を代表する企業によるモデル事業の展開、労使、地方公共団体、有識者等による「仕事と生活の調和推進会議」を都道府県ごとに設置
 ・  仕事と生活の調和の重要性についての認識を広く国民が共有できるようにするための仕事と生活の調和キャンペーンの実施
 ・  労働時間等の設定の改善に向けた職場意識の改善に積極的に取り組む中小事業主に対する新たな助成措置の創設

などが盛り込まれている。

また、多様な働き方に対応した保育サービス等の子育て支援策の充実としては、

 ・  地域における子育て支援拠点の拡充(2007(平成19)年度の6,000か所から2008(平成20)年度は7,000か所に拡大)
 ・  保育所の受入れ児童数の拡大(2008年度は4万5,000人分を増員)
 ・  家庭的保育事業の充実(保育ママの対象児童数を2007年度の1,300人分から2008年度は2,500人分に拡充)
 ・  延長保育や一時保育の推進など多様な保育サービスの充実
 ・  第2子以降の子どもが幼稚園に通う際の親の保育料負担を軽減する優遇措置の適用条件の緩和
 ・  放課後子どもプランの着実な推進(放課後子ども教室を全国約1万5,000の小学校区で、放課後児童クラブを必要なすべての小学校区(約2万か所)で実施)
 ・  児童虐待等の対応を図る「子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)」の機能強化
 ・  発達障害のある子どもの成長に沿った一貫した支援手法の開発やライフステージに応じた一貫した支援のための地方公共団体の各圏域における支援関係機関のネットワークの構築
 ・  里親手当の充実(2007年度の3万4,000円(月額)から2008年度は7万2,000円(月額)に引き上げ)、里親制度の普及啓発や里親への相談等を総合的に委託する里親支援機関事業の創設
 ・  児童養護施設等における小規模グループケアの推進(2007年度の580か所から2008年度は613か所に拡大)や看護師の配置
 ・  施設を退所した児童等の地域生活を支援するモデル事業の実施

などが盛り込まれている。

なお、当面差し迫った課題である安心・安全な産科医療等の確保を図るため、

 ・  産科医療機関が減少している現状にかんがみ、産科医療機関への財政的支援を実施する補助事業の創設
 ・  助産師を活用して産科を有する病院・診療所への「院内助産所」等の設置を支援する事業を創設
 ・  女性医師バンクの体制の充実、復職支援に向けての研修等の支援等の女性医師の働きやすい職場環境の整備
 ・  産科医療補償制度への支援等医療リスクに対する支援体制の整備

などが盛り込まれている。


第1-2-23図 2008年度少子化社会対策関係予算のポイント

(社会保障審議会 少子化対策特別部会の設置)

重点戦略においては、

[1]  国・地方公共団体の公費負担、事業主や個人の子育て支援に対する負担・拠出の組合せによって支える具体的な制度設計の検討について、直ちに着手の上、税制改革の動向を踏まえつつ速やかに進めるべき
[2]  家庭的保育の制度化や一時預かり事業等の法律的な位置づけの明確化、地方公共団体や事業主が策定する次世代育成支援の行動計画に基づく取組の推進のための制度的な対応、社会的養護体制の充実などの課題について、2008年度において先行して実施すべき

という2つの課題が示された。

これらの2つの課題を審議するため、2007年12月、地方公共団体や労使の関係者の参画も得て、厚生労働省社会保障審議会に少子化対策特別部会が設置され、検討が進められている。


第1-2-24図 児童福祉法等の一部を改正する法律案の概要

(先行して実施すべき課題への対応)

また、前述[2]の「先行して実施すべき課題」については、少子化対策特別部会の審議を経て、2008年3月、児童福祉法等の一部を改正する法律案が第169回通常国会に提出された。


(仕事と生活の調和推進室の設置)

憲章及び行動指針に基づき、仕事と生活の調和を推進していくための中核的な組織として、2008年1月、内閣府に仕事と生活の調和推進室を設置した(第3章 第2節 5参照)。


(地域における推進体制の整備)

憲章、行動指針に基づく働き方の見直しの推進など、従来の少子化対策の枠組みを超えた取組を進めていくためには、各地方公共団体において、これまで以上に保健福祉、教育、商工労働等の分野における担当部局が連携を図り、それぞれの地域における関係機関や企業などの関係者との協働体制のもとで総合的な少子化対策を進めていく必要がある。このため、2008年1月、内閣府、総務省及び厚生労働省の3府省が連名で通知を発出し、各地方公共団体に対し、首長をトップとして関係部局の長から構成される少子化対策推進本部を設置するなど庁内体制の整備や、地域の企業、労働団体、関係各機関等からなる協議会の設置、各都道府県における仕事と生活の調和の推進担当部署を明らかにすること等を要請した。また、市町村におけるこうした取組については、平成20年度の地方財政措置で、総額において拡充の措置がなされている。


(新待機児童ゼロ作戦)

改正児童福祉法(平成17年4月1日施行)に基づき、保育の実施への需要が増大している都道府県及び市町村で待機児童が50人以上存在するところについては、保育の実施の事業等の供給体制の確保に関する計画(保育計画)を策定することが義務づけられ、保育所の受入児童数の増加など、待機児童の解消に向けた取組が進められている(第1-2-25表)。

しかしながら、待機児童50人以上の特定市区町村(74市区町村)で待機児童総数の約70%を占め、また低年齢児(0~2歳)の待機児童数が全体の約70%を占めるなど、保育所の定員を増やしても、待機児童は依然として約1万8千人存在しているという現状にある(第1-2-26図)。

そこで、2008年2月27日、政府は、希望するすべての人が安心して子どもを預けて働くことができる社会を実現し、子どもの健やかな育成に社会全体で取り組むため、重点戦略に盛り込まれた、仕事と生活の調和やサービスの質の確保等の視点を踏まえ、保育所等の待機児童解消をはじめとする保育施策を質・量ともに充実・強化し、推進するための「新待機児童ゼロ作戦」を展開することとした(第1-2-27図)。

新待機児童ゼロ作戦は、希望するすべての人が子どもを預けて働くことができるためのサービスの受け皿を確保し、待機児童をゼロにすることを目指すものであり、特に、今後3年間を集中重点期間として取組を進めることとし、10年後の目標として、保育サービスの利用児童数(0~5歳児)を100万人増、放課後児童クラブの登録児童数を145万人増とすることとした。

新待機児童ゼロ作戦の基本方針は、

[1]  保育サービスを量的に拡充するとともに、家庭的保育など保護者や地域の事情に応じた保育の提供手段の多様化を図ること
[2]  小学校就学後も引き続き放課後等の生活の場を確保するため、放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)にも施策対象を拡大すること
[3]  保育サービス及び放課後児童クラブについて、女性の就業率の高まりに応じて必要となるサービスの中長期的な需要を勘案し、その絶対量を計画的に拡大すること
[4]  子どもの健やかな育成と預ける保護者の安心の確保の観点から、一定の質が確保されたサービスの提供を保障すること

としている。

そして、当面、以下のような取組を進めるとともに、集中重点期間における取組を推進するため、待機児童の多い地域に対する重点的な支援や認定こども園に対する支援などについて、本年夏頃を目途に検討を行うこととしている。

(1) 保育サービスの量的拡充と保育の提供手段の多様化
(2) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の推進
(3) 保育サービス等の計画的整備
(4) 地域や職場の実情に応じた取組の推進
・認定こども園の設置促進等
・病児・病後児保育事業の充実
・事業所内保育施設に対する支援の充実
(5) 質の向上等に資する取組の推進
・保育所保育指針等を踏まえた保育の質の向上
・保育士の専門性向上と質の高い人材の安定的確保
・質の高い放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の推進
・多子世帯の配慮

第1-2-25表 保育計画を策定する市区町村(50人以上)一覧表

第1-2-26図 保育等に対する潜在需要

第1-2-27図 新待機児童ゼロ作戦の概要

(その他関連する動き)

[1]経済財政諮問会議における議論

経済財政諮問会議においては、2008年春を目途に経済成長戦略の全体像をとりまとめる方向で議論が行われている。

経済成長戦略では、働く意欲のあるすべての人々が能力を発揮し、全員が経済活動に参加する環境整備を目指す「新雇用戦略」を策定することとしており、その柱の1つとして、就労と出産・子育ての二者択一構造の解消に向けた子育てサービスの充実等についても議論が行われている。


[2]社会保障国民会議の設置

2008年1月、将来にわたって国民に信頼される社会保障制度に裏打ちされた、すべての人が安心して暮らし、本当の意味での豊かさを実感できる社会をつくっていくために取り組んでいくことが必要であるという観点から、有識者の参加を得つつ、社会保障のあるべき姿と、その中で、政府にどのような役割を期待し、どのような負担を分かち合うかを、国民が具体的に思い描くことができるような議論を行うための社会保障国民会議(以下「国民会議」という)が設置された。少子化、仕事と生活の調和も国民会議のテーマの1つであり、国民会議の下に設けられた3つの分科会10の中の1つとして位置づけられている。


コラム 妊娠中から育児休業明け年度途中の入所(保育所)を受け付ける取組がスタート(品川区)

保育所の待機児童の多い都市部では、年度途中の入所は特に難しいため、保育所に入所するために、育児休業を切り上げざるを得ないという事例が少なくない。

東京都品川区では、1999(平成11)年度から50人程度の育児休業明けの年度途中入園枠を確保して「産休・育児休業明け入園予約制度」を開始した。しかし、この制度は入園希望月の半年から1か月前でないと入園できるかどうかがわからず申し込みができないため、職場復帰までの見通しを持つことが難しかった。

そこで、品川区では2008(平成20)年6月から、区内在住の保護者が1歳になるまで育児休業を取得し職場復帰する場合に、妊娠中から、復帰月の入所予約申込みができる制度(入園予約制度)をスタートさせる。予約申し込みは、入所予定日の前年度であっても可能で、妊娠中に入所申請し、出生後に入園審査を行い、出生の翌月に本予約ができる。現在の品川区立保育園40園のうち、37園で定員を弾力化させて合計130人分を準備し、職員配置は必要に応じて非常勤保育士等を配置して対応する。

また、退職保育士等が子育て相談員となって、出産後も働き続けることを希望する保護者を対象に妊娠期から相談に応じる。子育て相談員は、復職後の入所から小学校入学までの子育てプランの作成を手助けするなど、一人ひとりのライフスタイルにあわせ、見通しをもって安心して品川区で子育てができるよう支援する。妊娠期からの入園予約もこのプランニングの中で行う。

こうした新しい制度の反響は大きく、品川区在住の保護者からの相談はもとより、職域における両立支援策(育児休業)との連携を図り、保護者の働き方に対応した利用しやすい保育所を目指す試みとして他の地方公共団体からの照会も多い。

このほか、品川区では10の保育所が午後10時までの延長夜間保育を実施したり、年末の保護者の就労による保育ニーズに対応した年末保育を実施するなど、多様な働き方に対応した保育サービスの充実に努めている。

赤ちゃん体操

 

10  第1分科会:所得確保・保障〔雇用・年金〕、第2分科会:サービス保障〔医療・介護・福祉〕、第3分科会:持続可能な社会の構築〔少子化、仕事と生活の調和〕

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