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少子化対策

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第1節 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の重要性

国民の希望する結婚や出産・子育ての実現により少子化の流れを変えるためには、就労と出産・子育ての二者択一を迫られる状況を解消し、「女性が安心して結婚、出産し、男女ともに仕事も家庭も大事にしながら働き続けることができるシステム」へと変革していくこと、すなわち仕事と生活の調和の実現を目指した働き方の改革が求められている。

1 働き方をめぐる問題点

現在の急速な少子化の進行の背景には、就労と出産・子育てが二者択一となっている状況がある。その原因として、共働き世帯が増加する中、多様な働き方の選択ができないことや非正規労働者の増大、長時間労働など、国民一人ひとりにとって、自身の望む生き方の実現を困難にしている「働き方をめぐる様々な課題」が存在している。


第1-3-1図 共働き等世帯の推移

第1-3-2図 正規雇用者と非正規雇用者の推移

(1)仕事と子育ての両立が困難

(妊娠・出産を契機に7割が退職)

まず、子育て期にある女性が、仕事と子育てを両立することが難しいという問題がある。

第2章 第2節(第1-2-13図)でみたとおり、出産前後の女性の就業状況をみると、出産する1年前には仕事を持っていた人(有職者)のうち約7割が、出産半年後には無職となっている。また、育児休業を利用して就業を継続している割合は着実に増えているものの、継続就業率全体でみると、過去20年間にほとんど変化がみられない。

さらに、母の就業状況の変化をみると、出産半年後の女性の有職率は25.1%であるのに対して、5年後には51.4%と上昇しているが、このうちパート・アルバイトの割合は25.8%と、常勤(16.5%)よりも高くなっている。

このように、妊娠・出産を機に仕事と子育ての二者択一を迫られるとともに、いったん離職すると、パート・アルバイトに比べ、常勤での再就職は少ない状況にある。


第1-3-3図 母の就業状況の変化

(出産前後で仕事を辞める理由)

日本労働研究機構「育児や介護と仕事の両立に関する調査」(平成15年)によると、出産前後で仕事を辞める理由としては、「家事、育児に専念するため、自発的にやめた」(52.0%)が最も多いが、「仕事と育児の両立の難しさでやめた」(24.2%)、「解雇された、退職勧奨された」(5.6%)となっており、約3割が両立環境が整わないことを理由に辞めている。

両立が難しかった具体的な理由としては、「育児休業をとれそうもなかった」(36.0%)、「子供の病気等で度々休まざるを得ないため」(32.8%)など、職場に両立支援制度があっても、実際には利用しにくい状況があることを示唆する回答のほか、「保育園等の開所時間と勤務時間が合いそうもなかった」(32.8%)、「保育園等に子どもを預けられそうもなかった」(28.8%)など、保育サービス等の子育て支援が十分でないことを示唆する回答もみられる。


第1-3-4図 両立が難しかった理由

(2)男性が子育てに十分な時間をかけられない

(日本人男性の家事・育児時間は非常に短い)

これまでの働き方の2つ目の問題点としては、仕事優先の働き方による長時間労働や休暇が取りづらいことにより、男性が家事や育児の時間を十分に確保できないという問題がある。

総務省「労働力調査」(平成19年)をみると、男女別、年齢別の週平均就業時間の割合について、男性の30歳代の就業時間が最も長く、約50時間となっている。また、男性の30歳代において週60時間以上働く者の割合が2割以上となっており、特に子育て世代の男性の長時間労働の実態がうかがえる。

また、子どもがいる世帯の夫が家事や育児にかける時間は、我が国では1日平均で1時間程度に止まり、他の先進諸国の2~3時間に比べて非常に短くなっている。


第1-3-5図 性、年齢階級別就業時間(非農林業)

第1-3-6図 6歳未満児のいる夫の家事、育児時間(週全体)

(仕事・家庭・個人生活の両立を希望しているにもかかわらず、現実には仕事を優先)

男女共同参画会議の下に置かれた「少子化と男女共同参画に関する専門調査会」(2004(平成16)年7月~2007(平成19)年2月)による「少子化と男女共同参画に関する意識調査」(平成18年)によると、既婚者の男性において、生活のなかで「仕事優先」を希望する人の割合は約2%に過ぎない。一方、「仕事・家事(育児)・プライベートを両立」を希望する人は約32%を占めており、「プライベートな時間優先」(29.9%)、「家事とプライベート優先」(12.2%)、「家事優先」(5.5%)をあわせると、約8割の男性が家事・プライベートを仕事と同等以上にしたいとする希望がある。しかしながら、現実には、5割以上の人が「仕事優先」となっており、希望と現実の間に大きなかい離がみられる。

また、内閣府「女性のライフプランニング支援に関する調査」(平成19年)によると、30~40歳代の女性において、子育てをしながら働く場合に、家族の状況として必要なこととして、「配偶者・パートナーの平日の家事・育児参加」と回答する人の割合が最も多くなっている。男性の家事や育児の時間を十分に確保したいという希望を実現することは、子育て女性の継続就業や育児不安の軽減に資するものと考えられる。


第1-3-7図 ワーク・ライフ・バランスの希望と現実(男性:既婚有業 n=1,929)

第1-3-8図 家族の状況として最も必要なこと

(3)両立支援制度があっても実際には利用しにくい

これまでの働き方の3つ目の問題点としては、両立支援制度は着実に整備されてきているものの、職場において仕事と生活の調和を実現できるような仕事の仕方になっていないため、実際には利用しにくいといった問題がある。

内閣府「企業における子育て支援とその導入効果に関する調査研究」(平成18年)において、企業における両立支援策の利用促進上の問題点を尋ねたところ、「代替要員の確保が難しい」(46.7%)、「日常的に労働時間が長い部門・事業所がある」(33.3%)、「職場で周りの人の業務量が増える」(30.9%)といった回答が多くなっており、労働時間の長さや休業することによる周囲への負荷を配慮する状況がうかがえる。

これは、制度を利用すると、職場における業務遂行に支障が出るような業務管理・時間管理になっていることが、労働者に両立支援制度の利用をためらわせ、上司や同僚にはその利用を積極的に受け入れにくくさせているといえる。


第1-3-9図 両立支援策を利用促進する上での問題

コラム フランスとスウェーデンの働き方について

日本では、結婚や出産、子育て期に当たる30代で女性労働力率がいったん低下し6割にとどまる、いわゆるM字カーブを描くのに対して、近年出生率が回復傾向にあるフランスやスウェーデンでは、子育て期における労働力の低下はみられず、高い労働力率を維持している。

このように、フランスやスウェーデンにおいて、仕事と子育ての両立を可能としている背景として、仕事と生活の調和を実現しやすい環境が整備されていることが指摘されている。フランスやスウェーデンにおける働き方の状況をみると、労働時間が短く(年間平均労働時間:日本1,775時間、フランス1,535時間、スウェーデン1,587時間、週50時間以上の長時間労働者の割合:日本28.1%、フランス5.7%、スウェーデン1.9%)、パートタイム労働の公正処遇ルールの整備も進んでいる。

また、多様な働き方に対応した保育サービスの充実(3歳未満児のうち、認可された保育サービスを利用する者の割合:日本20%(2006年)、フランス42%(2004年)、スウェーデン44%(2004年))、多様な働き方に対応した税・社会保障制度の存在なども指摘されている。


第1-3-10図 女性の労働力率の国際比較

第1-3-11表 労働者の労働時間の国際比較

2 働き方の改革に向けた提言

(働き方の改革は社会全体で取り組むべき課題)

仕事と生活の調和の実現を目指した働き方の改革は、国民一人ひとりが自らの望む生き方を手にすることができる社会の実現を可能にするだけでなく、人口減少社会を迎えた我が国が、少子化の流れを変えるとともに、若者、女性、高齢者などの労働市場への参加を促進し、社会経済の長期的安定・持続可能性の確保を目指す上で最優先の課題である。

そのため、近年、少子化対策の観点のみならず、企業経営や経済の生産性の向上、男女共同参画の推進の観点からも、仕事と生活の調和の重要性が指摘されている。


(経済財政諮問会議「労働市場改革専門調査会」第一次報告)

現在の「働き方」をめぐる問題を、働き手の視点から検討するとともに、人材の活用、経済の生産性向上のための労働市場政策の在り方を考えるために、2006(平成18)年12月に経済財政諮問会議の下に労働市場改革専門調査会が設置され、2007(平成19)年4月に第1次報告がとりまとめられた。

第1次報告では、年齢や性別にかかわらず働きたい人が働けるような弾力的な労働市場を目指すとともに、特にワーク・ライフ・バランスを実現するための取組の基本的な在り方を明らかにし、そのための10年後の数値目標が示された。さらに、ワーク・ライフ・バランスの本格的な取組を進めるために、政府において、ワーク・ライフ・バランス憲章を策定することが提言された。


(男女共同参画会議「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」)

男女共同参画会議では、「少子化と男女共同参画に関する専門調査会」による「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を可能とする働き方の見直し」についての提案を踏まえて、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」を2007年2月に設置し、仕事と生活の調和について、その意義・重要性を整理するとともに、取組の大きな方向性について検討を行い、同年7月に「「ワーク・ライフ・バランス」推進の基本的方向の報告をとりまとめた。

本報告では、仕事と生活の調和実現に向けた社会基盤づくりの取組や、多様な人材から高付加価値を生み出す企業・組織のマネジメント改革の在り方が整理された。


(重点戦略検討会議の中間報告)

2007年6月の重点戦略検討会議の中間報告では、国民が働き方についての意識を変え、企業も行動を変えていくためには、社会全体で仕事と生活の調和を達成するのみならず、関係府省や地方公共団体が一体となって、総合的かつ体系的な施策の展開を図っていく必要があるとし、「ワーク・ライフ・バランス憲章」及び政府において「働き方の改革を推進する行動指針」を策定することが必要であるとされた。


(経済財政改革の基本方針2007)

2007年6月19日に閣議決定された「経済財政改革の基本方針2007(骨太方針)」においては、経済財政諮問会議「労働市場改革専門調査会」、男女共同参画会議「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議(中間報告)の提言等を踏まえ、関係府省の連携の下に、年内を目途に「ワーク・ライフ・バランス憲章」(仮称)及び以下の内容を含めた「働き方を変える、日本を変える行動指針」(仮称)を策定することが明記された。

 ・  就業率向上や労働時間短縮などの数値目標
 ・  ワーク・ライフ・バランス社会の実現度を把握するための指標の在り方
 ・  ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた支援施策、制度改革等に関する政府の横断的な政策方針
 ・  経済界・労働界を含む国民運動の推進に向けた取組方針

 
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