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少子化対策

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第2節 「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」の概要(2/3)

4 行動指針の概要

行動指針は、憲章が「仕事と生活の調和が実現した社会の姿」として掲げる3つの社会(3の[1]~[3])を実現するために必要な諸条件を示すとともに、これを実現するため、企業や働く者、国民の効果的な取組、国や地方公共団体の施策の方針を定めている。

また、社会全体として達成を目指す数値目標を14項目にわたって定めるとともに、仕事と生活の調和の実現状況などを測る指標等も示し、これを活用して仕事と生活の調和した社会の実現に向けた全体としての推進状況を点検・評価していくこととしている。


(「仕事と生活の調和が実現した社会」に必要とされる諸条件)

憲章で示した「仕事と生活の調和が実現した社会の姿」の具体的な3つの社会が実現するために必要な条件はそれぞれ次のとおりである。


[1]就労による経済的自立が可能な社会
若者が学校から職業に円滑に移行できること。
若者や母子家庭の母等が、就業を通じて経済的自立を図ることができること。
意欲と能力に応じ、非正規雇用から正規雇用へ移行できること。
就業形態にかかわらず、公正な処遇や能力開発機会が確保されること。

 

[2]健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会

企業や社会において、健康で豊かな生活ができるための時間を確保することの重要性が認識されていること。
労働時間関係法令が遵守されていること。
健康を害するような長時間労働がなく、年次有給休暇の取得が促進されていること。
メリハリのきいた業務の進め方などにより時間当たり生産性も向上していること。
取引先との契約や消費など職場以外のあらゆる場面で仕事と生活の調和が考慮されていること。

 

[3]多様な働き方・生き方が選択できる社会

子育て中の親、働く意欲のある女性や高齢者などが、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様で柔軟な働き方が可能となる制度があり、実際に利用できること。
多様な働き方に対応した育児、介護、地域活動、職業能力の形成等を支える社会的基盤が整備されていること。
就業形態にかかわらず、公正な処遇や能力開発機会が確保されること(再掲)。

(各主体の取組)

仕事と生活の調和の実現に向けた取組は、個々の企業の実情にあった効果的な進め方を労使で話し合い、自主的に取り組んでいくことが基本であるが、我が国の社会を持続可能で確かなものとすることに関わるものであることから、国と地方公共団体も、企業や働く者、国民の取組を積極的に支援するとともに、多様な働き方に対応した子育て支援や介護などのための社会的基盤づくりを積極的に行うこととしている。以下では、行動指針に掲げられた各主体の取組例を要約して紹介する。


ア   企業、働く者の取組
 企業、働く者の取組として、企業においては、経営トップがリーダーシップを発揮し、職場風土改革のための意識改革、柔軟な働き方の実現等に取り組むことや、管理職は率先して職場風土改革に取り組み、働く者も職場の一員としてこれに努めることとしている。
 また、労使で働き方を見直し、業務の進め方・内容の見直しや個人の能力向上等によって、時間当たり生産性の向上に努めることとしている。
 さらに、経営者、管理職、働く者は、自らの企業内のみならず、関連企業や取引先の仕事と生活の調和にも配慮することとしている。
 加えて、就労による経済的自立、健康で豊かな生活のための時間の確保、多様な働き方の選択についても、それぞれ具体的な取組を掲げている。
イ   国民の取組
 国民の取組として、国民一人ひとりが、個々人の多様性を理解し、互いに尊重し合うことや、消費者の一人として、サービスを提供する労働者の働き方に配慮を求めている。
ウ   国の取組
 国の取組として、全国や地域での国民の理解や政労使の合意形成を促進することとしている。
 また、次世代育成に対する企業の取組促進、働き方に中立的な税・社会保障制度の在り方の検討、中小企業等の生産性向上のための支援、働く者等の自己啓発や能力開発の取組を支援など多岐にわたる取組をあげている。
 さらに、先進企業の好事例等の情報の収集・提供・助言、中小企業等が行う労働時間等設定改善の支援等、仕事と生活の調和の実現に取り組む企業を支援することとしている。
 加えて、就労による経済的自立、健康で豊かな生活のための時間の確保、多様な働き方の選択についても、それぞれ具体的な取組を掲げている。
エ   地方公共団体の取組
 地方公共団体の取組としては、地方の実情に即した、仕事と生活の調和の実現に向けた住民の理解や合意形成を促進するとともに、仕事と生活の調和を実現している企業を社会的に評価することとしている。
また、多様な働き方に対応した保育サービスの充実等多様な子育て支援や育児・介護等を行う家族を支える社会的基盤を形成する。

(仕事と生活の調和の実現の進ちょく状況の点検・評価)

行動指針は、数値目標の設定や「仕事と生活の調和」実現度指標の活用により、仕事と生活の調和した社会の実現に向けた全体としての進ちょく状況を把握・評価し、政策への反映を図ることとしている。

また、この点検・評価を行うための検討の場を設けるとともに、数値目標や「仕事と生活の調和」実現度指標についても必要に応じて見直すこととしている。


(数値目標の設定)

行動指針は、仕事と生活の調和した社会の実現に向けた各主体の取組を推進するための社会全体の目標として、政策によって一定の影響を及ぼすことができる項目について数値目標を設定している(第1-3-13表)。

なお、取組が進んだ場合に達成される水準として10年後の目標値を設定するとともに、その中間年の目標も設定している。


(数値目標の考え方)

仕事と生活の調和した社会の実現に向けた国民、企業、政府等の取組を推進するための社会全体の目標として、政策によって一定の影響を及ぼすことができる項目について目標値を設定している。この数値目標は、社会全体として達成することを目指す目標であり、個々の個人や企業に課されるものではない。

10年後の目標値は、取組が進んだ場合に達成される水準として、個人の希望が実現した場合を想定して推計した水準、または、施策の推進によって現状値や過去の傾向を押し上げた場合を想定して推計した水準等を設定することを基本としている。また、その実現に向けての中間的な目標値として5年後の数値目標を設定している。


第1-3-13表 行動指針で設定された数値目標

具体的な項目ごとの考え方は次のとおりである。


[1]就業率

総務省「労働力調査」等を基に、計量モデルを用いて推計した、労働力需給推計(就業率の将来見通し等)の結果を参考として設定した5年後及び10年後の水準である。

ただし、他の目標の進ちょく状況やマクロ経済状況等によって、目標の達成は左右されるものである。


[2]労働生産性の伸び率

労働生産性の伸び率については、1996(平成8)年~2005(平成17)年の10年間平均1.6%を現状の数値とした。また、将来の目標値として、「経済財政改革の基本方針2007~「美しい国」へのシナリオ~」(平成19 年6月19 日閣議決定)及び「成長力加速プログラム~生産性5割増を目指して~」(同年19 年4月25 日経済財政諮問会議)に基づき、5割増の目標値2.4%(2011年度)としたものである。


[3]フリーターの数

総務省「労働力調査(詳細集計)」(平成18年平均)に基づき、15歳から34歳までの国民について、男性は卒業者、女性は卒業で未婚の者のうち、[1]雇用者のうち「パート・アルバイト」の者、[2]完全失業者のうち探している仕事の形態が「パート・アルバイト」の者、[3]非労働力人口のうち希望する仕事の形態が「パート・アルバイト」で家事も通学も就業内定もしていない「その他」の者の合計を現状の数値とした。10年後の目標値は、計量モデルを用いて推計した、労働力需給推計(就業率の将来見通し等)の下で、フリーター比率(フリーター数/労働力人口(15~34歳))が2006年の水準(8.9%)より約1%低下するものとして設定した水準、5年後はその中間的な目標値として設定している。

なお、「再チャレンジ支援総合プラン」(平成18年12月25日「多様な機会のある社会」推進会議)等において、2010 年までにフリーターをピーク時(2003年)の8割に減少させる、という目標を設定している。


[4]労働時間等の課題について労使が話し合いの機会を設けている割合

厚生労働省「平成19年労働時間等の設定の改善の促進を通じた仕事と生活の調和に関する意識調査」に基づき、企業規模30人以上の農林漁業を除く全業種から無作為に抽出した企業における、「労働時間等設定改善委員会をはじめとする労使間の話し合いの機会」を「設けている」と回答した企業の割合を現状の数値とし、10年後の目標値は、取組が進んだ場合に達成される理想的な水準、5年後はその中間的な目標値として設定している。

なお、労働時間等設定改善委員会での話し合い以外にも、例えば、プロジェクトチームの組織化、労働組合との定期協議の実施、労使懇談会の開催等が含まれる。


[5]週労働時間60時間以上の雇用者の割合

総務省「労働力調査」(平成18年)に基づく、非農林業雇用者(休業者を除く)総数に占める週間就業時間(年平均結果)が60時間以上の者の割合を現状の数値とし、10年後の目標値は、取組が進んだ場合に達成される理想的な水準、5年後はその中間的な目標値として設定している。

なお、「少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的実施計画について」(子ども・子育て応援プラン)(平成16年12月24日少子化社会対策会議)において、2009年の目標として、2003年の週労働時間60時間以上の雇用者の割合(12.2%)を1割以上減少という目標を設定している。


[6]年次有給休暇取得率

厚生労働省「就労条件総合調査」(平成19年)に基づく、企業規模30人以上の企業における、「全取得日数/全付与日数(繰越日数を含まない。)」を現状の数値とし、10年後の目標値は、取組が進んだ場合に達成される理想的な水準(「完全取得」とは、労働者が自ら希望する留保分を考慮したものである。)、5年後はその中間的な目標値として設定している。

なお、「子ども・子育て応援プラン」において、2009年の目標として、2003年の企業全体に係る労働者一人平均年次有給休暇の取得率(47.4%)を少なくとも55%以上にという目標を設定している。


[7]メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業所割合

厚生労働省「労働者健康状況調査」(平成14年)に基づき、10人以上規模事業所における「心の健康対策(メンタルヘルスケア)に取り組んでいる」と回答した事業所割合を現状の数値とし、10年後の目標値は、取組が進んだ場合に達成される理想的な水準、5年後はその中間的な目標値を設定している。


[8]テレワーカー比率

国土交通省「テレワーク実態調査」(平成17年度)に基づく、就業者人口(総務省「就業構造基本調査」(平成14年)の有業者総数)に占める「テレワーカー」の割合である。ここでいう「テレワーカー」とは、週に8時間以上情報通信技術を活用して、職場以外で勤務した人をいう。「テレワーク人口倍増アクションプラン」(平成19年5月29日テレワーク推進に関する関係省庁連絡会議)において「2010年までに2005年比でテレワーカー人口比率倍増を図り、テレワーカーの就業者人口に占める割合2割を達成する」という目標を設定している。


[9]短時間勤務を選択できる事業所の割合

(短時間正社員制度等) 

現在、育児、介護のための短時間勤務制度を導入している事業所割合が、それぞれ50.1%、54.6%(30人以上規模事業所)(厚生労働省「女性雇用管理基本調査」(平成17年度))であることを踏まえ、10年後の目標値は、育児・介護に加えて地域活動等の理由による場合についても短時間勤務を認めるという取組がその半数程度の企業において進んだ場合に達成される水準、5年後はその中間的な目標値として設定している。


[10]自己啓発を行っている労働者の割合

厚生労働省「職業能力開発基本調査」(平成18年度)に基づき、従業員規模30人以上の企業から無作為に抽出した事業所の従業員における「自己啓発を行った」と回答した者の割合を現状の数値とし、10年後の目標値は、自己啓発についての労働者の希望が実現するものとして設定した水準、5年後はその中間的な目標値として設定している。


[11]第1子出産前後の女性の継続就業率

国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」(平成17年)に基づき、2000年から2004年の間に第1子を出産した女性について、第1子妊娠前に就業していた者に占める第1子1歳時にも就業していた者の割合を現状の数値とし、10年後の目標値は、両立環境が整わないことを理由に退職した女性が、仮に継続就業できたとして設定した水準、5年後はその中間的な目標値として設定している。


[12]保育等の子育てサービスを提供している割合

子どもを持つ女性の就業希望が実現するとした場合に必要な子育てサービスを提供している割合である。なお、他の目標の進ちょく状況によって目標の達成は左右されるものである。


[13]男女の育児休業取得率

厚生労働省「女性雇用管理基本調査」(平成17年度)に基づき、5人以上規模事業所における2004年4月1日から2005年3月31日までの1年間の出産者又は配偶者が出産した者に占める育児休業取得者(2005年10月1日までに育児休業を開始した者)の割合を現状の数値とし、女性については、職場の雰囲気を理由として育児休業を取得しなかった者が取得できたものとして設定した水準を目標とし、男性については、育児休業の取得希望が実現するものとして設定した水準を10年後の目標値、その中間的な水準を5年後の目標値として設定している。

なお、「子ども・子育て応援プラン」において、目指すべき社会(2014年)の姿として、女性80%、男性10%という目標を設定している。


[14]6歳未満の子どもをもつ男性の育児・家事関連時間

総務省「社会生活基本調査」(平成18年)に基づく6歳未満の子どもをもつ男性の1日当たりの「家事」、「介護・看護」、「育児」、「買い物」の合計の時間を現状の数値とし、10年後の目標値は、これを先進国のうちフランス(1998~1999)並みにするものとして設定した水準である。

なお、「子ども・子育て応援プラン」において、目指すべき社会(2014年)の姿として、「育児期の男性の育児等の時間が先進国並みに」という目標を設定している。


(「仕事と生活の調和」実現度指標の在り方)

行動指針においては、仕事と生活の調和の進展度合いを測る「仕事と生活の調和」実現度指標を作成することが明記されており、これを受けて、男女共同参画会議「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」において検討を行い、2008(平成20)年3月にとりまとめられた。

「仕事と生活の調和」実現度指標は、我が国の社会全体でみた、[1]個人の暮らし全般にわたる仕事と生活の調和の実現状況(個人の実現度指標)と、[2]それを促進するための官民の取組による環境の整備状況を数量的に把握し、その進展度合い(環境整備指標)を測定するものである。


[1]個人の実現度指標

個人の実現度指標は、「I 仕事・働き方」、「II 家庭生活」、「III 地域・社会活動」、「IV 学習や趣味・娯楽等」、「V 健康・休養」の5分野から構成され、それぞれの分野ごとに仕事と生活の調和の実現度を代表すると考えられる構成要素を抽出し、合成して5分野ごとの実現度指数を算出している。

5分野ごとの指標の推移を1997(平成9)年から2006(平成18)年までの10年間についてみると、「仕事・働き方」は上昇している。これは、育児休業取得者が増えるなど、働き方の柔軟性が高まっていることによるものである。また、「家庭生活」も男性の家事・育児等への関わりが増加したことから上昇している。他方、「地域・社会活動」は2002(平成14)年まではほぼ横ばいで推移していたが、近年、交際・つきあいが希薄になっていることを反映して低下している。「学習や趣味・娯楽等」は、このところわずかながら低下している。「健康・休養」は、仕事量を理由とするストレス等を持つ人が増えていることなどで低下してきたが、近年は横ばいで推移している。


第1-3-14図 個人の実現度指標の推移(2002年=100)

[2]環境整備指標

環境整備指標は、分野を設けず1つの指標として算出した。その推移を、1997年から2006年までの10年間についてみると、2002年まで概ね横ばいで推移していたが、その後、保育サービス等の充実や収入面での自立する機会の改善等を反映して上昇している。

今後、「仕事と生活の調和」実現度指標は、官民トップ会議の下の「「仕事と生活の調和」連携推進・評価部会」において、仕事と生活の調和実現の阻害要因や取り組むべき施策の把握に資するものとなる。


第1-3-15図 環境整備指標の推移(2002年=100)

第1-3-16図 仕事と生活の調和の推進


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