少子化対策

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第10節 子どもの健康を支援する

21世紀の母子保健分野の国民運動である「健やか親子21」の中で、主要な課題とそれに基づく目標を設定し取組を推進しているところである。

計画の中間年にあたる2005(平成17)年には、それまでの実施状況等を評価し必要な見直しを行うことを目的として「『健やか親子21』推進検討会」を開催し、中間評価を実施した。その結果、多くの目標値が改善傾向で推移する一方、適切な対策や取組の推進が必要である課題などが明らかになった。具体的には、今後5年間の重点的な取組が必要な課題として、食育の推進、小児の事故防止をはじめとする安全な子育て環境の確保、子どもの虐待防止対策の取組の強化、思春期の性感染症罹患の防止などがあげられた。


1 「食育」の推進

近年、食生活を取り巻く社会環境等の変化に伴い、子どもたちに朝食欠食などの不規則な食事、栄養の偏りなどの食習慣の乱れや肥満傾向の増加などがみられる。このため、子どもたちに対して、様々な経験を通じて、「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得させ、健全な食生活を実践することができるよう育てる「食育」を推進することが必要となっている。

2006(平成18)年3月に公表された「健やか親子21」の中間評価において、新たな指標として「食育の取組を推進している地方自治体の割合」が設けられ、母子保健分野でも食育の一層の推進に取り組むこととしている。中でも、母子の健康確保のために妊娠期及び授乳期において適切な食習慣を維持することは重要な課題であり、2006年2月には、食事の望ましい組合せや量とともに妊娠期における推奨体重増加量を盛り込んだ「妊産婦のための食生活指針」を策定し、その普及啓発を進めているところである。

また、2006年6月に公表した「平成17年度乳幼児栄養調査」結果では、出産直後や離乳食の開始時期に授乳や子どもの食事への不安が高まること、幼児(4歳未満)の約1割に朝食の欠食がみられることなどが明らかとなり、乳幼児のいる家庭への食育を推進していく必要がある。このため、授乳や離乳について適切な支援が推進されるよう「授乳・離乳の支援ガイド策定に関する研究会」を開催し、2007(平成19)年3月に「授乳・離乳の支援ガイド」をとりまとめた。

学校における食育を推進するためには、学校における指導体制の整備が不可欠である。2005(平成17)年4月に制度化された栄養教諭は、各学校の指導体制の要として、教育に関する資質と栄養に関する専門性を生かして、学校給食の管理を行うとともに、食に関する指導を一体として担うことにより、教育上の高い相乗効果をもたらすことが期待されており、食育の推進に大きな効果を上げている。2007年9月現在で、東京都と静岡県を除く45道府県において986名の栄養教諭が配置されている。このほかにも[1]全国のすべての小学校1年生・5年生、中学校1年生の児童生徒を対象とした「食生活学習教材」の作成・配布、[2]栄養教諭を中核として、学校、家庭、地域が連携しつつ、学校における食育を推進するためのモデル事業の展開、[3]教職員、保護者等を対象とした食育の普及啓発、栄養教諭による実践指導の紹介、生産者等も含めた関係者間の情報交換を行うシンポジウムの開催など、各種事業を継続的に実施し、学校における食育の推進に努めている。

また、心身ともに健康で豊かな食生活の実現に向け、2000(平成12)年に策定された「食生活指針」を具体的な行動に結びつけるため、「何を」「どれだけ」食べたらよいかをわかりやすく示した「食事バランスガイド」について、ポスターやマスメディアなどの多様な媒体を活用した普及・啓発や外食産業・小売業等におけるモデル的取組を推進し、「日本型食生活」の定着に努めている。特に、親子向けに作成したリーフレット等では、「食事バランスガイド」の活用の仕方を紹介するとともに、食の生産・流通・消費の各段階について理解の増進を図っている。さらに、食に関する関心や理解を深めるため、一連の農作業等の体験の機会を提供する教育ファームや、学校給食への地場産物の活用の促進など、地域の特性を活かした取組を促進している。

このような中、2005年6月に成立した食育基本法(同年7月施行)において、子どもたちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性を育んでいく基礎となるものとして、総合的かつ計画的にこれを推進することが求められている。

2006年3月には、食育基本法に基づき、食育推進会議(会長:内閣総理大臣)において、2006年度から2010(平成22)年度までの5年間を対象とした食育推進基本計画(以下「基本計画」という。)が決定された。基本計画においては、食育推進運動を重点的かつ効果的に実施し、食育の国民への浸透を図るため、毎年6月を「食育月間」として定めており、2007年6月には第2回食育推進全国大会の開催、食育推進に関する標語の募集・決定、広報ポスターの作成・配布など各種啓発活動に取り組んだ。

また、内閣府では、2007年1月から3回にわたり、関係省の協力を得ながら、食育推進有識者懇談会を開催し、食育を実践している関係団体等の食育推進の担い手に期待される役割や具体的な取組について、わかりやすく体系的な整理を行い、同年6月に「食育推進国民運動の重点事項」をとりまとめた。さらに、2007年10月から、「食育推進評価専門委員会」を開催し、食育の推進状況についての評価等を行うとともに、「企業分野等食育活動検討会議」を開催し、企業等が行う情報提供の内容について検討を進めている。

今後とも、子どもたちに対する食育が重要であるとの認識の下、基本計画及び食育推進国民運動の重点事項等に基づき、家庭、学校、保育所、地域等において、国民的広がりを持つ運動として食育を推進していくこととしている。


2 子どもの事故予防のための取組

2004(平成16)年度厚生労働科学研究3において、子どもの事故の実態とその予防策について検討し、その成果としてとりまとめられた「子どもの事故予防のための市町村活動マニュアル」について、各自治体等に対して情報提供を行った。また、研究の成果のホームページ4への掲載や、健診時に使用できる子どもの事故防止チェックリストの自治体への配布など普及啓発を行っている。


3 子どもの心の健康支援

様々な子どもの心の問題、児童虐待や発達障害に対応できる小児科医や精神科医の養成方法を検討するため、2005(平成17)年より2年間にわたって「子どもの心の診療医の養成に関する検討会」を開催し、2007(平成19)年3月に報告書をまとめたところである。報告書も踏まえて、2007年度には、子どもの心の診療医の養成のための研修の実施やテキストの作成などを行っている。


4 性に関する健全な意識の涵養

学校における性に関する指導は、学習指導要領に則り、児童生徒の発達段階に応じて性に関する科学的知識や生命の大切さを理解させるとともに、これに基づいた行動がとれるようにすることをねらいとしており、体育科、保健体育科、特別活動、道徳等を中心に学校教育活動全体を通じて、指導することとしている。

近年、子どもたちを取り巻く家庭環境や社会環境が大きく変化するとともに、子どもたちの生理的、身体的発達が早まっており、性に関する意識や価値観が多様化している。このような中、10代の人工妊娠中絶についてはここ数年減少に転じているものの再び増加することや性感染症のまん延が懸念されており、学校における適切な性に関する指導の充実は喫緊の課題である。

子どもたちの性の問題をはじめ、様々な健康問題に対応するため、学校の要請により、地域保健と連携し、子どもたちの心身の健康相談や健康教育を行う事業を実施しつつ、思春期の問題に関する理解の促進を図っている。

また、2001(平成13)年度から毎年、小・中・高校生を対象とした「世界エイズデーポスターコンクール」を実施し、エイズに関する正しい知識の普及啓発を図っているところであるが、2003(平成15)年度からは、小・中・高校生に一般を加えて「ポスターコンクール」を実施している。さらに、2004(平成16)年度からは、青少年(中・高校生)を対象としたエイズ予防教育を実施している。

 

 3  「子どもの事故予防のための市町村活動マニュアルの開発に関する研究」(主任研究者:田中哲郎)
 4  「子どもの事故予防のための市町村活動マニュアル」関連URL別ウインドウで開きます


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