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少子化対策

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第2節 「待ったなし」の少子化対策の推進(2/3)

2 安心して妊娠・出産・子育てができる環境の整備

(1)2008(平成20)年度における主な取組み

●新待機児童ゼロ作戦の推進

都市部を中心として多く存在する保育所の「待機児童」を解消するために、2002(平成14)年度から「待機児童ゼロ作戦」を推進し、さらに2005(平成17)年度からは、「子ども・子育て応援プラン」に基づき、2009(平成21)年度までに保育所の受入児童数を215万人まで引き上げるなどの取組を進めてきたところである。

その結果、2008年4月には、保育所の定員が212万1千人(対前年度1万5千人増)となり、就学前児童数の保育所利用児童割合(保育所利用児童数÷就学前児童数)も30.7%(対前年0.5%増)となったところである。

しかしながら、保育所の定員増にもかかわらず、保育所の待機児童数については5年ぶりに増加し、2008年4月の待機児童数は1万9,550人(対前年度1,624人増)となっている。また、児童福祉法に基づき、待機児童が50人以上おり、保育の実施の事業等の供給体制の確保に関する計画を策定することが義務付けられている特定市区町村は84となっており、対前年10増(新たに特定市区町村になったもの19、特定市区町村から外れたもの9)という状況である。

第1-2-16図 保育所待機児童の現状

保育所待機児童の現状(CSV形式:1KB)別ウインドウで開きます

第1-2-17表 保育計画を策定する市区町村(50人以上)一覧表

保育計画を策定する市区町村(50人以上)一覧表(CSV形式:3KB)別ウインドウで開きます

このような近年の状況を踏まえ、2008年2月に、政府は、希望するすべての人が安心して子どもを預けて働くことができる社会を実現し、子どもの健やかな育成に社会全体で取り組むため、重点戦略に盛り込まれた、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)やサービスの質の確保等の視点を踏まえ、保育所等の待機児童解消をはじめとする保育施策を質・量ともに充実・強化し、推進するための「新待機児童ゼロ作戦」を展開することとした。

この新待機児童ゼロ作戦は、「希望するすべての人が子どもを預けて働くことができるためのサービスの受け皿を確保し、待機児童をゼロにする」ことを目指すものであり、基本方針として、


[1]  保育サービスを量的に拡充するとともに、家庭的保育など保護者や地域の事情に応じた保育の提供手段の多様化を図ること
[2] 小学校就学後も引き続き放課後等の生活の場を確保するため、放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)にも施策対象を拡大すること
[3] 保育サービス及び放課後児童クラブについて、女性の就業率の高まりに応じて必要となるサービスの中長期的な需要を勘案し、その絶対量を計画的に拡大すること
[4] 子どもの健やかな育成と預ける保護者の安心の確保の観点から、一定の質が確保されたサービスの提供を保障すること

とし、特に、2008年度から2010(平成22)年度までの3年間を集中重点期間として取組を推進することとしている。

第1-2-18図 女性の就業希望を実現するために必要なサービス量(新待機児童ゼロ作戦)

女性の就業希望を実現するために必要なサービス量(新待機児童ゼロ作戦)(CSV形式:2KB)別ウインドウで開きます

●2008年度補正予算(「安心実現のための緊急総合対策」及び「生活対策」)

国民の生活への不安を解消し、生活者を応援する観点から、2008年8月29日に「安心実現のための緊急総合対策」(「安心実現のための緊急総合対策」に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議)及び10月30日に「生活対策」(新たな経済対策に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議)がまとめられ、雇用対策等のほか、医療・年金・介護、子育てなど国民の安心・安全を確保するための取組を推進することとされた。

特に、「生活対策」は、景気不安や世界的な金融不安に対応するため策定されたものであり、3つの重点分野として、「生活者の暮らしの安心」、「金融・経済の安定強化」、「地方の底力の発揮」が位置づけられている。「生活者の暮らしの安心」については、第一の重点分野として、景気後退下での生活者の不安にきめ細かく対処するため、家計への緊急支援、雇用の下支え強化、介護人材の確保などのほか、出産・子育て支援の拡充により、国民生活の安全・安心を確保する取組を推進するものである。

出産・子育て支援の拡充については、これまでの施策に加えて、安心して妊娠・出産・子育てができる環境作りを加速することを目指し、「安心こども基金」創設による子育て支援サービスの緊急整備、「子育て応援特別手当」の支給、安心・安全な出産の確保、中小企業の子育て支援促進等が盛り込まれ、出産・子育て支援の充実を図ることとされた。

○「安心こども基金」の設置

2008年度第2次補正予算において、「新待機児童ゼロ作戦」の前倒し実施を図り、2010年度までの集中重点期間において、保育所等の整備費、都市部対策としての新たな補助制度(賃貸物件への助成措置等)、認定こども園や家庭的保育(保育ママ)への助成などを行うことにより、15万人分の保育所や認定こども園の整備などを推進すること、さらには、放課後児童クラブの設置促進、保育の質の向上のための研修等を行うことを目的として、都道府県に総額1,000億円の「安心こども基金」を創設することとした。

○「子育て応援特別手当」の支給

現下の厳しい経済情勢に鑑み、2008年度の緊急措置として、多子世帯における幼児教育期の子育ての負担に配慮し、小学校就学前3年間に属する児童であって、第2子以降である児童がいる場合、1人当たりに3.6万円を支給することにより、子育てを行う家庭における生活安心の確保に資することとした。

○妊婦健康診査の公費負担の拡充

近年、出産年齢の上昇等により、健康管理がより重要となる妊婦が増加傾向にあるとともに、経済的な理由等により健康診査を受診しない妊婦もみられ、母体や胎児の健康確保を図る上で、妊婦健康診査の重要性、必要性が一層高まっているところである。

このため、妊婦の健康管理の充実及び経済的負担の軽減を図るため、妊婦が健診の費用の心配をせず、必要な回数(14回程度)を受けられるように、市町村における妊婦健診の公費負担の拡充を図ることとした。

○中小企業の子育て支援促進

育児休業・短時間勤務制度の取得を促進するため、育児休業取得者又は短時間勤務制度の利用者が初めて出た場合に、1人目及び2人目について支給対象としている中小企業事業主に対する助成金の支給対象範囲を5人目まで拡大するとともに、2人目以降の支給額を増額(育児休業:60万円→80万円等)することとした。

また、労働者が利用した育児サービス費用を負担するための中小企業事業主に対する助成金について、助成率及び助成限度額の引上げを行った(助成率:2分の1→4分の3、限度額:30万円→40万円(1人当たり)、360万円→480万円(1事業主当たり))。

●2009年度予算における対応

重点戦略や国民会議最終報告(2008年11月)においては、次世代育成支援の社会コストは「未来への投資」であり、「保育サービス等の子育てを支える社会的基盤の整備」と「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現」を“車の両輪”として取り組むべきものとされている。

2009年度予算においては、「保育サービス等の子育てを支える社会的基盤の整備」として、以下のような施策を盛り込んでいる。

○新待機児童ゼロ作戦の推進
・待機児童解消に向けた保育所の受入れ児童数の拡大
・家庭的保育事業(保育ママ)や一時預かり事業の拡充などの多様な保育サービスの提供
・総合的な放課後児童対策(「放課後子どもプラン」)の着実な推進

○育児不安を抱える家庭等すべての家庭への支援
・すべての家庭を対象とした地域子育て支援対策の充実
・虐待を受けた子ども等への支援の強化
・発達障害者支援等の充実
・地域における家庭教育支援基盤の形成
・出産等に係る経済的負担の軽減(出産育児一時金の4万円引き上げ)
・母子保健医療の充実
・周産期医療の充実
・社会課題対応等中小商業再生事業
・子どもの事故防止対策の推進

○兄弟姉妹のいる家庭等への支援
・幼稚園等の保護者負担の軽減(第3子以降の保育料の無償化等)
・教育費負担の軽減(奨学金事業の推進)
・住宅における支援
また、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現」については、以下のような施策を盛り込んでいる。
・「カエル・ジャパン」キャンペーンの推進、仕事と生活の調和推進企業ネットワークの構築
・労働時間等の見直しに向けた取組の推進
・育児・介護休業制度の拡充
・中小企業における次世代育成支援対策の推進
・マザーズハローワーク事業の拡充
・フリーター等正規雇用化プランの推進や、ニート等の若者の職業的自立の支援
・テレワークの普及促進

第1-2-19図 2009年度少子化社会対策関係予算等の主なポイント

●児童福祉法等の改正

重点戦略において示された新たな制度設計に先行して実施すべき課題等を踏まえ、家庭的保育事業(保育ママ)や子育て支援事業を児童福祉法上位置づけるとともに、虐待を受けた子ども等に対する家庭的環境における養護の充実、仕事と家庭の両立支援のための一般事業主行動計画の策定を101人以上の事業主についても義務付けることなどを内容とする児童福祉法等の一部を改正する法律が、2008年12月に公布された。

これらの改正は、家庭的保育事業(保育ママ)の制度化、一般事業主行動計画策定・届出の義務付け対象範囲の拡大等の一部を除き、2009年4月より施行された。

第1-2-20図 児童福祉法等の一部を改正する法律(概要)

●産科医療補償制度

安心して産科医療を受けられる環境整備の一環として、分娩に係る医療事故により脳性麻痺となった子及びその家族の経済的負担を速やかに補償するとともに、事故原因の分析を行い、将来の同種事故の防止に資する情報を提供することなどにより、紛争の防止・早期解決及び産科医療の質の向上を図ることを目的とする「産科医療補償制度」が創設され、2009年1月から運用が開始された。

なお、この制度では、在胎週数22週以降の出産1件ごとに分娩機関が3万円の掛金を負担することから、分娩費の上昇が見込まれるため、健康保険から支給される出産育児一時金等も、同出産については3万円(35万円から38万円)引き上げられたところである。

第1-2-21図 産科医療補償制度の仕組み

●周産期医療の確保

救急医療は直接患者の生死に関わる医療であり、我が国のすべての地域において万全の提供体制を整える必要があり、国民が真に安心できる救急医療体制の整備を行うことが重要である。

しかし、2008年には、東京都で妊婦の緊急搬送において医療機関への受入れまでに多くの照会を要した事案が発生するなど、特に、周産期の救急医療体制の充実が全国的に重要になっていることから、妊産婦が安心して子どもを産み・育てることができるよう、早急に対策を講ずることとなった。

このため、厚生労働省において、2008年11月より6度にわたり、「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」が開催され、今後の日本における周産期医療と救急医療の確保と連携のあり方及び課題解決のために必要な対策について検討が行われた。

この後、2009年3月に報告書がまとめられ、周産期医療対策事業の見直しや救急医療・周産期医療に対する財政支援、地域の実情に応じたNICU(新生児集中治療管理室)の整備、救急患者搬送体制の整備などが提言されたところであり、同報告書を踏まえ、周産期救急医療の確保に取り組んでいくこととしている。

(2)検討中の課題

●次世代育成支援のための新たな制度体系の検討

重点戦略を受け、働き方の見直しに係る取組を推進するとともに、子育てを支えるサービスの大幅な拡充を図るため、希望するすべての人が子どもを預けて働くことができるための保育等のサービス基盤を確保するとともに、誰もがどこに住んでいても必要な子育て支援サービスを受けることができるよう、社会保障審議会少子化対策特別部会において、次世代育成支援に関する給付・サービスを体系的・普遍的に提供し、必要な費用を社会全体で負担していく新たな制度体系の検討を進め、2008年5月に「次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた基本的考え方」がとりまとめられた。

2008年9月からは、保育の提供の新しい仕組みを中心に議論が進められ、2009年2月、次世代育成支援のための新たな制度体系について、これからの保育制度のあり方を中心に、少子化対策特別部会としての第1次報告がとりまとめられた。

この第1次報告では、保育需要の飛躍的増大、ニーズの深化・多様化などの社会環境の変化を踏まえ、
[1]今後の保育制度の姿としての新たな保育の仕組み
[2]放課後児童クラブの拡充
[3]すべての子育て家庭に対する支援
[4]情報公開・評価の仕組み
[5]財源確保の必要性
などについて、提言を行っている。(第1‐2‐22図参照)

第1-2-22図 社会保障審議会少子化対策特別部会 第1次報告[概要]

●育児・介護休業法の見直しに向けての動き

少子化対策の「車の両輪」のもう一つである「働き方の見直し」を進めるため、2008年8月から労働政策審議会において、育児・介護休業制度の見直しについて検討が行われ、2008年12月25日に厚生労働大臣に対し、仕事と家庭の両立支援対策の充実について建議が行われた。

建議においては、少子化対策の観点から、喫緊の課題となっている仕事と子育ての両立支援等を一層進めるため、短時間勤務制度の義務化や所定外労働の免除の義務化等の子育て中の働き方の見直し、父親も子育てができる働き方の実現、子の看護休暇制度の拡充や介護のための短期の休暇制度の創設等の子育て・介護の状況に応じた両立支援制度の整備など、男女ともに子育て等をしながら働き続けることができる雇用環境の整備を行うべきというものである。今後は、この建議に沿って、育児・介護休業法の見直しを目指すこととしている。

第1-2-23図 育児・介護休業制度の見直しの概要(労働政策審議会建議(平成20年12月25日))

●認定こども園制度の検討

近年の急速な少子化の進行や家庭・地域を取り巻く環境の変化に伴い、多様化するニーズに柔軟かつ適切に対応するため、2006(平成18)年6月に「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合等な提供の促進に関する法律」が成立し、同年10月から施行されており、2008年4月1日現在では、全国で229件の認定が行われている。

文部科学省と厚生労働省が2008年3月に実施した地方公共団体、施設、保護者に対する認定こども園制度に係る実態調査によると、施設を利用している保護者の8割近く、認定を受けた施設の9割以上が認定こども園を評価している。また、保護者の9割近くが制度を推進していくべきと回答している。一方、施設や地方公共団体からは、財政支援が十分ではない、会計処理の簡素化が必要などの課題も指摘されている。

このため、2008年10月に、内閣府特命担当大臣(少子化対策)、文部科学大臣、厚生労働大臣の3大臣合意により立ち上げた「認定こども園制度の在り方に関する検討会」において、[1]財政支援の充実、[2]会計処理等における二重行政の解消、[3]教育と保育の総合的な提供の推進、[4]家庭や地域の子育て支援機能の強化、[5]質の向上への対応などの認定こども園における課題について議論を進めており、2009年3月に報告をとりまとめた。



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