少子化対策

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4 地域の取組

都道府県を始めとする各地方公共団体では、それぞれの地域の特性を踏まえながら、仕事と生活の調和の推進に向けた取組がなされている。代表的な取組としては、以下のものが挙げられる。

・仕事と生活の調和を推進する会議の設置や宣言・提言の策定

・社会的気運の醸成を図るためのキャンペーンの実施やシンポジウムの開催

・セミナー等の開催、HP等による情報提供

・アドバイザー等の派遣

・企業表彰や登録・認定・認証制度

・助成金・奨励金制度、融資制度や優遇金利の設定

・入札参加資格など公契約における優遇措置

各都道府県労働局においても、仕事と生活の調和の実現についての理解と関係者相互の合意形成を図るため、都道府県ごとに労使をはじめ、地方公共団体、学識経験者等の代表者による「仕事と生活の調和推進会議」を設置し、地域の特性を踏まえた活動を行った。

都道府県の取組事例

(1)ひょうご仕事と生活センターの設立(兵庫県)

兵庫県では、連合兵庫、兵庫県経営者協会との協働により、企業に人材確保や生産性の向上をもたらし、勤労者に働く意欲や働きがいをもたらす「仕事と生活のバランス」の全県的推進拠点として、ひょうご仕事と生活センターを2009(平成21)年6月に設立した。

同センターでは、以下の事業を実施している。

<1>啓発・情報発信

同センターのホームページで先進事例やセミナー情報、各種助成金の情報などを提供するほか、これらの情報を掲載した企業向けの情報誌を発行。

<2>相談・実践支援

組織内で「仕事と生活のバランス」を推進していくための相談を受け付け、課題に応じた適切な専門家を派遣。また、それぞれの職場の実情に応じた研修プログラムを提供。

<3>企業顕彰

「仕事と生活のバランス」について先進的な企業を顕彰。

<4>企業助成

育児、介護等で離職した人の再雇用や、育児休業、介護休業者の代替要員の雇用を行った企業などへ助成。

(2)次世代育成支援企業認証制度(福島県)

福島県では、次世代育成支援に取り組む企業の社会的評価を高めるため、仕事と育児の両立支援に積極的に取り組む中小企業や、仕事と生活のバランスが取れる働きやすい職場環境づくりに向けて総合的な取組を行っている企業を認証している。

【「子育て応援」中小企業認証】

県下の中小企業を対象として、一般事業主行動計画を策定・届出し、その計画に沿った取組を実践し、育児休業取得者等が生じたことの条件を満たした企業を認証

【「仕事と生活の調和」推進企業認証】

県下の企業を対象として、両立支援、パート労働者の公正な処遇、男女共同参画についての取組状況を点数化し、規定の点数以上の企業を認証


これらの認証を受けた企業は、認証企業であることを名刺や自社製品のポスター、求人票等に表示することで企業のイメージアップや人材確保に活用できるほか、以下の優遇措置の対象となる。

<1>「成長産業育成資金」の適用(中小企業対象の融資制度)

<2>県が行う物品調達において優先的に指名又は選択

<3>県の建設工事等入札参加資格審査における点数の加算

<4>県が発注する工事・測量等委託業務に導入される「総合評価方式」による入札において認証の取得を評価項目の一つとする

企業における先進的取組事例
―企業による子育て支援、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の取組の紹介―

●充実した休暇とこだわりの社内保育園が支える菓子づくり~独自の経営理念に則った先進的な取組~

北海道帯広市に本社を置く洋菓子製造・販売企業(従業員数約1,300名、うち7割が女性)は、“社員一人ひとりが心身ともに健康でなければ、おいしいお菓子はつくれない”、“時とともに価値の増すものを大事にする”という経営者の理念が企業文化として会社全体に浸透している。この企業では、従業員の子育て支援やワーク・ライフ・バランスへの取組にも経営理念が色濃く反映されていることが特徴である。

<1>食育と体づくりを重視した社内保育園

2007(平成19)年に本社工場の敷地内に開園した保育園には、現在、0歳から就学前までの園児約30人が通園している。親である社員が安心して働けると同時に、女性従業員が多いこの企業にとって女性の継続就業を支える大きな役割を担っている。

工場に隣接する保育園には、園児全員が駆け回れるほど広々とした遊戯室がある。また、食べ物を扱う企業らしく、子どもの食育、体づくりを重視しており、社内保育園の在り方も企業文化の一環として位置づけようという姿勢がうかがわれる。

保育園外観

<2>20年連続年次有給休暇取得率100%

年休完全取得の取組は、社長からのトップダウンで、まずはとにかく年休を残さず取得することからスタートした。当初は残業が増えるなどの問題が生じたが、従業員を補充したことと、完全取得を前提として業務を効率化するという意識が社内に浸透したことで、仕事時間が短縮され、20年連続取得率100%を達成している。休暇取得を目的とした取組が、結果として、社員のアイデアを引き出し、工場内の動線の改善、スキル向上、機械化などによる生産効率向上をもたらした。

休暇取得に当たっては、6日以上の連続取得を奨励している。また誕生日休暇、メモリアル休暇も年に各1日ずつある。一方、生菓子製造があるため工場は年中無休で稼動。休暇を組み込みながらの要員配置は容易ではないが、それが社員のスキル向上の動機付けにもなっているという。

●「ものづくり日本大賞」受賞企業が取り組む働きやすい職場づくり~最先端の技術力と高品質の製造現場の土台は、「人を大切に」する企業コンセプト~

北海道千歳市に本社工場を持つ自動車・建設機械部品製造業の企業(従業員数1,100名、うち約2割が女性)は、「育児を行う従業員が安心して働きやすい環境の整備」、「少子高齢化社会への対策の一翼を担う社会貢献の一環」という理念のもと、30周年記念事業の一つとして、2002(平成14)年4月、本社工場の敷地内に事業所内保育所を開設した。

「ものづくり日本大賞」受賞企業の写真

現在0歳から就学前までの園児13人が通園している(社内10人、近隣3人、保育時間は午前8時~午後7時)。少人数の異年齢集団での保育を通じて、年長の園児が自然に年下の子どもの面倒をみる姿がみられるという。一方、近隣の保育園2園と提携し、運動会や遠足などの行事を共同で行うことで、より大きな集団での活動も経験できるよう配慮がなされている。

保育日は会社の操業にあわせて設定されており、祝祭日に会社が操業する場合にも子どもを預けられることが事業所内保育所ならではのメリットとなっている。また、園児の保護者からは、「子どもが急に体調を崩した場合でも、すぐに対応できるから安心」「職場の理解のもと、柔軟な対応が取れる」という声も聞かれる。

「ものづくり日本大賞」の受賞企業でもある同社は開発力、技術力の高さが誇りだが、最近は、研究開発の最前線での女性の活躍が目立つようになっており、女性への期待は強い。保育所整備のほかにも、現在、小学校就学前まで認めている短時間勤務を、2010(平成22)年4月から、中学校就学前まで延長するなど、継続就業への支援を着実に進めている。

事業所内保育所の写真

同社の今後の課題は男性社員の育児参加促進である。2006年に、21世紀職業財団に申請し、「男性の育児参加促進事業実施事業主」として指定されたのを契機に、育児参加促進事業の取組を社内外へ公表するとともに、管理職を始めとする社員への啓発を実施してきた。まだ取得者は出ていないが、今後も、男性社員の育児休業取得に対して職場をあげて協力し合う風土づくりを進めるとともに、独自の社内制度(出産休暇、子の看護休暇等)も活用し、男性が育児に参加しやすい環境整備を全社的課題として進めていく。

最近の経済情勢とワーク・ライフ・バランス

2008(平成20)年後半からの経済状況の悪化が個人のワーク・ライフ・バランスに与える影響について、内閣府が実施した意識調査(※)をみると、以下のことが分かる。

調査対象:全国20歳以上60歳未満の男女2,500人(地域別・性年代別人口構成比で割付)

調査方法:調査会社の登録モニターに対するインターネット調査

調査期間:平成21年12月18日~12月22日

1年前と比べた生活時間の変化をみると、仕事の時間が「(やや)増えた」人の割合は27.7%、「(やや)減った」人の割合は22.8%となっており、1年前と比べて仕事の時間が「(やや)減った」人について、生活満足度の変化をみると、「生活全般」では約6割、「仕事」では約7割の人が「(やや)低下した」と回答している(第1‐3‐11図)。

仕事時間と収入には相関関係があることから、満足度低下の背景には収入減少があると考えられるが、一方で、「組織全体として」「自ら努力して」など主体的な要因により仕事時間を減らした人の方が、経済情勢の影響などにより仕事時間が減少した人に比べ、生活満足度が高くなっている(第1‐3‐12、13図)。

また、仕事時間減少の代わりに家族団らん等の家庭生活の時間を増やした人では、生活満足度が向上した人の割合が全体と比較すると高くなっている(第1‐3‐14図)。

これにより、ワーク・ライフ・バランスの改善が、生活満足度の向上に結びついた人も一部にはいたことが分かった。しかし、そうした人は、全体の中では一部にとどまっており、引き続き、ワーク・ライフ・バランスの一層の推進が必要と考えられる。


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