少子化対策

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2 新しい少子化対策について

平成18年6月20日

少子化社会対策会議決定

昨年(2005年)は、我が国が1899(明治32)年に人口動態の統計をとり始めて以来、初めて出生数が死亡数を下回り、総人口が減少に転ずる人口減少社会が到来した。出生数は106万人、合計特殊出生率は1.25と、いずれも過去最低を記録した。

この少子化傾向が続くと、人口減少は加速度的に進行し、21世紀半ばには総人口は1億人を割り込み、2100年の総人口は現在の半分以下になると見込まれる。人口の高齢化もさらに進行し、やがて3人に1人が65歳以上という極端な「少子高齢社会」が継続することになる。

急速な人口減少は、経済産業や社会保障の問題にとどまらず、国や社会の存立基盤に関わる問題と認識すべきである。

1 新たな少子化対策の視点

政府は、1990年代半ばからの「エンゼルプラン」、「新エンゼルプラン」に基づき、少子化対策を推進してきた。2003年には、少子化社会対策基本法、次世代育成支援対策推進法が制定され、2005年度からは、「少子化社会対策大綱」とその具体的な実施計画である「子ども・子育て応援プラン」に基づき少子化対策が推進されてきた。しかしながら、従来の対策のみでは、少子化の流れを変えることはできなかったことを深刻に受け止める必要がある。

出生率の低下傾向の反転に向け、少子化の背景にある社会意識を問い直し、家族の重要性の再認識を促し、また若い世代の不安感の原因に総合的に対応するため、少子化対策の抜本的な拡充、強化、転換を図っていかなければならない。第2次ベビーブーム世代がまだ30代であるのもあと5年程度であることを考えると、速やかな対応が求められる。

(1)社会全体の意識改革

出生率の向上のためにはさまざまな施策を組み合わせて総合的に推進する必要があるが、各種施策がより大きな効果をあげる上で重要なのは「少子化社会対策大綱」でも述べられているように、家族の絆や地域の絆を強化することである。

総合的な少子化対策を進める上で、生命を次代に伝え育んでいくことや家族の大切さが理解されることが重要である。子どもの誕生を祝福し、子どもを慈しみ、守り育てることは、社会の基本的な責任である。さまざまな家族の姿があるが、子どもを家族が育み、家族を地域社会が支える、そのような社会であってこそ、各種支援施策が効果を発揮する。国、地方公共団体、企業、地域社会等が連携の下で社会全体の意識改革に取り組むことが重要である。

(2)子どもと家族を大切にするという視点に立った施策の拡充

若年世代にとって、経済的な負担の大きさ、家庭と仕事の両立の困難さ、育児についての不安など、子どもを生み育てることをためらわせる経済的あるいは心理的な負担感が強い。子どもを持ちたいという国民の希望に応え、子どもを安心して生み、育てやすくする環境整備のための支援策をさらに拡充していくことが重要である。子育て支援は、単に親の負担を軽減することのみが目的ではなく、親子の関係を良好にし、子育ての喜びを実感できることを通じて、家族機能や家族の絆を強めることにつながる。また、家事や育児を行うことが極端に制約される職場の働き方を是正し、親子や夫婦が共に過ごす時間を増やす等、仕事と生活の調和を図る必要がある。

子育て家庭は子どもの成長に応じてさまざまなニーズや懸念を有しており、少子化対策は総合的、体系的、多角的に立案され、以下の考え方に沿って重点的に推進する必要がある。

<1>子育ては第一義的には家族の責任であるが、子育て家庭を、国、地方公共団体、企業、地域等、社会全体で支援する。

<2>親が働いているいないにかかわらず、すべての子育て家庭を支援するという観点も加えて子育て支援策を強化し、在宅育児や放課後対策も含め、地域の子育て支援を充実する。

<3>子どもを生み育てる人が、就業等において不利な立場に陥らないよう、仕事と子育ての両立支援の推進や、子育て期の家族が子どもと過ごす時間を十分に確保できるように、男性を含めた働き方の見直しを図る。

<4>親の経済力が低く、仕事や家庭生活の面でも課題が多い出産前後や乳幼児期において、経済的負担の軽減を含め総合的な対策を講じる。

<5>就学期における子どもの安全確保に関する抜本的対応や、出産・子育て期の医療ニーズに対応できる体制の強化に取り組むとともに、特別な支援を要する子ども及びその家族への支援を拡充する。

2 新たな少子化対策の推進

上記の視点を踏まえ、平成17年度から実施している「子ども・子育て応援プラン」の着実な推進にあわせ、<1>妊娠・出産から高校・大学生になるまで子どもの成長に応じつつ総合的に子育て支援策を講じるとともに、<2>働き方の改革が必要であり、次のような施策を推進する。

以下の施策については、歳出・歳入一体改革の中で必要な財源の確保とあわせて、平成19年度予算編成過程において検討するものとする。

税制面においても少子化対策を推進する観点からの必要な措置を検討するものとする。

(1)子育て支援策

I 新生児・乳幼児期(妊娠・出産から乳幼児期まで)

出産費用の負担軽減(<1>から<3>の施策)を図り、安心して出産できる環境整備を推進するとともに、子どもが乳幼児期にある子育て家庭を支援する。

<1>出産育児一時金の支払い手続きの改善

<2>妊娠中の健診費用の負担軽減

<3>不妊治療の公的助成の拡大

<4>妊娠初期の休暇などの徹底・充実

<5>産科医等の確保等産科医療システムの充実

<6>児童手当制度における乳幼児加算の創設

<7>子育て初期家庭に対する家庭訪問を組み入れた子育て支援ネットワークの構築

II 未就学期(小学校入学前まで)

子育ての喜びを感じながら育児ができるように子育て家庭への支援と地域の子育てサービスの充実を図る。

<1>全家庭を対象とする地域における子育て支援拠点の拡充

<2>待機児童ゼロ作戦の更なる推進

<3>病児・病後児保育、障害児保育等の拡充

<4>小児医療システムの充実

<5>行動計画の公表等次世代育成支援対策推進法の改正の検討

<6>育児休業や短時間勤務の充実・普及

<7>事業所内託児施設を含め従業員への育児サービスの提供の促進

<8>子どもの事故防止策の推進

<9>就学前教育についての保護者負担の軽減策の充実

III 小学生期

放課後時間を有意義に過ごすことができるとともに、登下校時等の安全を確保する。

<1>全小学校区における「放課後子どもプラン」(仮称)の推進

<2>スクールバスの導入等、学校や登下校時の安全対策

IV 中学生・高校生・大学生期

教育費負担の軽減を図るとともに、学生のベビーシッターを養成する。

<1>奨学金の充実等

<2>学生ベビーシッター等の推奨

(2)働き方の改革

若者の就労支援やパートタイム労働者の均衡処遇の推進、女性の再就職支援等「再チャレンジが可能な仕組みの構築」を推進するとともに、企業の子育て支援の推進や長時間労働の是正等、従来の働き方を改革する。

<1>若者の就労支援

<2>パートタイム労働者の均衡処遇の推進

<3>女性の継続就労・再就職支援

<4>企業の子育て支援の取組の推進

<5>長時間労働の是正等の働き方の見直し

<6>働き方の見直しを含む官民一体子育て支援推進運動

(3)その他重要な施策

<1>子育てを支援する税制等を検討

<2>里親・養子縁組制度の促進と広報・啓発

<3>地域の退職者、高齢者等の人材活用による世代間交流の推進

<4>児童虐待防止対策及び要保護児童対策の強化

<5>母子家庭等の総合的な自立支援対策の推進

<6>食育の推進

<7>家族用住宅、三世代同居・近居の支援

<8>結婚相談業等に関する認証制度の創設

3 国民運動の推進

2に掲げた具体的な支援施策の強化、拡充にあわせ、長期的な視点に立って次のような社会の意識改革のための国民運動を展開する。なお、これらの実施等にあたっては、政府広報の活用を図る。

(1)家族・地域の絆を再生する国民運動

<1>「家族の日」や「家族の週間」の制定

<2>家族・地域の絆に関する国、地方公共団体による行事の開催

<3>働き方の見直しについての労使の意識改革を促す国民運動

(2)社会全体で子どもや生命を大切にする運動

<1>マタニティマークの広報・普及

<2>有害な情報の流通への注意と子どもに有用な情報提供

<3>生命や家族の大切さについての理解の促進

少子化問題は、我が国のあり方が問われている課題であり、各種の施策を組み合わせつつ、国、地方公共団体、職域、地域、家族、個人など、社会を構成するすべての主体が、それぞれの責任と役割を自覚し、子どもと家族を大切にする視点に立って積極的に取組を進めていくとともに、進捗状況を検証し、充実に努める必要がある。

厳しい財政事情を踏まえつつも、少子化対策を国の基本にかかわる最重要政策課題とする一致した認識の下で、知恵と工夫をもって諸施策を強力に推進し、日本の未来と将来世代のために総力を傾注することとする。

資料(1)
資料(2)
資料(3)
資料(4)
資料(5)

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