少子化対策

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3 「子どもと家族を応援する日本」重点戦略(「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議とりまとめ)

平成19年12月27日

少子化社会対策会議決定

1 重点戦略策定の視点

(人口構造の変化と社会経済への影響)

○「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」は、我が国では、今後一層少子化・高齢化が進行し、本格的な人口減少社会が到来するとの見通しを示している。人口減少社会は単純な人口規模の縮小ではなく、高齢者数の増加と生産年齢人口の減少という「人口構造の変化」を伴うものであり、我が国の経済社会に大きな影響を与えることが懸念される。

○また、労働力人口は、若者や女性、高齢者の労働市場参加が進まず、現状の労働力率のままで推移した場合、総人口の減少を上回る速度で減少する見通しである。この場合、2030年までに労働力人口は1,000万人以上減少することが見込まれ、2030年以降も生産年齢人口の減少速度の加速により、さらに急速な労働力人口の減少が予想される。

(結婚や出産・子育てに関しての国民の希望と現実の乖離)

○他方、新人口推計の前提となっている今後の結婚や出産の動向(生涯未婚率 23.6%、夫婦完結出生児数 1.69人、2055年の合計特殊出生率は1.26。)と国民の希望する結婚や出産(約9割が結婚を希望、希望子ども数2人以上)には大きな乖離が存在する。

○この乖離を生み出している要因は、各種の調査や研究が示唆するところによれば、

(結婚)経済的基盤、雇用・キャリアの将来の見通しや安定性

(出産)子育てしながら就業継続できる見通し、仕事と生活の調和の確保度合い

(特に第2子以降)夫婦間の家事・育児の分担度合い、育児不安の度合い

(特に第3子以降)教育費の負担感(ただし1970年代以降生まれの世代では1人目、2人目からについても負担感が強く意識される傾向)

などがあげられる。

○国民の希望する結婚や出産・子育てが実現したと仮定して出生率を計算すると、1.75程度となる。結婚や出産は言うまでもなく個人の決定に委ねられるものであるが、国民の希望の実現を妨げる社会的な要因が存在し、それが将来の社会経済に大きな影響を及ぼすことを考えると、この乖離を生み出している要因を除去し、国民の希望が実現できる社会経済環境を整備することは、我が国にとって不可欠な政策課題である。

(今後の人口構造の変化を展望した二つの課題)

○以上の点を考慮すると、我が国経済社会が今後とも持続的に発展していくためには、

<1>今後生まれる子どもたちが労働市場に参加することが可能となるまでの間(2030年頃まで)における労働力人口の減少を緩和するために、「若者、女性、高齢者等の労働市場参加」を実現すること

<2>2030年以降に予想されるより急速な生産年齢人口及び労働力人口の減少を緩和するためにも、「国民の希望する結婚や出産・子育て」をできる限り早く実現すること

の二つを同時に成し遂げることが不可欠である。

(「車の両輪」となる二つの取組み― 「仕事と生活の調和の実現」と「包括的な次世代育成支援の枠組みの構築」)

○しかしながら、今日なお、妊娠・出産を機にそれまで就労していた女性の7割が離職することにみられるように、とりわけ女性にとっては、就労と出産・子育ては二者択一の状況となっており、この状況を抜本的に変えない限り、これらの二つの課題の同時達成は不可能である。

○女性をはじめ働く意欲を持つすべての人の労働市場参加を実現しつつ、国民の希望する結婚・出産・子育てを可能にするためには、

・「働き方の見直しによる仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現」とともに、

・その社会的基盤となる「包括的な次世代育成支援の枠組みの構築」(「親の就労と子どもの育成の両立」と「家庭における子育て」を包括的に支援する仕組み)

を「車の両輪」として、同時並行的に取り組んでいくことが必要不可欠である。

○今日、第2次ベビーブーム世代(昭和46~49年生まれ)が30代半ばを迎え、子育て世代の年齢層の人口は既に減少に転じている。また、就労と出産・子育ての二者択一状況が続いた場合には、結婚や出産・子育てに関して、国民が希望を持つことさえ難しくなり、希望水準自体の低下も危惧される。

○子育て世代の年齢層の人口が大幅に減少する前に、あるいは、結婚や出産・子育てに関する国民の希望水準が低下し、それが一層の少子化を招くという悪循環に陥らないうちに、これら「車の両輪」となる二つの取組みを、できる限り速やかに軌道に乗せることが緊要である。この努力が、我が国の社会経済を持続可能で確かなものとすることにつながり、また、そうした社会経済の確かな発展の見通しが、家庭を築き子どもを生み育てる国民の希望と安心につながるものと考える。

○もとより少子化対策の外延は広範にわたり、産科・小児科医の確保、奨学金や就学前教育費の保護者負担の軽減については、他の会議等でも検討が進められている。また、重点戦略策定に向けた議論の過程においては、職住近接などの住環境の問題、子育て家庭が移動しやすい交通の問題等についても課題として指摘された。

このように少子化対策として取り組むべき様々な課題がある中で、人口減少、とりわけ労働力人口の急速な減少に対応し、我が国の経済社会の持続的な発展を図るには、就労と出産・子育ての二者択一構造の解消という点に戦略的な対応が必要との認識から、「働き方の見直しによる仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現」及びその社会的基盤となる「包括的な次世代育成支援の枠組みの構築」について重点的に検討を行い、本重点戦略をとりまとめた。

2 仕事と生活の調和の推進

「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」に沿って、個々の企業の実情に合った効果的な進め方を労使で話し合い、自主的に取り組んでいくことが基本であるが、我が国の社会を持続可能で確かなものとすることに関わるものであることから、国と地方公共団体も、企業や働く者、国民の取組を積極的に支援するとともに、多様な働き方に対応した子育て支援や介護などのための社会的基盤づくりを積極的に行う。

(「憲章」及び「行動指針」の策定)

○仕事と生活の調和の推進に関しては、19年12月に

・国民的な取組の大きな方向性を示すものとして、仕事と生活の調和の必要性、仕事と生活の調和が実現した場合の社会の姿とその実現に向けた関係者が果たすべき役割を示した「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」

・企業や働く者、国民の効果的取組、国や地方公共団体の施策の方針を示した「仕事と生活の調和推進のための行動指針」

を策定した。

(仕事と生活の調和が実現した社会の姿)

○仕事と生活の調和が実現した社会とは、「憲章」に明示されているように、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」である。

○より具体的には、

<1>就労による経済的自立が可能な社会―経済的自立を必要とする者とりわけ若者がいきいきと働くことができ、かつ、経済的に自立可能な働き方ができ、結婚や子育てに関する希望の実現などに向けて、暮らしの経済的基盤が確保できる

<2>健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会―働く人々の健康が保持され、家族・友人などとの充実した時間、自己啓発や地域活動への参加のための時間などを持てる豊かな生活ができる

<3>多様な働き方・生き方が選択できる社会―性や年齢などにかかわらず、誰もが自らの意欲と能力を持って様々な働き方や生き方に挑戦できる機会が提供されており、子育てや親の介護が必要な時期など個人の置かれた状況に応じて多様で柔軟な働き方が選択でき、しかも公正な処遇が確保されている

社会を目指すべきである。

(関係者が果たすべき役割)

○仕事と生活の調和の実現のため、それぞれの関係者が「憲章」に明示された以下のような果たすべき役割に沿って、「行動指針」に定める具体的取組を推進する。

・企業と働く者一協調して生産性の向上に努めつつ、職場の意識や職場風土の改革とあわせ働き方の改革に自主的に取り組む。

・国民一一人ひとりが自らの仕事と生活の調和の在り方を考え、家庭や地域の中で積極的な役割を果たす。また、消費者として、求めようとするサービスの背後にある働き方に配慮する。

・国一国民全体の仕事と生活の調和の実現は、我が国社会を持続可能で確かなものとする上で不可欠であることから、国民運動を通じた気運の醸成、制度的枠組みの構築や環境整備などの促進、支援策に積極的に取り組む。

・地方公共団体一仕事と生活の調和の現状や必要性は地域によって異なることから、その推進に際しては、自らの創意工夫の下に、地域の実情に応じた展開を図る。

(数値目標の設定と進捗状況の把握・評価、政策への反映)

○仕事と生活の調和した社会の実現に向けた各主体の取組を推進するための社会全体の目標として、取組が進んだ場合に達成される水準として<1>~<3>について10年後の数値目標(及び中間的な目標値として5年後の数値目標)を設定するとともに、数値目標を含む関連指標を合成して実現度指標を作成する。これらにより、仕事と生活の調和した社会の実現に向けた全体としての進捗状況を把握・評価し、政策への反映を図る。

<1>就労による経済的自立が可能な社会一就業率(<2>、<3>にも関わる)、時間当たり労働生産性の伸び率(<2>、<3>にも関わる)、フリーターの数

<2>健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会一労働時間等の課題について労使が話し合いの機会を設けている割合、週労働時間60時間以上の雇用者の割合、年次有給休暇取得率、メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業所割合

<3>多様な働き方・生き方が選択できる社会一テレワーカー比率、短時間勤務を選択できる事業所の割合(短時間正社員制度等)、自己啓発を行っている労働者の割合、第1子出産前後の女性の継続就業率、保育等の子育てサービスを提供している割合、男女の育児休業取得率、6歳未満の子どもをもつ男性の育児・家事関連時間

※(参考)「仕事と生活の調和推進のための行動指針」で設定された数値目標

3 包括的な次世代育成支援の枠組みの構築

今後の人口構造の変化に対応して、仕事と生活の調和を推進し、かつ、国民が希望する結婚や出産・子育ての実現を支えることに早急かつ戦略的な対応が必要であることにかんがみ、

・次世代育成支援に関連する給付・サービス、とりわけ仕事と子育ての両立や家庭における子育てを支える社会的基盤となる現物給付を体系的かつ普遍的に提供し、

・必要な費用についてはこれを次世代の負担とすることなく、給付の性格や施策間の整合、連携を考慮しつつ、国、地方公共団体の公費負担、事業主や個人の子育て支援に対する負担・拠出の組合せにより支える

具体的な制度設計の検討について、直ちに着手の上、税制改革の動向を踏まえつつ速やかに進める。

(現行の給付・サービスの制度的な課題)

○現行の次世代育成支援に関連する給付・サービス全体を通じた制度的な課題としては、医療保険、雇用保険、児童福祉、母子保健等の各制度において、それぞれの制度の考え方に基づいて給付内容や費用負担の方法等が定められ、どのような支援ニーズに対して、どのような給付が保障されるか体系立った制度となっていないこと、欧州諸国に比べて現金給付、現物給付を通じて家族政策全体の財政的な規模が小さく、家族政策を支える負担についての明確な国民的合意も形成されているとは言い難い状況であることなどがあげられる。

○欧州諸国の経験に照らせば、現金給付、現物給付のバランスをとった家族政策の充実が必要であるが、

・今後、我が国が急速な人口減少、労働力人口の減少に直面する中で、誰もが意欲と能力に応じて働くことのできる環境整備を進め、就業率の向上を図ることが必要であり、

・また、出生率の回復したフランスなどでは、近年、保育サービスの充実など仕事と家庭の両立支援を軸とした家族政策が展開されている

ことにかんがみると、とりわけ現物給付の充実を図り、女性をはじめ働く意欲を持つすべての人の労働市場参加と国民の希望する結婚・出産・子育てを可能にする社会的基盤を構築することが喫緊の課題である。

(新たな枠組みの構築の必要性)

○仕事と生活の調和を推進し、国民の希望する結婚や出産・子育ての実現を支える社会的な基盤を構築するためには、以下のような考え方で給付・サービスを再構築するとともに、国全体として、このような給付・サービスが全国どの地域でも体系的に整備され、すべての子どもや子育て家庭に普遍的に提供される枠組みを構築するとともに、それぞれの地域においては、地域の実情を踏まえて、給付・サービスの整備に積極的に取り組んでいく必要がある。

<1>親の就労と子どもの育成の両立を支える支援

・出産前から3歳未満の時期一この時期の支援への重点的な取組、就業希望者を育児休業と保育、あるいはその組合せでカバーできる体制・仕組みの構築、それぞれの制度における弾力化による多様な選択を支える切れ目のない支援

・3歳から小学校就学前の時期の支援一認定こども園と短時間勤務の普及・促進

・学齢期の放課後対策一全小学校区での「放課後子どもプラン」の実施による空白地区の解消、対象児童の増加に対応した1学校区当たりのクラブ数の増加による保育所から放課後児童クラブへの切れ目のない移行と適正な環境の確保

<2>すべての子どもの健やかな育成を支える対個人給付・サービス

・すべての子育て家庭に対する一時預かり制度の再構築一すべての子ども・子育て家庭に対するサービスとして機能するよう事業を再構築し、一定水準のサービス利用を普遍化

・子育て世帯の支援ニーズに対応した経済的支援の実施一子育て世帯の支援ニーズに対応し、現金給付と税制を通じて総合的に経済的支援を実施

<3>すべての子どもの健やかな育成の基盤となる地域の取組

・妊婦健診の支援の充実一望ましい受診回数を確保するための支援の充実

・各種の地域子育て支援の面的な展開と当事者主体の取組の重視一全市町村で生後4か月までの全戸訪問を実施、小学校区すべてに地域子育て支援拠点を面的に整備

・安全・安心な子どもの居場所の設置一全小学校区における放課後子ども教室の実施(「放課後子どもプラン」)

・家庭的な環境における養護の充実など適切な養育を受けられる体制の整備一家庭的な環境における養護の充実、施設機能の見直しなど

(現物給付を優先した家族政策の充実と効果的な財政投入の必要性)

○現在、OECDの社会支出の「家族」部門に準拠して、我が国の児童・家族関係の社会支出額を推計すると、およそ4兆3,300億円(GDPの 0.83%に相当)となっている。

○次世代育成支援に関する給付・サービスは多岐にわたるが、今後の人口構造の変化に対応して、仕事と生活の調和を推進し、かつ、国民が希望する結婚や出産・子育ての実現を支えることに早急かつ戦略的な対応が必要であることにかんがみると、先述した考え方に示した給付・サービスの充実、とりわけ仕事と子育ての両立や家庭における子育てを支える社会的基盤となる現物給付の実現に優先的に取り組む必要があり、これを支える効果的な財政投入が必要である。

※(参考) 本重点戦略の策定に向けた議論の過程で示された社会的コストの推計

(次世代育成支援の社会的コストは「未来への投資」)

○次世代育成支援の社会的コストは、これを単に社会的コストの増加としてとらえるのではなく、このコストを負担することにより、仕事と出産・子育ての両立が可能になることによる女性の労働市場参加の実現や、国民の希望する結婚や出産・子育ての実現を通じた将来の労働力人口の減少の緩和により大きなベネフィットが生まれるものであり、「未来への投資」と認識すべきものである。

○逆に、今、この社会的コストを負担しなければ、持続的な経済発展を支える労働力の確保ができず、結果的には国民経済の成長の制約という形で、将来、より大きな社会的なコストを負担することになるほか、例えば、育児の孤立化がさらに進み、児童虐待のリスクが増加するなど、より大きな問題につながることも懸念される。

○経済財政運営の見通しや社会保障の給付と負担の見通し、公的年金の財政検証などでは、女性の労働市場参加が実現することを前提として組み込んでいるが、その一方で、女性の労働市場参加と国民の希望する結婚・出産・子育ての実現を支えるための次世代育成支援の社会的コストの負担は各種の見通しには組み込まれていない。

○女性の労働市場参加の実現を前提に、今後の経済財政運営や社会保障を考えていくのであれば、働き方の見直しによる仕事と生活の調和の実現に向けた取組とあわせて、社会全体でこの次世代育成支援のためのコストを負担していくことが必要であり、女性の労働市場参加と未来の社会の担い手となる子どもの健やかな育成の基盤を整えることは、まさに「未来への投資」である。

(具体的な制度設計の検討)

○現行の次世代育成支援制度の費用は、国、地方公共団体の公費、企業の拠出金、労使折半の保険料により賄われており、現行の費用負担の構成は、おおむね公費8に対して労使の保険料等が2の割合となっている。

※(参考)現行の次世代育成支援の給付・サービスの費用構成

○今後、少子化対策の給付の充実に当たっては、諸外国と比較しても特に厳しい財政状況の下で、その費用を次世代の負担によって賄うことのないよう、必要な財源をその時点で手当てして行うことが必要である。

○以下に示すポイントも考慮して、

・仕事と生活の調和の実現と希望する結婚や出産・子育ての実現を支える給付・サービスを体系的かつ普遍的に提供し、

・必要な費用についてはこれを次世代の負担とすることなく、給付の性格や施策間の整合、連携を考慮しつつ、国、地方公共団体の公費負担、事業主や個人の子育て支援に対する負担・拠出の組合せにより支える

具体的な制度設計の検討について、直ちに着手の上、税制改革の動向を踏まえつつ速やかに進めるべきである。

《制度設計に当たって考慮すべきポイント》

:子どもの健やかな育成の観点から一定のサービスの質を担保すること

:子育て家庭の支援ニーズに対応して、現金給付と現物給付を適切に組み合わせ、きめ細かな対応を図ること

:事業主の取組と地方公共団体の取組を連結し、切れ目のない一体的な支援を実現すること

:現在の子育てをめぐる状況下では現金給付より現物給付の方が緊急性が高く、また、実施や普及に時間がかかることを考慮すること

:国が示す基本的な考え方の下、地方公共団体が地域の実情に応じて責任を持って事業を展開できるよう配慮すること

:子育ての当事者をはじめとする多様な主体の参画、行政とこれらの主体の協働を図ること

:関連する諸制度(税制等)との関係も総合的に考慮すること

:虐待を受けた子どもなど特別な支援を要する子どもや家庭に対する配慮を包含すること

(具体的な制度設計の検討とともに先行して実施すべき課題)

○包括的な次世代育成支援を図る制度設計の検討とともに、平成21年度までの現行の「子ども・子育て応援プラン」及び地方公共団体の次世代育成支援のための行動計画の見直しも視野に入れ、

・一定の質の確保された保育サービスの量的な拡大を可能にする提供手段の多様化のための家庭的保育の制度化、

・一時預かり事業や地域子育て支援事業の法律的な位置付けの明確化、

・地方公共団体や事業主が策定する次世代育成支援のための行動計画に基づく取組の推進のための制度的な対応

・家庭的養護の充実や社会的養護体制の計画的整備など社会的養護体制の充実

などの課題について、20年度において先行して実施すべきである。

4 利用者の視点に立った点検・評価とその反映

利用者の視点に立った点検・評価手法を構築するとともに、それを施策の改善につなげていくため、平成21年度までの現行のプラン※の見直しに当たって、利用者の視点に立った指標等を盛り込んで、定期的に点検・評価を行い、その結果を毎年度の予算編成、事業実施に反映させるPDCAサイクルを確立する。

※「子ども・子育て応援プラン」及び地方公共団体の次世代育成支援のための行動計画

(点検・評価の現状と今後の在り方)

○これまでの少子化対策の評価は、プランに掲げられた施策が計画どおり進捗しているかどうかを把握することが中心であり、利用者の視点に立脚した恒常的かつ持続的な点検・評価は行われてこなかった。

○少子化対策の推進の実効性を担保するためには、以下のような利用者の視点に立った点検・評価の導入を図る必要がある。

<1>結婚や出産・子育てに対する希望の実現度

妊娠・出産後の継続就業率を政策目標に関わる指標として導入するなど、結婚や出産・子育ての各ステージにおいて国民の希望がどの程度実現したかという点に着目した点検・評価

<2>利用者の多様性

利用者の多様性といった観点も考慮に入れ、幅広い層の利用者の声を聞くよう努めるなど、利用者の多様性に即した、きめ細かな点検・評価

<3>地域差

地域によるニーズの違いを前提にしつつ、利用者がそれぞれの生活圏で真に必要なサービスを受けられているかという視点に立った点検・評価

<4>支援策相互の連携

利用者が出産、子育て、あるいは子どもの成長の各ステージに応じて各支援策のメニューに容易にアクセスでき、これらを切れ目なく選択することができているかといった点に着目した点検・評価

<5>質と量の評価

サービスの量が確保されているかはもちろんサービスの質が十分に確保されているかという点にも着目した点検・評価

<6>支援策の周知と利用しやすさ

支援策の存在が十分に知られているか、利用者が気軽に利用できる状態になっているか等、制度の運用面に着目した点検・評価

○具体的には、以下のとおり、利用者の視点に立った点検・評価を導入する。

・結婚や出生行動に影響を及ぼしていると考えられる要素(経済的基盤、継続就業見通し、夫婦間の家事・育児分担等)に各種施策を対応させて施策体系を整理するとともに、現行プランの見直しに向け利用者の視点に立った新たな指標を導入する。

・そのために、既存統計の改善・工夫、利用者意向調査等の実施等、点検・評価手法の充実を図るとともに、これを実際の施策の改善につなげていくために、プランの目標を設定する段階から利用者の視点に立った指標等を盛り込み、定期的にこれらに基づいた点検・評価を実施し、その結果を毎年度の予算編成や事業実施、中期的なプランの策定という一連の過程に反映させる、PDCAサイクルの定着が重要である。

○利用者の視点に立った点検・評価の導入は、実施可能なものから着手し、より良い方法へ漸進させていくという柔軟な姿勢が必要であり、進捗状況を見守るための枠組みを設け、フォローアップを行うことが必要である。

おわりに ~支援策が十分に効果を発揮するための国民の理解と意識改革~

○次世代育成支援に係る施策の必要性やその効果について、一般に、また、施策の対象となる子育て世代においてさえも疑問視する声がある。各種の施策の効果的な展開に努めるとともに、将来に向けた「未来への投資」としての施策の必要性と有効性について、十分に国民に説明し、理解の浸透を図ることが必要である。

○さらに、各種施策が効果を発揮するには、施策の着実な実施とあわせて、生命を次代に伝え育んでいくことや、家族の大切さ、家族を支える地域の力が、これから子どもを生み育てていく若い世代や子どもたち自身に受け継がれ、自然に子育ての喜びや大切さを感じることができるよう、社会全体の意識改革のための国民運動を展開していく必要がある。


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