少子化対策

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1 障害のある子どもへの支援に取り組む

1)障がい者制度改革推進本部における取組

2009(平成21)年12月には、内閣に「障がい者制度改革推進本部」を設置し、その下で、障害のある方々を中心とする「障がい者制度改革推進会議」(以下「推進会議」という。)を開催することとし、「障害者の権利に関する条約(仮称)」の締結に必要な国内法の整備を始めとする我が国の障害者制度改革のための検討が進められた。

2010(平成22)年6月には、政府は推進会議が取りまとめた「障害者制度改革の推進のための基本的な方向」(第一次意見)を最大限尊重した形で改革の「工程表」を閣議決定し、さらに同年12月には、推進会議は障害者基本法(昭和45年法律第84号)の改正に当たって政府に求める事項等について、「障害者制度改革の推進のための第二次意見」を取りまとめた。

この中では、障害のある子どもについて、障害のない子どもと等しく人権が認められ、地域社会において必要な支援が提供されるための施策を講ずることや、障害のない子どもと等しく教育を受ける権利を有し、その権利の実現のためにインクルーシブな教育制度を構築することなどが、障害者基本法の改正に当たって政府に求める事項として示されている。

この「第二次意見」を踏まえ、政府は、障害者基本法について、障害のある児童生徒が障害のない児童生徒と共に教育を受けられるよう配慮することや、障害のある子どもが身近な場所で療育等の支援を受けられるようにすること等を盛り込んだ「障害者基本法の一部を改正する法律案」を2011(平成23)年3月に「障がい者制度改革推進本部」において決定した。

2)ライフステージに応じた一貫した支援の強化

地域において障害のある子どもとその家族を支えていく体制を整備するとともに、乳児期、就学期、学齢期、青年期、成年期などライフステージに応じて、保健・医療・福祉・教育・就労などの連携した支援を行うことが求められている。

このため、障害のある子どもに対しては、健康診査等によりできるだけ早期に障害を発見するとともに、児童福祉法に基づき、障害のある子どもに対し、治療や専門的療育を実施する児童福祉施設の整備及び機能強化を図り、療育体制を整備しているところである。

また、障害のある子どもには、その時々に応じて、保健・医療・福祉・教育・就労など様々な関係者が支援を行うことが必要であり、地域自立支援協議会の活用(子ども部会の設置)等により関係機関や関係者の連携システムを構築していく必要がある。

3)障害のある子どもの保育

障害のある子どもの訓練や居場所の確保のため、障害者自立支援法(平成22年法律第71号)等に基づく、日常生活における体の動作の訓練、集団生活を営むための訓練などを行う児童デイサービス、家族の休息などができるよう、障害のある子どもを一時的に預かって見守る日中一時支援事業等を実施しているところである。

また、障害のある子どもについては、保育所での受入れを促進するため、1974(昭和49)年度より、障害児保育事業において保育所に保育士を加配する事業を実施してきたが、事業開始より相当の年数が経過し、保育所における障害のある子どもの受入れが全国的に広く実施されるようになったため、2003(平成15)年度より一般財源化したところである(2009(平成21)年度実施か所数:7,376か所、対象児童11,113人)。

このほか、障害のある子どもを受け入れるにあたり、バリアフリーのための改修等を行う事業や、障害児保育を担当する保育士の資質向上を図るための研修を実施している。

また、幼稚園においても、特別支援教育コーディネーター4の指名などの支援体制を整備するための事業を実施するとともに、公立幼稚園において地方財政措置による特別支援教育支援員の配置を進めるなど、障害のある子どもの受入れ体制の整備促進を図っているところである。

  1. 「特別支援教育コーディネーター」とは、各学校における特別支援教育の推進のため、主に、校内委員会・校内研修の企画・運営、関係諸機関・学校との連絡・調整、保護者からの相談窓口などの役割を担う者をいう。

4)発達障害のある子どもへの支援の充実

発達障害児5支援については、2005(平成17)年4月に施行された発達障害者支援法(平成16年法律第167号)を踏まえ、発達障害者の乳幼児期から成人期までの各ライフステージに対応する一貫した支援の推進を図るため、保健、医療、福祉、教育、就労等の制度横断的な関連施策の推進に取り組んでいる。

2010(平成22)年度からは、発達障害者の子育て経験のある親がその経験を活かし、子どもが発達障害の診断を受けて間もない親等に対して相談にのったり、助言を行ったりするペアレントメンター活動の推進や、発達障害に係る理解を深めるとともに地域における支援につなげていくためのアセスメントツール(発達障害を早期発見し、その後の経過を評価するための確認票)の導入を促進する研修会の実施等により、地域における発達障害者に対する支援体制の充実を図ったところである。

  1. 「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥多動性障害などの脳機能の障害であり、通常、低年齢において発現するものである。また、発達障害を有するために日常生活又は社会生活に制限を受ける者のうち、18歳未満の者を「発達障害児」という。

5)特別支援教育の推進

障害のある子どもの教育については、2007(平成19)年4月に改正学校教育法(平成19年法律第98号)が施行され、障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに応じて適切な指導及び必要な支援を行うという理念の下、特別支援教育制度に転換された。本改正により、小・中学校等においても、発達障害を含む障害のある子どもに対する特別支援教育を推進することが法律上明確に規定された。この新しい特別支援教育制度の下、障害のある子どもは、その障害の状態等に応じ、特別支援学校や小・中学校の特別支援学級、通級による指導等において、一人一人の教育的ニーズに応じた教育を受けている。

この特別支援教育制度への転換や、社会の変化や子どもの障害の重度・重複化、多様化等に対応した教育課程の基準の改善として、2009(平成21)年3月に特別支援学校の学習指導要領等を改訂し、

<1>障害の重度・重複化、多様化への対応、

<2>一人一人に応じた指導の充実、

<3>自立と社会参加に向けた職業教育の充実に関する内容

などを盛り込んだ。

また、2008(平成20)年及び2009年3月に改訂した幼稚園、小・中・高等学校の学習指導要領等についても、障害の状態等に応じた指導内容・方法の工夫を計画的、組織的に行う旨を規定するなど、特別支援教育に関する記述を充実したところである。

また、これらの制度改正等の趣旨を踏まえ、障害のある子どもに適切な指導や必要な支援を行うためには、特別支援教育にかかわる教員の専門性の向上や、各学校における支援体制の整備を一層充実していくことが重要な課題である。このため、大学への委託により特別支援教育に関する研修を実施し、特別支援教育にかかわる教員の専門性の向上に取り組むとともに、「特別支援教育総合推進事業」等の各種事業の実施や、障害のある子どもの学校における生活介助・学習支援等のサポートを行う「特別支援教育支援員」の配置に関する地方財政措置の拡充、また、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所における研究、研修、「発達障害教育情報センター」による情報提供等を通じて、特別支援教育の推進を図っている。

現在、インクルーシブ教育システムの構築という障害者の権利に関する条約の理念を踏まえた特別支援教育の在り方について検討を行うため、中央教育審議会の「特別支援教育の在り方に関する特別委員会」において審議が行われている。2010(平成22)年12月には同特別委員会の論点整理が取りまとめられたところであり、今後は、これらの審議等も踏まえ、特別支援教育の充実を図っていくこととしている。

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