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少子化対策

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2 企業等における取組の「見える化」によりもう一段の取組を推進する

1)企業経営者等の意識変革

企業における仕事と生活の調和を推進するためには、経営幹部のリーダーシップによる取組が必要である。2010(平成22)年9月には、仕事と生活の調和を実現するために必要となる仕事の進め方の効率化について、「企業トップからの強いメッセージの発信」などのノウハウをまとめた「ワーク・ライフ・バランスのための仕事の進め方の効率化に関する調査」の報告書を公表するとともに、企業向けの啓発パンフレット「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた3つの心構えと10の実践」を作成した。

また、企業が取組を進める上で必要となるノウハウや好事例についての情報を提供するため、各企業の仕事と生活の調和担当者を対象にメールマガジンを配信し、企業内部における取組の促進を図っている。

2)一般事業主行動計画(次世代育成支援対策推進法)の策定・公表の促進

次世代を担う子どもたちが健やかに生まれ育つ環境をつくるために、次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号。以下「次世代法」という。)に基づき、国、地方公共団体、事業主、国民がそれぞれの立場で次世代育成支援を進めており、2008(平成20)年12月に、地域や企業の更なる取組を促進するため、同法が改正された。

この改正法の施行により、2011(平成23)年4月1日からは、労働者の仕事と子育ての両立支援に関する一般事業主行動計画(以下「行動計画」という。)の策定、都道府県労働局への届出、行動計画の公表及び従業員への周知が義務づけられる企業の範囲が、従業員301人以上の企業から、101人以上企業へ拡大することとなった。厚生労働省では、次世代育成支援対策推進センターや地方公共団体等と連携し、多くの企業において行動計画の策定・届出が行われるよう周知・啓発を強化した。

さらに、改正法が施行されるまでの間、特に新たに行動計画の策定・届出が義務となる企業を支援するために、「中小企業一般事業主行動計画策定推進2か年集中プラン」として、都道府県労働局において新たに行動計画の届出が義務となる企業に対する個別企業訪問等の支援事業を実施し、円滑な施行に向けた支援を実施したところである。

3)次世代認定マーク(くるみん)の周知・取組促進

働き方の見直しによる仕事と生活の調和を実現するために、企業の取組に対する期待はますます高まっている。

次世代法では、行動計画を策定・実施し、その目標を達成するなど一定の要件を満たした企業は、「子育てサポート企業」として厚生労働大臣(都道府県労働局長へ委任)の認定を受け、「くるみんマーク」(第2‐4‐4図)を使用することができるとされており、改正法の周知・啓発とあわせ、次世代法に基づく認定の取得促進を図った。

第2-4-4図 認定マーク「くるみん」

4)顕彰制度等による積極的取組企業の社会的な評価の推進

企業における「仕事と家庭の両立のしやすさ」を示す両立指標を活用して、仕事と育児・介護とが両立できる様々な制度を持ち、多様でかつ柔軟な働き方を労働者が選択できるような取組を行うファミリー・フレンドリー企業の普及を促進している。

また、インターネットで両立指標の設問に答えると、自社の「仕事と家庭の両立のしやすさ」を点検・評価することができるファミリー・フレンドリー・サイト(http://www.familyfriendly.jp/)や両立支援に積極的に取り組んでいる企業の行動計画等を掲載したサイト「両立支援のひろば」(http://www.ryouritsushien.jp/)を運用し、仕事と家庭の両立に向けた自主的な取組を促している。

さらに、ファミリー・フレンドリー企業に向けた取組を積極的に行っており、かつその成果があがっている企業に対し、「均等・両立推進企業表彰」を実施し、その取組を讃え、広く周知することにより、労働者が仕事と家庭を両立しやすい職場環境の整備を促進している。

第2-4-5表 均等・両立推進企業表彰受賞企業一覧

5)入札手続等における対応

仕事と生活の調和等の企業の取組を推進するため、内閣府では2010(平成22)年度より、ワーク・ライフ・バランスや男女共同参画に関連する調査について、一般競争入札総合評価落札方式により入札を行う際に、ワーク・ライフ・バランス等に積極的に取り組む企業を評価できるような仕組みを導入した。

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現に影響を与える生活環境

働き方と同様に、個人の生活環境もワーク・ライフ・バランスに影響を与える。内閣府が実施した意識調査(※)によると、例えば育児に対するサポートやサービスが個人のワーク・ライフ・バランスや、将来子どもをもちたいとの意向に影響する可能性があることが分かった。


まず、育児に対する配偶者からのサポート、及び育児に対する行政の制度や民間のサービスの利用可能性が、未就学児と同居する既婚女性の育児の負担感を軽減する状況について図1、図2に示した。

図育児に対する負担感(既婚女性(未就学児と同居))(1)・(2)

育児に対する配偶者からのサポートは、未就学児と同居する既婚女性の配偶者との間の関係に良い影響を与えることが考えられる。図3によると配偶者から育児に対するサポートを受けている、あるいは受けられる可能性が高い場合に、「配偶者は自分のことを理解してくれている」と感じる人が多く、この場合には、「私生活に対する満足度」や「生活全体についての満足度」を高め、また、「将来子どもをもちたい」との意向も高くなる傾向がみられる(図4)。

図3「配偶者は自分のことを理解してくれている」か(既婚女性(未就学児と同居))、図4「今後子どもを(もっと)持ちたいと思う」か(既婚女性(未就学児と同居))

また、未就学児と同居する既婚女性のうち職業を持つ人のサンプル数は少ないものの(N=65)、「育児に対する安心できるサービスや支援」が利用可能または利用できる可能性が高いと答えた人は、仕事に対する満足度が高くなる傾向にあり(図5)、育児支援の充実は生活の分野だけでなく仕事にも良い影響がある可能性がある。さらに、生活全体の満足度も高い傾向がみられる(図6)。また、未就学児と同居する既婚男性の育児(子どもの幼稚園・保育園等への送迎、育児・子どもの世話に、平日少なくとも10分は関わる)を促す影響がある可能性がある(図7)。

図5 仕事に対する満足度(既婚女性(未就学児と同居かつ有業))、図6 生活全体に対する満足度(既婚女性(未就学児と同居かつ有業))

なお、このような育児に対するサポートや支援は、現在子育て中の人に対してだけでなく、現在子どもをもたない人が将来子どもをもとうとする意向への影響を与えることも考えられる(図8)。

図7 子どもの送迎、子どもの育児・世話の状況(平日少なくとも10分は関わる)、図8 今後子どもを(もっと)持ちたいと思うか(既婚女性(子どもなし))

このように、例えば子育てに対するサポートやサービスの充実は、個人の生活に対する満足度だけでなく、仕事や、生活全体に対する満足を高めたり、将来子どもをもとうとする意向を直接・間接に高めるような影響を与えることが考えられる。夫の育児等への促進を図りながら、育児に対する安心できるサービスの更なる充実が求められる。

(※)「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現に影響を与える生活環境に関する意識調査(2011年2月調査)」
●調査対象:全国20歳以上60歳未満の男女2,500人(地域別・性年代別人口構成比で割付)
●調査方法:調査会社の登録モニターに対するインターネット調査
●調査期間:平成23年2月25日~3月4日

企業における先進的取組事例
‐ 企業による子育て支援、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)のための仕事の進め方の効率化 ‐

仕事と生活の調和を推進するには、仕事を頑張る時間と休む時間をしっかり区別して、メリハリのある働き方をすることが重要である。このメリハリのある働き方を実践するために、多くの企業で仕事の効率化を目指した取組がひろがっている。内閣府が2009(平成21)年度に実施した「ワーク・ライフ・バランスのための仕事の進め方の効率化に関する調査」より、企業による取組事例を紹介する。

がんばるタイムの設定

兵庫県に本社を置く企業(自動車用電子機器の製造・販売)では、毎週水曜日の午前中をCC-Time(CCはコミュニケーション&コンセントレーション(集中)の意)として設定している。CC-Timeには、<1>部を超える会議・打合せの禁止、<2>原則として、幹部社員は在席し、出張も禁止、<3>電話やメールの発信も極力避ける、をルールにしている。CC-Timeの使い方は職場ごとに異なり、幹部社員とのFace to Faceのコミュニケーション、職場力の向上活動推進、個人業務への集中(知的生産性向上)など、様々な目的で活用している。

会議時間の設定

千葉県に本社を置く企業(人材総合サービス事業)では、会議を開く際、会議内容に合った時間(「15分・30分・60分、最長90分まで」)をあらかじめ決めておくことをルールにしている。これにより、会議の内容や進行を十分整理してから会議に臨むようにしている。

資料の削減

東京都に本社を置く企業(システム開発)では、社内会議のためだけの資料を作成することを禁止している。例えば、会議では、工程表など現場が普段から使っている資料を流用することにした。経営トップが「資料が多い」などと指摘し後押ししたことによる効果もあり、無駄な資料が大幅に削減されるとともに、副次的な効果として資料の質が向上した。

仕事の見える化

兵庫県に本社を置く企業(自動車用電子機器の製造・販売)では、職場内のメンバーが、それぞれどのような仕事が多いのか、どのくらいの業務量を持っているかを全員で共有するため、仕事の「見える化」を行っている。具体的には、各人が週ごとの作業予定を付箋紙に書き、模造紙に貼り付けていく。ひとつの付箋紙には2時間程度の作業を書くことにしている。それをメンバー全員で見て、業務量に偏りがある場合には、メンバー間で話し合い、業務の再配分を行っている。

長時間残業に関する議論

東京に本社を置く企業(ソフトウェア開発・販売)では、「長時間労働を認めない」という社長方針のもと、経営幹部が参加する毎月の経営会議で、長時間残業者および上長の名簿を報告して、今後の対策や残業縮減計画などを議論している。また、翌月の会議で対策実施後の効果を確認している。

仕事の効率化術の共有

東京に本社を置く企業(出版・メディア・人材総合サービス事業)では、パソコンの使い方や、時間の使い方、ノートのとり方等に関するちょっとした仕事の効率化術を社員から収集した。例えば、スキャナーを使わなくてもコピー機でPDFファイルを作成できることなど、簡単に仕事の効率が上がるにもかかわらず、知らないがために使われていない効率化術を冊子にまとめ、社員に配布した。

多能工化

神奈川県に本社を置く企業(温度制御に使われるサーモ・モジュール(ペルチェ素子)の素材などの開発・製造・販売)では、直接部門(製品の生産に直接携わる部門)で、自らの担当する工程に関する技能だけではなく、他の工程に関する技能を習得し、代行できるようにする(多能工化)ことで、急な人員不足や生産量の変動に備えている。このような多能工化による人材の柔軟性向上が休暇の取得しやすさにつながっている。同様に間接部門でも、例えば生産管理を担当する部門では自らの担当業務以外の他の担当業務もこなせるようにして、多能工化を実現している。

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