少子化対策

3 幼保一体化

1)基本的考え方

新システムでは、すべての子どもの健やかな育ちと、結婚・出産・子育ての希望がかなう社会を実現するため、<1>質の高い幼児期の学校教育 ・保育の一体的提供、<2>保育の量的拡大、<3>家庭における養育支援の充実の三点を目的とする幼保一体化を推進することとしており、具体的には、以下の給付システムの一体化と施設の一体化を行う。

(1)給付システムの一体化

・市町村が、地域における学校教育・保育の需要を始め、子ども・子育てに係る需要の見込み及び提供体制の確保について市町村子ども・子育て支援事業計画を策定し、地域における学校教育・保育を計画的に整備する

・指定制度を導入し、質の確保のための客観的基準を満たした施設や事業者について指定を行い公的財政措置の対象とすることにより、多様な事業主体の保育事業への参入を促進し、質の確保された保育の量的拡大を図る

・学校教育・保育に係る給付を一体化したこども園給付を創設し、学校教育・保育に関する財政措置に関する二重行政の解消及び公平性の確保を図る

(2)施設の一体化

・学校教育・保育及び家庭における養育支援を一体的に提供する総合こども園を創設する

2)指定制度の導入

新システムでは指定制度を導入し、質の確保のための客観的な基準を満たすことを要件に、認可外施設を含めて参入を認め、株式会社、NPO等の多様な事業主体の参入を認める。これにより、保育の量的拡大を図るとともに、あらかじめ市町村が質が確保されていることを確認したメニューの中から利用者がニーズに応じて多様な施設や事業を選択できる仕組みとする。指定については、現行の幼稚園・保育所等の基準を基礎として、人員配置基準・面積基準等、客観的な基準を定め、適合すれば原則として指定を行うことで透明性を確保する。

施設・事業については継続的な運営を基本とするが、やむを得ず撤退する場合には3ヶ月以上の予告期間を設けて指定辞退の事前届出を行わせ、利用している児童が他の施設等で継続的に必要な教育・保育が提供されるようにするための調整義務を施設・事業者に課すこととする。また、質の確保の観点から、指定については5年ごとに更新する。

指定制度においては、指定基準を満たす施設については、すべて指定するが、市町村が策定する市町村子ども・子育て支援事業計画における需要見込み量を超えた供給がなされている場合など、施設数が過大となっている場合には新規の指定や更新を行わないことができる仕組みとする。

3)こども園給付の創設

総合こども園、幼稚園、保育所、それ以外の客観的な基準を満たした施設について、こども園として指定を行い、学校教育・保育に係る給付を一体化したこども園給付の対象とする。

こども園の指定基準については、国が定める基準を踏まえ、指定権限を有する市町村が定めることとする。

こども園給付の給付構成としては

・満3歳以上の幼児に対する標準的な教育時間及び保護者の就労時間等に応じた保育に対応する給付

・満3歳未満児の保護者の就労時間等に応じた保育に対応する給付

とし、質の確保・向上が図られた学校教育・保育を提供するために必要な水準の給付をすべての子どもに保障するため、公定価格とする。公定価格の具体的な設定については、制度の施行までに検討を行う。

第1-1-13図 多様な保育事業の量的拡大(指定制度の導入)

4)地域型保育給付の創設

こども園の利用者を対象とするこども園給付に加え、以下の保育事業を地域型保育事業として、この利用者を地域型保育給付の対象とし、多様な施設や事業の中から利用者が選択できる仕組みとする。

・小規模保育(利用定員6人以上19人以下)

・家庭的保育(利用定員5人以下)

・居宅訪問型保育

・事業所内保育(その事業所の従業員の子どもに保育を提供するほか、地域において保育を必要とする子どもにも保育を提供)

これは待機児童が都市部に集中し、また待機児童の大半が満3歳未満の児童であることを踏まえ、小規模保育等の量的拡充により待機児童の解消を図るとともに、一般市町村においても、放課後児童クラブ、地域子育て支援拠点、一時預かりなどを併設することにより、地域の多様なニーズに対応が可能となる。また郡部などの人口減少地域などでも、地域コミュニティの子育て支援の拠点の維持・確保にもつながる。

5)総合こども園の創設

幼保一体化のうち施設の一体化として、学校教育・保育及び家庭における養育支援を一体的に提供する総合こども園を創設する。総合こども園には法律上の学校及び児童福祉施設の位置付けを付与し、学校としての基準(学級担任制、面積基準等)と児童福祉施設としての基準(人員配置基準、給食の実施等)を併せ持つ基準を適用することで、質の高い学校教育・保育を保障することとし、その具体的制度設計については、現行の幼稚園制度及び保育所制度の双方に求められる質の水準を基本とする。

また、総合こども園における指導・援助の要領として「総合こども園保育要領」を定める。

総合こども園においては、

<1> 満3歳以上児の受入れを義務付け、標準的な教育時間の学校教育をすべての子どもに保障する。また、保育を必要とする子どもには、学校教育の保障に加え、保護者の就労時間等に応じて保育を保障する

<2> 保育を必要とする満3歳未満児については、保護者の就労時間等に応じて保育を保障することとする。なお、満3歳未満児の受入れは義務付けないが、財政措置の一体化等により、満3歳未満児の受入れを含め、幼稚園及び保育所等の総合こども園への移行を促進する。

また現行の保育所(満3歳未満児のみを保育するいわゆる乳児保育所を除く。)については、小学校就学前のすべての子どもに学校教育を保障する観点から、本格施行から一定期間の後に、すべて総合こども園に移行することとする。

第1-1-14図 総合こども園の創設

6)行政が関与した利用手続き

こども園給付等については、保護者に対する個人給付を基礎とし、確実に学校教育・保育に要する費用に充てるため、市町村から施設・事業者に支払う法定代理受領を可能とする仕組みとする。

また、例外のない保育の保障の観点から、市町村が国の定める客観的基準に基づき、利用者の保育の必要性を認定する仕組みとする。

契約については、保育の必要性の認定を受けた子どもと受けない子どものいずれについても、市町村の関与の下、保護者が自ら施設を選択し、保護者が施設と契約する公的契約とするが、公的契約については、正当な理由がある場合を除き、施設に応諾義務を課す。

定員以上に応募がある場合は選考が必要となり、施設は、国が定める選考基準に基づき選考を行うものとする。なお、保育の必要性の認定を受けない子どもについての選考においては、施設の設置者が定める選考基準(選考方法)に基づき選考することを基本とする。

新システムでは保護者が選択した施設・事業者に利用を申し込むことを基本とするが、円滑な利用がなされるよう市町村が関与を行う。

具体的には、市町村が管内の施設・事業者の情報を整理し、子育て家庭に広く情報提供し、相談に対応し、必要な助言を行うことや、要保護児童、障害児等の特別な支援が必要な子どもなど、あっせん(市町村による、利用可能な施設との契約の補助)等による利用が必要と判断される場合には、市町村が、関係機関とも連携して利用調整を行い、利用可能な施設・事業者のあっせんを行うほか、必要に応じて、その施設・事業者に対して子どもの利用の要請を行う。

市町村は、計画的な基盤整備により保育需要が供給を上回る状態を解消する取組を強力に推進することが制度の前提であるが、当面の保育需要が供給を上回る場合の対応として、特別な支援が必要な子どもなど、優先利用の対象となる子どもについて、市町村が利用調整を行い、利用可能な施設・事業者をあっせん等を行うとともに、それ以外の子どもについては、保護者が市町村に利用希望を提出し、市町村が利用調整を行い、利用可能な施設・事業者をあっせん等する。

また、保育の利用が必要と判断されるにもかかわらず、保護者が進んで保育の利用をしない場合など、契約による利用が著しく困難と市町村が判断した場合には、その子どもについて、市町村が施設に対して措置する(措置による入所・利用)こととする。

新システムにおいては、現行の保育制度における保護者が市町村と契約する仕組みから、保護者が施設と契約する仕組みへと変わるものの、利用者負担の確実な支払いが担保される必要性は従来と変わらないため、改正後の児童福祉法第二十四条に規定される市町村の責務も踏まえ、利用者負担の支払いに関して確実な支払いを担保する仕組みを設けることとする。

第1-1-15図 新たな制度における行政が関与した利用手続き

第1-1-16図 市町村の関与の具体的仕組み

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