少子化対策

4 結婚、出産、子育てをめぐる状況

結婚に対する意識

国立社会保障・人口問題研究所が実施した「第14回出生動向基本調査結婚と出産に関する全国調査(独身者調査)」(2011(平成23)年)によると、第1‐2‐17図のとおり、いずれは結婚しようと考える未婚者の割合は、男性は86.3%、女性は89.4%と、依然として高い水準にある。しかし、「一生結婚するつもりはない」とする未婚者は第9回調査以降、男性、女性ともに緩やかな増加傾向にあり、男性9.4%、女性6.8%となり、独身志向を表す未婚者が増えた形となっている。

第1-2-17図 調査別にみた、未婚者の生涯の結婚意思

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また、結婚することに利点があると感じている未婚男性は、第1‐2‐18図のとおり、第9回調査の69.1%から、緩やかに減少する傾向にあり、前回の第13回調査でやや増えたが、今回再び減少して62.4%となった。女性では第9回調査以降7割前後を推移してきたが、第13回調査からやや増えており、今回は75.1%となっている。一方、独身生活に利点があると考えている未婚者は男性で8割前後、女性で9割弱と高い割合を維持しており、今回調査でも男性は81.0%、女性は87.6%となっている。

第1-2-18図 調査別にみた、未婚者の結婚の利点・独身生活の利点に対する考え

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結婚することの具体的な利点としては、第1‐2‐19図のとおり、男女とも「子どもや家族をもてる」を挙げる人が第9回調査から増加傾向であり、第14回調査においては、男性では「精神的安らぎの場が得られる」(32.3%)を抜いて33.6%とはじめてトップの項目となった。一方で、「社会的信用や対等な関係が得られる」、「生活上便利になる」については、第9回調査から減少傾向である。また、女性では、「子どもや家庭をもてる」「経済的余裕がもてる」は第9回調査から増加傾向である。

第1-2-19図 調査別にみた、結婚することの利点

一方で、「結婚することを考えたとき気になること」、については、第1‐2‐20図のとおり、男女ともに主に「自分の生活リズムや生活スタイルを保てるか」(男性48.7%、女性60.5%)「余暇や遊びの時間を自由に取れるか」(男性46.7%、女性51.1%)「お金を自由に使えるか」(男性46.1%、女性46.5%)について気になると考えている。女性は総じて男性の割合に比べて高い割合となっており、特に「仕事(または学業)の時間を自由に取れるか」が31.7%(男性17.5%)、「ファッションや食物などの好みが制約されないか」が24.9%(男性12.3%)となっている。

第1-2-20図 年齢別にみた、結婚を考えたとき気になること

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さらに、未婚者に対して独身にとどまっている理由をたずねたところ、第1‐2‐21図のとおり、18~24歳では「まだ若すぎる」(男性47.3%、女性41.6%)、「まだ必要性を感じない」(男性38.5%、女性40.7%)、「仕事(学業)にうちこみたい」(男性35.4%、女性39.4%)など、結婚するための積極的な動機がないという「結婚しない理由」が多く挙げられている一方、25~34歳では、「適当な相手にめぐり会わない」(男性46.2%、女性51.3%)を中心に、結婚の条件が整わないという「結婚できない理由」へ傾向が変化している。しかし、「結婚しない理由」のうち、「必要性を感じない」(男性31.2%、女性30.4%)、「自由さや気楽さを失いたくない」(男性25.5%、女性31.1%)について、独身にとどまっている理由としてあげた25~34歳の未婚者は多い。25~34歳の男性では、「結婚資金が足りない」をあげた割合(30.3%)が、女性(16.5%)に比べ高くなっている。

第1-2-21図 調査・年齢別にみた、独身にとどまっている理由

また、結婚する意志のある未婚者が結婚相手に求める条件としては、男女とも「人柄」を重視または考慮する人が最も多い(男性95.1%、女性98.2%)。次いで、男性は「家事の能力」(93.1%)、「仕事への理解」(89.0%)、「容姿」(82.4%)などとなっている一方、女性は「家事の能力」(96.4%)、「経済力」(93.9%)、「仕事への理解」(92.7%)、「職業」(85.8%)となっている。

女性では、男性よりも「経済力」「職業」を考慮・重視する割合(「経済力」(男性38.7%、女性93.9%)、「職業」(男性43.4%、女性85.8%))が高い。そのうち「経済力」を「重視する」割合は第12回調査の33.9%から42.0%、「職業」を「重視する」割合は22.6%から31.9%と増加している。

また、男性でも、「経済力」を考慮・重視する割合が、第12回調査の29.5%から38.7%と増加している。

第1-2-22図 調査別にみた、結婚相手の条件として考慮・重視する割合の推移

出産に対する意識

国立社会保障・人口問題研究所が実施した「第14回出生動向基本調査結婚と出産に関する全国調査(夫婦調査)」(2011(平成23)年)によると、第1‐2‐23図のとおり、夫婦にたずねた理想的な子どもの数(平均理想子ども数)は、前回の第13回調査に引き続き低下し、調査開始以降最も低い2.42人となった。また、夫婦が実際に持つつもりの子どもの数(平均予定子ども数)も、初めて2.1を下回り、2.07人となっている。

第1-2-23図 調査別にみた、平均理想子ども数と平均予定子ども数の推移

第1-2-24図 妻の年齢別にみた、理想の子ども数を持たない理由

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第1-2-25図 妻の年齢別にみた、予定子ども数を実現できない可能性の理由

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理想の子ども数を持たない理由として、最も多いのが、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(60.4%)であり、年代別にみると、若い世代ほど割合が高くなる傾向がみられる。次に多いのが、「高年齢で生むのはいやだから」(35.1%)であり、年代別にみると、年代が高くなるほど、割合が高くなる傾向がみられる。

また、今後子どもを生む予定がある夫婦に、予定の子ども数を実現できない可能性の理由についてたずねたところ、妻が30歳未満の層では「収入が不安定なこと」(43.6%)、30~34歳の層、35歳以上の層では「年齢や健康上の理由で子どもができないこと」(それぞれ39.7%、65.3%)が、それぞれ最も高く、年代によって傾向に大きな違いがみられる。

若い世代の所得の伸び悩み

20代、30代といった子育て世代の所得分布をみると、第1‐2‐26図のとおり、20代では、1997(平成9)年には年収が300万円台の雇用者の割合が最も多かったが、2007(平成19)年には200万円台前半の雇用者が最も多くなっている。また、30代では、1997年には年収が500~699万円の雇用者の割合が最も多かったが、2007年には300万円台の雇用者が最も多くなっている。このように子育て世代の所得分布は、この10年間で低所得層にシフトしていることがわかる。

第1-2-26図 子育て世代の所得分布

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また、生活保護世帯に占める世帯主が39歳以下である生活保護世帯数の割合は2009年で9.0%となっている。

第1-2-27図 世帯主が39歳以下の被保護世帯数

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第1-2-28図 世帯主の年齢階級別被保護世帯率

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(参考) 世帯主の年齢別被保護世帯割合

世帯主の年齢別被保護世帯割合(CSV形式:3KB)別ウインドウで開きます

就労形態などによる家族形成状況の違い

若年者の雇用をめぐる環境をみると、第1‐2‐29図のとおり、完全失業率及び非正規雇用割合ともに、全年齢計を上回る水準で推移している。また、第1‐2‐30図のとおり、非典型雇用者の有配偶率は低く、30~34歳の男性においては、非典型雇用の人の有配偶率は正社員の人の半分程度となっているなど、就労形態の違いにより家庭を持てる割合が大きく異なっていることがうかがえる。

第1-2-29図 若年者の完全失業率と非正規雇用割合

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第1-2-30図 就労形態別配偶者のいる割合(男性)

就労形態別配偶者のいる割合(男性)(CSV形式:2KB)別ウインドウで開きます

また、第1‐2‐31図のとおり、内閣府が実施した「結婚・家族形成に関する調査」(2011年)によると、既婚者(結婚3年以内)の割合を年収別に20代、30代の男性についてみると、300万円未満では8~10%である一方、300万円以上の各階層は25~40%となっており、300万円を境に大きな差がみられる。

第1-2-31図 既婚者の割合(男性、年収階層別)

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これらのことから、結婚に対する個人の希望を実現できる社会に向け、若者に対する就労支援が求められていることがわかる。

依然として厳しい女性の就労継続

女性の就労をめぐる環境をみると、第1‐2‐32図のとおり、出産前に仕事をしていた女性の約6割が出産を機に退職している。また、女性の育児休業利用者の割合は堅調に推移しているものの(2011(平成23)年は87.8%)、育児休業を取らずに就業を継続している女性の割合も考慮すると、出産前後で就労継続をしている女性の割合は、この20年間ほとんど変化していない。

第1-2-32図 子どもの出生年別、第1子出産前後の妻の就業経歴

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また、第1‐2‐33図のとおり、出産を機に退職した女性の約4分の1が、仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立が難しいという理由で仕事をやめている。このことから出産に伴う女性の就労継続は依然として厳しいことがうかがえる。

第1-2-33図 妊娠・出産前後に退職した理由

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子育て世代の男性の長時間労働

第1‐2‐34図のとおり、男性について週60時間以上の長時間労働をしている人は、どの年代においても、2005(平成17)年以降減少傾向にある。しかしながら、子育て期にある30代男性については、約5人に1人が週60時間以上の就業となっており、他の年代に比べ最も高い水準となっている。

第1-2-34図 子育て世代の男性の長時間労働

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加えて、育児時間を国際比較してみると、6歳未満の子どもをもつ夫の育児時間は、1日平均約30分程度しかなく、欧米諸国と比較して半分程度となっている。家事の時間を加えても、我が国の子育て期の夫の家事・育児にかける時間は1日平均1時間程度となっており、欧米諸国と比べて3分の1程度となるなど、男性の育児参加が進んでいないことがわかる。

未婚男性の結婚・仕事に関する意識調査

我が国の出生率が長期的に低下傾向で推移している背景には、未婚化や晩婚化・晩産化の進展があると指摘されており、特に男性の未婚者が急増していることも一因である。内閣府経済社会総合研究所が実施した意識調査(※1)によると、未婚男性でも、結婚希望が高い人や具体的に結婚後の生活を描いている人ほど、将来子どもを持ちたいと希望している傾向があることが分かった。

(結婚希望が高い人、結婚相手の人生について具体的なイメージを持つ人ほど子どもを欲しい人の割合が高い)

図1によると、正社員、非正社員(※2)ともに「結婚したい」「なるべく結婚したい」と、結婚を希望している人ほど、子どもを「絶対欲しい」「欲しい」と考えている人の割合が高い傾向がみられる。特に、「結婚したい」人では、子どもを「絶対欲しい」「欲しい」と考えている人が、正社員でも非正社員でも9割弱と高い割合である。

【図1】結婚希望と子どもの希望についてのクロス集計

また、図2から、正社員、非正社員ともに、結婚相手となる人の人生について、「子を持ち継続就業」「子を持ち再就職」と具体的なイメージを持っている人の方が、「特に思うことなし」と考えている人と比較して、子どもを「絶対欲しい」「欲しい」と考えている人の割合が高い。

【図2】結婚相手の人生と子どもの希望についてのクロス集計

(交際女性ありの男性の方が、結婚後の相手の人生を具体的に考えている)

交際している女性と結婚相手の人生についての調査結果では、図3に示すように、正社員、非正社員ともに、「交際している女性はいない」と回答した人の方が、結婚相手の人生について「特に思うことはない」と答えている人の割合が高い。

【図3】交際している女性と結婚相手の人生についてのクロス集計

交際している女性がいる人の方が、結婚を考えている、いないにかかわらず、結婚相手の人生として、「子どもを持つが、仕事は続ける」「子どもを持つが、結婚や出産を機会にいったん退職し、子どもがある程度大きくなったら再び仕事を持つ」と考える人が多い。

この結果から、結婚に近い位置にあるとみられる未婚男性(結婚したいと思って交際中、または結婚予定の女性がいる)の方が、具体的に子どもを持った後も、継続就業または再就職を望んでいる人の割合が高いことから、結婚後も夫婦共働きが可能となるような環境整備が求められていると考えられる。

(※1)「未婚男性の結婚・仕事に関する意識調査」

内閣府経済社会総合研究所少子化ユニット実施(平成23年)

・調査対象:全国(岩手県、宮城県、福島県を除く)20歳以上55歳未満の未婚男性10,072人(雇用形態別・年代別で割付)

・調査方法:委託調査会社及び提携会社の登録モニターに対するインターネット調査

・調査期間:平成23年9月9日~10月14日

(※2)

・本調査でいう正社員:雇用形態として、一般職員又は正社員などと呼ばれている人。(会社員、公務員、教職員、団体職員を含む。)

・本調査でいう非正社員:雇用形態として、「契約社員・嘱託」「派遣社員、業務請負会社の社員」「パート・アルバイト」を選んだ人。

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