少子化対策

付録3 子ども・子育て新システムに関する基本制度

平成24年3月2日

少子化社会対策会議決定

子どもは社会の希望であり、未来をつくる力である。


子どもが、それぞれの個性と能力を十分に発揮すること、人の気持ちを理解し互いを認め合い、共に生きることができるようになること、このような子どもの健やかな育ちは、子どもの親のみならず、今の社会を構成するすべての大人にとって、願いであり、また喜びである。

幼児期の学校教育・保育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う、極めて重要なものである。そして、子どもの健やかな育ちは、我が国にとっての最大の資源である「人」づくりの基礎であり、子どもの育ちと子育てを支援することは、未来への投資でもある。

親の経済状況や幼少期の成育環境によって格差が生じることがないなど、子どもの最善の利益を考慮し、幼児期の学校教育・保育のさらなる充実・向上を図るとともに、すべての子どもが尊重され、その育ちが等しく確実に保障されるよう取り組まなければならない。


他方、子どもの育ちや子育てをめぐる環境の現実は厳しい。非正規労働者の増加などの雇用基盤の変化、核家族化や地域のつながりの希薄化による家庭や地域の子育て力・教育力の低下により、若者が雇用など将来の生活に不安を抱き、結婚や出産に関する希望の実現をあきらめ、子育て当事者が悩みを抱えながら苦労している。

子育てとは本来、日々成長する子どもの姿を通じて親に大きな喜びや生きがいをもたらす営みである。親が子育ての充実感を得られるなど「親としての成長」を支援していく必要がある。

さらに、仕事と子育て・家庭の両立が図られるよう、ワーク・ライフ・バランスを推進していく必要がある。これと合わせて、子ども・子育て支援を質量ともに充実させることにより、家庭を築き、子どもを生み育てるという希望がかなえられる社会を実現していかなければならない。


そのためには、子育てについての第一義的な責任が親にあることを前提としつつ、かつては家族や地域が担っていた子育てに関する支え合いの機能や、企業による日本型の生活保障機能が低下していることを踏まえ、こうした子ども・子育てを支える機能を新しい形で再生させる必要がある。こうした機能の再生は、地域社会そのものの再生にも大きく寄与する。


昨年の東日本大震災においては、子どもと大人、被災者と支援者など、地域の中あるいは地域を超えた様々な人と人とのつながり、地域の人々の参画と助け合いの大切さが再認識されている。

子ども・子育て支援についても、こうした助け合いの気持ちを確かなものとして国民が共有し、子どもの育ちと子育てを皆で支える新たな絆の仕組みを構築しなければならない。


上記の理念を踏まえ、これまで子ども・子育て新システム検討会議作業グループの下でワーキングチームが開催され、「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱(平成22年6月29日少子化社会対策会議決定)」に掲げられた幼保一体化(こども園(仮称))等の基本的方向性を踏まえて議論を重ね(基本制度ワーキングチーム20回、幼保一体化ワーキングチーム9回、こども指針(仮称)ワーキングチーム6回、合計35回開催)、子ども・子育て新システムの具体的制度設計がとりまとめられた。政府においては、今後、本とりまとめを踏まえ、法案をとりまとめ、今国会に関連法案を提出する。また、幼保一体化を含む子ども・子育て新システムの理念の実現に向けた取組を推進していくことが必要である。


新システムは、恒久財源を得て早期に本格実施を行うこととするが、本格施行の具体的な期日については、「社会保障・税一体改革大綱」(平成24年2月17日閣議決定)において、平成26年4月より8%へ、平成27年10月より10%へとされている消費税の引き上げの時期を踏まえるとともに、地方公共団体での円滑な実施に向けた準備に一定期間を要することも考慮して、検討することとする。また、法案成立後、平成25年度を目途に、子ども・子育て会議(仮称)や国の基本指針など可能なものから段階的に実施するとともに、地方公共団体を始めとする関係者とも丁寧に意見交換を行い、円滑な施行に向けた準備を行うこととする。

I 市町村、都道府県、国の役割

○ 子どもの育ち・子育て家庭を社会全体で支えるため、市町村(基礎自治体)が制度を実施し、国・都道府県等が制度の実施を重層的に支える仕組みを構築する。

○ 事業ごとに所管や制度、財源が様々に分かれている現在の子ども・子育て支援対策を再編成し、幼保一体化を含め、制度・財源・給付について、包括的・一元的な制度を構築する。

○ 実施主体は市町村(基礎自治体)とし、新システムに関する子ども・子育て関連の国庫補助負担金、事業主拠出等からなる財源を給付・事業に応じて一本化し、市町村に対して包括的に交付される仕組み(子ども・子育て包括交付金(仮称)。VIで後述)を導入する。

1 市町村の役割

(1) 市町村の権限と責務

○ 市町村は、新システムの実施主体としての役割を担い、国・都道府県等と連携し、自由度を持って地域の実情に応じた給付等を設計し、当該市町村の住民に新システムの給付等を提供・確保する。そのために必要な以下の権限及び責務を法律上位置付ける。

・ 子どもや家庭の状況に応じた給付の保障、事業の実施

・ 質の確保された給付・事業の提供

・ 給付・事業の確実な利用の支援

・ 事業の費用・給付の支払い

・ 計画的な提供体制の確保、基盤整備

(2) 「市町村新システム事業計画」(仮称)の策定

○ 市町村は、潜在ニーズも含めた地域での子ども・子育てに係るニーズを把握した上で、管内における新システムの給付・事業の需要見込量、提供体制の確保の内容及びその実施時期等を盛り込んだ「市町村新システム事業計画」(仮称)を策定し、本計画をもとに、給付・事業を実施する。

○ 市町村新システム事業計画(仮称)の策定及び記載事項を法定する。

○ 市町村新システム事業計画(仮称)の必須記載事項及び任意記載事項は、以下の事項とする(5年ごとに策定。その他、計画記載事項は別紙のとおり)。

(必須記載事項)

・ 圏域の設定

・ 幼児期の学校教育・保育、子ども・子育て支援事業(仮称)に係る需要量の見込み

・ 幼児期の学校教育・保育、子ども・子育て支援事業(仮称)に係る提供体制の確保の内容及びその実施時期

・ 幼保一体化を含む子ども・子育て支援の推進方策

※ 幼児期の学校教育・保育、家庭における養育支援の充実方策を含む。

(任意記載事項)

・ 産後休業・育児休業明けのスムーズな保育利用のための方策

・ 都道府県が行う事業との連携方策

・ 職業生活と家庭生活との両立に関すること

○ 市町村新システム事業計画(仮称)の策定における市町村内の関係当事者の参画の仕組みとして、子育て当事者等の関係当事者の意見を反映させるよう必要な措置を講ずる(関係当事者の範囲及び合議体の設置はVIIで後述)。

(3) 市町村の権限と責務の法律上の位置付け

○ 市町村が(1)の権限と責務を果たし、子どもが確実に学校教育・保育を受けることができる仕組みとすることが必要であり、その視点から現在の児童福祉法第二十四条を見直し、これらの権限と責務を児童福祉法及び子ども・子育て支援法(仮称)の二法の中に位置付ける。

○ 児童福祉法には、保育を必要とする子どもに対し、市町村が必要な保育を確保するための措置を講ずるとともに、関係者の連携・調整を図る旨の全体的な責務規定に加え、虐待事例など特別な支援を必要とする子どもに対する利用の勧奨や入所の措置等の規定を設けることにより、保育の利用保障を全体的に下支えする。

○ 子ども・子育て支援法(仮称)には、市町村による計画的な幼児期の学校教育・保育の整備、こども園給付(仮称)等による個人給付と権利保障、契約による利用手続・利用支援等の規定を設けることにより、確実な給付の保障を図る。

○ これらにより、子ども・子育てに関する市町村の役割・責務を明確にし、すべての子どもの健やかな育ちを重層的に保障する。

(4) 利用支援

○ 新システムの給付・事業の導入に伴い、市町村における利用支援の取組が必要になる。

○ 具体的には、市町村が中心となり、都道府県(児童相談所など)や給付・事業の主体、地域子育て支援拠点事業など多様な主体と連携し、地域の子ども・子育て家庭を支援する。

○ 特に、地域子育て支援拠点事業では、子育て家庭に身近な立場から、個々の事情に応じた、利用支援の役割を果たすことが強く期待される。そのため、地域子育て支援拠点事業に地域の子育て資源に精通した「子育て支援コーディネーター」(仮称)を配置するなど、市町村の利用支援の体制づくりが必要である。

※ 総合こども園(仮称)の家庭における養育の支援の強化は、III9(2)<3>で後述

2 都道府県の役割

○ 都道府県は、広域自治体として、新システムの給付・事業が健全かつ円滑に運営されるよう、必要な助言・援助等を行うとともに、子ども・子育て支援施策のうち、広域的な対応が必要な事業等を行う。

○ 都道府県は、「都道府県新システム事業支援計画」(仮称)に基づき、市町村を支援する。「都道府県新システム事業支援計画」(仮称)の策定及び記載事項を法定する(5年ごとに策定。計画記載事項は別紙のとおり)。

○ 都道府県新システム事業支援計画(仮称)は、新たな給付・事業を実施する上で必要な取組について、必須記載事項とする。必須記載事項及び任意記載事項は、以下の事項とする。

(必須記載事項)

・ 幼児期の学校教育・保育に係る需要量の見込み、提供体制の確保の内容及びその実施時期

・ 幼保一体化を含む子ども・子育て支援の推進方策

※ 幼児期の学校教育・保育、家庭における養育支援の充実方策を含む。

・ 市町村が行う事業との連携が必要な社会的養護に係る事業、障害児の発達支援に着目した専門的な支援に係る事業

・ 人材の確保・資質向上

(任意記載事項)

・ 市町村の業務に関する広域調整

・ 指定施設・事業者に係る情報の開示

・ 職業生活と家庭生活との両立に関すること

○ 都道府県新システム事業支援計画(仮称)の策定における都道府県の関係当事者の参画の仕組みとして、子育て当事者等の関係当事者の意見を反映させるよう必要な措置を講ずる(関係当事者の範囲及び合議体の設置はVIIで後述)。

3 都道府県計画と市町村計画の策定時の調整

○ 需要量の見込みは、市町村新システム事業計画(仮称)の数値を足し上げ、都道府県新システム事業支援計画(仮称)に記載することを基本とする。

○ 市町村が、市町村新システム事業計画(仮称)を策定・変更しようとするときは、あらかじめ、都道府県に協議することとする。さらに、策定・変更したときは、遅滞なく、都道府県知事に提出することとする。

○ 市町村が計画策定段階で、関係市町村と調整する。

4 国の役割

○ 国は、新システムの制度設計、市町村への子ども・子育て包括交付金(仮称)の交付、基本指針(仮称)の策定等、新システムの給付・事業が健全かつ円滑に運営されるよう、必要な措置を講ずる。その際、地方公共団体とともに、子育て当事者、施設・事業者、事業主・労働者等の理解を得ることに努める。

○ 基本指針(仮称)については、その策定及び記載事項を法律上明記し、国の「子ども・子育て会議」(仮称)の審議を経て策定する(指針記載事項は別紙のとおり)。

○ 基本指針(仮称)には、家庭・地域を含めたすべての子育て関係者を対象とした、子どもに関する理念、子育てに関する理念を示すものである「こども指針(仮称)」を位置付ける。

II 給付設計

○ 市町村は、子ども・子育て支援給付(仮称)及び子ども・子育て支援事業(仮称)を実施する。

1 子ども・子育て支援給付(仮称)

○ 子ども・子育て支援給付(仮称)は、個人に対する以下の給付とする。

(1) 子どものための手当(個人への現金給付)

○ 子どものための手当については、新システムにおける給付に位置付ける(具体的な内容については、「平成24年度以降の子どものための手当等の取扱いについて」(平成23年12月20日内閣官房長官・総務大臣・財務大臣・厚生労働大臣合意)参照。)。

(2) こども園給付(仮称)

○ こども園給付(仮称)については、質の確保のための客観的な基準を満たした施設として指定を受けたこども園(仮称)に関する給付とする。

※ こども園(仮称)とは、指定を受けた総合こども園(仮称)、幼稚園、保育所、それ以外の客観的な基準を満たした施設であり、その総称である。総合こども園(仮称)とは、学校教育と保育及び家庭における養育の支援を一体的に提供する施設。

(3) 地域型保育給付(仮称)

○ 地域型保育給付(仮称)については、質の確保のための客観的な基準を満たす事業者として指定を受けた小規模保育事業者、家庭的保育事業者及び居宅訪問型保育事業者等に関する給付とする。

※ こども園給付(仮称)及び地域型保育給付(仮称)は、休日保育、早朝・夜間保育についても対応する。

※ 出産・育児に係る休業に伴う給付(仮称)

○ 産前産後・育児休業中の現金給付から保育まで切れ目なく保障される仕組みの構築が課題であるが、出産手当金(健康保険)、育児休業給付(雇用保険)の適用範囲や実施主体に違いがあること等を踏まえ、両給付を現行制度から移行し一本化することについては将来的な検討課題とする。

2 子ども・子育て支援事業(仮称)

○ 子ども・子育て支援事業は、市町村が実施する以下の事業とする。

(1) 地域子育て支援事業(仮称)

※ 地域子育て支援拠点事業、一時預かり及び乳児家庭全戸訪問事業等(対象事業の範囲は法定)

(2) 延長保育事業、病児・病後児保育事業

(3) 放課後児童クラブ

(4) 妊婦健診

※ 子ども・子育て支援事業(仮称)の対象事業については、IVで詳述。

III 幼保一体化

1 基本的な考え方

○ すべての子どもの健やかな育ちと、結婚・出産・子育ての希望がかなう社会を実現するため、以下の三点を目的とする幼保一体化を推進する。

(1) 質の高い学校教育・保育の一体的提供

(2) 保育の量的拡大

(3) 家庭における養育支援の充実

※ ここで言う「学校教育」とは、現行の学校教育法に位置付けられる小学校就学前の満3歳以上の子どもを対象とする教育(幼児期の学校教育)を言い、「保育」とは児童福祉法に位置付けられる乳幼児を対象とした保育を言う。以下同じ。

○ 具体的には、以下の給付システムの一体化と施設の一体化を推進する。

(1) 給付システムの一体化

<1> 地域における学校教育・保育の計画的整備(市町村新システム事業計画(仮称)の策定)

○ 市町村は、地域における学校教育・保育の需要を始め、子ども・子育てに係る需要の見込み及び提供体制の確保の内容及びその実施時期等を内容とする市町村新システム事業計画(仮称)を策定する。

<2> 多様な保育事業の量的拡大(指定制度の導入)

○ 客観的基準を満たした施設及び多様な保育事業への財政措置を行うこと等により、多様な事業主体の保育事業への参入を促進し、質の確保された保育の量的拡大を図る。

<3> 給付の一体化及び強化(こども園給付(仮称)の創設等)

○ 学校教育・保育に係る給付を一体化したこども園給付(仮称)を創設することにより、学校教育・保育に関する財政措置に関する二重行政の解消及び公平性の確保を図る。

(2) 施設の一体化(総合こども園(仮称)の創設)

○ 学校教育・保育及び家庭における養育支援を一体的に提供する総合こども園(仮称)を創設する。

2 子どもや家庭の状況に応じた子ども・子育て支援

○ 子ども・子育て家庭については、乳幼児の子育てをしている、産後休業・育児休業中の家庭、共働き家庭、ひとり親家庭、いわゆる専業主婦家庭など、様々な状況の子ども・子育て家庭がある。

○ 子ども・子育て新システムにおいては、すべての子どもに、良質な成育環境を保障するため、それぞれの子どもや家庭の状況に応じ、「子ども・子育て支援給付(仮称)」を保障する。

○ 子どもが満3歳となったとき、子どもが学齢期となったときなどに円滑に切れ目のない支援を行うため、施設間・事業間(新システムの対象となっていないものを含む)の連携・提携等の方策を講じる。

○ また、子育てに孤立感・負担感を感じている保護者が多いこと等を踏まえ、すべての子ども・子育て家庭に、それぞれの子どもや家庭の状況に応じ、子育ての充実感を得られるような親子の交流の場づくり、子育て相談や情報提供、親子登園などの支援を行う。

3 幼保一体化の進め方

○ 国においては、幼保一体化を含む子ども・子育て支援に関する基本指針(仮称)を策定するとともに、給付の一体化及び強化等により総合こども園(仮称)への移行を政策的に誘導する。

○ 都道府県においては、広域自治体として、都道府県新システム事業支援計画(仮称)を策定し、市町村の業務に関する広域調整等を行う。

○ 市町村においては、国による制度改正及び基本指針(仮称)を踏まえ、市町村新システム事業計画(仮称)に基づき、地域における、満3歳以上の保育を利用する家庭の子どもの状況、満3歳以上の保育を利用しない家庭の子どもの状況、満3歳未満の保育を利用する家庭の子どもの状況など、地域の実情等に応じて、必要な施設・事業を計画的に整備する。

※ 具体的な施策については、制度施行までに、地方自治体、関係者等と十分に協議を行う。

※ 都道府県及び市町村においても、それぞれの新システム事業計画(仮称)に基づき、総合こども園(仮称)への円滑な移行への支援を行う。

4 地域における学校教育・保育の計画的整備(市町村新システム事業計画(仮称)の策定)

○ 市町村は、地域における学校教育・保育の需要を始め、子ども・子育てに係る需要の見込みを調査し、その結果に基づき市町村新システム事業計画(仮称)を策定する。

○ 市町村は、当該計画に基づき、指定されたこども園(仮称)や多様な保育事業を行う、多様な事業主体を共通の財政措置(子ども・子育て支援給付(仮称))の対象とするなど、地域の実情等に応じて提供体制を計画的に整備する。その際、保育の需要が増大している場合など、必要に応じて、公有財産の貸付等の措置を積極的に講じる。

○ 家庭における養育を支援する事業(地域子育て支援拠点事業等。IV2で後述。)についても、広く財政措置の対象とし、当該計画に基づき、計画的に推進する。

5 多様な保育事業の量的拡大(指定制度の導入)

(1) 基本的な考え方

○ 新システムにおいては、質の確保のための客観的基準を満たすことを要件に、認可外施設も含めて参入を認めるとともに、株式会社、NPO等、多様な事業主体の参入を認める。

○ 指定制の導入により、保育の量的拡大を図るとともに、多様なメニューの中から、あらかじめ質が確保されている施設や事業であることを行政が確認し、指定された施設又は事業者の中から、利用者がニーズに応じた施設や事業を選択できる仕組みとする。

(2) 具体的制度設計

<1> 参入段階の要件

○ こども園(仮称)については、学校法人、社会福祉法人、株式会社、NPO等、多様な事業主体の参入を可能とする。ただし、安定的・継続的な運営を担保する観点から、法人格を条件とする。

○ 地域型保育給付(仮称)の対象となる多様な保育事業(以下、地域型保育(仮称)という。)を行う指定事業者については、地方単独事業の対象の個人立の認可外保育施設が存在することも踏まえ、法人でない場合でも、一定の条件を満たせば、指定の対象とする。

○ 指定要件については、現行の基準を基礎として、人員配置基準・面積基準等、客観的な基準を定め、適合すれば原則指定を行うことで透明性を確保する。

※ 指定基準の具体的内容については、III7(2)、8で後述

○ 介護保険制度におけるこれまでの改正を参考として、必要な欠格要件(開設者が刑罰執行中、指定取消後5年以内など)を定め、基準に違反した場合などに対する厳格なペナルティを設ける。

<2> 運営段階・撤退段階の要件等

○ 繰入れや剰余金の配当に関する法的な規制は行わず、他事業会計との区分会計を求める。

○ 継続的な運営が基本であるが、やむを得ず事業を撤退する場合には、指定辞退の事前届出を行わせる。

○ 指定辞退・事業の廃止の届けについては、法律で3ヶ月以上の予告期間を設定するとともに、利用している児童が他の施設等で継続的に利用できるようにするための調整義務を施設・事業者に課す。

○ 施設・事業者による調整が円滑に行われるために必要な場合は、都道府県又は市町村が関係者相互間の連絡調整等の援助を行うことができることとする。

○ 指定については、質の確保の観点から、5年ごとに更新する。

○ 透明性を高め、学校教育・保育の質の向上を促すとともに、保護者が子どもにとって最善の選択を行えるように、情報開示の義務化を行う。

○ 具体的には、以下の項目について情報開示を行う。

ア 学校教育・保育の理念など、施設の運営方針

イ 学校教育・保育の内容及びその特徴

ウ 一人の職員が担当する子どもの数

エ 職員の保有免許・資格、常勤・非常勤の別や経験年数・勤続年数

オ 定員以上に応募がある場合の選考基準

カ 上乗せ徴収(実費徴収を除く)の有無

キ カで「有」の場合、その理由及び上乗せ徴収額 等

※ 学校教育・保育の質に直接関わる職員の常勤・非常勤の別、経験年数等については、公定価格への反映を検討する。

○ 指定を受けた施設・事業者は、介護保険制度、障害者自立支援制度と同様に、法令遵守等に係る業務管理体制を整備し、これに関する届出を行うこととする。

<3> 指定・指導監督の主体

ア こども園(仮称)

i)指定・指導監督の主体

○ 新システムの実施主体が市町村(基礎自治体)であることから、こども園(仮称)の指定・指導監督の主体は市町村とする。

○ こども園(仮称)の指定等の行政権限について、透明性を確保するため、こども園(仮称)の指定・指導監督の主体となる市町村では、当該行政権限を行使する際には、子ども・子育て支援法において条例により市町村に設置することができるとされる合議体(地方版子ども・子育て会議)又は子どもの保護者や子ども・子育て支援に係る当事者の意見を聴くこととする(VIIで後述)。

※ 地方版子ども・子育て会議の構成員について、住民その他の関係者の意見を聴き、地域の子ども及び子育て家庭の実情を踏まえた調査審議ができるように配慮

ii)指定する際の都道府県と市町村との調整

○ 市町村長は、指定をしようとするときは、あらかじめ、都道府県知事との協議を行うことを法令に規定する(関係市町村との調整も留意)。

イ 地域型保育(仮称)を行う指定事業者

○ 地域型保育(仮称)を行う指定事業者の指定・指導監督の主体については、地域の実情に応じた供給量の確保の観点から市町村とする。

○ 事業所が市町村の区域外にある場合、所在地の市町村長の同意を必要とすることを法令に規定する。

<4> 指定・指導監督の権限

○ 指定事業者には、指定基準に従い、事業を実施しなければならない義務を課すほか、指定・指導監督主体である市町村に、報告徴収、立入検査、基準遵守の勧告・措置命令、指定取消等の権限を与える。

○ また、市町村が上記の指導監督権限を実施する場合、その実効性を高めるため、立入検査などを総合こども園(仮称)などの認可権者である都道府県と共同で実施する等の取組を可能とする。

<5> 需給調整

○ 指定制度においては、指定基準を満たす施設については、すべて指定する。

○ ただし、市町村が策定する新システム事業計画(仮称)における需要見込み量を超えた供給がなされている場合など、施設数が過大となっている場合については、指定主体の権限において新規の指定や更新を行わないことができることとする。

※ 目標供給量を盛り込む市町村の計画に関する策定手続きを含めた国による策定のための指針を示すに当たっては、子ども・子育て会議(仮称)の審議を経ること、事後の点検・評価を含めた必要な情報の開示を行うこと等により、適正性・透明性を確保する。

○ その際、恣意的な需給調整が行われることがないよう、指定基準等の策定及び指定の段階、事業計画の策定の段階、実際の需給調整の段階において、それぞれ透明性・客観性を確保する。

○ 実際の需給調整のうち、新規の指定を行わないことについては、以下のような事項を勘案しながら、幅広い関係当事者からの意見聴取等、停止権限の発動に当たってのルール、プロセスにおける透明性を確保する。

ア 広域調整が必要となる市町村域を超えた需要見込み量の取扱い

イ 需要見込み量に対して一定割合を超える供給がなされている場合に限定するなど、需給調整の発動の要件

ウ 新規指定の申請が競合し、両者を指定すると需要見込み量を超過する場合などにおける、他地域における実績、利用者の利便性、社会的養護を必要とする子どもの育ちの支援に果たしている役割、夜間保育・病児保育等の特別な機能への考慮

○ 実際の需給調整のうち、指定の更新を行わないことについては、基本的な考え方は新規の指定を行わないことと同様であるが、その際、対象となる指定施設の利用者・事業者への影響が大きいことから、可能な限り抑制的に行うこととする。したがって、

ア 利用者や事業者の選択、判断による供給の適正化

イ なおも供給が需要を上回る場合における、都道府県、市町村、対象地域内の事業主体など関係当事者の合意を得て計画的に行われる供給体制の再構築

を前提とし、それでも供給体制の再構築を進める上でやむを得ない場合に限ることを基本とする。

<6> 会計基準

○ 個人給付となるこども園給付(仮称)の創設に伴い、事業者の法人種別に応じた会計処理方式とする。

その際、複数事業部門を有する事業者の場合、こども園給付(仮称)の資金の流れが分かるよう、部門ごとの会計状況が明確になるような仕組みを設ける。

※ 詳細については、介護保険制度等を参考に、制度施行までに検討する。

※ なお、総合こども園(仮称)における資金流出を制限するための仕組みについては9(3)<2>イを参照。

(3) 制度施行時の経過措置

○ 新たな制度を施行する際に、現に幼稚園又は保育所の認可を受けている施設については、こども園(仮称)の指定があったものとみなす。

※ 施行前に現に認可を受けている施設については、法人格を有しなくても指定を受けられることとする。

※ 現行の幼稚園、保育所、認定こども園からの円滑な移行に留意する。

6 新システムにおける行政が関与した利用手続

(1) 契約方式

○ こども園給付(仮称)については、保護者に対する個人給付を基礎とし、確実に学校教育・保育に要する費用に充てるため、法定代理受領の仕組みとする。

<1> 保育の必要性の認定

○ 例外のない保育の保障の観点から、市町村が客観的基準に基づき、保育の必要性を認定する仕組みとする。

※ 制度施行の際、現に幼稚園・保育所を利用している子どもに関する認定については、必要な準備期間を設けつつ、簡素な手続きとなるよう検討する。

ア 保育の必要性の認定を受ける子どもの認定基準及び認定手続

○ 国は、「事由」「区分」「優先利用」に関する認定基準を策定する。

○ 具体的な認定基準と認定手続は、以下のとおりとする。

i)認定基準

A 事由

a.就労

○ フルタイムのほか、パートタイム、夜間の就労など基本的にすべての就労

※ 一時預かりで対応可能な極めて短時間の就労は除く。

b.就労以外の事由

○ 保護者の疾病・障害、産前産後、同居親族の介護、災害復旧、求職活動及び就学等

※ 現行の政令で定めている「同居親族等が保育できない場合」という条件は、外す又は必要度を低くするなど、詳細については制度施行までに検討する。

○ その他これらに類するものとして市町村が定める事由

B 区分

○ 月単位の保育の必要量に関する区分(2区分程度(「主にフルタイムの就労を想定した長時間利用(現行の11時間の開所時間に相当)」及び「主にパートタイムの就労を想定した短時間利用」))を設定

C 優先利用

○ ひとり親家庭や虐待のおそれのあるケースの子ども等

ii)認定手続

○ 市町村は、認定基準に従って審査を行い、認定を行う。また、これとあわせて保護者負担の区分も決定する。

○ 市町村は、認定を行った利用者(保護者)に対して、認定証を交付する。

○ 認定証には、事由、区分(長時間利用又は短時間利用)、優先利用及び保護者負担の区分を記載する。

イ 保育の必要性の認定を受けない子どもの受給手続

(満3歳以上の学校教育のみを受ける場合)

○ 満3歳以上の学校教育のみの利用を希望する場合、市町村に申請を行う。

○ 申請を受けた市町村は、当該市町村に居住する満3歳以上の子どもであることが確認できた場合は、保護者負担の区分の決定を行い、これを認定証に記載して交付する。

※ 認定証は、主として、施設が保護者負担の区分を確認するためのものであるが、事務ができるだけ簡素なものとなるよう、制度施行までに検討する。

<2> 公的契約

○ 契約については、保育の必要性の認定を受けた子どもと受けない子どものいずれについても、市町村の関与の下、保護者が自ら施設を選択し、保護者が施設と契約する公的契約とする。

○ 公的契約については、「正当な理由」がある場合を除き、施設に応諾義務を課す。「正当な理由」については次のとおりとする。

ア 定員に空きがない場合

イ 定員以上に応募がある場合

(この場合、選考の実施が必要となる。)

ウ その他特別な事情がある場合

○ 定員については、保育の必要性の認定を受けた子どもの利用と、保育の必要性の認定を受けない子どもの利用を、地域の需要に応じ、ともに保障する観点から、保育の必要性の認定を受けた子ども、保育の必要性の認定を受けない子どもの別に設定し、上記イの場合に行う選考についても、それぞれの定員枠ごとに行う。

○ 定員以上に応募がある場合の選考については、その基準を国が定め、施設は、国の選考基準に基づき選考を行うものとする。

○ 国が定める選考基準については、概ね次のとおりとする。

ア 保育の必要性の認定を受けた子ども

i)家庭の状況や保護者の就労状況等に基づく保育の必要度に応じて選定する。

ii)ひとり親家庭、虐待のおそれのあるケースなどは、i)に関わらず、優先的に選定する。

iii)特別な支援が必要な子どもの受入れ体制が整っている施設については、i)に関わらず、特別な支援が必要な子どもを優先的に選定する。

※ 保育の必要度の判断の具体的な手続については、今後、更に検討する。

イ 保育の必要性の認定を受けない子ども

i)<1>抽選、<2>先着順、<3>建学の精神等設置者の理念に基づく選考など、施設の設置者が定める選考基準(選考方法)に基づき、選定する。

ii)特別な支援が必要な子どもの受入れ体制が整っている施設については、i)に関わらず、特別な支援が必要な子どもを優先的に選定する。

○ 施設の設置者が定める選考基準(選考方法)については、指定制度の一環である情報開示の標準化の開示項目として、開示する。

(2) 市町村の関与

<1> 関与の具体的仕組み

○ 保護者が選択した施設・事業者に申し込むことを基本とする。市町村は、管内の施設・事業者の情報を整理し、子育て家庭に広く情報提供し、相談に対応する。

○ 要保護児童、障害児等の特別な支援が必要な子どもなど、あっせん(市町村による、利用可能な施設との契約の補助)等による利用が必要と判断される場合には、市町村が、関係機関とも連携して利用調整を行い、認定証の交付と合わせて、利用可能な施設・事業者のあっせんを行うほか、当該施設・事業者に対して当該子どもの利用の要請を行うこととする。

<2> 当面、保育需要が供給を上回っている間の関与の仕組み

○ 市町村は、計画的な基盤整備により保育需要が供給を上回る状態を解消する取組を強力に推進することが制度の前提である。その上で、当面の対応のため、次のような対応を行うこととする。

・ 特別な支援が必要な子どもなど、まず、優先利用の対象となる子どもについて、市町村が利用調整を行い、利用可能な施設・事業者をあっせん等する。

・ それ以外の子どもについては、保護者が市町村に利用希望を提出し、市町村が利用調整を行い、利用可能な施設・事業者をあっせん等する。

<3> 市町村による措置

○ 保育の利用が必要と判断されるにもかかわらず、保護者が進んで保育の利用をしない場合など、契約による利用が著しく困難と市町村が判断した場合には、当該子どもについて、市町村が施設に対して措置する(措置による入所・利用)こととする。

<4> 利用者負担の強制徴収について

○ 新システムにおいては、現行の保護者が市町村と契約する仕組みから、保護者が施設と契約する仕組みへと変わるものの、利用者負担の確実な支払いが担保される必要性は従来と変わらないため、改正後の児童福祉法第二十四条に規定される市町村の責務も踏まえ、利用者負担の支払いに関して確実な支払いを担保する仕組みを設けることについて、更に検討する。

7 こども園給付(仮称)の創設

(1) こども園給付(仮称)の創設

○ 学校教育・保育に係る給付を一体化したこども園給付(仮称)を創設し、学校教育・保育に関する財政措置に関する二重行政の解消及び公平性の確保を図る。

※ こども園(仮称)とは、指定を受けた総合こども園(仮称)、幼稚園、保育所、それ以外の客観的な基準を満たした施設であり、その総称である。

(2) 指定基準

○ こども園(仮称)の指定基準については、国が定める基準を踏まえ、指定権限を有する市町村が条例で定める。

○ 国が定める基準については、以下のとおりとする。

ア 「職員の資格、員数」、「保育室及びその面積」、「施設が利用定員を定めること」、「乳幼児の適切な処遇の確保、安全の確保、秘密の保持並びに乳幼児の健全な発達に密接に関連するもの」については、「従うべき基準」とする。

イ それ以外の事項については、「参酌すべき基準」とする。

○ 学校教育・保育の質の確保・向上の観点から、職員配置基準の引き上げ等を検討する。

※ 指定基準に係るそれぞれの事項の具体的内容については、学校教育・保育の質を確保する観点から、現行の幼保連携型認定こども園制度の基準を基礎としつつ、制度施行までに更に検討する。

※ 現行の幼稚園、保育所、認定こども園からの円滑な移行に留意する。

※ 制度施行までの間、「待機児童解消『先取り』プロジェクト」の認可外保育施設運営支援事業を最大限活用し、待機児童解消のため可能な限り多くの認可外保育施設が指定基準を満たすことができるよう支援する。

(3) 給付の内容

<1> 給付構成

○ こども園給付(仮称)については、次のような給付構成とする。

・ 満3歳以上の幼児に対する標準的な教育時間及び保護者の就労時間等に応じた保育に対応する給付

・ 満3歳未満児の保護者の就労時間等に応じた保育に対応する給付

※ 「標準的な教育時間」とは、学校教育における教育課程に係る時間を言う。以下同じ。

※ 休日保育、早朝・夜間保育についても対応する。

<2> 公定価格

○ こども園給付(仮称)については、質の確保・向上が図られた学校教育・保育を提供するために必要な水準の給付を、すべての子どもに保障する(公定価格)。

○ 新たな制度における価格設定方法については、次の考え方を基本とする。

・ 質の確保・向上が図られた学校教育・保育を提供するために必要な水準として、人員配置基準や設備環境を基に、人件費、事業費、管理費等に相当する費用を算定する。

・ 人件費相当分については、職員の配置基準や施設の開所時間を踏まえた価格設定を行う。この際、子どもの過ごす時間と職員が勤務する時間の違いを踏まえ、認定時間数に対応する価格設定ではなく、必要な職員の配置を考慮した価格設定を行う。

・ 子どもの年齢及び人数に対応した給付を基本とするが、施設の規模による経費構造の違いや地域別の人件費等の違いを考慮し、定員規模別、地域別の価格設定を行う。

・ 施設の減価償却費の一定割合に相当する費用等についても算定する。

○ 公定価格の具体的な設定については、今後、制度の施行までに検討する。

<3> 支払い方法

○ 満3歳以上児については、標準的な教育時間に対応する区分及び月単位の保育の必要量に関する区分(2区分程度)に応じ、単価区分※(3区分程度)を設ける。その上で、各月初日の在籍児数を基本として、毎月給付する。

○ 満3歳未満児については、月単位の保育の必要量に関する区分(2区分程度)に応じ、単価区分※(2区分程度)を設ける。その上で、各月初日の在籍児数を基本として、毎月給付する。 

※ 具体的な単価については、上記の単価区分に応じ、<2>で記述したとおり、年齢別、地域別、定員規模別に設定する。また、休日保育、早朝・夜間保育については加算により対応する。

<4> 施設整備費

○ 保育所等の施設基準を考慮して設定する整備費用と施設運営における減価償却費の全国的な状況を踏まえ、その一定割合に相当する額を組み込む形で給付を設定することにより、施設整備を支援する。また、当該給付は、賃借によって施設を設置する場合の建物賃借料にも対応し、地域の実情に応じた設置形態による基盤整備を進める。

※ 施設整備費の補助金は基本的に廃止する。

※ 過去に施設整備補助を受けて整備した施設については、整備からの経過年

数等に応じて調整。

※ 施設整備の際に必要な資金調達については、政策的な融資によって支援する。

○ これと併せて、当面、緊急に対応する必要がある

・ 増加する保育需要に対応するための施設の新築や増改築

・ 幼稚園における調理室の新設

・ 施設の耐震化

等については、別途の支援を行う。

○ これらを踏まえ、新システムへの円滑な移行のために、

・ 給付の設定

・ (新たな給付の設定に伴う)政策的な融資

・ 当面の緊急対応である施設整備への支援

について、既存の財政措置との連続性を念頭に置きつつ、制度施行の際に重複なく適切な措置を講じる。

<5> 上乗せ徴収

ア 実費徴収

○ 国が定める基準に基づく学校教育・保育の活動の一環として行われる活動に係る費用であって、施設による費用のばらつきが大きいこと等から、こども園給付(仮称)の対象とすることが困難な費用(特別な教材費、制服代など)について、実費徴収を認める。

○ 国において、実費徴収の実態(各施設における実費徴収の費目と一人あたりの実費徴収の総額)を勘案した上で、実費徴収の対象範囲及び各施設における実費徴収の上限額に関する基準を定める。

○ 低所得者に対しては、公費による補足給付を行うこととし、市町村において、国が定める実費徴収に関する基準、地域における実態を踏まえつつ、必要な給付を行う事業とする。

イ 実費徴収以外の上乗せ徴収

○ 次の要件を満たす施設については、その対価として、実費以外の上乗せ徴収を行うことを認める。

i)国が定める基準に基づく学校教育・保育であること

ii)低所得者については、当該徴収を免除すること

iii)指定制度の一環である情報開示の標準化制度の開示項目として、上乗せ徴収の理由及び額を開示すること

※ 当分の間、市町村及び社会福祉法人以外の者が設置する施設に限る。

○ なお、国が定める基準に基づく学校教育・保育以外の活動(教育課程終了後に行う体操教室など)については、選択できる旨や利用料額の説明をあらかじめ行い、利用者の了解を得た場合には、費用の徴収を可能とする。 

8 地域型保育給付(仮称)の創設

(1) 基本的な制度設計

○ こども園(仮称)を対象とするこども園給付(仮称)に加え、以下の保育事業を地域型保育給付(仮称)の対象とし、多様な施設や事業の中から利用者が選択できる仕組みとする。

・ 小規模保育(利用定員6人以上19人以下)

・ 家庭的保育(利用定員5人以下)

・ 居宅訪問型保育

・ 事業所内保育(主として従業員のほか、地域において保育を必要とする子どもにも保育を提供)

○ 待機児童が都市部に集中し、また待機児童の大半が満3歳 未満の児童であることを踏まえ、こうした小規模保育や家庭的保育などの量的拡充により、待機児童の解消を図る。

○ 小規模保育、家庭的保育など、地域の実情を踏まえつつ、事業それぞれの特性に応じた客観的な指定基準を設定し、質の確保を図る。

○ 各事業の指定基準については国が定める基準を踏まえ、市町村が条例で定める。

○ 国が定める基準については、以下のとおりとする。

ア 「職員の資格、員数」、「事業者が利用定員を定めること」、「乳幼児の適切な処遇の確保、安全の確保、秘密の保持並びに児童の健全な発達に密接に関連するもの」については、「従うべき基準」とする。

イ それ以外の事項については、「参酌すべき基準」とする。

※ 指定基準に係るそれぞれの事項の具体的内容については、制度施行までに検討する。その際、家庭的保育のように、実施に当たっての基準が既にあるものについては、現行の基準を基礎として検討する。

※ 小規模保育等においても、質の確保を図っていくこととなるが、その際に、地域の実情に応じて、公的スペースの活用・共用などが行いやすいよう、「保育室及びその面積」については「参酌すべき基準」とする。

○ 保育の必要性の認定、公的契約、市町村の関与、公定価格の算定の考え方、給付の支払方法などは、こども園給付(仮称)と同様とする。

※ 事業所内保育施設については、その利用実態も踏まえつつ、新システム等における取扱いの在り方を検討。

○ 3歳以上児の学校教育・保育を行うこども園(仮称)との連携を確保する(分園を含む)。なお、連携先のこども園(仮称)の確保が難しい場合、市町村が調整することも可能とする。

○ 新システムの施行の際、現に家庭的保育を実施している市町村については、特段の申し出がない限り、地域型保育事業者(仮称)の指定があったものとみなす経過措置を設ける。

(2) 小規模保育、居宅訪問型保育の創設等

○ 現在、法律上の根拠を有しない小規模保育、居宅訪問型保育については、家庭的保育と同様に、児童福祉法に事業の根拠(定義)を位置付ける。

※ 現行法上、これらの保育は認可外保育との位置付け。

※ 国の基準と地方の裁量の関係については、上記(1)のとおり。

○ また、事業開始の手続きや監督権限は、現行の家庭的保育と同様にする。

○ 現行制度では第二種社会福祉事業の要件を満たさないもの(通所定員20人未満)に該当する小規模保育のうち、一定規模(10人以上)を満たすものを第二種社会福祉事業として法令に位置付けることにより、小規模な放課後児童クラブなど他の事業を併設する基盤になることが可能となる。

(3) 地域型保育(仮称)の充実及び展開

<1> 地域型保育(仮称)の充実による都市部の待機児童対策

○ 地域型保育(仮称)を3歳未満児を重点にした小規模な保育の類型として新設することにより、都市部での小規模な拠点の整備を推進する(例:余裕教室等の公的スペース、賃貸スペース等を活用)。

○ 放課後児童クラブ、地域子育て支援拠点、一時預かりを併設し、一体的に取り組む形態も想定される。

<2> 一般市町村における地域型保育(仮称)の展開(多機能型)

○ 市町村内の保育ニーズについて、一定以上の規模を有するこども園(仮称)による対応を基本としつつ、子ども・子育て家庭にとって身近な地域における保育の利用を確保する観点から、地域型保育(仮称)を組み合わせて、地域の保育機能を確保する。

○ 放課後児童クラブ、地域子育て支援拠点、一時預かりなどを併設することにより、地域の多様な保育ニーズに対応可能な仕組みとする。これにより、郡部などの人口減少地域等でも、地域コミュニティの子育て支援の拠点を維持・確保することができる(放課後児童クラブ、地域子育て支援拠点、一時預かりなどの本来の要件についての考え方はIVで後述)。

○ 郡部などの人口減少地域等においては、子ども・子育て家庭にとって身近な地域における学校教育・保育を確保する観点から、3歳未満児だけでなく、例外的に3歳以上児の利用も認める。この際、3歳以上児の学校教育・保育を保障するために必要な、こども園(仮称)や地域の小学校との連携を法令に位置付け、制度施行までに具体的な連携方策を検討する。

○ 都市部の待機児童対策としての地域型保育(仮称)との違いに留意する。

9 施設の一体化(総合こども園(仮称)の創設)

(1) 基本的位置付け

○ 学校教育・保育及び家庭における養育支援を一体的に提供する総合こども園(仮称)を創設する。総合こども園(仮称)の根拠法として総合こども園法(仮称)を制定する。

○ 総合こども園(仮称)においては、

<1> 満3歳以上児の受入れを義務付け、標準的な教育時間の学校教育をすべての子どもに保障する。また、保育を必要とする子どもには、学校教育の保障に加え、保護者の就労時間等に応じて保育を保障する。

<2> 保育を必要とする満3歳未満児については、保護者の就労時間等に応じて保育を保障する。

○ 総合こども園(仮称)については、学校教育、児童福祉及び社会福祉の法体系において、学校、児童福祉施設及び第二種社会福祉事業として位置付ける。

※ 総合こども園(仮称)は、幼稚園と同様に、小学校就学前の学校教育を行う学校であることを明確にする。(総合こども園(仮称)における学校教育は、幼稚園と同様に、幼児の具体的な生活経験に基づいた総合的指導を行い、幼児の健やかな成長のための適当な環境における心身の発達を助長する目的で行われるもの。)

※ 総合こども園(仮称)は、幼稚園とともに、小学校就学前の学校として、小学校教育との連携・接続が必要であることについて明確にする。

○ なお、満3歳未満児の受入れは義務付けないが、財政措置の一体化等により、満3歳未満児の受入れを含め、幼稚園及び保育所等の総合こども園(仮称)への移行を促進する。

※ 例えば、現行制度でいえば、幼稚園型認定こども園の保育所機能部分、保育所型認定こども園の幼稚園機能部分についても基準を満たせば財政措置を受けられるようにすることや、調理室(満3歳未満児については自園調理が必須)等への補助制度を創設すること、保育単価等によるインセンティブを付与することなどが挙げられる。

(2) 基本的な考え方

○ 総合こども園(仮称)の創設により、次の内容を実現する。

<1> 学校及び児童福祉施設の位置付けの付与による学校教育・保育の質の保障

○ 現行の保育所における幼児教育※に対し学校教育としての位置付けを付与するとともに、現行の幼稚園の預かり保育のうち、保育の必要性の認定を受けた子どもを対象とするものに対し児童福祉としての位置付けを付与する。

※ 満3歳以上の幼児を対象とするもの。満3歳以上の幼児を対象とする保育所については、一定の期間(制度の本格施行から3年程度(必要に応じて期間の延長を検討)。この間に設置基準(特例あり)を満たすこととする。)後にすべて総合こども園(仮称)へ移行する。また、財政措置の一体化等により、満3歳未満児の受入れを含め、幼稚園等の総合こども園(仮称)への移行を促進する。

○ これにより、学校としての基準(学級担任制、面積基準等)と児童福祉施設としての基準(人員配置基準、給食の実施等)を併せ持つ基準を適用し、質の高い学校教育・保育を保障する。

<2> 保育の量的拡大

○ 現行の幼稚園が保育機能を強化することにより、保育の量的拡大を図る。

<3> 家庭における養育の支援の強化

○ 現行の幼稚園・保育所が、地域の拠点として、地域の子ども・家庭に対する養育の支援を必須の事業として実施することにより、地域の子ども・家庭に対する養育の支援機能を強化する。

※ 他の事業も含めた施設の取組状況や地域の実情等に応じ、地域子育て支援事業等により行う。

<4> 二重行政の解消

○ 現行の幼稚園、保育所、認定こども園に対する行政庁(地方公共団体)の認可・認定を一本化することにより、二重行政の解消を図る。

○ 総合こども園(仮称)に係る具体的制度設計については、質の高い学校教育・保育を保障する観点から、現行の幼稚園制度及び保育所制度の双方に求められる質の水準を基本とする。

○ 総合こども園(仮称)における指導・援助の要領として「総合こども園保育要領(仮称)」を定める。

※ 総合こども園保育要領(仮称)については、こども指針(仮称)を踏まえ、策定する。その際、小学校教育との連携・接続を確保する。

(3) 設置主体等の在り方

<1> 基本的な考え方

○ 総合こども園(仮称)の設置主体は、組織・資産等において永続性、確実性、公共性等を担保するため、国、地方公共団体、学校法人、社会福祉法人及び一定の要件を満たした株式会社、NPO等の法人とする。

※ 都道府県等が設置認可を行うにあたり、一定の要件を満たした株式会社、NPO等の法人は、学校法人、社会福祉法人と同列に扱う。

<2> 株式会社、NPO等の法人に求められる一定の要件

ア 参入段階

○ 認可要件については、学校法人・社会福祉法人等に課されている要件を踏まえ、以下のような要件を課す。

i)総合こども園設置基準(仮称)に適合する施設及び設備又はこれらに要する資金並びに当該総合こども園(仮称)の経営に必要な財産を有すること

ii)当該総合こども園(仮称)の経営を担当する役員が、学校教育・保育を一体的に提供する総合こども園(仮称)を経営するために必要な知識又は経験を有すること

iii)当該総合こども園(仮称)の経営を担当する役員が社会的信望を有すること

イ 運営段階

i)当該総合こども園(仮称)の経営に係る経理を他の経理と分離する。

ii)総合こども園会計からの資金流出を制限する。

○ 総合こども園(仮称)の永続性を担保するため、

A 区分経理された「総合こども園会計」から「子ども・子育て新システム関係事業及び学校・社会福祉事業以外の事業に係る会計」への繰入れは認めない。

B 総合こども園会計からの株主への配当については、一定の上限を設ける。

iii) 業務状況書類等を作成し、関係者からの請求に応じて閲覧させる。

<3> 私立施設の撤退段階の規制(設置主体を問わない)

○ 施設の廃止は、広域自治体である都道府県等の「認可」を要することとし、都道府県等は、「現在及び将来の地域における学校教育・保育の需要」を考慮した上で、その可否を判断する。

(4) 設置認可・指導監督等

<1> 設置・廃止の手続き

○ 設置・廃止の手続きは、現行の幼稚園及び保育所に関する手続きを踏まえ、以下のとおりとする。

ア 公立の総合こども園(仮称)の設置・廃止については、届出

イ 私立の総合こども園(仮称)の設置・廃止については、認可

<2> 監督

○ 現行の幼稚園に対する閉鎖命令と現行の保育所に対する立入検査、改善勧告、改善命令、認可の取消の権限をあわせて、監督権者に付与するものとする。

※ 認可の取消については私立のみ。

<3> 設置認可・指導監督等の主体

○ 総合こども園(仮称)の設置認可、指導監督等の主体については、都道府県を基本としつつ、大都市(指定都市、中核市)については権限を移譲する。

○ 総合こども園(仮称)は、学校教育と保育を一体的に提供する施設であることから、その設置認可、指導監督等については、認定こども園の例にならい、学校教育と保育の双方を統括する都道府県知事(指定都市、中核市については市長)が行う。

○ 指定都市・中核市が認可をする場合、市長は、あらかじめ、都道府県知事との協議を行う。

<4> 審議会

○ 都道府県知事等が総合こども園(仮称)の設置認可や重大な行政処分(事業停止命令、閉鎖命令又は認可の取消)を行う場合には、行政処分の適正性を確保する観点から、教育や児童福祉に関し学識経験を有する者等からなる総合こども園(仮称)に関する審議会の意見を事前に聴かなければならないこととする。なお、総合こども園(仮称)に関する審議会は、学校教育と保育に関する既存の審議会を活用するなど、地域の実情に応じて、弾力的な設置・運営が行えるようにする。

<5> 地方公共団体の長と教育委員会の関係

○ 地方公共団体の長が総合こども園(仮称)に係る事務を行う場合には、教育委員会は、以下のとおり、一定の関与を行うこととする。

(公立)

○ 地方公共団体の長は、当該地方公共団体が設置する総合こども園(仮称)に関する事務を管理、執行するに当たり、当該地方公共団体の教育委員会の意見を聞かなければならないこととする。

○ 教育委員会は、当該地方公共団体が設置する総合こども園(仮称)に関する事務の管理及び執行について、必要と認めるときは、地方公共団体の長に対し、意見を述べることができることとする。

(私立)

○ 都道府県知事等は、私立の総合こども園(仮称)に関する事務を管理・執行するに当たり、必要と認めるときは、都道府県等教育委員会に対し、専門的事項について助言又は援助を求めることができることとする(現行制度と同様)。

(5) 設置基準

○ 学校教育・保育の質を確保する観点から、現行の幼保連携型認定こども園の基準を基礎とする。

※ 学校としての基準(学級担任制、面積基準等)と児童福祉施設としての基準(人員配置基準、給食の実施等)を併せ持つ基準を適用し、質の高い学校教育・保育を保障する。

※ 設置基準に係るそれぞれの事項の具体的内容については、制度施行までに更に検討する。

○ 総合こども園(仮称)における学校教育機能及び保育機能の充実等を図るため、職員配置基準(学級編制基準)の引き上げ等を検討する。

○ 総合こども園(仮称)の設置基準については、国が定める基準を踏まえ、都道府県等が条例で定める。

○ 国が定める基準については、以下のとおりとする。

ア 「学級の編制」、「職員の資格、員数」、「保育室及びその面積」、「乳幼児の適切な処遇の確保、安全の確保、秘密の保持並びに乳幼児の健全な発達に密接に関連するもの」については、「従うべき基準」とする。

イ それ以外の事項については、「参酌すべき基準」とする。

○ 既存施設から移行する場合、学校教育、保育の質を確保する観点に加え、幼稚園、保育所、認定こども園からの円滑な移行を考慮し、原則として、現行の幼保連携型認定こども園における基準の特例を下回らない特例を設ける。

※ 上記の取り扱いは特例であり、本来の基準を満たすことが基本である。また、この基準を満たすために必要な支援策についても検討する。

(6) 施設に置かれる職員

○ 総合こども園(仮称)は、学校教育・保育を一体的に提供する施設であることから、現行の幼稚園及び保育所の双方で必要とされる職員を置く。

○ 具体的には、園長、保育教諭(仮称)、学校医、学校歯科医、学校薬剤師、調理員を必置とする。

※ 総合こども園(仮称)に置かれる職員のうち、資格要件に対して罰則を課す必要がある職員や特例が他の法律で規定されている職員については、法律で規定する。

○ 保育教諭(仮称)は、幼稚園教諭の免許状と保育士資格を併有することを原則とする。

※ いずれかしか有しない者については、特例措置を講じる。

○ なお、職員の資格については、教員免許・養成制度の見直し及び保育士資格制度の見直しの検討状況等を踏まえた上で検討する。

(7) 職員の身分等

<1> 公立の総合こども園(仮称)の保育教諭(仮称)等の身分

○ 公立の総合こども園(仮称)の保育教諭(仮称)等については、基本的に教育公務員特例法に規定する教育公務員として取り扱う。

<2> 保育教諭等の研修

(公立)

○ 教育基本法第九条の規定により、保育教諭(仮称)等の研修の充実を図る。

また、保育教諭(仮称)等は、絶えず研究と修養に努めなければならないとする。

○ 公立の幼稚園教員と同様に研修を受ける機会を付与するとともに、新任者に対する研修等を義務化する。

(私立)

○ 教育基本法第九条の規定により、保育教諭(仮称)等の研修の充実を図る。

また、保育教諭(仮称)等は、必要な知識等の修得に努めるものとする。

<3> 政治的行為の制限

(公立)

○ 総合こども園(仮称)における政治教育その他政治的行為を禁止する。

○ 保育教諭(仮称)等について、その政治的中立性を確保するため、現行の公立幼稚園教諭と同じ政治的行為の制限を課すことを基本とし、その具体的方法については今後更に検討する。

(私立)

○ 総合こども園(仮称)における政治教育その他政治的行為を禁止する。

<4> 職員の給与及び福利厚生(退職金、年金及び医療保険)

(公立)

○ 総合こども園(仮称)の保育教諭(仮称)等は、保育所の職員に近い勤務態様となるため、教職調整額制度は適用せず、時間外勤務、休日勤務を行った場合はそれぞれ時間外勤務手当、休日勤務手当を支給する。

○ 公立総合こども園(仮称)の職員については、公立学校共済組合に加入することを基本とし、具体的には今後更に検討する。

(私立)

○ 私立総合こども園(仮称)の職員については、設置主体(学校法人・社会福祉法人等)に応じて、対象となる福利厚生制度に加入する。

※ 社会福祉法人等が設置する幼稚園、幼稚園型認定こども園、幼保連携型認定こども園が総合こども園(仮称)に移行した場合等については、移行前に加入していた年金・医療保険制度に加入できるようにすることについて検討。

(8) 評価、情報公開

○ 学校教育・保育の質の向上を図る観点から、自己評価を義務化し、関係者評価、第三者評価を努力義務化する。また、地域住民・保護者の理解増進及び連携・協力に資するため、総合こども園(仮称)の運営に関する情報提供を義務化する。

(9) その他

<1> 公的貸付

○ 設置主体により分けることとし、学校法人立の総合こども園(仮称)は日本私立学校振興・共済事業団の貸付対象、社会福祉法人立の総合こども園(仮称)は、独立行政法人福祉医療機構の貸付対象とする。

<2> 保健

○ 総合こども園(仮称)においては、乳児及び幼児の保健衛生の確保の観点から、以下のような措置を講じる。

ア 感染症の流行を防止するための措置として、総合こども園(仮称)においても出席停止や臨時休業を行えることとする。ただし、感染症の流行時においても保育を必要とする子どもに対して、確実に保育が提供される体制を事前に調整する等の対応を行うこととする。 

イ 保健計画の策定、保健室の設置、健康診断の実施、学校医・学校歯科医・学校薬剤師の配置を行うこととする。

<3> 災害給付

○ 総合こども園(仮称)については、幼稚園及び保育所と同様、独立行政法人日本スポーツ振興センターによる災害共済給付の対象とする。

<4> 「総合こども園(仮称)」の名称の使用制限

○ 「総合こども園(仮称)」という名称について使用を制限する。

○ 当該名称の使用制限については、総合こども園法(仮称)の施行後、一定の猶予期間を設ける。

<5> 税制上の措置

○ 総合こども園(仮称)に係る税制については、現行の幼稚園及び保育所に対する措置を踏まえ、平成25年度以降の税制改正要望を通じて検討する。

<6> 認定こども園からの移行

○ 認定こども園については、現行制度において幼児期の学校教育・保育を一体的に提供する施設としての先駆的取組であることから、

ア 基準を満たすものについては、新制度において、総合こども園(仮称)に円滑に移行できるような特例を設ける。

※ 例えば、総合こども園(仮称)の認可の申請があった場合に、基準を満たしていれば、都道府県がこれを認可しなければならないとする特例を設けることなどについて、更に検討する。

イ 現在は基準を満たさないものについても、施設の実態を把握した上で、総合こども園(仮称)の基準を満たすために必要な支援策を検討する。

○ 異なる2法人が共同して運営している認定こども園が1つの総合こども園(仮称)に円滑に移行することのできる仕組みについて別途検討する。

○ 認定こども園制度自体は廃止するが、新制度施行までに認定こども園の認定を受けた施設については、新制度施行後も「認定こども園」の名称を使用することを妨げない。

(10) 経過措置等

○ 保育所(満3歳未満児のみを保育するいわゆる乳児保育所を除く。)については、小学校就学前のすべての子どもに学校教育を保障する観点から、一定の期間(制度の本格施行から3年程度(必要に応じて期間の延長を検討)。この間に設置基準(特例あり)を満たすこととする。)後にすべて総合こども園(仮称)に移行する。

※ 幼稚園からの移行については9(1)参照。

○ 公立保育所の総合こども園(仮称)への移行に係る法制上の取扱いについては、移行期間の延長を含めて、引き続き検討する。

○ 関係法令の適用についても、現行の幼稚園、保育所及び認定こども園からの円滑な移行に配慮して、関係規定を整理する。

○ この他、総合こども園(仮称)への移行に係る必要な経過措置等について、引き続き検討する。

IV 子ども・子育て支援事業(仮称)

1 子ども・子育て支援事業(仮称)の対象範囲

○ 子ども・子育て支援事業(仮称)は、子ども・子育て家庭等を対象とする事業として、市町村が地域の実情に応じて実施する以下の事業とする。また、対象事業の範囲は法定する。

<1> 地域子育て支援拠点事業

<2> 一時預かり

<3> 乳児家庭全戸訪問事業

<4> 養育支援訪問事業その他要支援児童、要保護児童等の支援に資する事業

<5> ファミリー・サポート・センター事業

<6> 子育て短期支援事業

<7> 延長保育事業

<8> 病児・病後児保育事業

<9> 放課後児童クラブ

<10> 妊婦健診

<11> 実費徴収に係る補足給付を行う事業(仮称)(III7(3)<5>ア参照)

<12> 多様な主体が新システムに参入することを促進するための事業(例:特別支援教育に関する支援等)

○ 現在、法律上の根拠を有しない「<4>」、「<5>」、「<7>」、「<8>」、「<11>」、「<12>」については、法律に事業の根拠(定義)を位置付ける。 

○ 子ども・子育て支援事業(仮称)の対象範囲については、「平成24年度以降の子どものための手当等の取扱いについて」(平成23年12月20日内閣官房長官、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣合意)との整合性に留意することが必要。

2 地域子育て支援事業(仮称)

○ 上記「<1>」~「<6>」、「<11>」、「<12>」の事業を地域子育て支援事業(仮称)として、市町村が地域のニーズ調査等に基づき実施する旨を法定する。市町村は、市町村新システム事業計画(仮称)で需要の見込み、提供体制の確保の内容及びその実施時期を記載し、提供体制を計画的に確保する。

○ すべての子ども・子育て家庭を対象としたこれらの事業の実施が必要である。特に、地域子育て支援拠点事業については、地域の子育て資源に精通した「子育て支援コーディネーター」(仮称)を配置するなどにより、実施主体である市町村と当該事業者が連携し、個々の子育て家庭に身近な立場から、その事情に応じた、利用支援の役割を果たすものとする。

○ 一時預かりは、保護者の働き方に関わらず、日常生活を営む上での利用や、社会参加を行うための利用など、普遍的に子ども・子育て家庭に必要なものであり、すべての子ども・子育て家庭が身近に利用できる事業とする。

○ 乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業は、都道府県等が実施する社会的養護、障害児支援と連携して実施することとし、市町村新システム事業計画(仮称)において、都道府県等との連携方策を位置付ける。

○ 事業ごとに、質の確保を図る観点から、国は一律の基準を設定する。

○ その際、現在、国が法令上の基準を設定している地域子育て支援拠点事業及び一時預かり以外は、国が技術的助言(・交付金の基準)として提示する(新たな法令による基準は設定しない。基準の客観性は担保)。

3 延長保育事業、病児・病後児保育事業

○ 保護者の残業、子どもの病気など、保育の利用にかかわる突発的な事情変化にきめ細かく対応できるよう、延長保育事業、病児・病後児保育事業を市町村の事業として位置付ける。

<1> 延長保育事業

○ 契約による利用時間以外の時間に、認定された保育の必要量を超えて保育を提供する事業

<2> 病児・病後児保育事業

○ 病気の際に就労等で保護者による自宅での保育が困難な場合に、病児等の特性を踏まえた保育を提供する事業

○ 延長保育事業、病児・病後児保育事業については、市町村が地域のニーズ調査等に基づき実施する旨を法定する。市町村は、市町村新システム事業計画(仮称)で需要の見込み、提供体制の確保の内容及びその実施時期を記載し、提供体制を計画的に確保する。

○ それぞれの事業について、質の確保を図る観点から、国は一律の基準を設定する。

○ その際、国が技術的助言(・交付金の基準)として提示する(新たな法令による基準は設定しない。基準の客観性は担保)。

○ 病児・病後児保育事業を行う場合の都道府県・指定都市・中核市への届出、指導監督は一時預かりと同様とする。

4 放課後児童クラブ

○ 小学校4年生以上も対象となることを明記し、4年生以上のニーズも踏まえた基盤整備を行う。

○ 放課後児童クラブについては、市町村が地域のニーズ調査等に基づき実施する旨を法定する。市町村は、市町村新システム事業計画(仮称)で需要の見込み、提供体制の確保の内容及びその実施時期を記載し、提供体制を計画的に確保する。

○ 質を確保する観点から、職員の資格、員数、施設、開所日数・時間などについて、国は法令上の基準を新たに児童福祉法体系に設定する。

○ 国が定める基準を踏まえ、市町村が基準を条例で定める。職員の資格、員数については、現行の事業実態を踏まえ、「従うべき基準」とすることも含め、法案提出までに整理する。

○ 利用手続きは市町村が定める。ただし、確実な利用を確保するため、市町村は、利用状況を随時把握し(事業者は市町村に状況報告)、利用についてのあっせん、調整を行う。

5 妊婦健診

○ 妊婦健診については、市町村新システム事業計画(仮称)の記載事項に位置付けることとし、市町村において確実な実施を図る。

○ 国は「健診回数・実施時期」及び「検査項目」について、乳幼児健診の取扱いや現行の事業実態を踏まえ、法令上の基準を新たに母子保健法体系に示すこととする。

V 社会的養護・障害児に対する支援

○ 子ども・子育て新システムの給付・事業は、社会的養護施策の要保護児童、障害児等を含め、地域の子ども・子育て家庭を対象とするものである。一方、都道府県は、社会的養護、障害等のニーズに対応する専門性が高い施策を引き続き担うこととし、市町村と都道府県の連携を確保する。

※ 都道府県等が担う児童相談所を中心とした体制、措置制度等は現行制度を維持する。

※ 障害児通所支援の実施主体については、「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律」(平成22年法律第71号)により、都道府県等から市町村に移行される

※ 障害児に対する支援については、障害者全般についての改革推進に係る議論の状況等を踏まえ検討することが必要である。

○ 市町村は、要保護児童、障害児等を含め、地域における学校教育・保育の需要の見込み及び提供体制の確保の内容及びその実施時期を市町村新システム事業計画(仮称)に明記する。また、市町村による利用調整により、確実な利用を支援する仕組みを設ける。

○ 虐待予防の観点から保育の利用が必要と判断される場合など、契約による利用が著しく困難と判断した場合において、市町村が措置による入所・利用を行うこととし、その仕組みを設ける。

○ 改正後の児童福祉法に規定される保育の措置は、市町村(新システムの実施主体)が判断して実施する。なお、都道府県等(措置制度等の実施主体)が、把握した児童に対して、保育の措置が必要と認めたときは、市町村に報告・通知しなければならない仕組みを設ける。また、要保護児童対策地域協議会を活用する等により、都道府県と市町村の間で、保育の措置を行った児童に関する情報交換を行う。

○ 市町村は、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業など、子どもに提供される一般施策を実施する。実施に際しては、都道府県が行う事業(社会的養護、障害等のニーズに対応する専門性が高い事業)と連携が必要であり、相互の連携について市町村新システム事業計画(仮称)、都道府県新システム事業支援計画(仮称)に位置付ける。

VI 子ども・子育て包括交付金(仮称)等

○ 国から市町村に対し、市町村新システム事業計画(仮称)に盛り込まれた子どものための手当、こども園給付(仮称)及び地域型保育給付(仮称)、市町村事業(子ども・子育て支援事業)の実施に必要な費用について、それぞれの給付・事業の性格に応じて、包括的に国庫負担及び国庫補助を行う(法令上及び予算上は区分)。これらの国庫負担金及び国庫補助金を「子ども・子育て包括交付金(仮称)」と総称する。

○ 財源保障の在り方としては、個人給付(子どものための手当、こども園給付(仮称)及び地域型保育給付(仮称))は、国庫負担金(義務的経費)とし、市町村事業は、国庫補助金(裁量的経費)とする。

○ 市町村は、子ども・子育て包括交付金(仮称)と地方の財源を合わせ、地域の実情に応じ、給付・事業を行う。

市町村での交付金の経理は、交付金は子ども・子育てのために使われるものであるため、一般会計での対応を基本とする。あわせて、地域の実情に応じ、例えば地方版子ども・子育て会議(仮称)において費用の使途実績、事業の点検評価を分かりやすい形で行うことなどを通じ、子ども・子育てに使われたことが確認できることとする。

○ 国における会計については、VIII3で後述のとおり、事業主拠出金を求めることを踏まえ、区分経理(特別会計における勘定)を行う。その際、子ども・子育て会議(仮称)によるチェックなど、関係当事者の参画による運営の透明性の確保を前提とする。

VII 子ども・子育て会議(仮称)

○ 子ども・子育て支援の給付・事業を、子ども・子育て当事者のニーズに即したものとするため、また、効果的かつ効率的な制度運用のため、地方公共団体、事業主代表・労働者代表、子育て当事者、子育て支援当事者等(子ども・子育て支援に関する事業に従事する者)、有識者が子育て支援の政策プロセス等に参画・関与できる仕組みとして、国に子ども・子育て会議(仮称)を設置する。

○ 子ども・子育て会議(仮称)は、国の審議会等として設置し、透明性を担保し、効果的かつ効率的な制度運用を確保するため、以下の事務を所掌するものとする。

<1> 策定に当たって会議に諮ることを義務付ける事項

ア 基本指針

イ 給付の内容・費用負担の在り方に関する事項

<2> 必要に応じて会議で調査審議を行う事項

ア 子ども・子育て支援法(仮称)の施行に関する重要事項

イ 費用の使途実績、事業の効果等の点検・評価(PDCA機能)

○ 構成員については、費用負担者や実施主体(地方公共団体関係者)はもとより、上記のような幅広い関係者(地方公共団体、事業主代表・労働者代表、子育て当事者、子育て支援当事者等(子ども・子育て支援に関する事業に従事する者)、有識者)が子育て支援の政策プロセス等に参画・関与できる仕組みとする。

○ 地方公共団体においても、国の子ども・子育て会議(仮称)と同様の関係当事者が新システムの運営に参画する仕組み(地方版子ども・子育て会議)を設けることが必要。地方公共団体の判断により、国に設置する会議と同様の事務を所掌する合議体が設置できる旨を法定。

※ 地方公共団体に合議体を設置することは、特に小規模な市町村において柔軟な対応ができるよう、義務付けは行わない。

○ ただし、こども園(仮称)の指定等の行政権限について、透明性を確保するため、当該権限を行使する際には、合議体を置く場合にはその合議体の意見を聴くこととし、合議体を置いていない場合には、子どもの保護者や子ども・子育て支援に係る当事者の意見を聴くこととする。

※ いずれの場合も、合議体の構成員について、住民その他の関係者の意見を聴き、地域の子ども及び子育て家庭の実情を踏まえた調査審議ができるように配慮。

VIII 費用負担

1 新システムの費用負担の在り方について

○ 基本制度案要綱においては、「社会全体(国・地方・事業主・個人)による費用負担」と記載されている。

2 新システムの国・地方の費用負担

○ 新システムにおける国・地方の費用負担については、「IV 子ども・子育て包括交付金(仮称)等」で示した考え方に従い、それぞれの区分ごとに、以下のとおりとする。

(1) 子どものための手当

○ 「平成24年度以降の子どものための手当等の取扱いについて」(平成23年12月20日内閣官房長官・総務大臣・財務大臣・厚生労働大臣合意)により決定されたとおり法律に規定する。

・国:地方=2:1

・事業主は被用者(所得制限額未満)の3歳未満の子に係る7/15

※ 公務員分については所属庁が負担。

(2) こども園給付(仮称)、地域型保育給付(仮称)

○ それぞれの給付における国と地方の役割分担や、私立保育所、私立幼稚園に係る現行の制度等を踏まえて法律に規定する。

・国:地方=1:1

※ 公立施設に対するこども園給付(仮称)は、市町村が10/10負担。

※ こども園給付のうち、当分の間、保育の必要性の認定を受けない子どもについて支給される、地域の実情を踏まえて市町村が定める額の部分については、地方が10/10負担する。

(3) 子ども・子育て支援事業(仮称)

○ 国と地方の役割分担や、現行の事業等を踏まえて設定。

・国等※:地方=1:2

※ 放課後児童クラブ、延長保育事業、病児・病後児保育事業(これらの質の改善に係る費用を除く)については事業主、それ以外は国とする。

(事業主拠出を充当する範囲は法律で規定する)

・負担割合は、交付要綱等で設定(法律に規定しない)。

3 事業主負担の考え方

○ 子ども・子育て施策については、公費で負担することが基本。事業主拠出の水準は、現行制度における事業主の負担をベースに設定する。

※ 事業主負担の在り方については、XIの見直しに際して改めて検討する。

○ 新システムは、事業計画の期間(5年)を一期間とした中期財政運営を基本とする。

○ 事業主拠出を充当する対象範囲は法定する。

具体的には、子どものための手当と両立支援のための子ども・子育て支援事業(仮称)(放課後児童クラブ、延長保育事業、病児・病後児保育事業。これらの事業の質の改善に要する経費を除く。)に充当することとする。

※ XIの見直しに際し、事業主拠出の充当範囲については、受益と負担の対応関係を踏まえた見直しを検討する。

○ 事業主拠出を充当する割合について、子どものための手当については、「平成24年度以降の子どものための手当等の取扱いについて」(平成23年12月20日内閣官房長官・総務大臣・財務大臣・厚生労働大臣合意)により決定されたとおりとする。

また、両立支援のための子ども・子育て支援事業(仮称)に対して事業主拠出を充当する割合については、従来どおりとする(交付要綱等において設定)。

○ 事業主拠出は、従来の児童手当拠出金と同様に、厚生年金ルートでの拠出とする。

※ 社会保障・税に関わる番号制度(マイナンバー)の活用等による新たな徴収ルートを求めることについては、事業主間の公平性を確保する観点から、マイナンバーの利用開始を踏まえ、改めて検討。

○ 上記の事業主拠出を充当する対象範囲の給付・事業については、事業主拠出の額を勘案して「拠出金率」の上限について法定し、政令で拠出金率を定める。

※ 法定する上限は、政府の平成24年度予算案と整合性を図る必要から1.5%とする。

○ 拠出金率に関し、事業主が意見を申し出ることができる旨を法定する。

その際、事業主の意見提出の機会を実質的に保障するため、政府は十分な情報提供を行うとともに、事業主代表との意見交換を十分行い、提出された意見は尊重するものとする。

○ 概算・清算等の仕組みについては、別途検討。

○ 事業主拠出金の使途については、関係者が参画する子ども・子育て会議(仮称)で定期的にチェックし、透明性・効率性を確保する(VIIで既述)。

また、定期的に事業主との意見交換を行うこととする。

4 新たな制度における利用者負担について

○ 新システムにおける利用者負担については、すべての子どもに質の確保された学校教育・保育を保障するとの考え方を踏まえ、利用者の負担能力を勘案した応能負担を基本として定める。

○ 具体的には、所得階層区分ごと、保育の必要性の認定の有無、認定時間(利用時間)の長短の区分ごとに定額の負担を設定する。

ア 保育の必要性の認定を受けた子どもの場合

・ 現行の保育制度の利用者負担の水準を基本に、所得階層区分ごと、認定時間(利用時間)の長短の区分ごとに定額(月額)の負担を設定する。

・ 満3歳以上児については、現行、一定階層以上の利用者には保育単価限度以上の負担を求めていないことや、保育の必要性の認定を受けない子どもに係る利用者負担の在り方との整合性を考慮し、一定階層以上については一律の負担とする。

・ 新システムの実施主体である市町村の事務簡素化を図るため、所得階層区分は市町村民税額を基に行う。

・ 同一世帯の複数の子どもが保育等を利用する場合、現行制度と同様の多子軽減措置を導入する。

・ 家庭的保育、小規模保育等の多様な保育に係る利用者負担についても、同様の整理を基本とする。

※ 延長保育、病児・病後児保育等については、現行の各事業との整合性等を踏まえ、整理する。

イ 保育の必要性の認定を受けない子どもの場合

・ 現行の幼稚園制度の利用者負担の水準を基本とする。

・ その上で、長時間利用の子どもの利用者負担の考え方との関係については、引き続き整理する。

○ 利用者負担の設定については、国が定める全国基準額を踏まえ、市町村が費用徴収基準額を定めることとする※。その際、各市町村が単独事業として利用者負担を軽減する措置については、現行と同様に、各市町村の判断により行うことを妨げないものとする。

※ 実費徴収や実費徴収以外の上乗せ徴収については、一定の要件の下で施設が定める(III 7参照)。

○ 利用者負担の水準については、財源の在り方と併せて、検討する。

5 既存の財政措置との関係について

(1) 公立のこども園(仮称)について

○ 公立のこども園(仮称)については、財源は現行と同様に地方交付税により措置しつつ、その役割等を踏まえ、新システムにおける「こども園給付(仮称)」の対象に含めることとし、利用手続や給付制度は公立・私立共通のものとする。

○ 都道府県立及び市町村立のこども園(仮称)のどちらも、市町村長の指定を受けることとし、指定基準の遵守、指導監督等は、私立のこども園(仮称)と共通のものとする。

○ 公立のこども園(仮称)についても、地域の実情に応じ、例えば地方版子ども・子育て会議(仮称)において費用の使途実績、事業の点検評価を分かりやすい形で行うことなどを通じ、子ども・子育てに使われたことが確認できることとする。

(2) 私立施設に対する機関補助(私学助成)について

○ 現行の私学助成のうち、幼稚園運営の基本部分(一般補助)については、原則として、こども園給付(仮称)に統合する。

○ 幼児期の学校教育における多様なニーズに対応する取組(特別補助)のうち、福祉的要素を併せ持ち、広く実施されているもの(預かり保育、子育て支援)については、その内容を見直しつつ、新システムの子ども・子育て支援事業(仮称)(一時預かり、地域子育て支援拠点)に位置付ける。

※ 現在の取組が継続できるよう、子ども・子育て支援事業(仮称)の実施要件等について教育の要素を追加するなど必要な見直しを行うとともに、広域利用の調整の在り方について検討する。その上で、万一広域利用の実態などから市町村事業として実施されない場合には、過渡的な措置として、広域的な見地から都道府県が私学助成の対象とする途を残すことを検討する。

○ 一定の基準を満たす施設において行われる、特に質の高い特色ある取組として先駆的に行われるもの(例:特別支援教育、幼児期の学校教育と小学校教育の連携等のうち特に質の高い特色ある取組)については、幼児期の学校教育を振興するための奨励的な見地から私学助成で対応するが、「設置主体を問わず、同じ取組に対しては同じ支援を行う」との考え方に基づき、社会福祉法人立も含め総合こども園(仮称)を対象に追加する。

※ 株式会社、NPO等の行う特別支援教育等については、子ども・子育て支援事業(仮称)による支援を検討(IV1参照)。

○ 指定を受けない幼稚園の場合には、新システムの枠外で、私学助成を継続する。

※ 現に幼稚園の認可を受けている施設については、こども園(仮称)の指定があったものとみなす経過措置を設ける(III5(3)参照)。

(3) 幼稚園就園奨励費補助

○ 現行の私立幼稚園に通う子どもに係る幼稚園就園奨励費補助については、原則として、こども園給付(仮称)に統合し、こども園給付(仮称)の中で、現行制度の負担水準を基本とした利用者負担設定を図ることとする。

○ 現行の公立幼稚園に関しては、新たな制度において、公立こども園(仮称)に通う保育の必要性の認定を受けない子どもの利用者負担について、現行制度の負担水準を基本とした利用者負担設定を図ることとする。

○ 指定を受けない私立幼稚園に通う子どもについては、幼稚園就園奨励費補助その他の保護者負担の軽減のための補助により対応する。

(4) 国立大学運営費交付金

○ 国立大学附属幼稚園については、市町村が新システム事業計画の下で地域の実情等に応じて計画的に整備する施設ではないことから、指定制及びこども園給付(仮称)の対象とせず、引き続き国立大学法人運営費交付金により財政措置することとする。

6 恒久財源の確保

○ 潜在ニーズを含む保育等の量的拡充※は、最優先で実施すべき喫緊の課題である。

○ これと併せて、職員配置の充実など必要な事項※については、子ども・子育て新システムの制度の実施のため、税制抜本改革による財源を基本としつつ、必要に応じそれ以外の財源を含め、国・地方を通じた恒久的な財源を確保しながら実施することとする。

※ 主な内容

■ 保育、放課後児童クラブ、地域子育て支援、社会的養護等の量的拡充 ※子ども・子育てビジョンベース

■ 0~2歳児保育の体制強化による待機児童の解消

・現在の幼稚園の0~2歳児保育への参入の促進

・小規模保育など新たな保育の類型を創設

・長時間の保育ニーズへの対応・延長保育の充実 等

■ 質の高い学校教育・保育の実現(幼保一体化の推進)

・3歳児を中心とした配置基準の改善

・病児・病後児保育(看護師等の施設への配置を含む。)、休日保育の充実

・地域支援や療育支援の充実

・給付の一体化に伴う所要の措置(施設の事務体制を含む。) 等

■ 総合的な子育て支援の充実

・「子育て支援コーディネーター」(仮称)による利用支援の充実 等

■ 放課後児童クラブの充実

■ 社会的養護の充実 

○ そのための追加所要額は、潜在ニーズを含む保育等の量的拡充と、職員配置の充実などの質の改善を合わせて2015年度で1兆円超と見込まれる。

※ 「社会保障・税一体改革成案」(平成23年6月30日政府・与党社会保障改革検討本部決定)においては、税制抜本改革によって財源を措置することを前提に、2015年における子ども・子育て分野の追加所要額(公費)は0.7兆円程度(税制抜本改革以外の財源も含めて1兆円超程度の措置を今後検討)とされた。

※ さらに、「平成24年度以降の子どものための手当等について」(平成23年12月20日 内閣官房長官・総務大臣・財務大臣・厚生労働大臣合意)においては、「子ども・子育て新システムについては、「社会保障・税一体改革成案」(平成23年6月30日政府・与党社会保障改革本部決定)において、税制抜本改革以外の財源を含めて1兆円超程度の措置を今後検討するとされており、財源確保のために最大限努力を行う。」とされた。

※ 上記の額に施設整備費は含まれない(なお、幼稚園における調理室の新設や緊急的な基盤整備(耐震化を含む)等に係る施設整備費補助については引き続き実施する。)。

※ 指定制の導入等による保育等への多様な事業主体の参入を促進(質を確保するための基準とあわせて質の改善を図る)。

※ 質の改善に直接つながる職員配置の充実、その他の職員の処遇改善、食育の推進等については、順次、優先順位をつけながら、実現を図る。

※ 職員の定着・確保を図るため、キャリアアップの仕組みと併せた処遇の仕組みを検討することが必要。その際、職員のキャリアアップに資する観点から、幅広い業務経験を可能とするための運営の在り方についても検討を進める。

IX 国の所管及び組織体制について

○ すべての子どもに良質な育成環境を保障する財源・給付に係る「子ども・子育て支援法(仮称)」における事務については、内閣総理大臣が主たる責任を有し、企画立案から執行までを一元的に内閣府において所管する。

○ 総合こども園(仮称)は、総合こども園法(仮称)に基づく「一体化施設」であり、子ども・子育て支援法(仮称)を所管することとなる内閣府で所管することが適当である。

○ 同時に、総合こども園(仮称)の認可を受けることにより、その効果として、学校教育の法体系における学校及び児童福祉の法体系における児童福祉施設としての性格を併せ持つこととなり、その限りにおいて文部科学省、厚生労働省の所管は残ることから、事務の内容に応じて、両省と調整を図ることとする。

○ 省庁再編の際に実現を目指す子ども家庭省(仮称)の基盤となる組織体制として、当面、子ども・子育て施策の中核的役割を担うこととなる内閣府に、子ども・子育て支援法(仮称)及び総合こども園法(仮称)における権限を、内閣府特命担当大臣の下で、適切に実施するための体制を整備し、新システムの一元的な実施体制を担保することを目的として、法律上の総合調整権限を持たせることとする。

X ワーク・ライフ・バランスについて

○ 基本制度案要綱では、子ども・子育て新システムにおいて、「ワーク・ライフ・バランスの実現」を掲げている。

○ 新システムにおけるワーク・ライフ・バランスの実現に向けた、国、地方、事業主の取組については、以下のとおりとする。

<1> 国・地方の役割

○ 次世代育成支援対策推進法に基づく「市町村行動計画」等又は子ども・子育て支援法(仮称)に基づく「市町村新システム事業計画(仮称)」等で、職業生活と家庭生活との両立に関することを規定するとともに、国が策定する指針等でその内容を明示することとする。

<2> 事業主の責務の位置付け

○ 子ども・子育て支援法(仮称)に、事業主自らのワーク・ライフ・バランスへの取組や、国や地方の施策への協力を、事業主の責務として規定することとする。

<3> 事業主行動計画の位置付け

○ 基本制度ワーキングチームにおいて、子育て期の労働者のワーク・ライフ・バランスを確保する重要性についてのご意見があったことも踏まえ、今後、平成27年度以降の取扱いを政府において別途検討する(今回は改正しない)。

XI 制度施行後の見直し

○ 新制度施行から一定期間を経過した後、新システムの施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、制度全般(こども園給付(仮称)、地域型保育給付(仮称)、子ども・子育て支援事業(仮称)、総合こども園(仮称)、子ども・子育て包括交付金(仮称)、費用負担(事業主負担の在り方等)、既存の財政措置との関係(公立のこども園、私学助成等)等)について見直しを図ることとする。


(別紙) 市町村新システム事業計画(仮称)、都道府県新システム事業支援計画(仮称)、国の基本指針(仮称)の記載事項

1 市町村新システム事業計画(仮称):5年ごとに計画を策定

(必須記載事項)

○ 圏域の設定

○ 需要の見込み

・幼児期の学校教育の需要

・保育の需要

・地域子育て支援の需要

・延長保育、病児・病後児保育の需要

・放課後児童クラブの需要

・妊婦健診の需要 

○ 提供体制の確保の内容及びその実施時期

・こども園(仮称)

・地域型保育(仮称)

・地域子育て支援事業(仮称)

・延長保育事業、病児・病後児保育事業

・放課後児童クラブ

・妊婦健診

○ 幼保一体化を含む子ども・子育て支援の推進方策

※ 幼児期の学校教育・保育、家庭における養育支援の充実方策を含む。

(任意記載事項)

○ 産後休業・育児休業明けのスムーズな保育利用のための方策

○ 都道府県が行う事業との連携方策

○ 職業生活と家庭生活との両立に関すること

2 都道府県新システム事業支援計画(仮称):5年ごとに計画を策定

(必須記載事項)

○ 幼児期の学校教育・保育に係る需要量の見込み、提供体制の確保の内容及びその実施時期

○ 幼保一体化を含む子ども・子育て支援の推進方策

※ 幼児期の学校教育・保育、家庭における養育支援の充実方策を含む。

○ 市町村が行う事業との連携が必要な社会的養護に係る事業、障害児の発達支援に着目した専門的な支援に係る事業

○ 人材の確保・資質の向上

(任意記載事項)

○ 市町村の業務に関する広域調整

○ 指定施設・事業者に係る情報の開示

○ 職業生活と家庭生活との両立に関すること

3 国の基本指針(仮称)

○ 子ども・子育てに関する理念(こども指針(仮称))

○ 提供体制の確保・事業の実施に関する基本的事項

・幼保一体化を含む子ども・子育て支援の推進方策

※ 幼児期の学校教育・保育、家庭における養育支援の充実方策を含む。

・市町村間、市町村と都道府県との間の連携

・指定施設・事業者に係る情報の開示

・人材の確保・資質の向上等

○ 需要を見込むに当たり、参酌すべき標準

・目標値の設定

・需要の見込量

・提供体制の確保の内容及びその実施時期

○ 職業生活と家庭生活との両立に関すること等

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