少子化対策

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第2章 妊娠、出産、子育ての希望が実現できる社会へ

第5節 特に支援が必要な子どもが健やかに育つように

1 障害のある子どもへの支援に取り組む

1)障がい者制度改革推進本部における取組

2009(平成21)年12月には、内閣に「障がい者制度改革推進本部」を設置し、その下で、障害のある方々を中心とする「障がい者制度改革推進会議」(以下「推進会議」という。)が開催され、我が国の障害者制度改革のための検討が進められた。

2010(平成22)年6月には、政府は推進会議が取りまとめた「障害者制度改革の推進のための基本的な方向」(第一次意見)を最大限尊重した改革の「工程表」を閣議決定した。さらに同年12月に、推進会議が取りまとめた「障害者制度改革の推進のための第二次意見」等を踏まえ、政府は、「障害者基本法」(昭和45年法律第84号)について、可能な限り障害のある児童生徒が障害のない児童生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、十分な教育を受けられるようにすることや、障害のある子どもが可能な限り身近な場所で療育等の支援を受けられるようにすること等を盛り込んだ「障害者基本法の一部を改正する法律案」を2011(平成23)年3月に「障がい者制度改革推進本部」において決定し、同年4月、国会に提出され、一部修正の上、同年6月に衆議院、同年7月に参議院においてそれぞれ全会一致で可決成立し、同年8月に施行(一部は2012(平成24)年5月施行。)された。

障害者基本法の改正により、2012年5月、障害者基本計画の策定又は変更に当たって調査審議や意見具申を行うとともに、計画の実施状況を監視や勧告を行うための機関として、内閣府に「障害者政策委員会」が設置された。同委員会では、2013(平成25)年度からの次期障害者基本計画の策定について、2012年12月に意見を取りまとめた。このうち、教育については、障害のある子どもと障害のない子どもが共に学ぶことを原則とするインクルーシブ教育システムを構築することが盛り込まれた。また、療育については、障害のある子どもが障害のない子どもと同様に一般児童施策を利用できるよう、必要な施策を講ずることなどが盛り込まれた。

障害者に対する差別の禁止の在り方については、障害者政策委員会に差別禁止部会が置かれ、2012年9月には、同部会意見の取りまとめられた。この意見では、国際連合の「障害者の権利に関する条約(仮称)」などに基づき、障害のある子どもに対する教育や養育などに関する差別の禁止についての意見も盛り込まれた。

2)ライフステージに応じた一貫した支援の強化

地域において障害のある子どもとその家族を支えていく体制を整備するとともに、乳児期、就学期、学齢期、青年期、成年期などライフステージに応じて、保健・医療・福祉・教育・就労などの連携した支援を行うことが求められている。

このため、障害のある子どもに対しては、健康診査等によりできるだけ早期に障害を発見するとともに、児童福祉法に基づき、障害のある子どもに対し、治療や専門的療育を実施する児童福祉施設の整備及び機能強化を図り、療育体制を整備しているところである。

また、障害のある子どもには、その時々に応じて、保健・医療・福祉・教育・就労など様々な関係者が支援を行うことが必要であり、地域自立支援協議会の活用(子ども部会の設置)等により関係機関や関係者の連携システムを構築していく必要がある。

3)障害のある子どもの保育等

「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律」(平成22年法律第71号)の施行による改正児童福祉法等が施行され、2012(平成24)年4月から障害児が身近な地域で専門的な支援を受けることができるよう、障害種別で分かれていた施設体系について一元化するなど、障害児支援の強化を図ったところである。

この改正に基づき、障害のある子どもに対して、日常生活における基本動作の指導や、集団生活の適応のための支援を行う児童発達支援や保育所等訪問支援を実施している。また、従来から引き続き、家族の休息などができるよう一時的に預かって見守る日中一時支援等を実施している。

また、障害のある子どもについては、保育所での受入れを促進するため、1974(昭和49)年度より、障害児保育事業において保育所に保育士を加配する事業を実施してきたが、事業開始より相当の年数が経過し、保育所における障害のある子どもの受入れが全国的に広く実施されるようになったため、2003(平成15)年度より一般財源化したところである(2011(平成23)年度実施か所数:7,145か所、対象児童10,921人)。

このほか、障害のある子どもを受け入れるにあたり、バリアフリーのための改修等を行う事業や、障害児保育を担当する保育士の資質向上を図るための研修を実施している。

また、幼稚園においても、特別支援教育コーディネーター5の指名などの支援体制を整備するための経費の一部を国が補助するとともに、公立幼稚園において地方財政措置による特別支援教育支援員の配置を進めるなど、障害のある子どもの受入れ体制の整備促進を図っているところである。


5. 「特別支援教育コーディネーター」とは、各学校における特別支援教育の推進のため、主に、校内委員会・校内研修の企画・運営、関係諸機関・学校との連絡・調整、保護者からの相談窓口などの役割を担う者をいう。

4)発達障害のある子どもへの支援の充実

発達障害児6支援については、2005(平成17)年4月に施行された「発達障害者支援法」(平成16年法律第167号)を踏まえ、発達障害者の乳幼児期から成人期までの各ライフステージに対応する一貫した支援の推進を図るため、保健、医療、福祉、教育、就労等の制度横断的な関連施策の推進に取り組んでいる。

特に、発達障害等に関する知識を有する専門員が、市町村の保育所等の子どもやその親が集まる施設・場を巡回し、施設のスタッフや親に対して、発達障害の早期発見・早期対応のための助言等の支援を行う「巡回支援専門員整備事業」を実施するなど、地域における発達障害者に対する支援体制の充実を図っているところである。


6. 「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥多動性障害などの脳機能の障害であり、通常、低年齢において発現するものである。また、発達障害を有するために日常生活又は社会生活に制限を受ける者のうち、18歳未満の者を「発達障害児」という。

5)特別支援教育の推進

障害のある子どもの教育については、2007(平成19)年4月に改正学校教育法(平成18年法律第80号)が施行され、障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに応じて適切な指導及び必要な支援を行うという理念の下、特別支援教育制度に転換された。本改正により、小・中学校等においても、発達障害を含む障害のある子どもに対する特別支援教育を推進することが法律上明確に規定された。この新しい特別支援教育制度の下、障害のある子どもは、その障害の状態等に応じ、特別支援学校や小・中学校の特別支援学級、通級による指導等において、一人一人の教育的ニーズに応じた教育を受けている。

この特別支援教育制度への転換や、社会の変化や子どもの障害の重度・重複化、多様化等に対応した教育課程の基準の改善として、2009(平成21)年3月に特別支援学校の学習指導要領等を改訂し、

<1> 障害の重度・重複化、多様化への対応、

<2> 一人一人に応じた指導の充実、

<3> 自立と社会参加に向けた職業教育の充実、

などを行った。

また、2008(平成20)年及び2009年3月に改訂した幼稚園、小・中・高等学校の学習指導要領等についても、障害の状態等に応じた指導内容・方法の工夫を計画的、組織的に行う旨を規定するなど、特別支援教育に関する記述を充実したところである。

また、これらの制度改正等の趣旨を踏まえ、障害のある子どもに適切な指導や必要な支援を行うためには、特別支援教育にかかわる教員の専門性の向上や、各学校における支援体制の整備を一層充実していくことが重要な課題である。このため、大学への委託により特別支援教育に関する研修を実施し、特別支援教育にかかわる教員の専門性の向上に取り組むとともに、「特別支援教育総合推進事業」等の各種事業の実施や、障害のある子どもの学校における生活介助・学習支援等のサポートを行う「特別支援教育支援員」の配置に関する地方財政措置、また、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所における研究、研修、「発達障害教育情報センター」による情報提供等を通じて、特別支援教育の推進を図っている。

インクルーシブ教育システムの構築という障害者の権利に関する条約の理念を踏まえた特別支援教育の在り方については、中央教育審議会の「特別支援教育の在り方に関する特別委員会」において専門的な調査審議が行われその審議結果が、2012(平成24)年7月に、初等中等教育分科会報告として取りまとめられたところである。報告では、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの構築のための特別支援教育の在り方、就学相談・就学先決定の在り方、障害のある子どもが十分に教育を受けられるための合理的配慮及びその基礎となる環境整備、多様な学びの場の整備と学校間連携の推進、特別支援教育を充実させるための教職員の専門性向上等について提言されており、今後はこの提言等を踏まえ、特別支援教育を推進することとしている。

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