少子化対策

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コラム:被災地における子育て支援

平成23(2011)年3月11日に発生した東日本大震災は未曽有の被害をもたらした。東日本大震災の被災地においては、地方自治体やNPO、ボランティア団体などが、子どもや子どもを抱える人々に対して、引き続き支援を行っている。

《助産院ねっと・ゆりかご事業(岩手県遠野市)》

平成14(2002)年から出産を取り扱う医療機関が無くなった遠野市は、平成19(2007)年12月に妊産婦に保健指導を行う施設として、公設公営の遠野市助産院「ねっと・ゆりかご」を開設した(以下、「ねっと・ゆりかご」)。「ねっと・ゆりかご」では、健康相談、助産業務、健康教育に加え、県内13の医療機関とネットワークを結び、遠隔妊婦健診、24時間対応の緊急搬送を実施している点が特徴である。遠隔妊婦健診では、モバイル胎児心拍装置、岩手県周産期医療情報システム「いーはとーぶ」(以下、「いーはとーぶ」)、インターネットTV会議システムなどのICTシステムを用い、遠隔地の主治医による健診を受けることができる。緊急時には、救急車による妊婦の搬送を行っており、これには助産師も同乗している。

震災発生直後は、「いーはとーぶ」に登録された電子データを利用することで、沿岸部から避難されてきた妊婦の方に、内陸部の医師による診察の提供、新たに内陸部の病院の紹介などの支援が行われた。現在、遠隔妊婦健診には、超音波画像の電送システムが加えられ、更なる強化が図られている。

また、震災発生後、母子手帳を紛失する事例が見られたが、「いーはとーぶ」に健診等のデータが登録されていた人々に対しては、履歴を基にある程度まで母子手帳を復元することができた。こうした経験から、震災後「いーはとーぶ」に登録する市町村が増加し、電子データの共有化が進められている。

《特定非営利活動法人ベビースマイル石巻の取組(宮城県石巻市)》

特定非営利活動法人ベビースマイル石巻(以下、「ベビースマイル石巻」)は、震災により子育て環境が悪化する中、平成23(2011)年5月に現役のママたちが自ら立ち上がり、妊婦・未就園児の居場所づくりを開始した。その後も、子育て中の当事者だからこそ必要と感じる子育て支援を提供している。

震災後孤立する妊婦や未就園親子が多い中で、現在は育児や産前産後の不安を共有できる場として、毎月10回~15回イベントサロンを開催しており、参加者は1か月当たり200人を数える。イベントサロンには、行政や助産師との協働によるたまひよサロン(母親教室)、親子ビクス、リトミック、ベビーマッサージ等多彩なメニューが用意されている。

その他、「お産と子育てにつよいまちづくり」をスローガンに、虐待の防止や遊び場の確保などの様々な課題を解決することを目的として、子どもを持つ親、医師や助産師等医療関係者、子育てサポーター、子育て関係の専門家等、地域の子育て支援関係者との連携による「Bond(絆)Born(生まれる)Cafeプロジェクト」を展開している。毎週1回開催されるコミュニティカフェ「Bond Born Cafe」には、主に乳幼児を持つお母さんたちが集まっており、子どもを遊ばせながら、育児に関する情報交換等を行う場となっている。また、平成26(2014)年2月には、石巻地域の子育て支援センターや子育てサークルの情報等を盛り込んだ冊子「お産と子育てリソースマップ」を発行し、母子手帳に合わせて配布する等、地域の子育て環境に関する情報提供にも取り組んでいる。

《とうほうわんぱくランド(福島県福島市)》

福島県では、東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえ、子ども達のための屋内遊び場の整備を支援する「屋内遊び場確保事業」を平成24(2014)年より実施している。

福島県福島市に本社を置く銀行は、地域貢献の観点から、同社の研修センター内にあった室内ソフトボール練習場を、屋内遊び場「とうほうわんぱくランド」として整備し、平成24(2012)年7月から一般の方に広く無料提供している。

ソフトボール練習場の床面が土であったことや、砂場遊びが視覚や触覚など五感を養い、子どもの情操教育において効果的であるとの有識者からのアドバイスを受け、屋内でありながら自然のような起伏を感じることのできる砂場を中心に据えた遊び場づくりをしている点が特徴である。砂場の衛生管理には特に気を配っており、春先になると、多くの子どもたちが裸足で土の上を走り回って遊ぶ姿が見られる。

基本的には、土日祝日と水曜日を除く平日の午後に開園しているが、幼稚園や保育園などが事前に予約すれば、平日の午前中の貸切り利用も可能である。子どもたちが土に触れながら体を動かす貴重な場となっており、平成25(2013)年11月には利用者数が延べ1万人を超えた。

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