少子化対策

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2 子どもの健康と安全を守る

1)予防接種

予防接種は、感染症の発生及び流行から国民を守る極めて有効な手段であり、我が国の感染症対策上大きな役割を果たしてきたところである。今後も、予防接種の機会を広く確保するとともに、予防接種施策を適切に実施していくことが重要である。

2013(平成25)年3月の「予防接種法」(昭和23年法律第68号)改正では、新たにHib感染症、小児の肺炎球菌感染症、ヒトパピローマウイルス感染症の三ワクチンが定期接種に位置付けられた。また、予防接種に関する基本的な計画の策定、副反応報告制度の法定化、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の設置等の取組が進んだ。引き続き、先進諸国と比べて公的に接種するワクチンの数が少ない、いわゆる「ワクチン・ギャップ」の問題の解消に向け、厚生科学審議会等において「広く接種を促進していくことがのぞましい」とされた水痘、成人用肺炎球菌の二ワクチンについて定期接種化に向けた準備を進めるとともに、おたふくかぜ、B型肝炎の二ワクチンの取扱いについても検討を行う等、予防接種制度の見直し及び充実を図る。

2)こころの健康づくり

2008(平成20)年度から、経験豊かな退職した養護教諭をスクールヘルスリーダーとして、養護教諭未配置校や経験の浅い養護教諭の配置校へ定期的に派遣し、校内での教職員に対する研修、個別の対応が求められる児童、生徒への対応方法等に関する指導等を実施するとともに、スクールヘルスリーダーによる情報交換・知見の向上を図ること等により、児童、生徒が抱える現代的な健康問題に適切に対処できる環境の整備を図っている。

また、子どもの日常的な心身の健康状態を把握し、健康問題などについて早期発見・早期対応を図ることができるよう、教員を対象とした指導参考資料を作成するとともに、養護教諭、スクールカウンセラー等を対象に、子どもの心のケアの効果的な対応方法等に関するシンポジウムを開催している。

さらに、児童思春期におけるこころの健康づくり対策としては、児童思春期におけるこころのケアの専門家の養成研修事業を行っており、精神保健福祉センター、児童相談所等では児童思春期の専門相談を実施している。

加えて、様々な子どもの心の問題、被虐待児の心のケアや発達障害に対応するため、都道府県域における拠点病院を中核とし、各医療機関や保健福祉機関等と連携した支援体制の構築を図るための事業を2008年度より3か年のモデル事業として実施してきたところであり、2011(平成23)年度においては、本モデル事業の成果を踏まえ、「子どもの心の診療ネットワーク事業」として事業の本格実施を行っている。

3)性に関する科学的な知識の普及と発達段階に応じた適切な教育

生涯を通じた女性の健康支援事業では、保健所、市町村保健センター等において、妊娠、避妊や性感染症を含めた女性の心身の健康に関する相談指導のほか、女性のライフステージに応じた健康教育等を実施している。

また、性感染症に関する特定感染症予防指針においては、性感染症は、10代半ばから20代にかけての若年層における発生の割合が高いことから、性感染症から自分の身体を守るための正確な情報提供を適切な媒体を用いて行うことで、広く理解を得ることが重要であり、保健所等が行う健康教育にあっては、教育関係者及び保護者等と十分に連携し、学校における教育と連動した普及啓発を行うこととしている。

さらに、学習指導要領においては、学校における性に関する指導は、児童生徒の発達の段階に応じて性に関する知識を理解させるとともに、生命の尊重や自己及び他者の個性を尊重し、相手を思いやり、望ましい人間関係を構築するなど、適切な行動を取ることができるようにすることを目的とされており、体育科、保健体育科、特別活動、道徳などを中心に学校教育活動全体を通じて指導することとしている。なお、指導に当たっては、児童生徒の発達の段階を踏まえること、学校全体で共通理解を図ること、保護者の理解を得ることなどに配慮すること、集団指導と個別指導の連携を密にして効果的に行うことなどに配慮することが大切である。

政府では、学校において適切な性に関する指導が実施されるよう、各地域における指導者養成と普及を目的とした研修会等を行ったところである。

4)「食育」の普及促進

2005(平成17)年6月に制定された「食育基本法」(平成17年法律第63号、同年7月施行)において、子どもたちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性を育んでいく基礎となるものと位置付けられたところである。

食育基本法では、食育推進会議(会長:内閣総理大臣)が食育推進基本計画(以下この項目において「基本計画」という。)を作成することとされており、2006(平成18)年度から2010(平成22)年度を対象とする最初の基本計画が2006年3月に決定され、これに基づき食育の推進に関する各種施策が行われてきたところである。

なお、2011(平成23)年3月には、2011年度から2015(平成27)年度の5年間を期間とする新たな基本計画が決定され、2013(平成25)年12月には一部改定がなされたところである。

(1)国民運動としての食育の推進

食育基本法の趣旨から、子どもたちに対する食育が重要であるとの認識の下、基本計画に基づき、家庭、学校、保育所、地域等において、国民的広がりを持つ運動として食育を推進している。基本計画は、食育推進運動を重点的かつ効果的に実施し、食育の国民への浸透を図るため、毎年6月を「食育月間」として定めている。内閣府では、実施要綱を策定して全国的な推進を図るとともに、2013(平成25)年6月に広島県広島市において第8回食育推進全国大会を開催するなど、食育に関する国民の理解の促進に努めたところである。

また、若い世代の食生活の改善に尽力したボランティアを対象として「食育推進ボランティア表彰」を実施している。2013年度は、10の優秀事例を内閣府特命担当大臣から表彰した。

(2)家庭における食育の推進

2006年6月に公表した「平成17年度乳幼児栄養調査」結果では、出産直後や離乳食の開始時期に授乳や子どもの食事への不安が高まること、幼児(4歳未満)の約1割に朝食の欠食がみられることなどが明らかとなり、乳幼児のいる家庭への食育を推進していく必要がある。このため、授乳や離乳について適切な支援が推進されるよう2007年3月に取りまとめた「授乳・離乳の支援ガイド」の内容について普及啓発を図っている。

また、2010年3月、子育て中の保護者を主たる対象とする「親子のための食育読本」を作成し、公表したところである。

(3)学校等における食育の推進

学校における食育を推進するためには、学校における指導体制の整備が不可欠である。2005年4月に制度化された栄養教諭は、各学校の指導体制の要として、教育に関する資質と栄養に関する専門性を生かして、学校給食の管理を行うとともに、食に関する指導を一体として担うことにより、教育上の高い相乗効果をもたらすことが期待されており、食育の推進に大きな効果を上げている。2013年4月現在で、すべての都道府県において4,624人の栄養教諭が配置されている。このほかにも、

  • <1>全国のすべての小学校1年生・3年生・5年生、中学生を対象とした「食生活学習教材」を作成し、配布及びホームページで公開、
  • <2>栄養教諭を中核として、学校、家庭、地域が連携しつつ、学校における食育を推進するための事業の展開

など、各種事業を継続的に実施し、学校における食育の推進に努めている。

また、2008(平成20)年3月には、小中学校の学習指導要領の改訂を行い、その総則において、「学校における食育の推進」を明確に位置付けるとともに、家庭科(技術・家庭科)や体育科(保健体育科)、総合的な学習の時間、特別活動など、関連する教科等においても食育に関する記述を充実した。併せて、幼稚園教育要領の改訂も行われ、領域「健康」において、食育の観点からの記述を充実した。

さらに、2009(平成21)年4月には、改正学校給食法(平成20年法律第73号)を施行し、第1条(この法律の目的)において、「学校における食育の推進」を明記するとともに、栄養教諭が学校給食を活用した食に関する指導を行うことや、校長が食に関する指導の全体計画を作成するなど、必要な措置を講ずることを規定した。

児童福祉施設における食事は、入所する子どもの健やかな発育・発達及び健康の維持・増進の基盤であるとともに、望ましい食習慣及び生活習慣の形成を図るなど、その果たす役割は極めて大きい。そこで、2009年度に改定された「日本人の食事摂取基準」(2010年版)を受けて、児童福祉施設における食事の提供及び栄養管理のあり方について、子どもの健やかな発育・発達を支援する観点から、具体的な食事計画の作成や評価など栄養管理の手法について、専門家による検討を行い、2010年3月に「児童福祉施設における食事の提供ガイド」を取りまとめた。

なお、保育所における食育の推進については、2009年4月に施行された、新たな保育所保育指針(厚生労働省告示第141号)に位置付けられている。

(4)地域における食生活の改善等のための取組の推進

米を中心に水産物、畜産物、野菜等多様な副食から構成され、栄養バランスに優れた「日本型食生活」の実践を促すため、食材提供の場として、地域に密着したスーパーマーケット等の小売店において、食の健全化に向けた行動につながる実践的取組の支援等を行った。また、農林漁業体験を通じて食や農林水産業への理解を深める教育ファームなど地域における食育活動を支援した。さらに、学校給食への地場産物の活用など、地域の特性を活かした取組を促進している。

5)子どもの事故防止

(1)子どもの事故予防のための取組

2009(平成21)年12月より、子どもの不慮の事故を予防するため、「子どもを事故から守る!プロジェクト」を展開している。具体的には、2010(平成22)年9月より、子どもの年齢(月齢)ごとに起こりやすい事故及びその予防策等を、携帯サイト2及びパソコン用ホームページ3で紹介するとともに、子どもの不慮の事故を防ぐための注意点や豆知識を、メール配信サービス「子ども安全メールfrom消費者庁」として、毎週1回配信している。また、2011(平成23)年3月より、子どものけがの体験談やけがを防ぐための工夫を募集し、ホームページで紹介している。

さらに、2013(平成25)年1月にはプロジェクトのシンボルキャラクター「アブナイカモ」とテーマソング「おしえてね アブナイカモ」を公表して各地で開催される子ども関連イベントに出席するなど、親しみやすい啓発活動を行っている。


(2)遊び場の安全対策の推進

都市公園における遊具については、安全確保に関する基本的な考え方を示した「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」を2008(平成20)年8月に改訂し、各施設管理者への周知徹底を図っている。また、社会資本整備総合交付金等により、子どもの遊び場となる都市公園における公園施設の改築等の安全・安心対策に対する支援を実施している。

(3)建築物等の安全対策の推進

建築物や昇降機等における子どもの事故を防止し安全を守るためには、建築物等に要求される性能水準を維持し、常時適法な状態に保つことが必要であり、このため、多数の者が利用する特定の特殊建築物等について、建築物等の所有者等による維持保全計画の作成、定期報告制度等を通じ、適切な維持保全及び必要な改修を促進している。

また、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会及び同審議会昇降機等事故調査部会において、建築物等に係る事故情報について継続的に分析・検討を行い、建築物等の事故防止を図っている。

6)犯罪等の被害の防止

(1)子どもを犯罪等の被害から守るための取組の推進

警察においては、子どもを対象とした強制わいせつ等の暴力的性犯罪で服役し出所した者について、法務省から情報提供を受け、対象者を訪問して所在確認を行い、必要があれば同意を得て面談を行うなど再犯防止に向けた活動を推進しているほか、都道府県警察本部に設置された「子ども女性安全対策班」の活動を始めとする性犯罪等の前兆とみられる声掛け、つきまとい等の段階で行為者を特定し、検挙・指導警告等の措置を講ずる活動を推進している。

また、防犯ボランティア等によるパトロール活動や「子ども110番の家」の活動に対する支援、不審者情報等の迅速な発信及び共有に努めているほか、学校等と連携した被害防止教育、スクールサポーターの派遣等を推進している。

さらに、2013(平成25)年度においても、子どもたちが安心して教育を受けるために、学校安全ボランティア等を効果的に活用する仕組みを整備することにより、地域社会全体で、子どもの安全を見守る体制の充実を図っている。

(2)「安全・安心まちづくり」の推進

警察庁においては、関係省庁と連携し、防犯に配慮した犯罪の発生しにくい公園、道路、駐輪場等の公共施設等の整備・管理の普及を促進し、併せて、住宅についても防犯に配慮した住宅や防犯性能の高い建物部品の開発・普及を促進するなど犯罪防止に配慮した環境設計を行うことにより、犯罪被害に遭いにくい「安全・安心まちづくり」を推進している。また、子どもに対する犯罪の発生が懸念される学校周辺、通学路、公園、地下道、空き家等における危険箇所の把握・改善に努めるとともに、街路灯や防犯カメラの整備を促進するなど、子どもが犯罪被害に遭いにくいまちづくりを推進している。

(3)インターネットに係る有害環境から子どもを守るための取組の推進

インターネットに起因する子どもの犯罪被害等を防止するため、関係機関・団体等と連携し、携帯電話事業者に対する保護者へのフィルタリング等の説明強化に関する要請のほか、入学説明会等の機会を捉えた保護者に対する啓発活動や子どもに対する情報モラル教育の推進等の取組を推進している。

特に、コミュニティサイトの利用に起因する犯罪から子どもを守るため、警察庁及び関係省庁では、上記の取組のほか、民間事業者による実効性のあるゾーニング(利用者の年齢等属性に応じて利用可能なサービスを区別して設定すること。)の自主的導入の支援に係る取組及び民間事業者による自主的なミニメール内容確認の支援に係る取組を推進している。

7)子どもの健康に影響を与える化学物質や生活環境等の環境要因の解明

近年、環境中の化学物質等が子どもの心身の健康に与える影響への懸念が広がっている。

環境省は、環境中の化学物質等が子どもの健康に与える影響を解明するため、2010(平成22)年度より、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を行っている。このエコチル調査は、全国の10万組の親子の協力を得て、血液や尿、母乳などの分析を行うとともに、生まれてくる子どもの健康状態を13歳に達するまで追跡する大規模な疫学調査である。調査で得られた生体試料は長期的に保存し、将来的な調査研究にも備える。

この調査は、環境省の企画立案の下に、国立環境研究所がコアセンターとして実施機関となり、国立成育医療研究センターがメディカルサポートセンターとしての医学的支援を行いつつ、全国15地域の大学等によるユニットセンターと協力して実施する。調査期間は、リクルート期間(3年間)と追跡期間(13年間)として、2011(平成23)年1月から2027(平成39)年までを予定している。

エコチル調査を実施することで、子どもの発育や発達に影響を与える化学物質等の環境要因が明らかになることから、子ども特有のばく露や子どもの脆弱性を考慮した適正な環境リスク評価・リスク管理を行うことが可能となる。さらには、安全・安心な子育て環境の実現・少子化対策にも資するものである。

第2-2-6図 エコチル調査について

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