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少子化対策

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第2節 東日本大震災の被災地等における子ども・子育てに関する対応

1 東日本大震災における子ども・子育てに関する対応について

東日本大震災における子ども・子育てに関して、以下の対応を行っている。

1)「被災者に対する健康・生活支援に関する施策パッケージ」の取りまとめ

被災者の避難の長期化が見込まれる中、被災者の健康面を中心とした影響、また、災害公営住宅等へ入居した被災者においても、そこでの生活の定着には様々な不自由等が懸念される。このため、復興大臣のもとに関係府省局長級からなるタスクフォースを立ち上げ(2013(平成25)年11月13日)、現場から寄せられた現状と具体的な課題を総合的に把握するとともに、各府省の既存施策を横断的に点検し直し、2014(平成26)年度予算措置や今後の運用改善の方向性などを施策パッケージとして取りまとめた(2013年12月13日)。

特に、日本の将来を担うにもかかわらず、様々な形で被災の影響を受けている子どもに対し、従来からの心のケアに加え、体のケアに関する相談・援助も行うよう対象の拡大や仮設住宅等において安心して過ごすことができる環境づくり事業の創設等の支援の強化に必要な予算を2014年度政府予算に盛り込むほか、教育サイドからのアプローチとして、子どもへの学習支援や地域住民の学習・交流活動の促進や学校等へのカウンセラーの派遣など、多方面から子どもに対する支援施策を講じることとしている。

2)被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針の策定

東京電力原子力事故により被災した子どもを始めとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律(平成24年法律第48号)に基づき、2013年10月に、子どもを始めとする被災者への様々な支援施策を盛り込んだ「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針」を閣議決定するとともに、国会に報告した。

3)「新しい東北」の創造に向けた取組

東北地方は、震災前から、人口減少、高齢化、産業の空洞化等、現在の地域が抱える課題が顕著であった。このため、単に従前の状態に復旧するのではなく、震災復興を契機として、これらの課題を克服し、我が国や世界のモデルとなる「新しい東北」を創造すべく、取組を進めている。具体的には、幅広い担い手(企業、大学、特定非営利活動法人等)による先駆的な取組を加速するための「新しい東北」先導モデル事業等を実施している。

被災地では、子どもの外遊びの減少や、生活環境の変化に伴うストレスの発生等の課題が生じている。こうした課題の解決に当たっては、子どもの居場所(遊び場、運動の場)づくりや、子どもの育ちを身体・精神の両面から支援できる人材の育成等を通じ、元気で健やかな子どもの成長を見守る安心な社会づくりを進めることが重要である。

2013(平成25)年度の「新しい東北」先導モデル事業では、子どもの遊び場づくり活動を持続可能な取組として様々な地域に広げていくため、地域のボランティアとのつながりを強化する取組や、プレイリーダー(指導員)に「心のケア」等の専門的な能力を身につけてもらう取組を支援している。

2 福祉(心のケア含む)について

1)被災した子どもの現状の把握とケア

被災した子どもの現状の把握とケアのために、以下の対応を行っている。

  • 子どもの心のケアについては、児童精神科医等による巡回相談、保育士等の子育て支援に関わる方々に対する研修等の取組を支援。
  • 2014(平成26)年度においては、復興大臣のもとに設置された「被災者に対する健康・生活支援に関するタスクフォース」での議論を踏まえ、東日本大震災復興特別会計予算において「被災した子どもの健康・生活支援対策等総合支援事業」を計上し、避難生活の長期化等に伴う新たな課題について、従来から実施してきた取組に加えて対応できるよう拡充。
  • 保健師等が被災地で避難している乳幼児・子ども等への専門的な支援にあたる際のポイントをまとめ、地方自治体に周知。
  • 子どもの心の診療中央拠点病院である国立成育医療研究センターが作成した、保健師等が被災地から移住した子どもとその家族への専門的な支援にあたる際のポイントを地方公共団体へ周知。
  • 日本児童青年精神医学会が実施する児童精神科医の被災地への派遣について自治体に周知。
  • 子どもの心のケアに関する手引きを民間団体と協力して、地方公共団体、児童相談所、児童福祉施設等へ配布。
  • 心のケアを含む健康相談を行うなど、被災児童等の心の健康問題に適切に取り組むよう配慮することを各地方公共団体に要請。
  • 被災した幼児児童生徒や教職員等の心のケアの充実を図るため、学校等にスクールカウンセラー等を派遣する「緊急スクールカウンセラー等派遣事業」を実施。
  • 2010(平成22)年9月に配布した指導参考資料(「子どもの心のケアのために」)を増刷し、被災した県及び市町村教育委員会からの追加配布要望に応じて発送。
  • 被災した児童福祉施設等の復旧に係る施設整備に対する国庫補助率の引き上げ、また、被災した子育て支援関係事業者等の復旧支援のために、事業再開に要する諸経費の補助を実施。
  • 保育所等の復旧について、子どもと子育てを身近な地域で支える観点から、認定こども園への転換、地域子育て支援拠点など必要に応じ複合化、多機能化を図りつつ基盤整備を進めるための経費の補助を実施。
  • 東日本大震災に伴う保育所徴収金(保育料)及び児童入所施設徴収金の減免に対する支援を実施。
  • 東日本大震災被災地の子どもたちの心身の健全育成やリフレッシュを図るため、一定期間、外遊び、スポーツ及び自然体験活動等ができる機会を提供するリフレッシュキャンプを独立行政法人国立青少年教育振興機構が主催し、国立青少年教育施設で実施。2011(平成23)年7月から、2014年3月までにのべ210回22,705人が参加した。参加者のアンケート調査結果によると、キャンプの実施後は子どもたちの心身の状況に顕著な改善がみられた。なお、本事業の一部は、文部科学省との共催で実施されているほか、複数の民間企業からの協賛金等を得ている。
  • 2012(平成24)年5月に、東日本大震災の被災地の学校を対象に「非常災害時の子どもの心のケアに関する調査」を実施し、2013(平成25)年8月に有識者の分析を加えた報告書を公表するとともに、調査結果の一部を議論の材料の一つとして、震災で心に傷を受けた子どもたちのケアをテーマとしたシンポジウムを開催。

3 学校・教育について

1)子どもの学び支援

子どもの学びを支援するため、以下の対応を行っている。

(1)就学援助等

ア 幼児児童生徒等の就学支援

  • 被災により就学援助等を必要とする幼児児童生徒等に対する認定及び学用品費、学校給食費等の支給について、可能な限り速やかに弾力的な対応を行うよう各教育委員会に要請。また、被災した幼児児童生徒等の就学支援を実施するとともに、2012(平成24)年度以降当面3年間にわたり、必要な就学支援を行うことができるようにしているところ。

イ 学生等への教学面での支援

  • 受験生の受験機会の確保等について、最大限柔軟な措置を検討するよう各大学に依頼。

ウ 学生等への経済的支援

  • 独立行政法人日本学生支援機構において、被災した世帯の学生等に対し、大学等奨学金を貸与(2013(平成25)年度貸与人員144万3千人、うち被災学生等1万人)。
  • 入学金や授業料の徴収猶予・減免等について要請(これまで、全国の多くの大学・専修学校等で、授業料免除、奨学金、宿舎支援などを実施)。
  • 2012年度予算において、被災した学生に対する授業料等減免の拡充について計上。

(2)教職員の加配措置

  • 東日本大震災の対応のための教職員定数の加配措置については、各県からの要望を踏まえ、2011年度以降約1,000人を措置しており、2013年度においても、計1,042人(うち義務教育諸学校:975人、高等学校:67人)を措置。

(3)学校施設・社会教育施設等の復旧

  • 学校施設・社会教育施設等の災害復旧事業に要する費用を2013年度予算に計上。
  • 被災した幼稚園等が、被災地のニーズ等を踏まえ、幼保一体化施設(認定こども園)としての機能を備えて再開できるよう支援するための補助を実施。

(4)学校等における放射線モニタリング等の実施

  • 福島県内(20km圏内の避難地域を除く)の小学校、中学校、幼稚園、保育所及び特別支援学校の校庭・園庭において、空間線量率の測定を実施し、公表。
  • 2013(平成25)年度においては、福島県等11県を対象として学校給食一食全体の提供後の検査を行う事業を実施しているほか、福島県については、既に整備を行った放射線検査機器を対象に食材の事前検査を行うための人件費や機器校正費を支援。
  • 特定被災地方公共団体又は汚染状況重点調査地域である県において、児童福祉施設等の給食の食材の事前検査を行うための費用の一部を補助する事業、児童福祉施設等の給食における一食全体について、提供後の検査を継続的に行うモニタリング事業を実施。

4 妊婦・乳幼児等について

1)妊婦等の受入れ体制等

被災地における妊婦等の受入れ体制等について、相談窓口を設置し、被災した地方自治体や医療機関から要請があったときには、適切に対応するよう都道府県に依頼を行った。

2)妊産婦、乳幼児への対応及び被災者に係る健康診査事業等の対応

母子健康手帳の交付及び妊産婦、乳幼児に対する健康診査等について、住民票の異動の有無にかかわらず、避難先の地方自治体において適切にサービスが受けられるよう配慮する旨都道府県等に依頼を行った。妊婦健康診査の記録が消失し、感染症等検査を再度実施する場合の再検査費用については、緊急措置として全額を国庫補助対象とした。

3)市町村母子保健事業による支援

仮設住宅等に入居した乳幼児等に対して、市町村母子保健事業により支援を行うことを地方自治体に依頼している。

5 その他

1)児童扶養手当等の取扱いについての対応

被災者に対する児童扶養手当等の取扱いについて、<1>児童扶養手当について、所得制限の特例措置や新規認定時等の添付書類の省略、父又は母の生死が明らかでない場合等の取扱いの明確化による早期支給、<2>母子寡婦福祉貸付金について、償還期間の猶予、<3>ショートステイ事業について、被災した家庭を対象に含める等の弾力的な対応、等について都道府県等に周知を行った。

2)女性や子育てに配慮した避難所の設計や安全な生活環境の整備についての対応

女性や子育てに配慮した避難所の設計や安全な生活環境の整備を推進するとともに、避難所運営への女性の参画や意向の反映を促進している。また、東日本大震災等の経験を基に、男女共同参画の視点から、必要な対策・対応について、予防、応急、復旧・復興等の各段階において地方公共団体が取り組む際の指針となる基本的事項を示した「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」を2013(平成25)年5月に公表し、周知を行った。さらに、妊婦、褥(じょく)婦及び新生児については、特に保健上の配慮を要するため、医療機関等と相談・連携し、避難所として適切な施設の確保等を地方自治体に依頼している。

3)住居の確保についての対応

被災し避難している乳幼児等について、優先的に住まいの確保に努めることを地方自治体に依頼している。

第2-5-1図 子ども被災者支援法基本方針概要

コラム 被災地における子育て支援

平成23(2011)年3月11日に発生した東日本大震災は未曽有の被害をもたらした。東日本大震災の被災地においては、地方自治体やNPO、ボランティア団体などが、子どもや子どもを抱える人々に対して、引き続き支援を行っている。

《助産院ねっと・ゆりかご事業(岩手県遠野市)》

平成14(2002)年から出産を取り扱う医療機関が無くなった遠野市は、平成19(2007)年12月に妊産婦に保健指導を行う施設として、公設公営の遠野市助産院「ねっと・ゆりかご」を開設した(以下、「ねっと・ゆりかご」)。「ねっと・ゆりかご」では、健康相談、助産業務、健康教育に加え、県内13の医療機関とネットワークを結び、遠隔妊婦健診、24時間対応の緊急搬送を実施している点が特徴である。遠隔妊婦健診では、モバイル胎児心拍装置、岩手県周産期医療情報システム「いーはとーぶ」(以下、「いーはとーぶ」)、インターネットTV会議システムなどのICTシステムを用い、遠隔地の主治医による健診を受けることができる。緊急時には、救急車による妊婦の搬送を行っており、これには助産師も同乗している。

震災発生直後は、「いーはとーぶ」に登録された電子データを利用することで、沿岸部から避難されてきた妊婦の方に、内陸部の医師による診察の提供、新たに内陸部の病院の紹介などの支援が行われた。現在、遠隔妊婦健診には、超音波画像の電送システムが加えられ、更なる強化が図られている。

また、震災発生後、母子手帳を紛失する事例が見られたが、「いーはとーぶ」に健診等のデータが登録されていた人々に対しては、履歴を基にある程度まで母子手帳を復元することができた。こうした経験から、震災後「いーはとーぶ」に登録する市町村が増加し、電子データの共有化が進められている。

《特定非営利活動法人ベビースマイル石巻の取組(宮城県石巻市)》

特定非営利活動法人ベビースマイル石巻(以下、「ベビースマイル石巻」)は、震災により子育て環境が悪化する中、平成23(2011)年5月に現役のママたちが自ら立ち上がり、妊婦・未就園児の居場所づくりを開始した。その後も、子育て中の当事者だからこそ必要と感じる子育て支援を提供している。

震災後孤立する妊婦や未就園親子が多い中で、現在は育児や産前産後の不安を共有できる場として、毎月10回~15回イベントサロンを開催しており、参加者は1か月当たり200人を数える。イベントサロンには、行政や助産師との協働によるたまひよサロン(母親教室)、親子ビクス、リトミック、ベビーマッサージ等多彩なメニューが用意されている。

その他、「お産と子育てにつよいまちづくり」をスローガンに、虐待の防止や遊び場の確保などの様々な課題を解決することを目的として、子どもを持つ親、医師や助産師等医療関係者、子育てサポーター、子育て関係の専門家等、地域の子育て支援関係者との連携による「Bond(絆)Born(生まれる)Cafeプロジェクト」を展開している。毎週1回開催されるコミュニティカフェ「Bond Born Cafe」には、主に乳幼児を持つお母さんたちが集まっており、子どもを遊ばせながら、育児に関する情報交換等を行う場となっている。また、平成26(2014)年2月には、石巻地域の子育て支援センターや子育てサークルの情報等を盛り込んだ冊子「お産と子育てリソースマップ」を発行し、母子手帳に合わせて配布する等、地域の子育て環境に関する情報提供にも取り組んでいる。

《とうほうわんぱくランド(福島県福島市)》

福島県では、東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえ、子ども達のための屋内遊び場の整備を支援する「屋内遊び場確保事業」を平成24(2014)年より実施している。

福島県福島市に本社を置く銀行は、地域貢献の観点から、同社の研修センター内にあった室内ソフトボール練習場を、屋内遊び場「とうほうわんぱくランド」として整備し、平成24(2012)年7月から一般の方に広く無料提供している。

ソフトボール練習場の床面が土であったことや、砂場遊びが視覚や触覚など五感を養い、子どもの情操教育において効果的であるとの有識者からのアドバイスを受け、屋内でありながら自然のような起伏を感じることのできる砂場を中心に据えた遊び場づくりをしている点が特徴である。砂場の衛生管理には特に気を配っており、春先になると、多くの子どもたちが裸足で土の上を走り回って遊ぶ姿が見られる。

基本的には、土日祝日と水曜日を除く平日の午後に開園しているが、幼稚園や保育園などの団体が事前に予約すれば、平日の午前中の貸切り利用も可能である。子どもたちが土に触れながら体を動かすことのできる貴重な場となっており、平成25(2013)年11月には利用者数が延べ1万人を超えた。

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