少子化対策

コラム(9)

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コラム:子供の貧困と草の根に広がる子供たちへの支援活動

子供の未来応援国民運動広報啓発ポスター

この白書をお読みの皆さんの中にはこのポスターをご覧になられた方もいらっしゃるだろう。このポスターは、政府が進める子供の貧困対策のための官公民の連携・協働プロジェクト「子供の未来応援国民運動」の広報・啓発を行うためのポスターで、オランダの絵本作家ディック・ブルーナ氏の描いた子供の顔を用いたものである。

この「子供の未来応援国民運動」は、2015(平成27)年4月2日、官邸に関係各界から子供の貧困を何とかしようと考える方々が発起人として集い、立ち上げたプロジェクトで、全ての子供たちが「できないことへの諦め」を「できることへの喜び」に変えられるよう、国、地方公共団体、民間の企業・団体等による応援ネットワークを構築し、「子供の未来応援基金」の活用等を通じて、各種支援事業を展開しようとするものである。

子供の貧困の実態は見えにくく、捉えづらいと言われており、また、子供の貧困の放置は、社会全体の損失につながるため、子供の貧困対策を行うに当たっては政府だけではなく、地方公共団体、民間の企業・団体等が連携・協働して取り組む必要がある。

現在、各地で地方公共団体や民間の企業・団体等が子供たちに寄り添った草の根での支援活動を行っている例も増えてきているため、幾つかの事例を紹介する。


2015年4月2日子供の未来応援国民運動発起人集会

(1)IKEBUKURO TABLE-池袋テーブル-

子供の貧困と草の根に広がる子供たちへの支援活動の写真

大学生が主体となって運営する子ども食堂で、主にひとり親世帯や、経済的困窮世帯の中学・高校生を対象に、月に2回、無料で開催している。親が遅くまで働くなど生活が大変なことにより、家で孤立する子どもたちの、まさに「居場所」になっている。また、代表者は、関東圏で学習支援や子ども食堂を行っている学生ボランティアのワールドカフェを開催するなど、広がりを見せる学生ボランティアの交流促進を行っている。


(2)一般社団法人青少年自助自立支援機構

一般社団法人青少年自助自立支援機構の写真

免許証は身分証明として機能し、就業等に有利な資格となる。一般社団法人自助自立支援機構(以下、支援機構と言う。)では、児童養護施設から推薦のあった退所予定者に対し、運転免許証取得費用を全額助成している。2016(平成28)年度は150名への助成を予定しており、支援機構の基金(コンパスナビ基金)に利用料金の一定額が寄付される合宿免許の仕組みも作り運営を始めたところである。支援機構が重要視しているのは、施設を退所後の自立のためのアフターケアであり、免許証が就業に有利な資格となりうるロジスティック関係への就業支援事業も始める予定である。


(3)滋賀県野洲市

滋賀県野洲市では、法律家を中心とする専門家で構成されているNPO法人に委託し、YaSchool(やすクール)と称した学習支援事業を行っている。地域の職業人、大学生が学習ボランティアとして参加し、毎週水曜日の夜間にコミュニティーセンターを活用し実施。生徒全員が児童扶養手当受給世帯の子供である。

参加世帯への生活支援や事務局機能については市民生活相談課が担うとともに、学校との連携強化のため教育委員会の予算でSSWの派遣協力を受けているほか、野洲市社会福祉協議会の協力を得て、地域のボランティアによる「おにぎり隊」が、市内農家から寄付されたお米で、毎回おにぎりや味噌汁を用意するなど、委託先のみならず、役割分担の下で、市役所や地域住民も一体となって事業を支えている。

(4)岡山県総社市

岡山県総社市では、2014(平成26)年10月から、生活保護受給世帯の中学生を対象に、国立大学と連携し、大学生ボランティアによって「ワンステップ」と称した学習支援事業を行っている。

愛称の「ワンステップ」は、「一歩前へ進んでほしい」という思いから付けたもので、これまでに17人が支援を受け、例えば、それまで夢が持てなかった子供が、大学生との交流を通じて調理師になるという夢を持ち、高校進学していったという成果が生まれている。

当事業へのボランティアとしての参加は、連携先の国立大学におけるカリキュラムの一環に位置付けられ単位取得科目とされるとともに、県立大学や地域の企業などとの連携も進んでおり、産学官の資源を生かした取組となっている。

(5)株式会社イトーヨーカ堂

2016(平成28)年2月26日 イトーヨーカドー レジ募金活動キックオフセレモニー

株式会社イトーヨーカ堂では、国内の総合スーパーとして初めて、全国のイトーヨーカドー、セブン美のガーデン、ザ・プライス、全185店の会計レジ約6,000台に募金箱を通年設置し、年間を通じて買い物客及び従業員へ募金を呼びかける活動を開始された。

この募金は今後、3か月単位で様々な社会的課題の解決への一助になるテーマを決めて実施されることとなるが、毎年3月から5月にかけては、貧困の状況にある子供たちを草の根で支援するNPO等の育成等に用いられる「子供の未来応援基金」に対して募金金額全額を寄付することとされている。

政府や地方公共団体が、貧困の状況にある子供たちに手を差し伸べ、施策を講じていくことは当然果たすべき責任の一環であるが、ここで紹介したように地方公共団体や民間の企業・団体にこそ出来るきめ細やかな支援があること等から、官公民が連携・協働して、社会全体で子供の貧困対策を進めることが求められている。

夢を、貧困につぶさせない。困難を抱えた子供たちすべてが笑顔になるよう、一人でも多くの方ができることから支援の手を差し伸べていくことにより、「すべての子供たちにチャンスがあふれる日本」を力を合わせて創っていく。


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