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少子化対策

第1部 少子化対策の現状(第1章 3)

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第1章 少子化をめぐる現状(3)

3 結婚をめぐる意識等

結婚に対する意識

国立社会保障・人口問題研究所が実施した「出生動向基本調査(独身者調査)」によると、いずれ結婚するつもりと考える未婚者(18~34歳)の割合は、男性86.3%、女性89.4%であり、ここ20年間を見ても若干の低下はあるものの、高い水準を維持している。(第1-1-11図)

また、未婚者(25~34歳)に独身でいる理由を尋ねると、「適当な相手にめぐり会わない」「結婚資金が足りない」という理由が上位にあがる。(第1-1-12図)

第1-1-11図 未婚者(18~34歳)のうち「いずれ結婚するつもり」と答えた者の割合

第1-1-12図 独身でいる理由

若い世代の所得の伸び悩み

20代、30代の所得分布をみると、20代では、1997(平成9)年には年収が300万円台の雇用者の割合が最も多かったが、2012(平成24)年では、200万円台前半の雇用者とほぼ同じ割合となっている。また、30代では、1997年には年収が500~699万円の雇用者の割合が最も多かったが、2012年には300万円台の雇用者が最も多くなっている。若い世代の所得分布は、1997年から2007(平成19)年の10年間で低所得層にシフトし、その後、その状態が続いていることがわかる。(第1-1-13図)

就労形態などによる家族形成状況の違い

若年者(15~34歳)の雇用をめぐる環境を男女別にみると、若年者の完全失業率は低下しているものの、全年齢計よりも高い水準になっている。また、非正規雇用割合については、15~24歳で男女とも5割前後、25~34歳の男性で16.5%、女性で41.3%となっている(2015(平成27)年)。(第1-1-14図)

就労形態別に配偶者のいる割合をみると、非典型雇用者の有配偶率は低く、25~29歳・30~34歳の男性においては、非典型雇用の人の有配偶率は正社員の人の半分以下となっているなど、就労形態の違いにより家庭を持てる割合が大きく異なっていることがうかがえる。(第1-1-15図)

第1-1-15図 就労形態別配偶者のいる割合(男性)

さらに、年収別に男性の有配偶率をみると、年収が高い人ほど結婚している傾向がみられる。(第1-1-16図)

コラム 未婚者の交際や結婚意欲に影響を与える“職場独身異性ネットワーク”について
〈~内閣府経済社会総合研究所の少子化研究より~〉

長期的に続く少子化傾向の背景の1つに未婚率の上昇があると言われている。事実、生涯未婚率1は1950(昭和25)年の男性1.5%、女性1.4%から2010(平成22)年には男性20.1%、女性10.6%へ高まっており、今後さらに進むことが見込まれている。

未婚化の背景には、雇用の不安定化や低所得化の影響が指摘されてきたが、他方で、身近、特に職場における出会いが減少しているのではないかとの指摘もある。経済社会総合研究所では、少子化の動向や未婚者の状況を分析するため、「第14回出生動向基本調査(独身者調査)」(2010年)2の二次分析、及びさらに詳細な検討を加えるため、25歳から39歳の未婚の男女を対象に独自調査(「未婚男女の結婚と仕事に関する意識調査3」)を行い、分析結果を取りまとめた4

ここではその中から、男女の出会いと職場における独身者のネットワーク(“職場独身異性ネットワーク”)の状況と効果について紹介する。


1 国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2016年版)」。なお、生涯未婚率とは、50歳時の未婚率であり、45~49歳と50~54歳の未婚率の単純平均として求められる。

2 国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査(独身者調査)」(2010年)。18歳から50歳未満の男女独身者を対象に2010年に実施。有効票数は10,581票。有効回収率は74.3%。

3 インターネット調査会社にモニターとして登録している人のうち、全国に居住する25歳~39歳の未婚男女1万名を対象に調査を実施した。調査期間は平成27年1月13日~2月9日。雇用形態(正規雇用、非正規雇用、無業)、性別、居住地域について国勢調査(2010年)の人口構成比に乖離がないよう回答を収集した。

4 ESRI Discussion Paper Series No.323「少子化と未婚女性の生活環境に関する分析~出生動向基本調査と「未婚男女の結婚と仕事に関する意識調査」の個票を用いて~」。
http://www.esri.go.jp/jp/archive/e_dis/e_dis323/e_dis323.html

■異性との出会いの状況

現在も未婚者の結婚への希望や意欲は高い。「第14回出生動向基本調査(独身者調査)」(2010年)では、18~34歳の未婚者のうち「いずれ結婚するつもり」と回答した男性は86.3%、女性は89.4%といずれも9割に近い。それなのになぜ未婚率が高まっているのだろうか。原因はいくつか考えらえるが、まず、異性との交際が低調であることがあげられる。今回実施した独自調査では、未婚男性の73.9%、女性の57.1%が交際している異性はいない5と回答している。「いずれ結婚するつもり」との回答は、交際している異性がいる場合、男性が89.6%、女性が90.8%であるのに対し、交際している異性がいない場合、男性が62.0%、女性が68.5%と低い水準にとどまっている。異性との交際が結婚に対する希望や、結婚自体にも影響していると考えられる。

一方、交際している異性がいない人のうち異性との交際を望んでいる人が、現在も独身でいる理由は、「適当な相手にまだめぐり会わない」が最も多く、男性の70.4%、女性の85.4%がこの回答を選択している6。前出「第14回出生動向基本調査(独身者調査)」(2010年)でも、25~34歳の未婚者全体のうち、未婚理由として最も多くあげられているものは「適当な相手にめぐり会わない」であり、男性の46.2%、女性の51.3%がこの回答を選択している。全体として出会いがないと感じている未婚者が多く、そのことが結婚にも影響している様子がうかがえる。

ここで、結婚しにくくなっている理由として結婚相手との出会いの場に注目すると、過去30年間の初婚率の低下は、見合い結婚と職縁結婚(職場や仕事の関係で知り合ったとするもの)の減少で説明され、うち職縁結婚の減少が4割近くを説明しているとの指摘がある7。職縁結婚は、「第14回出生動向基本調査(夫婦調査)」(2010年)8によれば現在も既婚者の出会いのきっかけの約3割(29.3%)を占めるが、その割合は減りつつある。

以下では職場での出会いの状況を詳しく知るため、『少子化と未婚女性の生活環境に関する分析』9より第2部第1章「職場における出会いと結婚意欲の関係」(松田茂樹10)の内容を引用し、職場を中心に形成される“職場独身異性ネットワーク”の状況を見てみる。


5 「交際している異性がいる」以外の人の比率。なお「交際している異性がいる」は、婚約者がいる、恋人として交際している異性がいる、友人として交際している異性がいる、の合計である。

6 異性の交際相手のいる人が独身でいる理由で多かったのは「結婚資金が足りない」であった。男性の39.2%、女性の26.1%がこの回答を選択した。

7 岩澤美帆、三田房美(2005年)「職縁結婚の盛衰と未婚化の進展」『日本労働研究雑誌』NO.535 pp16~pp28 日本労働研究・研修機構。過去30年間の初婚率の低下の約5割が見合い結婚の減少によって、約4割が職縁結婚の減少によって説明できるという。

8 国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査(夫婦調査)」(2010年)。妻の年齢が50歳未満の夫婦を対象に2010年に実施。有効票数は7,847票。有効回収率は86.7%。

9 脚注4を参照。

10 中京大学現代社会学部教授。

■職場独身異性ネットワーク

ここでいう「ネットワーク」とは、人と人とのつながりをいう。ネットワークは様々な情報や、金銭的・非金銭的な助けや利益をもたらす。今回注目したのは、回答者の職場における未婚者のネットワーク(職場独身異性ネットワーク)である。このネットワークについては量(サイズ)と質(特徴)から捉えることができるが、ここでは主にサイズに着目する。

ネットワークのサイズについては「職場で日常的に接する40歳くらいまでの独身の異性」の人数を尋ねることで計測した。「いない」との回答が男性38.1%、女性37.4%と男女どちらも4割近くに達した。それ以外は男女合計で、「1~2人」が18.5%、「3~4人」が11.1%、「5~9人」が17.4%、「10人以上」が15.2%であった。これを雇用形態や職場の規模別、地域別に平均人数を集計したものが図表1である。

全体平均の3.2人を下回る傾向が見られるのは非正規雇用の者、規模の小さな職場に勤める者、関東以外の地域に住む者である。

図表1 職場独身異性ネットワークのサイズ(職場にいる40歳ぐらいまでの独身の異性の数)

■職場独身異性ネットワークと交際相手の有無や結婚意欲との関係

職場独身異性ネットワークのサイズと交際相手の有無の関係を図表2に示した。これによれば、ネットワークのサイズが大きいほど、交際相手がいる割合は高い。その関係は男性(本人が正規雇用・非正規雇用のいずれでも)及び女性(本人が正規雇用の場合)に見られる。

また、図表3には職場独身異性ネットワークのサイズと結婚の意欲(「いずれ結婚するつもり」と回答した人の割合)を示した。これを見ると、ネットワークのサイズが大きいほど、結婚の意欲も高い状況が見られる。

図表2 職場独身異性ネットワークのサイズ別 交際相手の有無

図表3 職場独身異性ネットワークの人数別 結婚意欲

■求められる若い世代への結婚支援

以上のように、職場という身近な範囲での独身者のネットワークが交際相手の有無や結婚の意欲に影響を与えること、その際ネットワークのサイズ(大きさ)自体が重要な意味をもつことが、今回の調査によってわかった。また、職場独身異性ネットワーク、とくに大きさ自体が持つ重要性とともに明らかになったのは、その大きさには雇用形態、職場の従業員規模、居住地域などによって違いがみられるということである。

以上を踏まえれば、非正規雇用者、規模の小さい職場に勤める者、関東以外の地域に住む者は職場で交際相手・結婚相手と出会う機会が少なく、こうした若者が結婚を希望する場合、独力で配偶者を探すのはもちろんのこと、職場以外で配偶者をみつけることができる機会を社会的に増やしていくことも重要であろう。特に民間サービスを利用しにくい非正規雇用者、規模の小さい職場に勤める者、関東以外の地域に住む者で職場独身異性ネットワークが小さい傾向があることを踏まえると、公的な結婚支援など利用可能な結婚支援を充実させることが求められているといえるだろう。

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