内閣府 Cabinet Office, Government of Japan

内閣府ホーム  >  内閣府の政策  >  子ども・子育て本部  >  少子化対策  >  白書  >  平成28年版 少子化社会対策白書(全体版<HTML形式>)  >  第2部 少子化社会対策の具体的実施状況(第2章 第1節 4)

少子化対策

第2部 少子化社会対策の具体的実施状況(第2章 第1節 4)

[目次]  [戻る]  [次へ]

第2章 きめ細かな少子化対策の推進(第1節 4)

第1節 結婚、妊娠・出産、子育ての各段階に応じて支援する。(4)

4 子供の貧困

子供の貧困対策

OECDでは、2010(平成22)年のOECD加盟国の子どもの貧困率を公表しているが、これによると、我が国の子どもの貧困率はOECD加盟国34か国中25位と高い水準となっており、子供がいる現役世帯のうち大人が1人の世帯の相対的貧困率が特に高くなっている。

相対的貧困率は可処分所得のみで算定されていることから、この数字だけで貧困の状況全てを測ることはできないが、長期的な傾向としておおむね緩やかに上昇していることから、子供の貧困が解決しなくてはならない状況にあることがうかがえる。

子供の貧困対策については、2013(平成25)年6月に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が成立し、2014(平成26)年1月17日に施行した。本法では、子供の将来がその生育環境に左右されることのないよう、貧困の状態にある子供が健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、子供の貧困対策を総合的に推進することを目的としている。

本法を踏まえ、政府は、同年8月29日「子供の貧困対策に関する大綱」を策定(閣議決定)した。当該大綱では、子供の貧困対策に関する基本的な方針をはじめ、子供の貧困に関する指標、指標の改善に向けた当面の重点施策、子供の貧困に関する調査研究等及び施策の推進体制等を定めている。

子供の貧困対策を推進するにあたっては、国民の力を結集する必要があるとともに、経済的にも様々な困難を抱えているひとり親家庭等に対して、特にきめ細かな支援が必要である。2015(平成27)年4月2日には、子供の貧困対策を、国民の幅広い理解と協力の下に国民運動として展開していくため、政府、地方公共団体、経済界、労働組合、マスコミ、支援団体等から成る発起人が一堂に会し、「『子供の未来応援国民運動』発起人集会」を開催した。同集会では、国民運動事業の例などを盛り込んだ「子供の未来応援国民運動趣意書」を採択し、国民運動の方向性を示すとともに、発起人の一人でもある安倍内閣総理大臣より経済的に厳しいひとり親家庭等の支援について充実施策の検討が指示され、政策パッケージを策定することが述べられた。

ひとり親家庭、多子世帯等の自立に向けた支援

「『子供の未来応援国民運動』発起人集会」での安倍内閣総理大臣の指示を受けて、関係府省により検討が進められ、2015(平成27)年8月、「すべての子どもの安心と希望の実現に向けた副大臣等会議」(議長:内閣官房副長官)が設置されるとともに、方向性をとりまとめた。同会議では、同年12月、財源確保も含めた政策パッケージとして、「ひとり親家庭・多子世帯等自立応援プロジェクト」及び「児童虐待防止対策強化プロジェクト」からなる「すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト」を取りまとめ、子どもの貧困対策会議(議長:内閣総理大臣)にて決定した。また、同副大臣等会議において、2016(平成28)年2月、本プロジェクトの愛称を「すくすくサポート・プロジェクト」と決定した。

このプロジェクトでは、就業による自立に向けた支援を基本にしつつ、子育て・生活支援、学習支援などの総合的な取組を充実することとしており、主な内容としては、地方公共団体の窓口のワンストップ化の推進、子供の居場所づくりや学習支援の充実、親の資格取得支援の充実、児童扶養手当の機能の拡充を盛り込んでいる。

また、児童扶養手当の多子加算額について、特に経済的に厳しい状況にあるひとり親家庭に重点を置いた改善を図ることとし、第2子の加算額を月額5千円から月額最大1万円(36年ぶりの引き上げ)に、第3子以降の加算額を月額3千円から月額最大6千円(22年ぶりの引き上げ)とする「児童扶養手当法の一部を改正する法律」が2016年通常国会(第190回国会)で成立した。

第2-2-8図 すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト

社会全体で応援する取組

2015(平成27)年4月以降、上記「子供の未来応援国民運動趣意書」に基づき各種事業の内容の具体化や関係各方面との調整を進め、同年8月28日に「子どもの貧困対策会議」を開催し、同国民運動の始動時期や推進体制に関して了解を得て、同年10月1日に「子供の未来応援国民運動」が始動した。具体的には、「子供の未来応援国民運動ホームページ」を開設し、国や地方公共団体の各種支援情報を一元的に集約した上で、地域別、属性等別、支援の種類別に検索できる総合的な支援情報ポータルサイトや、CSR活動を行う企業等の支援リソースとNPO等が抱えているニーズの双方を掲載し、相互に検索できるマッチングサイトを設けるとともに、草の根で支援を行っているNPO等への助成等を行うため、「子供の未来応援基金」を創設した。

その後、同年10月19日において「子供の未来応援国民運動発起人会議」を開催し、今後の国民運動の展開について議論するとともに、子供の未来応援国民運動発起人より同基金への協力を呼びかける決議が行われた。国民の幅広い理解と協力の下に子供の貧困対策が推進されるよう、同国民運動の広報・啓発活動も実施しているところである。

また、「すくすくサポート・プロジェクト」を効果あるものとするため、各地方公共団体において、子供の発達・成長段階に応じて切れ目なく「つなぎ」、教育と福祉を「つなぎ」、関係行政機関、地域の企業、NPO、自治会などを「つなぐ」地域ネットワークの形成の支援を目的として、「地域子供の未来応援交付金」を創設した。

沖縄の子供の貧困対策

2015(平成27)年10月以降、沖縄の子供の貧困に関し、全国に比べて特に深刻な状況等について、実際に様々な支援活動に取り組んでいるNPOや有識者との意見交換などを行った。深刻な状況にも関わらず行政の支援が子供に行き届いていないことや、日中にとどまらず夜間も子供の居場所がないことなど、沖縄特有の課題に緊急に対応するため、2016(平成28)年度より居場所づくりや支援員の配置を、モデル的・集中的に実施することとした。

コラム 子供の貧困と草の根に広がる子供たちへの支援活動

子供の未来応援国民運動広報啓発ポスター

この白書をお読みの皆さんの中にはこのポスターをご覧になられた方もいらっしゃるだろう。このポスターは、政府が進める子供の貧困対策のための官公民の連携・協働プロジェクト「子供の未来応援国民運動」の広報・啓発を行うためのポスターで、オランダの絵本作家ディック・ブルーナ氏の描いた子供の顔を用いたものである。

この「子供の未来応援国民運動」は、2015(平成27)年4月2日、官邸に関係各界から子供の貧困を何とかしようと考える方々が発起人として集い、立ち上げたプロジェクトで、全ての子供たちが「できないことへの諦め」を「できることへの喜び」に変えられるよう、国、地方公共団体、民間の企業・団体等による応援ネットワークを構築し、「子供の未来応援基金」の活用等を通じて、各種支援事業を展開しようとするものである。

子供の貧困の実態は見えにくく、捉えづらいと言われており、また、子供の貧困の放置は、社会全体の損失につながるため、子供の貧困対策を行うに当たっては政府だけではなく、地方公共団体、民間の企業・団体等が連携・協働して取り組む必要がある。

現在、各地で地方公共団体や民間の企業・団体等が子供たちに寄り添った草の根での支援活動を行っている例も増えてきているため、幾つかの事例を紹介する。


2015年4月2日子供の未来応援国民運動発起人集会

(1)IKEBUKURO TABLE-池袋テーブル-

子供の貧困と草の根に広がる子供たちへの支援活動の写真

大学生が主体となって運営する子ども食堂で、主にひとり親世帯や、経済的困窮世帯の中学・高校生を対象に、月に2回、無料で開催している。親が遅くまで働くなど生活が大変なことにより、家で孤立する子どもたちの、まさに「居場所」になっている。また、代表者は、関東圏で学習支援や子ども食堂を行っている学生ボランティアのワールドカフェを開催するなど、広がりを見せる学生ボランティアの交流促進を行っている。


(2)一般社団法人青少年自助自立支援機構

一般社団法人青少年自助自立支援機構の写真

免許証は身分証明として機能し、就業等に有利な資格となる。一般社団法人自助自立支援機構(以下、支援機構と言う。)では、児童養護施設から推薦のあった退所予定者に対し、運転免許証取得費用を全額助成している。2016(平成28)年度は150名への助成を予定しており、支援機構の基金(コンパスナビ基金)に利用料金の一定額が寄付される合宿免許の仕組みも作り運営を始めたところである。支援機構が重要視しているのは、施設を退所後の自立のためのアフターケアであり、免許証が就業に有利な資格となりうるロジスティック関係への就業支援事業も始める予定である。


(3)滋賀県野洲市

滋賀県野洲市では、法律家を中心とする専門家で構成されているNPO法人に委託し、YaSchool(やすクール)と称した学習支援事業を行っている。地域の職業人、大学生が学習ボランティアとして参加し、毎週水曜日の夜間にコミュニティーセンターを活用し実施。生徒全員が児童扶養手当受給世帯の子供である。

参加世帯への生活支援や事務局機能については市民生活相談課が担うとともに、学校との連携強化のため教育委員会の予算でSSWの派遣協力を受けているほか、野洲市社会福祉協議会の協力を得て、地域のボランティアによる「おにぎり隊」が、市内農家から寄付されたお米で、毎回おにぎりや味噌汁を用意するなど、委託先のみならず、役割分担の下で、市役所や地域住民も一体となって事業を支えている。

(4)岡山県総社市

岡山県総社市では、2014(平成26)年10月から、生活保護受給世帯の中学生を対象に、国立大学と連携し、大学生ボランティアによって「ワンステップ」と称した学習支援事業を行っている。

愛称の「ワンステップ」は、「一歩前へ進んでほしい」という思いから付けたもので、これまでに17人が支援を受け、例えば、それまで夢が持てなかった子供が、大学生との交流を通じて調理師になるという夢を持ち、高校進学していったという成果が生まれている。

当事業へのボランティアとしての参加は、連携先の国立大学におけるカリキュラムの一環に位置付けられ単位取得科目とされるとともに、県立大学や地域の企業などとの連携も進んでおり、産学官の資源を生かした取組となっている。

(5)株式会社イトーヨーカ堂

2016(平成28)年2月26日 イトーヨーカドー レジ募金活動キックオフセレモニー

株式会社イトーヨーカ堂では、国内の総合スーパーとして初めて、全国のイトーヨーカドー、セブン美のガーデン、ザ・プライス、全185店の会計レジ約6,000台に募金箱を通年設置し、年間を通じて買い物客及び従業員へ募金を呼びかける活動を開始された。

この募金は今後、3か月単位で様々な社会的課題の解決への一助になるテーマを決めて実施されることとなるが、毎年3月から5月にかけては、貧困の状況にある子供たちを草の根で支援するNPO等の育成等に用いられる「子供の未来応援基金」に対して募金金額全額を寄付することとされている。

政府や地方公共団体が、貧困の状況にある子供たちに手を差し伸べ、施策を講じていくことは当然果たすべき責任の一環であるが、ここで紹介したように地方公共団体や民間の企業・団体にこそ出来るきめ細やかな支援があること等から、官公民が連携・協働して、社会全体で子供の貧困対策を進めることが求められている。

夢を、貧困につぶさせない。困難を抱えた子供たちすべてが笑顔になるよう、一人でも多くの方ができることから支援の手を差し伸べていくことにより、「すべての子供たちにチャンスがあふれる日本」を力を合わせて創っていく。


[目次]  [戻る]  [次へ]
内閣府 Cabinet Office, Government of Japan〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)