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少子化対策

第1部 少子化対策の現状(第2章 第4節)

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第2章 少子化対策の取組(第4節)

第4節 男性の家事・育児参画の推進~子育て目的の休暇の取得を中心に~【特集】

1 はじめに

男性の家事・育児参画の必要性

出産や子育ての希望の実現を阻む要因は様々であるが、長時間労働などにより、男性の家事・育児への参画が少ないことが、少子化の要因の一つとなっていると考えられる。

第1章でみたとおり、夫婦の理想とする子供の数と実際に持つつもりの子供の数には乖離があり、希望が実現できていない。(第1-1-11図)

また、夫の休日の家事・育児時間と第2子以降の出生割合をみると、両者には正の関係性がみられる(第1-1-14図)が、我が国における夫の家事・育児関連時間は、1日当たり平均67分と、妻と比較してその差は大きく、先進国中最低の水準にとどまっている。(第1-1-15図)

男性が当事者意識を持って家事・育児に参画することは、何より男性自身にとってプラスになる。子育てを通じて子供の日々の成長を実感することで幸福感が向上したり、様々な家事に関わることで生活者の視点や経済感覚等が身に付き、多様な視点で世の中を見ることができるようにもなる。協力して家事や育児に関わっていくことで家族との絆が深まることも期待される1

また、共働き世帯数は専業主婦世帯2数の1.7倍となり(第1-2-47図)、子育て世代の女性の就業率は7割を超え3、第1子が生まれた後も働き続ける女性の割合も5割を超えている。(第1-1-13図)子育て家庭の8割以上が核家族となっており4、家事・育児の担い手が限られる家庭が増加していると考えられる。男性が家庭での責任を女性と分かち合うようになれば、その分、女性が社会に参画していくためのハードルは低くなるため、男性の家事・育児への参画は、女性活躍の観点からも重要である1

我が国では、男女の仕事と育児の両立を支援するため、育児休業や子の看護休暇が制度化されているものの(「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号。以下「育児・介護休業法」という。)第5条及び第16条の2)、後にみるように、男性のその取得率は低い水準にとどまっている。

そのような中で、まずは、子供の誕生直後に、短い期間でも男性が休暇を取得し、誕生した子供や家族と過ごす時間を増やすことで、家事や育児に主体的に関わるきっかけにしていこうという考えから、少子化社会対策大綱(2015(平成27)年3月20日閣議決定)においては、「男性の配偶者の出産直後の休暇取得率80%5」の数値目標を掲げるなど、配偶者の出産直後からの男性の休暇取得の促進に取り組んでいるところである6

本節では、男性の子育て目的の休暇である育児休業及び子の看護休暇の取得状況並びに配偶者の出産直後の男性の休暇の取得状況について触れた上で、主に2016(平成28)年に内閣府の委託により行った「男性の配偶者の出産直後の休暇取得に関する実態把握のための調査研究事業」(以下「2016年委託調査」という。第1-2-24図)の結果等を分析し、男性の子育て目的の休暇取得や家事・育児への参画を後押しする職場や家庭の要因について探っていきたい。

第1-2-24図 「2016年委託調査」の概要

以下、本節における構成について順に説明する。

〔2〕子育て目的の休暇取得の現状では、育児休業、子の看護休暇、配偶者の出産直後の休暇の取得率、取得意向や取得した理由等をみながら、男性の子育て目的の休暇取得の現状を概観する。

〔3〕子育て目的の休暇を取得しやすい職場とはでは、休暇取得者・非取得者の職場の特徴を明らかにすることで、休暇を取りやすい職場について考察する。

〔4〕家庭と子育て目的の休暇取得の関係では、休暇取得者・非取得者の家庭の特徴を明らかにするとともに、休暇取得の動機の背景にある男女の意識について掘り下げたうえで、休暇取得の促進、ひいては男性の家事・育児参画の推進に必要な要因について考察する。

最後に〔5〕まとめにおいて、全体をまとめたうえで、男性の子育て目的の休暇取得の促進において重要なことについて考察する。

また、育児休業について明らかになった職場や家庭における影響、より効果的な取得方法等についても紹介する。


1 「男性の暮らし方・意識の変革に向けた課題と方策~未来を拓く男性の家事・育児等への参画~」(平成29年3月男女共同参画会議男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会)参照。

2 男性雇用者と無業の妻からなる世帯をいう。

3 2016(平成28)年の25歳から44歳の女性の就業率は72.7%(総務省「労働力調査(基本集計)」)。

4 2015(平成27)年の児童のいる世帯のうち、核家族世帯の割合は80.9%(厚生労働省「平成27年国民生活基礎調査の概況」)。

5 配偶者の出産後2か月以内に半日又は1日以上の休み(年次有給休暇、配偶者出産時等に係る特別休暇、育児休業等)を取得した男性の割合を2020(平成32)年に80%とすることを目指す。

6 なお、「働き方改革実行計画」(2017(平成29)年3月28日働き方改革実現会議決定)では、「国家公務員において、全ての男性職員が妻の出産前後に休暇を取得する「男の産休」が当たり前となる職場環境を整える。また、民間企業等においても「男の産休」取得を促進する。」とされている。

2 子育て目的の休暇取得の現状

我が国の男性が取得する子育て目的の主な休暇としては、育児休業、子の看護休暇のほか、年次有給休暇や配偶者出産時に係る特別休暇(以下「配偶者出産休暇7」という。)等がある。これらについて、現状どれだけの男性がどの程度取得しているのか、まずは休暇等取得の実態をみていきたい。


7 配偶者の出産の際に、病院の入院・退院等の付き添いなどのために、男性労働者に与えられる年次有給休暇制度以外の特別休暇で、事業所の就業規則等で定められるもの。なお、事業所によって、制度がない場合もある。

(1)育児休業
ア 育児休業を取得した男性は3.16%

育児休業8についてみると、2016(平成28)年度の男性の育児休業取得率は3.16%である(女性は81.8%)9

取得日数は「5日未満」が最も多く(2015(平成27)年度は取得者中の56.9%を占める)、育児休業取得者の8割が1か月未満の取得にとどまっている10

なお、国家公務員男性(一般職(行政執行法人を除く。)及び防衛省の特別職・常勤職員)の育児休業については、2015(平成27)年度の取得率は5.5%で、取得期間の平均は2.6月であり、取得者の59.6%が「1か月以下」の取得となっている11

育児休業の取得時期については、取得者の半数以上(回答者の54.8%)が配偶者の出産月のタイミングで取得している(2017(平成29)年3月公表の内閣府経済社会総合研究所の分析12(以下「2017年内閣府経済社会総合研究所分析」という。))。


8 育児休業は、1歳に満たない子を養育する労働者が、事業主に対して申し出ることにより、原則として子が1歳に達する日までの連続した期間に子の養育のために取得できる休業制度である。事業主は、業務の繁忙等を理由に、育児休業の申出を拒むことができない(育児・介護休業法第5条、同第6条)。

9 平成28年度雇用均等基本調査(厚生労働省)

10 平成27年度雇用均等基本調査(厚生労働省)

11 「女性国家公務員の登用状況及び国家公務員の育児休業等の取得状況のフォローアップ」内閣官房内閣人事局(2016(平成28)年)

12 内閣府経済社会総合研究所「男性の育児休業取得が働き方、家事・育児参画、夫婦関係等に与える影響」(2017(平成29)年3月)
http://www.esri.go.jp/jp/archive/new_wp/new_wp040/new_wp039.pdf

イ 育児休業取得希望者は30%

内閣府が2015(平成27)年度に行った「平成27年度調査 少子化社会に関する国際意識調査報告書13」(以下「2015年度国際意識調査」という。)によれば、子供のいる男性の3割が「直近の配偶者・パートナーの出産時に1ヶ月以上の育児休業を取りたかった」と回答している。しかしながら、男性の育児休業取得率は3%台にとどまっており、取得意向と取得の実態との間に乖離があると考えられる。


13 平成27年度調査「少子化社会に関する国際意識調査報告書」(内閣府 子ども・子育て本部)
先進諸国において少子化は共通する問題であり、その背景にある要素や各国の少子化対策について比較分析し、我が国の特性を把握するために、5年ごとに国際意識調査を実施している。2015(平成27)年度は、日本と、フランス、スウェーデン、イギリスの20歳から49歳までの男女を対象に「交際」、「結婚」、「出産」、「育児」、「ワーク・ライフ・バランス」等に関する意識について調査を行った。
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/h27/zentai-pdf/index.html

ウ 育児休業を取得しなかった理由

男性・正社員で育児休業を取得しなかった理由については、「職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だったから」(26.6%)、「会社で育児休業制度が整備されていなかったから」(26.0%)、「残業が多い等、業務が繁忙であったため」(21.2%)と、職場環境に関する理由が多く挙げられている。(第1-2-25図)

第1-2-25図 育児休業を取得しなかった理由(複数回答) 男性・正社員

(2)子の看護休暇
ア 子の看護休暇を取得した男性は5.2%

3歳未満の子を持つ男性・正社員に直近1年間に子供が病気やけがをした際に休暇や預かりを利用した日数をきいたところ(子の看護休暇制度14の利用に限らない)、その平均は4.1日であった(女性は11.2日、第1-2-26図)。子供の病気等への対応のため、男女ともに日数を割いているものの、割かれる日数には男女で差があることが読みとれる。

第1-2-26図 子供の病気における休暇や預かりの利用 年間の平均利用日数(数値回答)(日)

2014(平成26)年度に子の看護休暇を取得した男性(正社員に限らない)の割合は5.2%(女性(正社員に限らない)は25.3%)であった15

男女ともに子供の病気等への対応に一定の日数が割かれている反面、子の看護休暇制度はあまり利用されていない実態がうかがえる。


14 子の看護休暇は、小学校就学前の子を養育する労働者が申し出ることにより1年に5日まで病気・けがをした子の看護のために取得できる休暇である。小学校就学前の子を2人以上養育する労働者については、1年に10日まで取得できる。事業主は、業務の繁忙等を理由に、子の看護休暇の申出を拒むことができない(育児・介護休業法第16条の2、同第16条の3)。

15 平成26年度雇用均等基本調査(厚生労働省)

イ 子の看護休暇を取得しなかった理由

子の看護休暇について、男性・正社員が制度を利用しない理由で最も多いのは「制度があることを知らなかった」であった(23.5%)。(第1-2-27図)

第1-2-27図 子の看護休暇の未取得理由(複数回答)男性・正社員

以上、(1)及び(2)のとおり、育児休業、子の看護休暇ともに、女性に比べて、男性の取得率は低い。また、いずれについても法律上利用できる制度であり、申出を受けた事業主はこれを拒むことができないものであるにもかかわらず、取得できない理由の上位に「会社で育児休業制度が整備されていなかったから」(育児休業)や「制度があることを知らなかった」(子の看護休暇)が挙がっていることからすると、これらの取得率が高くない原因のひとつには、制度が十分に周知されていないことがあると考えられる。

そのような中で、内閣府では、「さんきゅうパパプロジェクト」として、まずは子供の誕生直後から、男性が短い期間でも休暇を取得し、誕生した子供や家族と過ごす時間を増やすことで、家事や育児に主体的に関わるきっかけにしていこうという観点から、配偶者の出産後2カ月以内に半日又は1日以上の休暇(年次有給休暇、配偶者出産休暇、育児休業等)を取得することを推進している。

以下、配偶者の出産直後の男性の休暇取得の現状についてみていく。

(3)配偶者の出産直後の男性の休暇取得
ア 休暇取得者は55.9%

2016年委託調査によれば、2015(平成27)年に父親になった男性のうち、55.9%が配偶者の出産直後の休暇を取得している。(第1-2-28図)

第1-2-28図 休暇取得率

休暇取得日数は、合計で4日以上6日未満が最も多い(休暇取得者の23.0%)。(第1-2-29図)

第1-2-29図 休暇の合計取得日数

休暇の取得時期についてみると、「出産日」、「出産翌日から退院まで」、「退院翌日から出産後2か月以内」の3つの期間のうち、最も多く取得されているのは出産日当日で(休暇取得者の84.8%が取得)、以下、出産翌日から退院まで(休暇取得者の77.6%)、退院翌日から出産後2か月以内(休暇取得者の69.8%)と続く16

上記3つすべての期間で取得した人が休暇取得者の49.6%と多く、次いで2つの期間で取得した人が33.0%と、休暇取得者のうち2つ以上の期間で取得した人の割合は82.6%であった。(第1-2-30図)また、各期間で取得した休暇日数は1日以上2日未満が最も多く(第1-2-31図)、休暇取得者の約7割の取得日数の合計が6日未満であるという結果(第1-2-29図)と合わせてみると、必ずしも連続した休暇ではないが2つ以上の期間で休暇を取得している可能性が高いことがうかがえる。

第1-2-30図 休暇を取得した期間の数

第1-2-31図 各期間で取得した休暇日数


16 2016年委託調査

休暇を取得して満足した人の割合は高く(「とても良かった」+「まあ良かった」の合計値は95.0%)、また、複数の期間で休暇を取得しているほど、満足した人は多い(「とても良かった」+「まあ良かった」の合計値:1期間取得者91.1%、2期間取得者93.4%、3期間取得者97.3%)17

休暇に利用された制度についてみると、「配偶者出産休暇」(出産日当日では休暇取得者の43.4%、出産翌日から退院までは45.6%が利用)のほか、「年次有給休暇」(出産翌日から退院までは休暇取得者の54.2%、退院翌日から出産後2か月以内では78.0%が利用)が多く利用されている。(第1-2-32図)

第1-2-32図 各期間で利用された休暇の種類


17 2016年委託調査

イ 希望しながら取得しなかったのは29.1%

2015(平成27)年に父親になった男性のうち29.1%の男性が休暇取得の意向を持ちながら取得しておらず、休暇取得意向割合と実際の取得割合との間に乖離がある。なお、15%の男性は、休暇取得意向がなく休暇を取得していない。(第1-2-33図)

第1-2-33図 休暇取得者、休暇非取得者(取得意向有無)の割合

ウ 休暇を取得しなかった理由

休暇を取得しなかった理由についてみると、「業務が繁忙で休むことが難しかったから(27.0%)」「日ごろから休暇を取りづらい職場だったから(23.5%)」と職場環境に関する理由が上位に挙げられている。(第1-2-34図)

第1-2-34図 休暇を取得しなかった理由(複数回答)

3 子育て目的の休暇を取得しやすい職場とは

ここからは、「2016年委託調査」で明らかになった配偶者の出産直後の休暇の取得者・非取得者の職場の特徴をもとに、休暇を取りやすい職場について探ってみたい。

(1)休暇取得促進のために必要なこと

「2016年委託調査」で、配偶者の出産直後の休暇取得を促進するために必要なことをきいたところ、最も多くの男性が「休暇を取りやすい職場であれば」と回答し(回答者の54.1%)、他にも職場に関する回答が続いている。(第1-2-35図)

第1-2-35図 休暇を取得するために必要なこと(複数回答)

(2)休暇取得者の職場の特徴
ア 制度(配偶者出産休暇制度)

前述(2・(3)ア、第1-2-32図)のとおり、配偶者の出産直後の休暇取得に際し、配偶者出産休暇18を利用した人が多いところ、「2016年委託調査」によれば、休暇取得者は、非取得者に比べ、職場に「配偶者出産休暇制度があった」と回答した割合が高い。(第1-2-36図)

第1-2-36図 末子出産当時の勤務先における配偶者出産休暇制度整備状況

この結果からすると、職場において、配偶者出産休暇制度が整備されているほど、取得につながっている傾向がうかがえる19


18 配偶者の出産の際に、病院の入院・退院等の付き添いなどのために、男性労働者に与えられる年次有給休暇制度以外の特別休暇で、事業所の就業規則等で定められるもの。なお、事業所によって、制度がない場合もある。(再掲)

19 2017(平成29)年3月31日に成立した「雇用保険法等の一部を改正する法律」(平成29年法律第14号)により、2017年10月1日から事業主に対し、育児目的休暇の新設の努力義務が課されることになった。この「育児目的休暇」は、具体的には配偶者出産休暇等が想定される。

イ ワーク・ライフ・バランス

また、ワーク・ライフ・バランスに関する取組についてみると、休暇取得者は、非取得者に比べ、職場において「残業の削減や有給休暇の取得促進」「産前・産後休業、育児休業などの制度の周知」など、ワーク・ライフ・バランスに関する取組を「進めていた(「積極的に進めていた」+「まあ進めていた」)」と回答した割合が高い。(第1-2-37図)

第1-2-37図 職場におけるワーク・ライフ・バランスに関する取組の推進状況

ウ 上司の特徴

さらに、上司の特徴についてみると、休暇取得者は、非取得者に比べ、上司が「率先して有給休暇を取得するようにしている」「男性の子育て参加に対して理解がある」と回答した割合が高い。(第1-2-38図、第1-2-39図)

第1-2-38図 〈上司の特徴〉率先して有給休暇を取得するようにしている

第1-2-39図 〈上司の特徴〉男性の子育て参加に対して理解がある

エ 〈制度〉〈ワーク・ライフ・バランスの取組〉〈上司の理解〉の全てが揃うと取得者が8割を超える

休暇取得者・非取得者の職場の特徴について、<1>配偶者出産休暇制度の有無、<2>ワーク・ライフ・バランスに関する取組の推進状況、<3>上司の理解を組み合わせて休暇取得率を比較すると、<1>~<3>が整っているほど休暇取得者の割合が高く、各要素が欠けるにつれ休暇取得率は下がっていくという結果が出ており(第1-2-40図)、休暇取得率は、職場の条件(制度、ワーク・ライフ・バランスの取組、上司の理解)が整っていればいるほど高くなることが分かる。

第1-2-40図 〈配偶者出産休暇制度〉〈ワーク・ライフ・バランスの取組〉〈上司の理解〉の組み合わせ別休暇取得率

(3)小括

以上から、配偶者の出産直後の休暇取得を促進するためには、職場における「配偶者出産休暇制度」、「ワーク・ライフ・バランスに関する取組」、「上司の理解」の3条件を整えていくことが重要といえる20

なお、育児休業についても、「2017年内閣府経済社会総合研究所分析」において、育児のための短時間勤務制度や、男性の子育て参加の推進などの取組、直属の上司や職場が育児休業取得に対する理解を示すことが男性の育児休業取得を促進すると分析されており、育児休業の取得促進のためにも「制度」、「取組」、「上司の理解」の3条件を整えていくことが重要と考えられる。


20 休暇制度の整備及びその周知に関しては、2017(平成29)年3月31日に成立した「雇用保険法等の一部を改正する法律」(平成29年法律第14号)における育児・介護休業法の改正により、2017年10月1日から、事業主に対し、次の努力義務が課されることになった。
<1>育児休業等の個別周知
労働者やその配偶者が妊娠・出産したこと等を知った場合に、その者に対し、個別に育児休業等に関する制度(育児休業中・休業後の待遇や労働条件等)を知らせる努力義務
<2>育児目的休暇の新設
配偶者出産休暇や子の行事参加のための休暇等、未就学児を育てながら働く労働者が子育てしやすいよう、育児に関する目的で利用できる休暇制度を設ける努力義務

4 家庭と子育て目的の休暇取得の関係

以下では、配偶者出産直後の休暇取得者・非取得者の家庭の特徴を明らかにするとともに、その背景にある男女の意識について掘り下げてみたい。

(1)休暇取得のきっかけ

「2016年委託調査」で、休暇の取得状況と、本人の就業形態や配偶者の就業状況、配偶者の復職・就職意欲との関係をみてみると、休暇取得率に有意な差はないとされている2122。また、配偶者がマイタウン出産か里帰り出産か23や親族等との同居・近居状況によっても休暇取得率に大きな差はみられなかった。休暇取得の判断において、これらの家庭の状況が必ずしも強い影響を与えているわけではないことがうかがえる。

一方、休暇を取得したいと思ったきっかけをきいたところ、「日ごろの配偶者との会話(59.1%)」との回答が最も多く、次いで「配偶者からのリクエスト(35.3%)」が多かった。(第1-2-41図)

第1-2-41図 休暇を取得したいと思ったきっかけ(複数回答)

また、休暇取得者は非取得者に比べ「出産に向けたスケジュール」や「子供が生まれた後の、夫婦の働き方(キャリアプラン)」等について「何度も話し合った」と回答した割合が高く、配偶者とのコミュニケーションが多いほど休暇取得率が高いことが明らかになっている。(第1-2-42図、第1-2-43図、第1-2-44図)

第1-2-42図 配偶者とのコミュニケーション<1>

第1-2-43図 配偶者とのコミュニケーション<2>

第1-2-44図 配偶者とのコミュニケーション<3>

もっとも、話し合いの内容について目を向けてみると、「出産に向けたスケジュール」や「子供が生まれた後の、夫婦の働き方(キャリアプラン)」に関する話し合いに比べ(第1-2-42図、第1-2-43図)、「子供が生まれた後の、1日のタイムスケジュールも含めた家事・育児の分担について」話し合った割合は低く(第1-2-44図)、休暇取得者においても、夫婦間で出産後の家事・育児の分担についてはあまり話し合われていないことがうかがえる。

このように、休暇取得者においても、夫婦間で出産に向けたスケジュールや子供が生まれた後の夫婦の働き方については何度も話し合われている反面、子供が生まれた後の家事・育児分担等の日常的な出来事への対応に関する話し合いの割合は大幅に少ないことからすると、夫婦間において、子供の出生後に待ち受けている日常的な家事・育児を分担することについてまでは十分な意識が及んでいないように見受けられる。


21 本人が正社員か非正社員かどうかと、配偶者が正社員か非正社員か無業かどうかの組み合わせ別の休暇取得の割合に有意な差は見られなかった。

22 休暇取得者と非取得者との間で末子出生当時の配偶者の復職・就職意欲の有無には差が見られなかった。

23 マイタウン出産は居住地近くでの出産と定義し、里帰り出産は配偶者または回答者の実家近くでの出産と定義した。

(2)子育てにおける夫婦の役割分担意識

「2015年度国際意識調査」において、育児における夫婦の役割について聞いたところ、日本以外の国ではいずれも男女共に「妻も夫も同じように行う」が5割を超えているのに対し(スウェーデンは9割以上)、日本では3割台にとどまる。日本では、「もっぱら妻が行う」と「主に妻が行うが夫も手伝う」の合計が、男性で約6割、女性で約7割を占めており(スウェーデンは男女とも1割未満)、男女共に、子育てにおける性別役割分担意識があることがうかがえる。(第1-2-45図、第1-2-46図)

第1-2-45図 「小学校入学前の子供の育児における夫・妻の役割について」(男性)

第1-2-46図 「小学校入学前の子供の育児における夫・妻の役割について」(女性)

また、同調査では、男性の育児休業について、1か月以上の育児休業を「取りたかった(取ってもらいたかった)」と回答した日本男性は30%、日本女性は19.8%であり、日本女性の希望が低い背景には、男性が育児に専念することは男性のキャリアにダメージを与えるのではないかと考えていることが一因の可能性もあると指摘されている。さらに、日本は、男性の育児休業について「考えていなかった」が男女ともに4割を超えており、そもそも制度の周知や啓発の必要性が指摘されている24

こうした結果の背景には、かつて我が国において、専業主婦世帯が共働き世帯よりも多く(第1-2-47図)、「夫は外で働き妻は家事・育児に専念する」といった男女の役割分担が社会に定着していたこともあると考えられる。

第1-2-47図 共働き等世帯数の推移

しかし、1990年代には共働き世帯数が専業主婦世帯数を逆転し、2016(平成28)年には、専業主婦世帯数の1.7倍に達している。(第1-2-47図)また、女性の社会進出が進み、第1子が生まれた後も過半数の女性が働き続けるようになる(第1-1-13図)中で、祖父母等の手が借りられる子育て家庭も減少している。

このような社会構造の変化からすると、男女が協力して、家事・育児を共に担わなければ女性の活躍には限界があり、男性の家事・育児参画の推進に当たっては、男性が家事・育児等を行う意義の理解促進のための意識改革、啓発活動を含めた取組が必要と考えられる。


24 2015年度国際意識調査

(3)小括

以上から、配偶者の出産直後の休暇の取得においては、夫婦の就業状況や里帰り出産か否か等の外部的な事情よりも、配偶者との会話や配偶者からのリクエストが休暇を取得しようという意識の形成に大きく影響していることがわかった。もっとも、休暇取得者においても、夫婦間で子供が生まれた後の家事・育児の分担についてはあまり話し合っておらず、家事・育児を分担するということについては、夫婦間で十分な意識が及んでいないことがうかがえた。その背景として、女性の社会進出が進み、家族形態が変わる中にあって、子育てにおける夫・妻の役割について、男性のみならず女性にも、今なお固定的な性別役割分担意識があることが考えられる。

5 まとめ

以下、本節で明らかにしたことをまとめるとともに、男性の子育て目的の休暇取得の促進や家事・育児参画を推進する上で、重要と考えられる点を示す。もとより、休暇を取得するか否かはあくまでも個人の選択によるものであるが、多くの男性が休暇取得を希望しながら実際には取得していないという現状にも鑑み、引き続き休暇取得の促進に取り組んでいくことが重要である。

気持ち(意向)は家庭でつくられ、休み(行動)は職場でつくられる
  • 休暇を取得しない理由としては、休暇制度が整備されていないことや制度の不知を含め、職場環境に関することが多く挙げられている。
  • 休暇取得者の職場の特徴についてみたところ、<1>配偶者出産休暇制度、<2>ワーク・ライフ・バランスの取組、<3>上司の理解、がある職場は、それぞれ休暇取得者の割合が高く、また、これら3点すべてが揃った職場においては休暇取得者の割合が8割を超えていた。

これらのことから、職場において、配偶者出産休暇制度などの休暇制度を整備し、育児休業、子の看護休暇と合わせて十分に周知することを始め、上記3点を整えることは、休暇取得の促進につながると考えられる。このため、国においては、まずは長時間労働の是正等の働き方改革を進め、更に企業等に対し、休暇制度の整備・周知や、ワーク・ライフ・バランスの取組、上司等の意識改革など職場環境の整備を働きかけていくことが重要といえる。

  • 休暇取得者らに休暇を取得したいと思ったきっかけをきいたところ、日頃の配偶者との会話や配偶者からのリクエストが上位を占めた。
  • 休暇取得者ほど出産に向けたスケジュールや夫婦の働き方(キャリアプラン)等について何度も話し合っており、配偶者とのコミュニケーションが多かった。

これらのことから、少なくとも配偶者の出産直後の休暇取得においては、休暇を取得したいという気持ちは家庭でつくられると考えられ、休暇取得に関する啓発・情報提供を行う中で、家庭で事前に話し合っておくべき事項等について周知していくことなども重要と考えられる。

  • 配偶者の出産直後の休暇を取得しなかった理由として、「休む必要を感じなかったから」との回答が一定数あった。
  • 休暇取得者においても、夫婦間で子供が生まれた後の家事・育児分担に関する話し合いは多いとはいえなかった。
  • 育児における夫・妻の役割について「もっぱら妻が行う」又は「主に妻が行うが夫も手伝う」との考えが男性で約6割、女性で約7割を占めていた。この背景には、かつて専業主婦世帯が共働き世帯よりも多かったことなどがあると考えられるが、女性の社会進出が進み、状況は大きく変わっている。

これらのことから、男性の休暇取得を含め男性の家事・育児参画を促進していくためには、男女が協力して家事・育児を行ったり、男女が共同して社会に参画したりすることの重要性や家庭の大切さについて、若い頃からの教育・啓発を通じて伝えていくとともに、生活を営むために必要な衣食住や保育などに関する知識や技術を身に付けられるよう、教育での取組を行うことも重要であると考えられる。

~育児休業取得が職場や家庭にもたらすプラスの効果~

「2017年内閣府経済社会総合研究所分析」によると、男性の育児休業の取得は、以下のとおり、企業にも家庭にもプラスの効果が見られる。休暇の取得はあくまでも個人の判断に基づくが、育児休業も含め、男性がまずは何らかの形で休暇を取得することについて、その効果や休暇中の過ごし方等の周知も図りながら引き続き推進していくことが重要であると考える。

職場におけるプラスの効果
育児休業を取得した男性は会社への好感度が上昇

同分析によると、育児休業を取得することは男性のキャリア形成意識に影響を与えることがわかっている。具体的には、育児休業取得者は、非取得者に比べて会社への帰属意識や好感度が高まっている一方で、転職への関心は高まっておらず、育児休業の取得が職場にとってもプラスの効果となることが指摘されている。

育児休業を取得した男性は仕事の進め方に対する意識の改善も著しい

また、同分析では、男性が育児休業を取得することで、勤務時間が短縮され、退社時間が早まることも指摘されている。特に、自ら希望して育児休業を取得した男性には効果が大きく、会社にいる時間の短縮や、仕事の進め方に対する意識の改善が大きいと分析されている。

企業に対し、休暇取得の効果や影響を周知しつつ啓発活動や働きかけを行っていくことも重要と考えられる。

家庭におけるプラスの効果
取得のきっかけ、タイミング、休業中の過ごし方が重要

同分析によると、育児休業について

  1. 自ら希望したり配偶者が希望して取得すること(取得のきっかけ)、
  2. 出産直後や配偶者の体調に合わせて取得すること(取得のタイミング)、
  3. 休業中に、長い時間多くの種類の家事・育児を行うこと(休業中の過ごし方)

が、その後の平日の家事・育児参画の継続につながると分析されている。

また、育児休業中の家事・育児への積極的な取組が、男性本人の夫婦関係満足度及び追加出生意欲の向上にも重要とまとめられている。

取得の仕方や休業中の過ごし方についてハンドブックを作成するなど、より分かりやすく周知を図っていくことが重要と考えられる。

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