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少子化対策

第2部 少子化社会対策の具体的実施状況(第2章 第1節)

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第2章 きめ細かな少子化対策の推進(第1節)

第1節 結婚、妊娠・出産、子育ての各段階に応じた支援

1 妊娠・出産

(妊娠から子育てまでの切れ目のない支援体制の構築)
「子育て世代包括支援センター」の整備

2014(平成26)年度において、退院直後の母子の心身のケアや育児サポート等を行う産後ケア事業、妊産婦の相談支援を行う産前・産後サポート事業など妊娠から子育て期までの切れ目ない支援を行うための妊娠・出産包括支援モデル事業を29市町村で実施した。

2015(平成27)年度においては、妊娠期から子育て期にわたるまでの様々なニーズに対する総合的相談支援を提供する子育て世代包括支援センターの整備を行うとともに、地域の実情に応じて、産後ケア事業や産前・産後サポート事業を実施するなど、妊娠期から子育て期にわたるまでの切れ目のない支援を提供する体制の構築に向けた取組を推進した。

2016(平成28)年度においては、「児童福祉法等の一部を改正する法律」(平成28年法律第63号)により子育て世代包括支援センターを「母子保健法」(昭和40年法律第141号)に位置づけるとともに、2016年度子ども・子育て支援推進調査研究事業において、子育て世代包括支援センターの業務ガイドライン案作成のための調査研究を行った。子育て世代包括支援センターの実施箇所数は、2016年4月1日時点で720カ所(296市町村)となっている。(第2-2-1図)

第2-2-1図 子育て世代包括支援センターの全国展開

産婦健康診査事業の実施

産後うつの予防や新生児への虐待予防等を図る観点から、2017(平成29)年度予算において、産婦健康診査の費用を助成することにより、産後の初期段階における母子に対する支援を強化することとしている。

2 子育て

(子育ての経済的負担の緩和・教育費負担の軽減)
児童手当の支給

子育て世帯に対する現金給付については、2012(平成24)年3月に改正された「児童手当法」(昭和46年法律第73号)により、同年4月から以下の内容による児童手当が支給されている。

  • 支給対象
    中学校修了まで(15歳に達した日以後最初の3月31日まで)の児童を養育している方
  • 支給額(児童1人当たりの月額)
    • 所得制限未満の場合
      3歳未満 一律15,000円
      3歳以上小学校修了前 10,000円(第3子以降は15,000円)
      中学生 一律10,000円
    • 所得制限以上の場合
      一律5,000円(当分の間の特例給付)
  • 所得制限
    960万円未満(収入ベース)
    ※夫婦と児童2人の場合
    ※所得制限は、2012年6月分から適用
  • 給付総額
    約2兆1,985億円(2017(平成29)年度予算ベース)
幼児教育の無償化の段階的実施

幼稚園については、幼稚園に通う園児の保護者に対する経済的負担の軽減や、公私立幼稚園間における保護者負担の格差の是正を図ることを目的として、入園料や保育料を減免する「就園奨励事業」を実施している地方公共団体に対して、文部科学省がその所要経費の一部を補助している。また、子ども・子育て支援新制度における認定こども園、幼稚園、保育所等については、公定価格から保育料を差し引いた額を給付している。2015(平成27)年度は、低所得世帯の保護者負担の軽減を図るため、市町村民税非課税世帯の幼稚園の保育料を月額9,100円から3,000円に引き下げた上、市町村に対する補助を拡充した。2016(平成28)年度は、多子世帯の負担軽減策として幼稚園、保育所等の保育料について、これまで兄姉の年齢が一定範囲にある場合に第2子を半額、第3子以降を無償とする支援を行っていたところ、世帯収入が一定額以下の場合について、兄姉の年齢にかかわらず〈1〉ひとり親世帯等は、第1子が半額、第2子以降は無償、〈2〉〈1〉以外の世帯は、第2子は半額、第3子以降は無償となるよう制度の拡大を行っている。さらに、2017(平成29)年度からは、〈1〉市町村民税非課税世帯の第2子の完全無償化に加え、世帯収入が一定額以下の場合について、〈2〉ひとり親世帯等の負担軽減措置の拡充等を行っている。(第2-2-2図)

第2-2-2図 平成29年度における幼児教育の段階的無償化の推進について

高校生等への修学支援

いわゆる高校授業料無償化制度については、2014(平成26)年度から、低所得世帯の生徒への支援や公私間の教育費格差の是正に充てる財源を捻出するため、受給資格要件として、所得制限(保護者等の市町村民税所得割額が30万4,200円未満(年収910万円程度))を設ける制度に改正した。受給資格要件を満たす者には、年額11万8,800円を就学支援金として支給し、私立高校等に通う生徒の場合は世帯所得に応じて最大2.5倍(年額29万7,000円)まで加算して支給している。また、低所得世帯の授業料以外の教育費負担を軽減するため、2014年度に創設した高校生等奨学給付金制度について、2016(平成28)年度は非課税世帯における給付額の増額を図っている。加えて、「離島高校生修学支援事業」において、高校未設置の離島の高校生に対する補助を実施している。

高等教育段階における教育費負担軽減策の充実等

意欲と能力のある学生等が、経済的理由により進学等を断念することがないよう、安心して学ぶことができる環境を整備することは重要である。このため、日本学生支援機構が実施する大学等奨学金事業について、充実に努めているところである。

2016(平成28)年度予算においては、無利子奨学金の貸与基準を満たす希望者全員への貸与の実現を目指し、無利子奨学金の新規貸与人員を6千人増員し、奨学金の「有利子から無利子へ」の流れを加速している。また、奨学金の返還の負担を軽減するため、返還月額が卒業後の所得に連動する、新たな所得連動返還型奨学金制度を2017(平成29)年度進学者から適用するため、システムの開発・改修を進めるなど、奨学金制度の改善充実を図っている。加えて、2017年度予算からは、給付型奨学金を創設することとしている。(第2-2-3図)

第2-2-3図 大学等奨学金事業の充実

国公立大学においては、全大学で授業料免除制度を整備しており、経済的理由などにより、授業料の納付が困難である者などを対象に、修学継続を可能にし、教育を受ける機会を確保している。また、私立学校においても経済的に修学困難な学生等への授業料減免等の充実を図っている。

(多様な主体による子や孫育てに係る支援)
祖父母等による支援

2015(平成27)年11月26日に一億総活躍国民会議において取りまとめられた「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策-成長と分配との好循環に向けて-」において、「家族の支え合いにより子育てしやすい環境を整備するため、三世代同居・近居の環境を整備する。」とされ、三世代同居など複数世帯の同居に対応した住宅の整備及びリフォーム工事への補助、リフォーム工事を行った場合の所得税の税額控除の取組を行っている。

UR賃貸住宅においては、一定の要件を満たす子育て世帯等や子育て世帯等との近居を希望する支援世帯に対して、新築賃貸住宅の募集(抽選)時における当選倍率の優遇や、既存賃貸住宅の募集(先着順)時において、新たに入居する世帯の家賃を一定期間割り引く制度を実施しており、2016(平成28)年2月より、子育て世帯等と支援する親族の世帯がUR賃貸住宅に近居(概ね半径2km以内、またはニュータウンなどの地域では一方の住宅がUR賃貸住宅以外でも可)する場合、新たに入居する世帯(月額所得が25.9万円以下の世帯)の家賃を5年間20%割引する取組を行っている。

(子育てしやすい住宅の整備)
融資、税制を通じた住宅の取得等の支援

良質な持家の取得を促進するため、住宅金融支援機構における証券化支援事業の長期固定金利住宅ローン(フラット35S)により、耐久性・可変性等に優れた住宅に係る金利引下げを行うとともに、2017(平成29)年度から長期固定金利住宅ローン(フラット35子育て支援型)により、子育て支援に積極的な地方公共団体と住宅金融支援機構が連携し、地方公共団体による財政的支援とあわせて金利引下げを行っている。また、住宅ローン減税等の税制措置を講じている。

良質なファミリー向け賃貸住宅の供給促進

子育て世帯等を対象とする公的賃貸住宅の的確な供給や民間賃貸住宅への円滑な入居の支援等の各種施策を一体的に推進し、良質なファミリー向け賃貸住宅の供給を促進している。

地域優良賃貸住宅制度では、賃貸住宅の整備等に要する費用や家賃の低廉化に要する費用に対し、地方公共団体が助成を行う場合、国も支援を行っている(2014(平成26)年度末時点管理実績:約16万戸)。都市再生機構の民間供給支援型賃貸住宅制度では、機構が整備した敷地を民間事業者に定期借地し、民間事業者による良質なファミリー向け賃貸住宅等の建設・供給を支援している(2015(平成27)年度末現在で約1万800戸)。

その他、高齢者等が所有する戸建て住宅等を、広い住宅を必要とする子育て世帯等へ賃貸することを円滑化することへの支援や、子育て世帯等の入居を受け入れることとしている民間賃貸住宅の情報提供等の居住支援を行っている。

さらに、住宅セーフティネット法の改正(住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律(平成29年4月19日成立、同年4月26日公布))により、民間賃貸住宅や空き家を活用した住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の登録制度等を内容とする新たな住宅セーフティネット制度が創設され、2017(平成29)年度予算において、登録住宅の賃貸人に対する改修費助成や入居者負担の軽減等の支援を実施していく。

(小児医療の充実)
小児医療の充実

小児医療については、今後の我が国の社会を担う若い生命を守り育て、また、保護者の育児面における安心の確保を図る観点から、休日・夜間を含め、小児救急患者の受入れができる体制の整備が重要となっている。

特に小児救急医療については、小児初期救急センター、二次医療圏単位で当番制等により小児救急対応が可能な病院を確保する小児救急医療支援事業、さらに、小児の救命救急医療を担う小児救命救急センターの整備等を支援している。

また、小児の急病時の保護者等の不安解消等のため、小児の保護者等に対し小児科医等が電話で助言等を行う「小児救急電話相談♯8000」の整備を進めており、2004(平成16)年度より開始され、2010(平成22)年度より全都道府県で事業展開されている。さらに、小児医療については、近年の累次の診療報酬改定において重点的な評価が行われているところであり、平成28年度診療報酬改定においても、小児かかりつけ診療料の新設により、乳幼児期から学童期まで、継続性のある小児科外来診療を評価するとともに、重症小児等の入院・在宅医療に積極的に取り組んでいる保険医療機関の評価及び連携の充実を図ったところである。

予防接種の推進

予防接種は、感染症の発生及び流行から国民を守る極めて有効な手段であり、我が国の感染症対策上大きな役割を果たしてきたところである。今後も、予防接種の機会を広く確保するとともに、制度の見直し及び充実を図り、予防接種施策を適切に実施していくことが重要である。

2013(平成25)年3月の「予防接種法」(昭和23年法律第68号)改正では、新たにHib感染症、小児の肺炎球菌感染症、ヒトパピローマウイルス感染症の三ワクチンが定期接種に位置付けられた。また、予防接種に関する基本的な計画の策定、副反応疑い報告制度の法定化、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の設置等の取組が進んだ。さらに、先進諸国と比べて公的に接種するワクチンの数が少ない、いわゆる「ワクチン・ギャップ」の問題の解消に向け、厚生科学審議会等において「広く接種を促進していくことがのぞましい」とされた水痘、成人用肺炎球菌については、2014(平成26年)10月から、B型肝炎については、2016(平成28)年10月から定期接種として実施している。

(子供の健やかな育ち)
未就学児の教育環境の整備等

幼稚園については、2017(平成29)年3月に「幼稚園教育要領」の改訂を行った。新しい幼稚園教育要領では幼稚園教育において育みたい資質・能力を「知識及び技能の基礎」、「思考力、判断力、表現力等の基礎」、「学びに向かう力、人間性等」として明確にした。また、5歳児修了時までに育ってほしい幼児の具体的な姿について、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として明確化し、この「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を小学校と共有することにより幼稚園教育と小学校教育の接続について一層の強化を図った。改訂の内容については、2018(平成30)年4月からの全面実施に向け、国及び都道府県において説明会や協議会の開催を予定している。

また、第三者評価を含め幼稚園の特性に応じた学校評価を推進するため、2011(平成23)年11月には、「幼稚園における学校評価ガイドライン」を改訂した。

さらに、2016(平成28)年度において「幼児教育の質向上推進プラン」として、国・地方公共団体の幼児教育振興策の政策立案を行う上で必要となる基礎データの収集・分析や政策効果に関する研究を行うための国の調査研究拠点として国立教育政策研究所内に「幼児教育研究センター」を設置した。当該センターでは、都道府県や市町村における、研修等の拠点となる幼児教育センターの設置や、各園を巡回して指導・助言等にあたる幼児教育アドバイザーの設置など、地方公共団体における幼児教育の推進体制の構築を推進するモデル事業を実施している。そのほか、幼児期の教育内容等についてより深化・充実するための調査研究を行った。

保育所については、2015(平成27)年4月からの子ども・子育て支援新制度の施行、0歳児から2歳児を中心とした保育所利用児童数の増加などの保育をめぐる状況が大きく変化したことを受け、2017年3月に保育所保育指針の改定を行った。社会保障審議会児童部会保育専門委員会の「保育所保育指針の改定に関する議論のとりまとめ」(2016年12月)において、改定の方向性として、<1>乳児・1歳以上3歳未満児の保育に関する記載の充実、<2>保育所保育における幼児教育の積極的な位置づけ、<3>子供の育ちをめぐる環境の変化を踏まえた健康及び安全の記載の見直し、<4>保護者・家庭及び地域と連携した子育て支援の必要性、<5>職員の資質・専門性の向上といった内容が示され、これを受けて改定を行ったものである。新たな保育所保育指針は2018年4月1日から適用することとしている。

また、保育の質を向上させるため、2009(平成21)年から「保育所保育指針」において保育所及び保育士の自己評価の努力義務が定められたことに伴い、同年3月に「保育所における自己評価ガイドライン」を策定した。さらに、保育を含む福祉サービスの第三者評価事業の普及を図るため、子ども・子育て支援新制度において、保育所の受審料を支援する「第三者評価受審加算」を設けている。

幼稚園、保育所両方の性格を有する幼保連携型認定こども園については、教育課程その他の教育及び保育の内容に関する事項を定めた幼保連携型認定こども園教育・保育要領(以下「教育・保育要領」という。)を2014(平成26)年4月に内閣府・文部科学省・厚生労働省で共同告示し、2015年4月から施行された。教育・保育要領の内容を定めるに当たっては、「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」(平成18年法律第77号)第10条第2項において、幼稚園教育要領及び保育所保育指針との整合性の確保に配慮しなければならないとされているため、幼稚園教育要領及び保育所保育指針の改定等に向けた検討を受け、「幼保連携型認定こども園教育・保育要領の改訂に関する検討会」の審議を踏まえて「教育・保育要領」を改訂し、2017年3月に共同告示した。

新しい「教育・保育要領」の基本的な考え方は、<1>幼稚園教育要領及び保育所保育指針との整合性を確保すること、<2>幼保連携型認定こども園として特に配慮すべき事項等として「教育と保育が一体的に行われること」、「教育及び保育の内容並びに子育ての支援等に関する全体的な計画の策定」、「多様な生活形態の保護者が在園していることへの配慮」等の記載を充実することの2点である。

今後は、2018年4月の施行に向けて、都道府県等において説明会等を開催することとしている。

児童・生徒の教育環境の整備等

初等中等教育については、中央教育審議会においては、新しい時代に求められる資質・能力を子供たちに確実に育む学校教育の実現を目指し、学習指導要領改訂に関する審議を行い、2016(平成28)年12月には「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」をとりまとめた。これを受け、現行学習指導要領の枠組みや教育内容を維持した上で、知識の理解の質の向上を図り、これからの時代に求められる資質・能力を育んでいくことを目指し、2017(平成29)年3月に小・中学校の学習指導要領改訂を行った。

教員の養成・研修においても、例えば、学校現場を早くから知る機会として、教職を目指す学生のための学校でのインターンシップの導入に向け、制度の具体化を検討する等の改革に着手している。また、放課後子供教室や土曜学習等の様々な活動への参加も含めた学校インターンシップを促進することとしている。

(地域の安全の向上)
幼稚園・保育所等における事故の発生・再発防止

2015(平成27)年6月から「特定教育・保育施設等における事故情報データベース」1の運用を開始した。同年12月21日の「教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会最終とりまとめ」を踏まえ、2016(平成28)年4月21日に「教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議」を新たに開催することを決定し、教育・保育施設等における事故情報データベースの改善等、重大事故の再発防止策について検討を進めている。

また、2016年3月31日付で公表された「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」について、改めて周知啓発資料等により周知徹底を行うとともに、各種会議、研修会等により地方公共団体、施設・事業者等に対し、安心かつ安全な保育を実施するよう事故防止の取組を推進している。


1 http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/index.html#database

犯罪等の被害の防止

警察においては、都道府県警察の本部に設置された「子供女性安全対策班」の活動を始めとする性犯罪等の前兆とみられる声掛け、つきまとい等の段階で行為者を特定し、検挙・指導警告等の措置を講ずる活動を推進しているほか、子供を対象とした強制わいせつ等の暴力的性犯罪で服役し、出所した者について、法務省から情報提供を受け、対象者を訪問して所在確認を行い、必要があれば同意を得て面談を行うなど、再犯防止に向けた活動を推進している。

また、防犯ボランティア等によるパトロール活動や「子供110番の家」の活動に対する支援、不審者情報等の迅速な発信及び共有に努めているほか、学校等と連携した被害防止教育、スクールサポーターの派遣等を推進している。

文部科学省においては、通学路等で子供たちを見守る体制を強化するため、スクールガード・リーダーの配置やスクールガードの養成、防犯教室の講師となる教職員を対象とした都道府県教育委員会が実施する講習会への支援など、子供が犯罪被害に遭わないための取組を推進している。

また、2016(平成28)年度においても、子供たちが安心して教育を受けるために、学校安全ボランティア等を効果的に活用する仕組みを整備することにより、地域社会全体で、子供の安全を見守る体制の充実を図っている。

・インターネットに係る有害環境から子供を守るための取組の推進

インターネットに起因する子供の犯罪被害等を防止するため、関係機関・団体等と連携し、携帯電話事業者に対する保護者へのフィルタリング等の説明強化に関する要請のほか、入学説明会等の機会を捉えた保護者に対する啓発活動や子供に対する情報モラル教育等の取組を推進している。また、文部科学省では、インターネット上のマナーや家庭でのルール作りの重要性を保護者等に対して周知するための学習・参加型のシンポジウムの開催や児童生徒向けの普及啓発資料の作成・配布等を実施している。

特に、コミュニティサイトの利用に起因する犯罪から子供を守るため、警察庁及び関係省庁では、上記の取組のほか、コミュニティサイト事業者のサービスの態様等に応じた自主的な対策の強化を働き掛けている。

・若年層に対する性的な暴力の防止

いわゆるアダルトビデオ出演強要問題や「JKビジネス」問題等の若年層の女性に対する性的な暴力については、2017(平成29)年3月に設置された男女共同参画担当大臣を議長とする「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・『JKビジネス』問題等に関する関係府省対策会議」において、同月末、4月を「AV出演強要・『JKビジネス』等被害防止月間」と位置付け、政府一体となって、必要な取組を緊急かつ集中的に実施することを内容とする緊急対策を取りまとめた。

(ひとり親家庭支援)
経済的支援

ひとり親家庭等の生活の安定と自立の促進に寄与するため、児童扶養手当を支給するほか、ひとり親家庭等の生活や子供の就学に必要な資金等について貸付を行う母子父子寡婦福祉資金貸付金の貸付を行っている。2010(平成22)年の「児童扶養手当法の一部を改正する法律」(平成22年法律第40号)においては、児童扶養手当の支給対象を父子家庭の父にも拡大し(2010年8月)、生活保護の母子加算についても引き続き支給した。さらに、2014(平成26)年の「次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律」(平成26年法律第28号)では、新たに父子家庭を対象とした福祉資金貸付制度が創設された。

児童扶養手当の多子加算額について、特に経済的に厳しい状況にあるひとり親家庭に重点を置いた改善を図ることとし、第2子の加算額を月額5千円から月額最大1万円(36年ぶりの引き上げ)に、第3子以降の加算額を月額3千円から月額最大6千円(22年ぶりの引き上げ)とするなど、「児童扶養手当法の一部を改正する法律」(平成28年法律第37号)が2016(平成28)年通常国会(第190回国会)で成立し、2016年8月1日から施行された。

(児童虐待の防止、社会的養護の充実)
児童虐待の未然防止、重篤化防止のための早期対応

・児童福祉法等の一部を改正する法律の成立

児童虐待への対応については、2000(平成12)年11月に施行された「児童虐待の防止等に関する法律」(平成12年法律第82号、以下「児童虐待防止法」という。)及び、「児童福祉法」(昭和22年法律第164号)の累次の改正や民法等の一部を改正する法律(平成23年法律第61号)による親権の停止制度の新設等により、制度的な充実が図られてきた。一方で、全国の児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数は一貫して増加し、2015(平成27)年度には児童虐待防止法制定直前の約8.9倍に当たる、10万3,286件となっている。子供の生命が奪われるなど重大な児童虐待事件も後を絶たず、児童虐待の防止は社会全体で取り組むべき重要な課題である。

このような状況を踏まえ、児童虐待について、発生予防から自立支援までの一連の対策の更なる強化を図るため、2015年12月、第4回子どもの貧困対策会議において、「すくすくサポート・プロジェクト」(「児童虐待防止対策強化プロジェクト」及び「ひとり親家庭・多子世帯等自立支援プロジェクト」からなる「すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト」の愛称)が決定され、2016(平成28)年3月には、社会保障審議会児童部会新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会において、報告(提言)がとりまとめられた。

2016年3月には、これらを踏まえ、初めて子供を権利の主体として法律に位置付けるなど児童福祉法の理念を明確化するとともに、子育て世代包括支援センターの全国展開、市町村及び児童相談所の体制の強化、里親委託の推進等の所要の措置を講ずる「児童福祉法等の一部を改正する法律案」を2016年通常国会(第190回国会)に提出、5月に成立、6月に公布された。改正法の円滑な施行に向け、所要の措置を講ずることとしている。(第2-2-4図)

第2-2-4図 児童福祉法等の一部を改正する法律の概要

・児童相談所及び市町村の体制強化等

児童福祉法等の一部改正に伴い、

  1. 市町村の体制強化として、児童等に対する必要な支援(実情の把握、情報の提供、相談、調査、指導、関係機関との連絡調整等)を行うための拠点の整備に努めることとされたほか、調整機関である要保護児童対策地域協議会への専門職の配置を義務付け、国が定める基準に適合する研修を受けなければならないこと
  2. 児童相談所の体制強化として、弁護士や児童心理司等の専門職の配置を法律上位置付けるとともに、児童福祉司は、国が定める基準に適合する研修を受けなければならないこと

等とされたことを踏まえ、運用に係る検討、予算の確保等、円滑な施行に向けた取組を推進している。

さらに、2016年4月に策定した「児童相談所強化プラン」において、児童相談所の体制及び専門性を計画的に強化するため、児童福祉司等の専門職の増員や資質の向上、関係機関との連携強化等を図ることとしている。

社会的養護の充実

社会的養護は、かつては親のない、親に育てられない子供を中心とした施策であったが、現在では、虐待を受けた子供や何らかの障害のある子供への支援を行う施策へと役割が変化しており、一人一人の子供をきめ細やかに支援していけるような社会的資源として、その役割・機能の変化が求められている。

こうした中、厚生労働省はこれまで、社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会で2011(平成23)年に取りまとめられた「社会的養護の課題と将来像」に沿って、里親等への委託の推進、施設運営の質の向上、親子関係の再構築の支援、自立支援の充実、子供の権利擁護などを進めてきた。さらに2016(平成28)年5月には、全ての児童が健全に育成されるよう、児童虐待について発生予防から自立支援までの一連の対策の更なる強化等を図るため、児童福祉法の理念を明確化するとともに、子育て世代包括支援センターの法定化、市町村及び児童相談所の体制強化、里親委託の推進等を内容とする「児童福祉法等の一部を改正する法律」(平成28年法律第63号)が成立した。これを踏まえ、新たな社会的養護の在り方を検討することとしている。

家庭養護及び家庭的養護の推進

保護者のいない子供や、虐待を受けた子供など、社会的養護が必要な子供は、温かく安定した家庭の中で養育されることが重要である。

このため、2011(平成23)年3月には、里親委託優先の原則を明示した「里親委託ガイドライン」を策定し、家庭養護(里親、ファミリーホーム)を推進してきた。里親等委託率を伸ばしている地方公共団体においては、児童相談所への専任の里親担当職員の配置や、里親支援機関の充実、体験発表会の開催や、市町村と連携した広報、特定非営利活動法人や市民活動を通じた口コミなど、様々な努力が行われている。また、児童養護施設等における施設養護についても施設の小規模化・地域分散化を行い、できる限り家庭的な養育環境の形態に変えていく必要がある。このため、「児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進について(厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)」に基づき、2015(平成27)年度から2029(平成41)年度末までの15年間に、児童養護施設等の小規模化を図るとともに、「本体施設入所児童の割合」、「グループホーム入所児童の割合」、「里親・ファミリーホームへの委託児童の割合」をそれぞれ概ね3分の1ずつにしていく「都道府県推進計画」を策定し、計画に基づいた施設の小規模化・地域分散化への取組が開始されている。

さらに2016(平成28)年5月に成立した「児童福祉法等の一部を改正する法律」(平成28年法律第63号)では、国及び地方公共団体は、児童が家庭において健やかに養育されるよう保護者を支援することを原則とした上で、家庭における養育が困難又は適当でない場合には、まずは「家庭における養育環境と同様の養育環境」で継続的に養育されるよう、それが適当でない場合には、「できる限り良好な家庭的環境」において養育されるよう、必要な措置を講じなければならないこととされた。これを踏まえ、今後更なる家庭養護の推進を図ることとしている。

(障害のある子供等への支援)
障害のある子供の保育等

障害のある子供については、保育所での受入れを促進するため、1974(昭和49)年度より、障害児保育事業において保育所に保育士を加配する事業を実施してきたが、事業開始より相当の年数が経過し、保育所における障害のある子供の受入れが全国的に広く実施されるようになったため、2003(平成15)年度より一般財源化し、2007(平成19)年度より、地方交付税の算定対象を特別児童扶養手当の対象児童から軽度の障害児に広げる等の拡充をしている(2014(平成26)年度実施か所数:1万5,429か所、対象児童5万6,096人)。

このほか、障害のある子供を受け入れるにあたり、バリアフリーのための改修等を行う事業や、障害児保育を担当する保育士の資質向上を図るための研修を実施している。

また、幼稚園においても、特別支援教育コーディネーターの指名などの支援体制を整備するための経費の一部を国が補助するとともに、公立幼稚園において地方財政措置による特別支援教育支援員の配置を進めるなど、障害のある子供の受入れ体制の整備促進を図っているところである。

さらに、障害のある子供に対して、「児童福祉法」(昭和22年法律第164号)に基づき、日常生活における基本動作の指導や、集団生活の適応のための支援を行う児童発達支援等を実施している。また、保育所等訪問支援の実施により、障害の有無に関わらず、保育所等の育ちの場で全ての児童が共に成長できるよう、地域社会への参加・包容(インクルージョン)の推進を図っている。このほか、従来から引き続き、家族が休息などができるよう一時的に預かって見守る日中一時支援等を実施している。

関係機関の連携の強化による支援の実施

障害のある子供やその家族を支えるため、乳幼児期を含めたライフステージに応じた切れ目のない支援を行うことができる地域の支援体制の確立を図ることが必要である。

また、障害のある子供には、その時々に応じて、保健、医療、福祉、教育及び労働など様々な関係者が支援を行うことが必要であり、協議会の活用(子ども部会の設置)等により関係機関や関係者の連携システムを構築していく必要がある。

2015(平成27)年度より、障害福祉サービス等において、児童発達支援センター等の専門的療育を実施する事業所と保育所、小学校、就業時における企業等との連携を報酬上評価すること等により関係機関の連携の強化を図っているところである。

2016(平成28)年6月に成立した「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」(平成28年法律第65号)により、児童福祉法第56条の6第2項が新設され、医療的ケアが必要な障害児が適切な支援を受けられるよう、地方公共団体において、保健、医療、福祉等の連携促進を図ることが努力義務とされたところである。併せて、障害児支援の提供体制の計画的な構築を図るため、地方公共団体において、「障害児福祉計画」を策定することが義務付けられた。

また、聴覚障害の早期発見・早期療育が図られるよう、新たに2017(平成29)年度予算において、新生児聴覚検査に係る協議会の設置や、研修会の実施、普及啓発等により、都道府県における推進体制を整備することとしている。

発達障害児への支援の充実

発達障害児への支援については、2016(平成28)年通常国会(第190回国会)において「発達障害者支援法」(平成16年法律第167号)の一部が改正されたことを踏まえ、発達障害者の乳幼児期から高齢期までの各ライフステージに対応する一貫した切れ目ない支援の推進を図るため、保健、医療、福祉、教育及び労働等の制度横断的な関連施策の推進に取り組んでいる。具体的には、都道府県・指定都市に、保健、医療、福祉、教育、労働に関する機関が参加する「発達障害者支援地域協議会」を設置し、地域における発達障害児の支援体制に関する課題について情報を共有する等、関係機関の連携の緊密化を図ることとしている。

また、関係機関等が発達障害児の特性に沿った対応ができるよう助言等を行う発達障害者地域支援マネジャーの配置を推進するとともに、発達障害児の早期発見に有効とされるスクリーニングツールの導入を促進している。加えて、発達障害児の子育てに関する相談、助言を行うペアレントメンター(発達障害児の子育て経験のある親であって、その経験を活かし、子供が発達障害の診断を受けて間もない親などからの相談、助言を行う者)の養成等を実施している。

そのほか、発達障害等に関する知識を有する専門員が、市町村の保育所、放課後児童クラブ等の子供やその親が集まる施設・場を巡回し、施設のスタッフや親に対して、発達障害の早期発見・早期対応のための助言等の支援を実施し、地域における発達障害児に対する支援体制の充実を図っている。

特別支援教育の推進

2014(平成26)年に批准した障害者権利条約を踏まえた特別支援教育推進のため、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、一人一人の教育的ニーズを把握し、その障害の状態等に応じ、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある「多様な学びの場」において適切な指導及び必要な支援が行われている。

通級による指導については、従来小・中学校において制度化されていたところ、2016(平成28)年12月には、2018(平成30)年度から高等学校においても通級による指導が実施できるよう、省令等の改正を行った。

トピックス:東日本大震災被災地における子育て支援

1 東日本大震災における子供に関する状況

2011(平成23)年3月11日に発生した東日本大震災は未曾有の被害をもたらした。被害が大きかった岩手県、宮城県、福島県の3県において収容され警察による検視等を終えた死者は、2017(平成29)年2月28日までに1万5,824人にのぼり、身元が判明した人は1万5,755人で、そのうち0~9歳は469人、10~19歳は425人となっている。震災により親を亡くした児童については、震災孤児241人(岩手県94人、宮城県126人、福島県21人)、震災遺児1,514人(岩手県488人、宮城県871人、福島県155人)となっている(2014(平成26)年3月1日現在)。

さらに、被害の甚大な3県(岩手県、宮城県、福島県)等被災地の学校から他の学校において受け入れた幼児児童生徒数は、1万7,644人となっており、学校種別の内訳は、幼稚園746人、幼保連携型認定こども園157人、小学校1万82人、中学校5,220人、高等学校1,243人、義務教育学校11人、中等教育学校19人、特別支援学校166人(幼稚部・小学部・中学部・高等部)となっている(2016(平成28)年5月1日現在。国公私立計。同一都道府県内の学校からの受入れ数を含む。)。1万7,644人のうち、岩手県、宮城県、福島県の幼児児童生徒で、ほかの都道府県の学校において受け入れた数は、9,161人となっており、出身県別の内訳は、岩手県225人、宮城県1,088人、福島県7,848人となっている(2016年5月1日現在。国公私立計)。

加えて、物的被害を受けたのは、幼稚園が941校、小学校が3,269校、中学校が1,700校、中等教育学校が7校、特別支援学校が186校となっている(2012(平成24)年9月14日現在)。

2 東日本大震災の被災地等における子供・子育てに関する対応

(1)被災者支援(健康・生活支援)総合対策に基づく子供に対する支援の推進

復興大臣を座長とし、関係府省局長級からなるタスクフォースにおいて、2015(平成27)年1月23日に「被災者支援(健康・生活支援)総合対策」を策定した。この総合対策においては、様々な形で被災の影響を受けている子供に対する支援を柱の一つとしており、2015年度に、新たに創設した「被災者健康・生活支援総合交付金」により、被災した子供に対する総合的な支援を行うとともに、心のケアや学習支援等に関する取組を継続して行うなど、多方面から子供に対する支援事業を実施している。

(2)「新しい東北」の創造に向けた取組

東北地方は、震災前から、人口減少、高齢化、産業の空洞化等、現在の地域が抱える課題が顕著であった。このため、単に従前の状態に復旧するのではなく、震災復興を契機として、これらの課題を克服し、我が国や世界のモデルとなる「新しい東北」を創造すべく、取組を進めている。具体的には、幅広い担い手(企業、大学、特定非営利活動法人等)による先駆的な取組を加速するための「新しい東北」先導モデル事業等を実施してきた(2015(平成27)年度で事業終了)。

被災地では、子供の外遊びの減少や、生活環境の変化に伴うストレスの発生等の課題が生じている。こうした課題の解決に当たっては、子供の居場所(遊び場、運動の場)づくりや、子供の育ちを身体・精神の両面から支援できる人材の育成等を通じ、元気で健やかな子供の成長を見守る安心な社会づくりを進めることが重要である。

2015年度の「新しい東北」先導モデル事業では、子供の遊び場づくり活動を持続可能な取組として様々な地域に広げていくため、災害公営住宅の共用スペースを利用した遊び場づくりや農環境を活用した遊び場づくりなど、地域コミュニティの再生にも寄与する取組を支援している。

3 被災地における子育て支援の例

東日本大震災の被災地においては、地方公共団体や特定非営利活動法人、ボランティア団体などが、子供や子供を抱える人々に対して、引き続き支援を行っている。

大切な人をなくした子どもと保護者のためのグリーフプログラム(岩手県)

【グリーフ(悲嘆・愛惜)サポート】

特定非営利活動法人子どもグリーフサポートステーションは、親や大切な人との死別(震災や病気、事故、自死などによるもの)などの喪失体験をしたことで、グリーフ(悲嘆・愛惜)を抱えることになった子供やその家族に対し、グリーフプログラム(以下「プログラム」という。)を提供する事業を行っている。これらの事業によって、子供やその家族のQOL(クオリティオブライフ:生活の質)の向上と社会との結びつきを図り、QOF(クオリティオブフューチャー:未来の質)の向上と広く支え合う社会づくりに寄与することを目的としている。

前身団体である「仙台グリーフケア研究会」が、2010(平成22)年12月より仙台市で開催していたプログラムに、東日本大震災で大切な人を亡くした子供や保護者が参加するようになったことをきっかけに、2013(平成25)年に特定非営利活動法人格を取得し、岩手県陸前高田市でも活動を展開することとなった。

【子供が安心・安全を感じる場を】

岩手県沿岸部では、住民誰もが震災による大きく深い喪失を経験しており、今なお生活の基盤であるコミュニティなどの変化が日々続いている。

例えば、津波浸水区域内の立ち入り制限や大型車両の往来、校庭や公園に仮設住宅が立ち並び子供たちが安心・安全に遊ぶことのできる場の不足、人口流出や高齢化・過疎化の加速など、社会的にも不安定な状況が続いている。

プログラムでは、子供たちの安心・安全を守るためのルールと様々な遊具を用意し、自由に遊んだり話をしたり、何もしないでいたりすることができる。子供たちが自身で選ぶ過ごし方に合わせて、当団体の研修を受けた大人たちが寄り添い、家のことや学校のこと、亡くなった大切な人のことや震災のこと、町のことや思い出話など、それぞれのタイミングや方法で(遊びや話を通じて)表現する内容を受けとめ、個々の気持ちやペースを尊重して関わることを大切にしている。

2013(平成25)年6月から、陸前高田市内に建設されたコミュニティスペースにおいて、月に2回のペースでプログラムを開催し(2015(平成27)年度からは、同市内の別の施設でも実施)、2016(平成28)年度からは乗馬体験や宿泊のプログラムなども行っている。また、2014(平成26)年度から、岩手県等とも連携し、釜石市・宮古市・盛岡市においてもプログラムを定期的に開催している。

ボードゲームで遊び打ち解けるの写真
ピアノを弾く子どものそばで大人が寄り添うの写真
人や自分を傷つけずにストレス発散 大人がその気持ちを受けとめるの写真

子育て関連施設の集約による支援の充実化(宮城県)

【子育て環境の変化に伴う新たな課題】

宮城県沿岸南部に位置する山元町は、東日本大震災の津波により多くの尊い命が失われるとともに、町の約4割が浸水し、約2,500世帯の家屋が被災するなど甚大な被害を受けた。子育て環境が大きく変化したことに伴い、子育て世帯のストレスや不安感が増すなど新たな課題も生じていることから、子育て世帯への計画的な支援や子供の育ちを多方面から支援できる体制づくりが必要となった。

【子育て関連施設の集約と拠点整備】

2016(平成28)年夏に、町の子育て支援の拠点となる「子育て支援エリア」が整備された。子育て支援エリアには、山元町つばめの杜中央公園や山元町立山下第二小学校、芝生を敷設した園庭を中心にコの字型の建物の「山元町つばめの杜保育所」及び「児童館」・「子育て支援センター」・「放課後児童クラブ」の3つの機能を合築した多角形(円形状)の建物「山元町こどもセンター」が設置されている。

子育て支援エリア全景の写真
山元町つばめの杜保育所園庭の写真

こどもセンターの来館者は毎月1,100人を超えており、子供の安心・安全な活動場所として有効に機能しているとともに、子育て世帯の交流の場としても大いに活用されている。

震災後に実施した子育て支援団体へのヒアリングにおいては、子育て世代の集まりや交流会等に参加している親よりも、むしろ震災後顕著に増えている「家にこもって外に出ないお母さんたち」への支援や対応が難しいという課題が挙げられた。

このことから、町では、育児に対する不安を和らげ、また保護者同士の情報交換ができるよう、乳幼児に関するイベントや講座をこどもセンターで行うこととし、個別の案内送付、広報紙やホームページ、乳児健診での声がけ等により積極的に周知を行っている。また、内容についてもベビーマッサージ講座2や鉄道模型の展示など、お母さんや子供の関心が高い分野とし、講師の選定にも工夫を凝らしている。この取組により、普段育児サークルに参加していないお母さんがこどもセンターを訪れることも増え、安心して子育てができる環境に寄与している。

また、地域と子育て世帯との交流にも取り組んでおり、人形劇や演奏会、相撲体験等のイベント時には、地域の方々にも参加を呼びかけたり、地域の方々が講師となって子供たちに対して書道や将棋、茶道を教えたりしている。今後は、公的な取組だけでなく、町民の自主的な子育て支援活動も含めて、地域全体として重層的な子育て支援のネットワークをさらに広げていく必要がある。

山元町こどもセンターの写真
ベビーマッサージ講座の写真

2 3年目となるベビーマッサージ講座は人気の講座になっている。参加者からは、「子供も楽しんでいた様子で、私も今までよりもっとわが子を身近に感じました。帰ったら、上の子(2歳)にもマッサージをしたいと思いました。」などの感想がある。

ちびっこ自然あそび事業(福島県)

【外遊びや自然ふれあい体験の環境整備】

福島県では、原発事故により飛散した放射性物質への不安から、子供たちの外遊びの機会が制限され、子供の体力低下や肥満傾向児の増加が懸念されるようになった。他方、震災後、子供の心身の健やかな発育には外遊びや自然ふれあい体験が重要であることも改めて認識されるようになった。

震災から間もない時期には、県内で屋内の遊び場が整備されるとともに、放射線量の低い県内外の地域に出かけて外遊びを体験する取組なども企画されていたが、震災から5年以上が経過し、県内各市町村での除染が進み、県内で外遊びをする取組が企画されるようになってきている。

【一年を通して継続的にイベントを実施】

福島県は、県中央部(安達郡大玉村)の県有地に1972(昭和47)年からふくしま県民の森「フォレストパークあだたら」(総面積91.5ヘクタール)を開設し、施設内に森林学習施設やオートキャンプ場を整備して、県民に森林とのふれあいを通し自然の大切さを学ぶ場を提供してきた。

2016(平成28)年5月からは、主に未就学児の親子を対象とした自由遊びや自然体験等のイベントを一年を通して企画・運営する「ちびっこ自然あそび事業」を同施設の指定管理者である「ふくしまフォレスト・エコ・ライフ財団」に業務委託し、スタートした。

これまでに、「もりのお仕事体験「はちみつを収穫してみよう~春~」」、「ちびっこも楽しめる!ファミリーキャンプ<1>~はじめてのテント泊&バウムクーヘン作り~」、「ナイトハイク」、「ちびっこも楽しめる!ファミリーキャンプ<3>~焚火と焼き芋を楽しむ~」、「ちびっこ自然探検隊~雪の森散歩とそり遊び~」等、フォレストパークあだたら内の設備や四季折々の自然を活用した体験学習や生物観察、キャンプ等の各種プログラムを30回程実施している。各回10組程度を定員としているが、多くの開催で定員を超えた応募がなされている。

今後も、県内の親子に外遊びや自然ふれあい体験の機会を持ってもらえるよう継続的にプログラムを開催することとしており、2017(平成29)年度も年間30回程度の開催を目指して、引き続き事業を行っていく予定である。

【参加者の感想】
○もりのお仕事体験「はちみつを収穫してみよう~春~」(2016年5月29日(日))

はちみつを収穫するという普段は体験できない体験を子供にさせてあげたかった。たくさんのミツバチにびっくりして近づけないかと思ったが、驚くことなくハチミツを収穫してきて満足そうな表情をしていたので良かった。(参加者の母親)

○ちびっこ自然探検隊~夏の森の虫探し~(2016年8月7日(日))

自分は虫が嫌いだけれども、子供に虫を捕まえて触ったりする経験をさせたくて参加しました。(参加者の母親)

○ナイトハイク(2016年8月12日(金))

暗いところを怖がるかと思ったが、ライトで木のクワガタやカブトムシを一生懸命探したり、池の中の生き物を探したりする様子を見て驚きました。(参加者の母親)

「ちびっこ自然あそび事業」の写真

3 子供の貧困

子供の貧困対策

子供の貧困対策については、2013(平成25)年6月に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」(平成25年法律第64号)が成立し、2014(平成26)年1月17日に施行した。本法では、子供の将来がその生育環境に左右されることのないよう、貧困の状態にある子供が健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、子供の貧困対策を総合的に推進することを目的としている。

本法を踏まえ、政府は、同年8月29日「子供の貧困対策に関する大綱」を策定(閣議決定)した。当該大綱では、子供の貧困対策に関する基本的な方針をはじめ、子供の貧困に関する指標、指標の改善に向けた当面の重点施策、子供の貧困に関する調査研究等及び施策の推進体制等を定めている。

経済的に厳しい状況に置かれたひとり親家庭や多子世帯の自立のためには、<1>支援が必要な者に行政のサービスを十分行き届けること、<2>複数の困難な事情を抱えている者が多いため一人一人に寄り添った伴走型の支援を行うこと、<3>ひとりで過ごす時間が多い子供たちに対し、学習支援も含めた温かい支援を行うこと、<4>安定した就労を実現することなどが重要であり、2015(平成27)年12月に「ひとり親家庭・多子世帯等自立応援プロジェクト」を策定し、就業により自立に向けた支援を基本にしつつ、子育て・生活支援、学習支援などの総合的な支援を実施することとした。

また、2016(平成28)年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」においても、希望する教育を阻む制約の克服や子育てが困難な状況にある家族・子供等への配慮・対策等の強化のための施策などについて、今後を見据えてどのように展開していくか示されたところである。

社会全体で応援する取組

内閣府、文部科学省、厚生労働省は、子供の貧困対策が国をあげて推進されるよう、官公民の連携・協働プロジェクトとして「子供の未来応援国民運動」を推進している。

主な事業としては、各種支援情報の発信や支援活動を行う団体とその活動をサポートする企業等とのマッチングの推進、民間資金を活用した「子供の未来応援基金」による草の根で支援を行うNPO等に対する助成等があげられる。

このうち、支援情報の活用については、支援に関する情報を一元的に集約した上で、地域別、属性等別、支援の種類別に検索できる総合的な支援情報ポータルサイト3の整備を行っている。

支援団体と企業等とのマッチングに関しては、地域において官民公の顔の見えるネットワークを構築し、交流・連携を促進することで、支援が必要な方に確実に支援が届けられるようにするため、各地で「子供の貧困対策マッチングフォーラム」を開催したほか、学習支援、子ども食堂、フードバンクのそれぞれの分野における全国的なネットワークを有する団体が支援の窓口として相談や問合せに対応したり、支援物資等の配分調整等を行ったりする、「子供の未来応援マッチングネットワーク推進協議会」を発足させた。また、支援リソースと支援ニーズの双方を掲載し、相互に検索できるマッチングサイトも整備している。

「子供の未来応援基金」については、企業や個人に子供の貧困に対する理解を求め、協力を呼び掛けてきた結果、2016(平成28)年9月末時点で約7億円の寄付が寄せられ、同年7月に行った公募に申請のあった535団体から、基金事業審査委員会による審査等を経て86団体を選定し、同年10月に支援金の交付が決定された。

また、内閣府では、「地域子供の未来応援交付金」により、地方公共団体が地域の実情に応じて子供の貧困対策を進めていくため、関係行政機関、企業、NPO等との地域ネットワークの形成やその活用に取り組むのを後押ししており、2016年度は交付金の活用促進の観点から既存の実態調査の活用などにより必ずしも段階的な事業実施を求めずに地域ネットワークの形成やその活用に取り組んでもらえるようにするなど交付要件の弾力化等を実施したところである。


3 http://www.kodomohinkon.go.jp/

調査研究等

子供の貧困対策を総合的に推進するに当たり、子供の貧困の実態を適切に把握した上で、そうした実態を踏まえて施策を推進していく必要がある。大綱においては、子供の貧困対策をさらに適切に推進していくため、必要となる新たな指標の開発に向けた調査研究の実態について検討することとされている。

2016(平成28)年度は、内閣府において、子供の貧困の実態、関係施策の実施状況その他支援の状況、対策の効果等を数量的に示しうる統計データや先行研究を収集し、その結果を踏まえ、指標についてより一層体系化すべく、子供の貧困対策の実施状況や対策の効果等の検証・評価に用いる場合の課題も含め、分析を行い、指標見直しに当たっての一定の方向性について整理した。

沖縄の子供の貧困対策

深刻な状況にも関わらず行政の支援が子供に行き届いていないことや、日中にとどまらず夜間も子供の居場所がないことなど、沖縄特有の課題に緊急に対応するため、2016(平成28)年度より居場所づくりや支援員の配置を、モデル的・集中的に実施しており、県内で支援員105人を配置、居場所122か所を開所している。(2017(平成29)年2月1日時点)

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