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少子化対策

第2部 少子化社会対策の具体的実施状況(第1章 第1節 2)

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第1章 重点課題(第1節 2)

第1節 子育て支援施策の一層の充実(2)

2 待機児童の解消

待機児童の現状

2016(平成28)年4月には、保育所等の定員が263万4,510人となり、就学前児童の保育所等利用児童割合(保育所等利用児童数÷就学前児童数)は39.9%となっている。保育所等待機児童数については、2万3,553人(対前年比386人増)となっている。女性の就業の増加や保育利用率の上昇などにより、保育の利用申込者数が増加し、2016年4月時点の待機児童数は前年度と比較して増加している。(第2-1-4図、第2-1-5表、第2-1-6表)

第2-1-4図 保育所待機児童の現状

第2-1-5表 待機児童数50人以上の市区町村

第2-1-6表 年齢区分別待機児童数

待機児童解消加速化プラン等

安倍内閣は、待機児童問題を最優先課題と位置付け、2013(平成25)年4月に、2017(平成29)年度末までに約40万人分の保育の受け皿を確保することとした「待機児童解消加速化プラン」を発表したが、その後の待機児童数増加を受け、2015(平成27年)11月の「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」において、整備目標を約50万人分に上積みしている。2013年度から2015年度までの3か年で合計約31.4万人分の保育の受け皿拡大を達成し、2017年度までの5か年の合計では、約48.3万人分の保育の受け皿拡大を見込んでいる。さらに、2016(平成28)年度から実施している企業主導型保育事業によりさらに約5万人分の保育の受け皿拡大を進めていくこととしている。(第2-1-7図、第2-1-8図)

第2-1-7図 待機児童の状況及び待機児童解消加速化プランの状況

第2-1-8図 待機児童解消加速化プラン

2016年3月には、厚生労働省において、「待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策について」が公表され、保育の受け皿拡大に積極的に取り組んでいる市区町村を対象に、保育の受け皿や人材確保のための施設整備促進等の措置を実施することとした。その一環として、幼稚園においても、地域の実情に応じて積極的に待機児童問題に対応するため、幼稚園における一時預かり事業や小規模保育事業等を推進している1

2016年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」においては、保育人材の確保策と合わせた総合的取組により、2017年度末までの待機児童の解消を目指し、さらに、2018(平成30)年度以降も女性の就業の更なる増加や働き方改革の進展、保育との切れ目ない支援となる育児休業の取得促進等の取組を踏まえつつ、保育の受け皿確保に取り組むこととしている。(第1-2-4図

2016年9月には、厚生労働省において、「切れ目のない保育のための対策」がまとめられた。施設整備や保育人材確保を更に進めるとともに、0歳児期の育児休業終了後の「入園予約制」の導入支援、保護者のニーズをかなえる保育コンシェルジュ、保育園等に土地を貸す際に固定資産税の減免が可能な旨の明確化など、市区町村における待機児童解消に向けた取組の更なる支援を進めることとしている。

2017年6月には、今後も女性の就業率の上昇や、保育の利用希望の増加が見込まれる中、「子育て安心プラン」を公表し、待機児童解消に必要な受け皿約22万人分の予算3年分を2019(平成31)年度末までの2年間で確保し、遅くとも2020(平成32)年度末までの3年間で全国の待機児童を解消することとしている。さらに、2022(平成34)年度末までの5年間で、女性就業率80%にも対応できるよう、約32万人分の保育の受け皿を整備することとしている。(第2-1-9図)

第2-1-9図 子育て安心プラン

また、待機児童数の把握については、特定の保育園を希望する場合などの取扱いが市区町村ごとに異なるとの指摘があることから、厚生労働省において、2016年9月に「保育所等利用待機児童数調査に関する検討会」が設置され、検討が行われた。2017年3月の同検討会の取りまとめを踏まえ、厚生労働省において、育児休業中の場合については、保育所等に入所できたときに復職することを継続的に確認し、復職に関する確認ができる場合には待機児童に含める旨を示すなど、各地方公共団体宛てに新たな保育所等利用待機児童数調査の調査要領を示したところである。

なお、上記の対策に加え、UR賃貸住宅では、地方公共団体と連携しつつ、団地再生事業等により生じた整備敷地や既存の空き店舗等の活用による、子育て支援施設(保育所、幼稚園、学童保育など)の設置に努めており、2016年度末現在で584件の実績がある。

また、2017年4月に「都市公園法」(昭和31年法律第79号)が改正された(同年6月に施行)ことにより、国家戦略特区内の都市公園における占用特例が一般措置化され、都市公園の一部を活用した保育所の設置が可能となった。これによっても保育の受け皿拡大が期待される。


1 「幼稚園における待機児童の受入れについて」(平成28年4月22日内閣府子ども・子育て本部参事官(子ども・子育て支援担当)、文部科学省初等中等教育局幼児教育課、厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課事務連絡)

「保育人材確保対策」の推進

保育の受け皿拡大を進める中、保育の担い手となる保育人材の確保のため、処遇改善や新規資格取得者の確保、就業継続支援、離職者の再就職支援など、引き続き、総合的な対策を講じることとしている。(第2-1-10図)

第2-1-10図 保育人材の確保に向けた総合的な対策

特に保育士の処遇改善には毎年度取り組んでおり、2017(平成29)年度予算では全職員の処遇を2%改善する。また、一律の処遇改善に加え、努力が評価され、将来に希望が持てるよう技能・経験に応じたキャリアアップの仕組みを構築する。このため、経験年数が概ね7年以上の中堅職員に対しては月額4万円、経験年数が概ね3年以上の職員に対しては月額5千円の処遇改善を行うこととしている。

2016(平成28)年度第2次補正予算において、保育士の業務負担を軽減するための保育補助者雇上費貸付を拡充するとともに、離職者の再就職支援のための就職準備金貸付の拡充をするほか、保育士の就業継続支援として、未就学児を持つ保育士の子どもの預かり支援事業利用料金の一部貸付を創設した。

また、2017年度当初予算においては、保育士宿舎借り上げ支援事業の対象者を拡大するとともに、学生に対するインターンシップを含めた市町村における人材確保の取組を支援する保育人材就職支援事業を創設するなど、更なる人材確保に取り組んでいくこととしている。

トピックス:待機児童問題解決のカギは「地域との共生」

近年、待機児童問題の解決に向けて、全国の都市部を中心に、保育所を始め保育サービスの充実には、様々な課題がある。地方公共団体や保育施設等における課題解決に向けた取組を紹介する。

《大阪府 子ども施設と地域の共生のために『子ども施設環境配慮手引書』作成》

大阪府の調査によると、43市町村のうち33の自治体で保育施設等の「音」に関する近隣住民等とのトラブルを抱えていた。トラブルの原因としては、子供の声や職員・保護者の声、イベント時の楽器の演奏や放送音に関するもののほか、送迎車両・自転車等交通に関するトラブルなども多くあげられていた。大阪府ではトラブルの未然防止や解決のためのヒント集として、有識者や関係団体の意見も踏まえて市町村や保育施設等向けに手引書1を作成した。

本手引書では、子供の声は大人より高く聞こえることや壁の材質別の遮音性の高さなど、保育施設等で発生する「音」に関する基礎知識について解説しているほか、「音」や送迎などが原因でトラブルが発生した事例を紹介し、その防止策についても具体的に記載している。

また、本手引書で特筆すべきは地域との「共生」に大切な心構えを記載している点である。これらのトラブルへの対応は保育施設等運営側による防止策のみでは不十分であり、地域との「共生」のためには地域や近隣住民等、子供を見守り受け入れる側への歩み寄りが重要であるとし、施設整備計画段階での丁寧な説明や近隣住民と子供が触れ合う機会を創出することの必要性など、参考にしやすいポイントについて紹介している。

大阪府では、本手引書の内容を市町村や保育施設等、住民に広く周知するため、2017(平成29)年2月に「子ども施設と地域との共生シンポジウム」を開催し、基調講演やパネルディスカッションを通して、関係者の理解促進を図っている。

地方公共団体での取組を促進するため、政府においても地域連携コーディネーターの機能強化などにより地方公共団体・保育施設等を支援し、地域住民の保育施設等への理解促進を図っている。

子ども施設環境配慮手引書
子ども施設と地域との共生シンポジウムの写真

1 本手引書で紹介する事例は、どの施設でも必ず同じ効果が期待できるものではなく、また、全ての保育施設等が実践しなくてはならないというものではない。どのような対応策をとるかは、保育施設等の立地状況や、地域の特徴、保育・教育方針などに応じた方法を選択することが重要である。
http://www.pref.osaka.lg.jp/kotsukankyo/oto/kodomo_tebiki.html

《サテライト方式で課題解決『江東湾岸サテライトSMART NURSERY SCHOOL』》

人口密集地である東京都江東区においては、保護者の送迎に便利であることと、「音」による地域とのトラブルを気にすることなく子供がのびのびと過ごすことのできる立地という相反する条件を満たした施設をどのように確保するかが課題であった。

社会福祉法人高砂福祉会が運営する「江東湾岸サテライトSMART NURSERY SCHOOL2」では、最寄駅から徒歩約15分の距離にある大型ショッピングモールに隣接し、保護者の送迎に便利な分園と、付近に住宅等の建物がなく、子供たちが「音」を気にせず広い敷地でのびのびと過ごせる本園を送迎バスでつなぐサテライト方式を採用することで、これらの課題を解決している。

0歳・1歳児は分園で1日を過ごし、2歳児から5歳児までは、送迎バスで分園から本園に登園する。迎えのバスを待つ間は専用の待機スペースで遊ぶことができ、毎朝5便程運行するバスでほとんど待ち時間なく本園へ向かうことができる。本園に登園した園児たちは、運河を臨む広い園庭や分棟形式の部屋を囲むように配したウッドデッキで、自然を感じながら過ごしている。

保護者は、子供を預けたあと、最寄駅からすぐに仕事へ向かうことができる。また、帰りはショッピングモールで買い物をしてから子供を迎えに行くことができる。

保護者と保育士の日々の相互の連絡は、スマートフォン上のアプリで行われている。当初はアプリで連絡を取り合うことにとまどう保育士もいたものの、慣れてくれば空き時間に手軽に子供の様子を入力できることから、業務負担の軽減にもつながっている。

東京湾へとつながる運河が間近に臨める園庭の写真
ウッドデッキでのびのび過ごす子供たちの写真

2 第9回キッズデザイン賞「子どもの産み育て支援デザイン 地域・社会部門優秀賞[少子化対策担当大臣賞]」受賞

《練馬区 医師会と協働して病児・病後児保育施設を開設『病児保育センターぱるむ』》

全国的に、利用者の変動等による不安定な経営や保育士・看護師等の人材不足などの理由から病児保育施設、病後児保育施設ともに整備が進んでいない現状がある。

練馬区では、2006(平成18)年7月に練馬区医師会と協働して、医療機関や保育所等に併設していない単独型の「病後児保育センターぱるむ光が丘」を開設し、2011(平成23)年4月に「病児保育センターぱるむ光が丘」に移行した。また、2012(平成24)年8月に「病児保育センターぱるむ大泉」を開設した。

区は、開設に当たり、所有する子育て支援施設を改修し、医師会に運営を委託している。また、回診に対する補助や保育士確保に向けた処遇改善のための補助を行うことで、運営や人材確保に関する支援を行っている。

「病児保育センターぱるむ光が丘」の開設を機に、区と医師会は協定を締結し、同センターを区内6か所の病児・病後児保育施設の連携・協働を図るための中心拠点と位置付け、区と医師会との協働による子育て支援の拡充を進めている。

2017(平成29)年度には、保育の質の向上や円滑な運営のための情報共有の場として、練馬区医師会と区の連携による病児・病後児保育施設間の連絡会を設けることとしている。

「病児保育センターぱるむ」は医療機関を併設していないため、周辺の医師会小児科医会医師の協力のもと各診療所の小児科医が毎日交代で回診を行い、利用する子供の病状を確認している。

緊急対応が必要な場合は、ネットワークカメラにより医師が子供の様子を離れた診療所から確認しながら常駐している看護師や保育士に迅速かつ的確に指示を出すことができる。

このような充実したケアの体制を整えることで、保護者は安心して子供を預けることができ、看護師や保育士にとっても、常駐する医師の不在という精神的な負担の軽減につながっている。

回診の様子の写真
ネットワークカメラによる確認の写真
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