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少子化対策

第2部 少子化社会対策の具体的実施状況(第2章 第1節 3)

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第2章 きめ細かな少子化対策の推進(第1節 3)

第1節 結婚、妊娠・出産、子育ての各段階に応じた支援(3)

3 子育て

(子育ての経済的負担の緩和・教育費負担の軽減)
児童手当の支給

子育て世帯に対する現金給付については、2012(平成24)年3月に改正された「児童手当法」(昭和46年法律第73号)により、同年4月から以下の内容による児童手当が支給されている。

  • 支給対象
    中学校修了まで(15歳に達した日以後最初の3月31日まで)の児童を養育している方
  • 支給額(児童1人当たりの月額)
    • 所得制限未満の場合
      3歳未満 一律15,000円
      3歳以上小学校修了前 10,000円(第3子以降は15,000円)
      中学生 一律10,000円
    • 所得制限以上の場合
      一律5,000円(当分の間の特例給付)
  • 所得制限
    960万円未満(収入ベース)
    ※夫婦と児童2人の場合
    ※所得制限は、2012年6月分から適用
  • 給付総額
    約2兆1,985億円(2017(平成29)年度予算ベース)
幼児教育の無償化の段階的実施

幼稚園については、幼稚園に通う園児の保護者に対する経済的負担の軽減や、公私立幼稚園間における保護者負担の格差の是正を図ることを目的として、入園料や保育料を減免する「就園奨励事業」を実施している地方公共団体に対して、文部科学省がその所要経費の一部を補助している。また、子ども・子育て支援新制度における認定こども園、幼稚園、保育所等については、公定価格から保育料を差し引いた額を給付している。2015(平成27)年度は、低所得世帯の保護者負担の軽減を図るため、市町村民税非課税世帯の幼稚園の保育料を月額9,100円から3,000円に引き下げた上、市町村に対する補助を拡充した。2016(平成28)年度は、多子世帯の負担軽減策として幼稚園、保育所等の保育料について、これまで兄姉の年齢が一定範囲にある場合に第2子を半額、第3子以降を無償とする支援を行っていたところ、世帯収入が一定額以下の場合について、兄姉の年齢にかかわらず〈1〉ひとり親世帯等は、第1子が半額、第2子以降は無償、〈2〉〈1〉以外の世帯は、第2子は半額、第3子以降は無償となるよう制度の拡大を行っている。さらに、2017(平成29)年度からは、〈1〉市町村民税非課税世帯の第2子の完全無償化に加え、世帯収入が一定額以下の場合について、〈2〉ひとり親世帯等の負担軽減措置の拡充等を行っている。(第2-1-15図

高校生等への修学支援

いわゆる高校授業料無償化制度については、2014(平成26)年度から、低所得世帯の生徒への支援や公私間の教育費格差の是正に充てる財源を捻出するため、受給資格要件として、所得制限(保護者等の市町村民税所得割額が30万4,200円未満(年収910万円程度))を設ける制度に改正した。受給資格要件を満たす者には、年額11万8,800円を就学支援金として支給し、私立高校等に通う生徒の場合は世帯所得に応じて最大2.5倍(年額29万7,000円)まで加算して支給している。また、低所得世帯の授業料以外の教育費負担を軽減するため、2014年度に創設した高校生等奨学給付金制度について、2016(平成28)年度は非課税世帯における給付額の増額を図っている。加えて、「離島高校生修学支援事業」において、高校未設置の離島の高校生に対する補助を実施している。

高等教育段階における教育費負担軽減策の充実等

意欲と能力のある学生等が、経済的理由により進学等を断念することがないよう、安心して学ぶことができる環境を整備することは重要である。このため、日本学生支援機構が実施する大学等奨学金事業について、充実に努めているところである。(第2-2-3図)

第2-2-3図 奨学金の貸与人員及び事業費の推移

2016(平成28)年度予算においては、無利子奨学金の貸与基準を満たす希望者全員への貸与の実現を目指し、無利子奨学金の新規貸与人員を6千人増員し、奨学金の「有利子から無利子へ」の流れを加速している。また、奨学金の返還の負担を軽減するため、返還月額が卒業後の所得に連動する、新たな所得連動返還型奨学金制度を2017(平成29)年度進学者から適用するため、システムの開発・改修を進めるなど、奨学金制度の改善充実を図っている。加えて、2017年度予算からは、給付型奨学金を創設することとしている。(第2-2-4図)

第2-2-4図 大学等奨学金事業の充実

国公立大学においては、全大学で授業料免除制度を整備しており、経済的理由などにより、授業料の納付が困難である者などを対象に、修学継続を可能にし、教育を受ける機会を確保している。また、私立学校においても経済的に修学困難な学生等への授業料減免等の充実を図っている。

(多様な主体による子や孫育てに係る支援)
祖父母等による支援

2015(平成27)年11月26日に一億総活躍国民会議において取りまとめられた「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策-成長と分配との好循環に向けて-」において、「家族の支え合いにより子育てしやすい環境を整備するため、三世代同居・近居の環境を整備する。」とされ、三世代同居など複数世帯の同居に対応した住宅の整備及びリフォーム工事への補助、リフォーム工事を行った場合の所得税の税額控除の取組を行っている。

UR賃貸住宅においては、一定の要件を満たす子育て世帯等や子育て世帯等との近居を希望する支援世帯に対して、新築賃貸住宅の募集(抽選)時における当選倍率の優遇や、既存賃貸住宅の募集(先着順)時において、新たに入居する世帯の家賃を一定期間割り引く制度を実施しており、2016(平成28)年2月より、子育て世帯等と支援する親族の世帯がUR賃貸住宅に近居(概ね半径2km以内、またはニュータウンなどの地域では一方の住宅がUR賃貸住宅以外でも可)する場合、新たに入居する世帯(月額所得が25.9万円以下の世帯)の家賃を5年間20%割引する取組を行っている。

商店街の空き店舗、小中学校の余裕教室、幼稚園等の活用による地域の子育ての拠点づくり

商店街の活性化は、地域経済の活性化、地域コミュニティの形成にとって重要な要素であることから、商店街内の空き店舗等を活用し、地域における子育て支援等の機能を担う場を設置するなどの、商店街の活性化を図る取組を支援している。

また、近年、少子化に伴う児童生徒数の減少等により、廃校となる小中学校や余裕教室が生じている。学校施設は、地域住民にとって身近な公共施設でもあることから、地域の実情や需要に応じて積極的に活用することが望ましく、廃校となった小中学校施設や余裕教室を保育施設として活用したり、地域における子育て支援の場として活用したりすることは有効であると考えられる。

廃校施設や余裕教室の有効活用に際しては、国庫補助事業完了後10年以上経過した公立学校施設を無償で転用する場合には国庫納付金を不要とするなど、財産処分手続の大幅な簡素化・弾力化を図っているほか、活用事例を紹介したパンフレットを周知するなどにより、廃校施設や余裕教室の有効活用を促している。

さらに、2016(平成28)年9月には、小学校の余裕教室等を活用した保育所等の整備について、児童福祉部局と連携・協力するよう各都道府県の教育委員会に依頼文を発出したところである。

(子育てしやすい住宅の整備)
融資、税制を通じた住宅の取得等の支援

良質な持家の取得を促進するため、住宅金融支援機構における証券化支援事業の長期固定金利住宅ローン(フラット35S)により、耐久性・可変性等に優れた住宅に係る金利引下げを行うとともに、2017(平成29)年度から長期固定金利住宅ローン(フラット35子育て支援型)により、子育て支援に積極的な地方公共団体と住宅金融支援機構が連携し、地方公共団体による財政的支援とあわせて金利引下げを行っている。また、住宅ローン減税等の税制措置を講じている。

良質なファミリー向け賃貸住宅の供給促進

子育て世帯等を対象とする公的賃貸住宅の的確な供給や民間賃貸住宅への円滑な入居の支援等の各種施策を一体的に推進し、良質なファミリー向け賃貸住宅の供給を促進している。

地域優良賃貸住宅制度では、賃貸住宅の整備等に要する費用や家賃の低廉化に要する費用に対し、地方公共団体が助成を行う場合、国も支援を行っている(2014(平成26)年度末時点管理実績:約16万戸)。都市再生機構の民間供給支援型賃貸住宅制度では、機構が整備した敷地を民間事業者に定期借地し、民間事業者による良質なファミリー向け賃貸住宅等の建設・供給を支援している(2015(平成27)年度末現在で約1万800戸)。

その他、高齢者等が所有する戸建て住宅等を、広い住宅を必要とする子育て世帯等へ賃貸することを円滑化することへの支援や、子育て世帯等の入居を受け入れることとしている民間賃貸住宅の情報提供等の居住支援を行っている。

さらに、住宅セーフティネット法の改正(住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律(平成29年4月19日成立、同年4月26日公布))により、民間賃貸住宅や空き家を活用した住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の登録制度等を内容とする新たな住宅セーフティネット制度が創設され、2017(平成29)年度予算において、登録住宅の賃貸人に対する改修費助成や入居者負担の軽減等の支援を実施していく。

公的賃貸住宅ストックの有効活用等による居住の安定の確保

公営住宅においては、子育て世帯等について、入居者の選考に際し、地域の実情を踏まえた地方公共団体の判断により優先入居の取扱い及び入居収入基準の緩和を行っている。UR賃貸住宅においては、一定の要件を満たす子育て世帯等や子育て世帯等との近居を希望する支援世帯に対して、新築賃貸住宅の募集(抽選)時における当選倍率の優遇や、既存賃貸住宅の募集(先着順)時において、新たに入居する世帯の家賃を一定期間割り引く制度を実施している。

公的賃貸住宅と子育て支援施設との一体的整備等の推進

大規模な公営住宅の建替えに際して社会福祉施設等を原則として併設することを求めるとともに、公的賃貸住宅と子育て支援施設等を一体的に整備する事業や子育て世帯等の居住の安定確保に資する先導的な取組に対し、国が直接支援を行っている。

また、市街地再開発事業等において施設建築物内に保育所等を導入した場合の補助等を行っている。

街なか居住等の推進

都心における職住近接により子育て世帯を支援するため、都市部や中心市街地における良質な住宅供給や良好な住宅市街地等の環境整備を行っている。

(小児医療の充実)
小児医療の充実

小児医療については、今後の我が国の社会を担う若い生命を守り育て、また、保護者の育児面における安心の確保を図る観点から、休日・夜間を含め、小児救急患者の受入れができる体制の整備が重要となっている。

特に小児救急医療については、小児初期救急センター、二次医療圏単位で当番制等により小児救急対応が可能な病院を確保する小児救急医療支援事業、さらに、小児の救命救急医療を担う小児救命救急センターの整備等を支援している。

また、小児の急病時の保護者等の不安解消等のため、小児の保護者等に対し小児科医等が電話で助言等を行う「小児救急電話相談♯8000」の整備を進めており、2004(平成16)年度より開始され、2010(平成22)年度より全都道府県で事業展開されている。(第2-2-5図)さらに、小児医療については、近年の累次の診療報酬改定において重点的な評価が行われているところであり、平成28年度診療報酬改定においても、小児かかりつけ診療料の新設により、乳幼児期から学童期まで、継続性のある小児科外来診療を評価するとともに、重症小児等の入院・在宅医療に積極的に取り組んでいる保険医療機関の評価及び連携の充実を図ったところである。

第2-2-5図 小児救急電話相談(♯8000)事業の概要と実施状況について

小児慢性特定疾病対策等の充実

小児慢性特定疾病対策については、2015(平成27)年1月から、「児童福祉法」(昭和22年法律第164号)に基づき、公平かつ安定的な制度(小児慢性特定疾病医療費助成制度)として確立するとともに、対象疾病(※)を514から704疾病まで拡大し、都道府県等において実施されている。

(※)小児慢性特定疾病:以下の<1>~<4>の要件を全て満たし、厚生労働大臣が定めるもの

<1>慢性に経過する疾病であること、<2>生命を長期にわたって脅かす疾病であること、<3>症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾病であること、<4>長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾病であること。

医療費助成の対象となる疾病は、<1>悪性新生物、<2>慢性腎疾患、<3>慢性呼吸器疾患、<4>慢性心疾患、<5>内分泌疾患、<6>膠原病、<7>糖尿病、<8>先天性代謝異常、<9>血液疾患、<10>免疫疾患、<11>神経・筋疾患、<12>慢性消化器疾患、<13>染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群及び<14>皮膚疾患の14疾患群である。

また、幼少期から慢性的な疾病にかかっているため、学校生活での教育や社会性の涵養に遅れがみられ、自立を阻害されている児童等について、地域による総合的な支援により自立の促進を図る「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業」についても2015年1月から児童福祉法に位置付けたところであり、同法に基づき都道府県等において実施されている。

予防接種の推進

予防接種は、感染症の発生及び流行から国民を守る極めて有効な手段であり、我が国の感染症対策上大きな役割を果たしてきたところである。今後も、予防接種の機会を広く確保するとともに、制度の見直し及び充実を図り、予防接種施策を適切に実施していくことが重要である。

2013(平成25)年3月の「予防接種法」(昭和23年法律第68号)改正では、新たにHib感染症、小児の肺炎球菌感染症、ヒトパピローマウイルス感染症の三ワクチンが定期接種に位置付けられた。また、予防接種に関する基本的な計画の策定、副反応疑い報告制度の法定化、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の設置等の取組が進んだ。さらに、先進諸国と比べて公的に接種するワクチンの数が少ない、いわゆる「ワクチン・ギャップ」の問題の解消に向け、厚生科学審議会等において「広く接種を促進していくことがのぞましい」とされた水痘、成人用肺炎球菌については、2014(平成26年)10月から、B型肝炎については、2016(平成28)年10月から定期接種として実施している。

こころの健康づくり

2008(平成20)年度から、経験豊かな退職した養護教諭をスクールヘルスリーダーとして、経験の浅い養護教諭の配置校へ定期的に派遣し、校内での教職員に対する研修、個別の対応が求められる児童、生徒への対応方法等に関する指導等を実施するとともに、スクールヘルスリーダーによる情報交換・知見の向上を図ること等により、児童、生徒が抱える現代的な健康問題に適切に対処できる環境の整備を図っている。

また、子供の日常的な心身の健康状態を把握し、健康問題などについて早期発見・早期対応を図ることができるよう、教員を対象とした指導参考資料を作成するとともに、養護教諭等を対象とした研修会の実施や、児童生徒の心のケア等を図るため、スクールカウンセラーの活用など学校における教育相談体制の充実に努めている。

さらに、児童思春期におけるこころの健康づくり対策としては、児童思春期におけるこころのケアの専門家の養成研修事業を行っており、精神保健福祉センター、児童相談所等では児童思春期の専門相談を実施している。

加えて、様々な子供の心の問題、被虐待児の心のケアや発達障害に対応するため、都道府県域における拠点病院を中核とし、各医療機関や保健福祉機関等と連携した支援体制の構築を図るための事業を2008年度より3か年のモデル事業として実施してきたところであり、2011(平成23)年度以降においては、本モデル事業の成果を踏まえ、「子どもの心の診療ネットワーク事業」として事業の本格実施を行っている。

(子供の健やかな育ち)
未就学児の教育環境の整備等

幼稚園については、2017(平成29)年3月に「幼稚園教育要領」の改訂を行った。新しい幼稚園教育要領では幼稚園教育において育みたい資質・能力を「知識及び技能の基礎」、「思考力、判断力、表現力等の基礎」、「学びに向かう力、人間性等」として明確にした。また、5歳児修了時までに育ってほしい幼児の具体的な姿について「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として明確化し、この「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を小学校と共有することにより幼稚園教育と小学校教育の接続について一層の強化を図った。改訂の内容については、2018(平成30)年の4月からの全面実施に向け、国及び都道府県において説明会や協議会の開催を予定している。

また、第三者評価を含め幼稚園の特性に応じた学校評価を推進するため、2011(平成23)年11月には、「幼稚園における学校評価ガイドライン」を改訂した。

さらに、2016(平成28)年度において「幼児教育の質向上推進プラン」として、国・地方公共団体の幼児教育振興策の政策立案を行う上で必要となる基礎データの収集・分析や政策効果に関する研究を行うための国の調査研究拠点として国立教育政策研究所内に「幼児教育研究センター」を設置した。当該センターでは、都道府県や市町村における、研修等の拠点となる幼児教育センターの設置や、各園を巡回して指導・助言等にあたる幼児教育アドバイザーの設置など、地方公共団体における幼児教育の推進体制の構築を推進するモデル事業を実施している。そのほか、幼児期の教育内容等についてより深化・充実するための調査研究を行った。

保育所については、2015(平成27)年4月からの子ども・子育て支援新制度の施行、0歳児から2歳児を中心とした保育所利用児童数の増加などの保育をめぐる状況が大きく変化したことを受け、2017年3月に「保育所保育指針」の改定を行った。社会保障審議会児童部会保育専門委員会の「保育所保育指針の改定に関する議論のとりまとめ」(2016年12月)において、改定の方向性として、<1>乳児・1歳以上3歳未満児の保育に関する記載の充実、<2>保育所保育における幼児教育の積極的な位置づけ、<3>子供の育ちをめぐる環境の変化を踏まえた健康及び安全の記載の見直し、<4>保護者・家庭及び地域と連携した子育て支援の必要性、<5>職員の資質・専門性の向上といった内容が示され、これを受けて改定を行ったものである。新たな「保育所保育指針」は2018年4月1日から適用することとしている。

また、保育の質を向上させるため、2009(平成21)年から「保育所保育指針」において保育所及び保育士の自己評価の努力義務が定められたことに伴い、同年3月に「保育所における自己評価ガイドライン」を策定した。さらに、保育を含む福祉サービスの第三者評価事業の普及を図るため、子ども・子育て支援新制度において、保育所の受審料を支援する「第三者評価受審加算」を設けている。

幼稚園、保育所両方の性格を有する幼保連携型認定こども園については、教育課程その他の教育及び保育の内容に関する事項を定めた幼保連携型認定こども園教育・保育要領(以下「教育・保育要領」という。)を2014(平成26)年4月に内閣府・文部科学省・厚生労働省で共同告示し、2015(平成27)年4月から施行された。教育・保育要領の内容を定めるに当たっては、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号。以下「認定こども園法」という。)第10条第2項において、幼稚園教育要領及び保育所保育指針との整合性の確保に配慮しなければならないとされている。このため、幼稚園教育要領及び保育所保育指針の改訂等に向けた検討を受け、「幼保連携型認定こども園教育・保育要領の改訂に関する検討会」の審議を踏まえて「教育・保育要領」を改訂し、2017(平成29)年3月に共同告示した。

新しい「教育・保育要領」の基本的な考え方は、<1>幼稚園教育要領及び保育所保育指針との整合性を確保すること、<2>幼保連携型認定こども園として特に配慮すべき事項等として「教育と保育が一体的に行われること」、「教育及び保育の内容並びに子育ての支援等に関する全体的な計画の策定」、「多様な生活形態の保護者が在園していることへの配慮」等の記載を充実することの2点である。

今後は、2018(平成30)年4月の施行に向けて、都道府県等において説明会等を開催することとしている。

また、認定こども園法等において、教育及び保育並びに子育て支援事業等の状況についての評価が規定されている。評価のうち、第三者評価についての受審を進めていくために、子ども・子育て支援新制度において、第三者評価の受審料を支援する「第三者評価受審加算」を設けている。

児童・生徒の教育環境の整備等

初等中等教育については、中央教育審議会においては、新しい時代に求められる資質・能力を子供たちに確実に育む学校教育の実現を目指し、学習指導要領改訂に関する審議を行い、2016(平成28)年12月には「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」をとりまとめた。これを受け、現行学習指導要領の枠組みや教育内容を維持した上で、知識の理解の質の向上を図り、これからの時代に求められる資質・能力を育んでいくことを目指し、2017(平成29)年3月に小・中学校の学習指導要領改訂を行った。

教員の養成・研修においても、例えば、学校現場を早くから知る機会として、教職を目指す学生のための学校でのインターンシップの導入に向け、制度の具体化を検討する等の改革に着手している。また、放課後子供教室や土曜学習等の様々な活動への参加も含めた学校インターンシップを促進することとしている。

また、学校の教育環境の根幹である教職員定数については、2017年度においては、少子化等に伴い教職員定数が減少する一方で、学校現場における喫緊の課題のうち、今まで予算の範囲内で加配措置をしてきた、障害に応じた特別の指導(通級による指導)のための教員の定数や、外国人児童生徒等教育のための教員の定数等を基礎定数化し、児童生徒数等に応じて確実に措置することとしたほか、小学校専科指導など加配定数の増を図った。また、補充学習など学力向上等のため、約1万1,100人の学校サポーターを活用する補習等のための指導員等派遣事業を引き続き実施している。

地域ぐるみで子供の教育に取り組む環境の整備

学校、家庭及び地域住民等がそれぞれの役割と責任を自覚しつつ、未来を担う子供たちを健やかに見守り育むことにより、地域や家庭の教育力の向上を図るため、放課後子供教室や家庭教育支援など、地域住民の参画による教育支援の取組を全国で推進している。

地域と学校の連携・協働については、中央教育審議会答申(新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について(2015(平成27)年12月))及び「次世代の学校・地域」創生プラン(2016(平成28)年1月)を踏まえ、幅広い地域住民や企業・団体等の参画により、地域と学校が連携・協働して、学びによるまちづくり、地域人材育成、郷土学習、放課後等における学習・体験活動など、地域全体で未来を担う子供たちの成長を支え、地域を創生する「地域学校協働活動」を推進する新たな体制(地域学校協働本部)を全国に推進している。

・地域学校協働本部の基盤となる学校支援地域本部

地域住民がボランティアとして学校の教育活動を支援し、地域全体で子供を育てる体制づくりを行う学校支援地域本部を2008(平成20)年度より実施しており、学校や地域の実情に応じ、地域住民による学校支援のための様々な活動が行われている(2016(平成28)年度実施か所数:4,527本部)。

・外部人材を活用した土曜日の教育支援活動の推進

地域の多様な経験や技能を持つ外部人材・企業等の協力により、土曜日等の教育活動を行う体制を構築し、地域と学校が連携・協働した取組を支援している(2016(平成28)年度実施か所数:1万1,895校)。

・放課後子供教室

放課後等に、学校の余裕教室等を活用して、全ての子供を対象として、安全・安心な活動拠点(居場所)を設け、地域の方々の参画を得て、学習活動やスポーツ・文化芸術活動等の体験活動、地域住民との交流活動等の機会を提供する放課後子供教室を実施している(2016年(平成28)度実施か所数:1万6,027教室)。

・家庭教育支援

全ての親が家庭教育に関する学習や相談ができる体制が整うよう、家庭教育支援チームの組織化等により、身近な地域における相談対応、保護者への学習機会や親子参加型行事の企画・提供などの家庭教育を支援する活動を推進している(2016(平成28)年度実施か所数:3,955か所)。

2016年度は、「家庭教育支援の推進方策に関する検討委員会」を開催し、全ての保護者が充実した家庭教育を行うことができるようにするための具体的な推進方策について検討し、報告書を取りまとめた。また、2016年度から新たに「地域人材の活用や学校等との連携による訪問型家庭教育支援事業」を地方公共団体に委託して実施し、家庭教育支援チーム等による訪問型の家庭教育支援体制の構築を図った。

このほか、地域住民、学校、行政、特定非営利活動法人、企業等の協働による社会全体での家庭教育支援の活性化を図るため、効果的な取組事例等を活用した全国的な研究協議を行っている。さらに、家庭教育の基盤となる、食事や睡眠などを始めとする子供の基本的な生活習慣の定着を図るため、「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進するとともに、中高生を中心とした子供の自立的な生活習慣づくりを推進するため、家庭と学校、地域の連携による生活習慣改善のための実証研究「中高生を中心とした生活習慣マネジメント・サポート事業」を全国の8地方公共団体で実施した。独立行政法人国立女性教育会館においては、「女性情報ポータル“Winet”(ウィネット)」1において、育児・子育て支援に関する情報を提供している。


1 http://winet.nwec.jp

いじめ防止対策の推進

いじめは、いじめを受けた子供の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長と人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命や身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものであるが、どの子供にも、どの学校でも起こり得るものである。

2013(平成25)年6月に成立した「いじめ防止対策推進法」(平成25年法律第71号)を踏まえ、文部科学省では同年10月、「いじめの防止等に関する基本的な方針」(以下「基本方針」という。)を策定した。「いじめの防止等のための普及啓発協議会」や、教員を対象とした「いじめの問題に関する指導者養成研修」を開催するなど、同法や基本方針の周知に取り組んでいる。加えて、2016(平成28)年においては、法施行後3年が経過したことを受け、法の施行状況の検証を行い、学校におけるいじめへの組織的な対応を徹底させることなどを促すため、基本方針の改定を行った。

また、教育再生実行会議の第一次提言及びいじめ防止対策推進法を踏まえ、いじめの未然防止、早期発見・早期対応や教育相談体制の整備及びインターネットを通じて行われるいじめへの対応を充実するため、2013年度から「いじめ対策等総合推進事業」を実施し、いじめの防止等のための措置を推進している。

スクールサポーターによるいじめ防止対策の推進

退職した警察官等から成るスクールサポーターの学校への訪問活動等により、いじめ事案の早期把握に努めるとともに、把握したいじめ事案の重大性及び緊急性、被害少年及びその保護者等の意向、学校等の対応状況等を踏まえ、学校等と緊密に連携しながら、的確な対応を推進している。2016(平成28)年4月現在、44都道府県で約850人のスクールサポーターが配置されている。

(「食育」等の普及・促進及び多様な体験活動の推進)
食育の普及促進

2005(平成17)年6月に制定された「食育基本法」(平成17年法律第63号、同年7月施行)において、子供たちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性を育んでいく基礎となるものと位置付けている。

食育基本法では、食育推進会議(会長:農林水産大臣)が食育推進基本計画(以下この項目において「基本計画」という。)を作成することとされており、2016(平成28)年度から2020(平成32)年度の5年間を対象とする第3次食育推進基本計画が決定され、これに基づき食育の推進に関する各種施策が行われている。

・国民運動としての食育の推進

食育基本法の趣旨から、子供たちに対する食育が重要であるとの認識の下、基本計画に基づき、家庭、学校、保育所、地域等において、国民的広がりを持つ運動として食育を推進している。基本計画は、食育推進運動を重点的かつ効果的に実施し、食育の国民への浸透を図るため、毎年6月を「食育月間」と定めている。農林水産省では、実施要綱を策定して全国的な推進を図るとともに、2016(平成28)年6月には福島県郡山市において「第11回食育推進全国大会inふくしま」を開催するなど、食育に関する国民の理解の促進を図っている。

また、若い世代の食生活の改善に尽力したボランティアを対象として「食育推進ボランティア表彰」を行い、2016年度には、10団体等の優秀事例を農林水産大臣から表彰した。

・家庭における食育の推進

子供や若い世代の食生活の状況として、朝食の欠食率は小学生に比べ中学生になると高くなる傾向があり、成人後は20歳代、30歳代の若い世代が最も欠食率が高い。朝食欠食が習慣化する時期についても中学生以降に始まることが多いため、子供の基本的な生活習慣の形成を図っていくためにも、「早寝早起き朝ごはん」国民運動等により、全国的な普及啓発を推進していくことが求められる。

また、2015(平成27)年度からスタートした「健やか親子21(第2次)」においても、子供の生活習慣の形成という観点から、引き続き、朝食を欠食する子供の割合を減らす取組を進めるほか、家族と一緒に食べる「共食」の回数を増やす取組などを推進している。

・学校、保育所等における食育の推進

学校における食育を推進するためには、学校における指導体制の整備が不可欠である。2005(平成17)年4月に制度化された栄養教諭は、教育に関する資質と栄養に関する専門性を生かして、学校における食育推進の要として、食に関する指導と献立作成や衛生管理などの学校給食の管理を一体的に展開することにより、教育上の高い相乗効果をもたらしている。2016(平成28)年5月現在で、全ての都道府県において5,765人の栄養教諭が配置されている。このほかにも、学校給食法及び学習指導要領に「学校における食育の推進」について明記されたことも踏まえ、食育教材及び教員向けの指導書を作成し、ダウンロードして活用できるようホームページ上への公開や、栄養教諭を中核として学校、家庭、地域が連携しつつ、学校における食育を推進するための事業の展開など、各種事業を継続的に実施し、学校における食育の推進に努めている。

児童福祉施設における食事は、入所する子供の健やかな発育・発達及び健康の維持・増進の基盤であるとともに、望ましい食習慣及び生活習慣の形成を図るなど、その果たす役割は極めて大きい。そこで、適切な栄養管理方法や食事提供における留意点、食を通した自立支援など食育の推進についてまとめた「児童福祉施設における食事の提供ガイド」(2010(平成22)年3月)を参考に、子供の健やかな発育・発達を支援する観点も踏まえ、児童福祉施設における食事提供を充実させている。

なお、保育所における食育の推進については、2017(平成29)年3月に告示された、新たな保育所保育指針(平成29年厚生労働省告示第117号2018(平成30)年4月1日施行)に位置付けられている。

・地域における食生活の改善等のための取組の推進

健全な食生活の実現に当たり、一人一人が自ら食育に関する取組を実践できるよう、「食育ガイド」や「食事バランスガイド」、ごはんを中心に多様な副食を組み合わせ栄養バランスに優れた「日本型食生活」等について、関係機関や関係団体等を通じて普及啓発に努めるとともに、農林漁業体験を通じて食や農林水産業への理解を深める教育ファームなどの食育活動を支援した。さらに、学校給食への地場産物の活用など、地域の特性を活かした取組を促進している。

また、2014(平成26)年8月に閣議決定した「子供の貧困対策に関する大綱」に基づき、子供の食事・栄養状態の確保、食育に関する支援やひとり親家庭の子供に対し、放課後児童クラブ等の終了後に生活習慣の習得・学習支援や食事の提供等を行うことが可能な居場所づくりを行っている。

消費者教育・金融教育等の普及・促進

消費者が被害に遭わないようにし、自らの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動できる存在となるため、あるいは自らの消費生活に関する行動が現在及び将来の世代にわたって内外の社会情勢及び地球環境に影響を及ぼし得るものであることを自覚して、公正かつ持続可能な社会の形成に積極的に参画し、その発展に寄与する存在となるためには、消費者教育(消費者の自立を支援するために行われる消費生活に関する教育)が重要である。そのような消費者教育を総合的かつ一体的に推進するために、2012(平成24)年12月に「消費者教育の推進に関する法律」(平成24年法律第61号)が施行され、消費者庁に審議会として消費者教育推進会議を置いた(同法第19条)。また、同法に基づき2013(平成25)年6月28日に「消費者教育の推進に関する基本的な方針」(基本方針)が閣議決定された(同法第9条)。同基本方針の「今後検討すべき課題」を消費者教育推進会議に置かれた3つの小委員会(消費者市民育成小委員会情報利用促進小委員会、地域連携推進小委員会)で検討し、2015(平成27)年3月に取りまとめを公表した。2015年7月から第2期推進会議が始動し、これまで、〈1〉「消費者教育の推進に関する基本的な方針」(2013年6月閣議決定)の見直しに向けた論点整理を行うため、関係省庁、地方公共団体、消費者団体及び事業者団体からヒアリングを実施した。また、〈2〉若年者に対する消費者教育の機会の充実など社会情勢等の変化への対応を行うこととした。具体的には、社会情勢等の変化における課題の対応として、「学校における消費者教育の充実に向けて」の提案(2016(平成28)年4月)、成年年齢引下げに向けた環境を充実させるため高等学校の授業用教材の作成及び消費者市民社会普及のための啓発資料の作成に向けた検討等を実施した。また、消費者教育ポータルサイトにより、幼児期・小学生期・中学生期・高校生期・成人期(特に若者・成人一般・特に高齢者)というライフステージごと、消費者市民社会の構築、商品等の安全、生活の管理と契約、情報とメディアという領域ごとに、消費者教育用教材や取組事例の提供等を行っている。今後は、同サイトの利便性の向上を目的として、利用者が教材等を検索する際に有益な情報を提供できる環境を整備していく方針である。

2017(平成29)年3月に改訂した、小・中学校学習指導要領においては、社会科、家庭科、技術家庭科等で、例えば、現行規定に加え、「売買契約の基礎」や、「計画的な金銭管理や消費者被害への対応」など、消費者教育に関する内容の充実が図られたところである。なお、高等学校の学習指導要領については、2017年度中に改訂を予定しているところである。

社会教育においては、文部科学省が実施する「消費者教育フェスタ」において、学校の授業や社会教育における諸活動など、あらゆる機会や場において消費者教育が可能となるような実践事例や、文部科学省が作成した先生や社会教育主事を対象とする消費者教育の啓発資料の活用について紹介した。今後も、消費者教育の推進に関する法律や消費者基本計画(2015年3月24日閣議決定)、学習指導要領などを踏まえ、学校・家庭・地域における消費者教育を推進することとしている。

また、金融経済教育については、金融リテラシーの向上を通じて、国民一人一人が経済的に自立し、より良い暮らしを送っていくことを可能とするため、例えば、2014(平成26)年6月に、金融庁や関係団体から構成される金融経済教育推進会議において「最低限身に付けるべき金融リテラシー」の内容を項目別・年齢層別に具体化・体系化した「金融リテラシー・マップ(以下「マップ」という)」を作成(2015年6月に改訂)し、このマップを踏まえて金融経済教育の取組を進め、金融リテラシーの向上を図っている。

地域や学校における体験活動、文化・芸術活動

少子化の進展、家庭や地域社会の教育力の低下などの様々な問題が指摘される中、特に、子供たちの精神的な自立の遅れや社会性の不足が顕著になっていることから、次世代を担う子供たちが、規範意識や社会性、他人を思いやる心などを身に付け、豊かな人間性を育むよう、発達の段階などに応じた様々な体験活動の機会を充実させることが求められている。

このため、2001(平成13)年7月には、「社会教育法」(昭和24年法律第207号)、2006(平成18)年6月には「学校教育法」(昭和22年法律第26号)を改正し、青少年に対しボランティア活動など社会奉仕体験活動、自然体験活動、その他の体験活動の充実を図ることが明確化されている。

・地域における体験活動の推進

放課後等に、学校の余裕教室等を活用して、全ての子供を対象として、安心・安全な活動拠点(居場所)を設け、地域の方々の参画を得て、学習活動やスポーツ・文化芸術活動等の体験活動、地域住民との交流活動等の機会を提供する放課後子供教室を実施している。

また、次代を担う青少年の育成を図るため、家庭や企業などへ体験活動に対する理解を求めていくための普及啓発を推進するとともに、青少年の体験活動の評価・顕彰制度の創設や「教育CSRシンポジウム」を開催して企業がCSRや社会貢献活動の一環として行う青少年の体験活動の表彰と実践事例の普及等に取り組んでいる。加えて、地域において、家庭・学校・青少年関係団体、特定非営利活動法人等をネットワーク化し、相互の活動情報の交換や事業の共同実施等を円滑化するための「地域プラットフォーム」の形成を支援している。さらに、独立行政法人国立青少年教育振興機構において、全国28か所にある国立青少年教育施設における青少年の体験活動の機会と場の提供や指導者の養成、民間団体が実施する体験活動等に対する「子どもゆめ基金」事業による助成などを通して、青少年の体験活動を推進している。

・学校における体験活動の推進

学校教育において児童生徒の健全育成を目的として様々な創意工夫のある農山漁村等における体験活動が行われており、それらの取組を支援している。

・文化・芸術活動

子供たちが本物の実演芸術や伝統文化に触れ、日頃味わえない感動や刺激を直接体験することにより、豊かな感性と創造性を育むとともに、我が国の文化を継承、発展させる環境の充実を図るため、子供たちが、小学校・中学校等において、文化芸術団体や芸術家による実演芸術公演を鑑賞し、ワークショップ等を体験することを通じて、子供たちの豊かな感性や発想力を育む取組を推進している。そのほか、全国高等学校総合文化祭を、2016(平成28)年度は7月30日から8月3日まで広島県で開催した。

自然とのふれあい

優れた自然の風景地である国立公園等において、子供たちに自然や環境の大切さを学んでもらえるよう、自然保護官(レンジャー)やパークボランティアの指導・協力の下、自然体験や、自然環境の保全活動などを行う機会を提供している。また、日本全国の国立公園等のライブ画像を配信する「インターネット自然研究所」や「自然大好きクラブ」などのウェブサイトにより、様々な自然とのふれあいの場や自然体験イベント等に関する情報を幅広く提供している。

農林漁業体験や都市と農山漁村との交流体験

農山漁村における宿泊体験活動等を通じて子供たちの生きる力を育む「子ども農山漁村交流プロジェクト」を推進している。また、国有林野では、優れた自然景観を有し、森林浴や自然観察、野外スポーツ等に適した森林を「レクリエーションの森」として設定(2016(平成28)年4月1日現在、1,055か所)し、広く国民へ提供するなどの取組を行っている。また、青少年の農山漁村等における自然体験活動を推進するため、青少年が農林水産業体験や自然体験などを通して社会性や主体性を育む交流体験活動等の事業を支援している。

子供の遊び場の確保(公園、水辺、森林)

子供が身近な自然に安心してふれあうことができ、安全で自由に遊べる場所を地域に確保することは、子供の健全な育成のために重要である。子供の遊び場としての役割が求められる都市公園については、各種運動施設や遊戯施設等を有し、手軽にスポーツやレクリエーションを楽しむことができる公園などの整備を推進している。

また、都市部にある下水処理場の上部空間や雨水排水路、雨水調整池などを活用した水辺空間の整備を進めるとともに、下水再生水を都市部のせせらぎ水路の水源として送水する等の取組により、都市内において子供たちが水とふれあう場の整備を行っている。河川空間については、身近な水辺等における環境学習・自然体験活動を推進するため市民団体や教育関係者、河川管理者等が一体となった取組体制の整備とともに、水辺での活動に必要な機材(ライフジャケット等)の貸出しや学習プログラムの紹介など、水辺での活動を総合的に支援する仕組みを構築し、必要に応じ、水辺に近づきやすい河岸整備等(水辺の楽校プロジェクト:2016(平成28)年度末287か所登録)をはじめとする「『子どもの水辺』再発見プロジェクト」(2016年度末302か所登録)を実施している。

(地域の安全の向上)
災害時の乳幼児等の支援

地方公共団体において、総合防災訓練大綱に基づき、乳幼児、妊産婦等を含む要配慮者の参加を得ながら防災訓練を実施している。また、2013(平成25)年6月の災害対策基本法改正において避難所における生活環境の整備等に関する努力義務規定が設けられ、その取組を進める上で参考となるよう主に市町村向けに避難所運営に当たって被災した乳幼児、妊産婦等の要配慮者の支援に関して留意すべき点等も盛り込んだ「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」を内閣府が策定・公表した。2014(平成26)年度においては、同取組指針の実施状況を把握するため、各市町村に対して調査を行うとともに、都道府県等の防災担当者や福祉担当者を対象とする同取組指針の説明や先進的な取組事例の紹介などを実施し、周知徹底を図った。

子供の事故防止

2009(平成21)年12月より、子供の不慮の事故を予防するため、「子どもを事故から守る!プロジェクト」を展開している。具体的には、2010(平成22)年9月より、子供の年齢(月齢)ごとに起こりやすい事故及びその予防策等を、ホームページで紹介するとともに、子供の不慮の事故を防ぐための注意点や豆知識を、メール配信サービス「子ども安全メールfrom消費者庁」として、毎週1回配信している。また、2011(平成23)年3月より、子供のけがの体験談やけがを防ぐための工夫を募集し、ホームページで紹介している。

さらに、2013(平成25)年1月にはプロジェクトのシンボルキャラクター「アブナイカモ」とテーマソング「おしえてね アブナイカモ」を公表して各地で開催される子供関連イベントに出席するなど、親しみやすい啓発活動を行っている。

また、2016(平成28)年6月より、子供の事故防止に関する関係府省庁連絡会議(9府省庁)を設置し、2017(平成29)年度の取組方針を決定するなど子供の事故防止に向けて、関係府省庁が連携して取組を推進している。

・遊び場の安全対策の推進

都市公園における遊具については、安全確保に関する基本的な考え方を示した「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」を2014(平成26)年6月に改訂し、各施設管理者への周知徹底を図っている。また、社会資本整備総合交付金等により、子供の遊び場となる都市公園における公園施設の改築等の安全・安心対策に対する支援を実施している。

・建築物等の安全対策の推進

建築物や昇降機等における子供の事故を防止し安全を守るためには、建築物等に要求される性能水準を維持し、常時適法な状態に保つことが必要であり、このため、多数の者が利用する特定の特殊建築物等について、建築物等の所有者等による維持保全計画の作成、定期報告制度等を通じ、適切な維持保全及び必要な改修を促進している。

また、類似の事故防止のため、ホームページにより事故情報の提供を行うとともに、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会及び同審議会昇降機等事故調査部会において、建築物等に係る事故情報について継続的に分析・検討を行い、建築物等の事故防止を図っている。

幼稚園・保育所等における事故の発生・再発防止

2015(平成27)年6月から「特定教育・保育施設等における事故情報データベース」2の運用を開始した。同年12月21日の「教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会最終とりまとめ」を踏まえ、2016(平成28)年4月21日に「教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議」を新たに開催することを決定し、教育・保育施設等における事故情報データベースの改善等、重大事故の再発防止策について検討を進めている。

また、2016年3月31日付で公表された「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」について、改めて周知啓発資料等により周知徹底を行うとともに、各種会議、研修会等により地方公共団体、施設・事業者等に対し、安心かつ安全な保育を実施するよう事故防止の取組を推進している。


2 http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/index.html#database

交通安全教育等の推進

家庭及び関係機関・団体等との連携・協力を図りながら、幼児や小・中・高校生に対し、子供の発達段階に応じた交通安全教育を推進している。

また、保護者を対象とした交通安全講習会等を開催し、チャイルドシートの正しい使用の徹底や、幼児二人同乗用自転車の安全利用の普及、児童又は幼児が自転車に乗車する際のヘルメットの着用及び幼児を自転車に乗せる場合におけるシートベルトの着用促進などを図っている。

学校においては交通安全に関し、学習指導要領等に基づく関連教科、総合的な学習の時間、特別活動及び自立活動など、教育活動全体を通じて計画的かつ組織的な指導に努めている。

犯罪等の被害の防止

警察においては、都道府県警察の本部に設置された「子供女性安全対策班」の活動を始めとする性犯罪等の前兆とみられる声掛け、つきまとい等の段階で行為者を特定し、検挙・指導警告等の措置を講ずる活動を推進しているほか、子供を対象とした強制わいせつ等の暴力的性犯罪で服役し、出所した者について、法務省から情報提供を受け、対象者を訪問して所在確認を行い、必要があれば同意を得て面談を行うなど、再犯防止に向けた活動を推進している。

また、防犯ボランティア等によるパトロール活動や「子供110番の家」の活動に対する支援、不審者情報等の迅速な発信及び共有に努めているほか、学校等と連携した被害防止教育、スクールサポーターの派遣等を推進している。

文部科学省においては、通学路等で子供たちを見守る体制を強化するため、スクールガード・リーダーの配置やスクールガードの養成、防犯教室の講師となる教職員を対象とした都道府県教育委員会が実施する講習会への支援など、子供が犯罪被害に遭わないための取組を推進している。

また、2016(平成28)年度においても、子供たちが安心して教育を受けるために、学校安全ボランティア等を効果的に活用する仕組みを整備することにより、地域社会全体で、子供の安全を見守る体制の充実を図っている。

・インターネットに係る有害環境から子供を守るための取組の推進

インターネットに起因する子供の犯罪被害等を防止するため、関係機関・団体等と連携し、携帯電話事業者に対する保護者へのフィルタリング等の説明強化に関する要請のほか、入学説明会等の機会を捉えた保護者に対する啓発活動や子供に対する情報モラル教育等の取組を推進している。また、文部科学省では、インターネット上のマナーや家庭でのルール作りの重要性を保護者等に対して周知するための学習・参加型のシンポジウムの開催や児童生徒向けの普及啓発資料の作成・配布等を実施している。

特に、コミュニティサイトの利用に起因する犯罪から子供を守るため、警察庁及び関係省庁では、上記の取組のほか、コミュニティサイト事業者のサービスの態様等に応じた自主的な対策の強化を働き掛けている。

・若年層に対する性的な暴力の防止

いわゆるアダルトビデオ出演強要問題や「JKビジネス」問題等の若年層の女性に対する性的な暴力については、2017(平成29)年3月に設置された男女共同参画担当大臣を議長とする「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・『JKビジネス』問題等に関する関係府省対策会議」において、同月末、4月を「AV出演強要・『JKビジネス』等被害防止月間」と位置付け、政府一体となって、必要な取組を緊急かつ集中的に実施することを内容とする緊急対策を取りまとめた。

・「安全安心まちづくり」の推進

警察においては、関係省庁・関係団体等と連携し、防犯に配慮した犯罪の発生しにくい公園、道路、駐輪場等の公共施設等の整備・管理の普及を促進し、併せて、住宅についても防犯に配慮した住宅や防犯性能の高い建物部品の開発・普及を促進するなど犯罪防止に配慮した環境設計を行うことにより、犯罪被害に遭いにくい「安全安心まちづくり」を推進している。また、子供に対する犯罪の発生が懸念される学校周辺、通学路、公園、地下道、空き家等における危険箇所の把握・改善等の取組を支援するとともに、防犯灯や防犯カメラの整備を促進するなど、子供が犯罪被害に遭いにくいまちづくりを推進している。

子供の健康に影響を与える環境要因の解明

環境省では、環境中の化学物質等が子供の健康に与える影響を解明するため、2010(平成22)年度より、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を行っている。本調査は、全国の10万組の親子の協力を得て、血液や尿、母乳などの分析を行うとともに、生まれてきた子供の健康状態を13歳に達するまで追跡する大規模な疫学調査である。

本調査を実施することで、子供の発育や発達に影響を与える化学物質等の環境要因が明らかになることから、子供特有のばく露や子供の脆弱性を考慮した適正な環境リスク評価・リスク管理を行うことが可能となる。さらには、安全・安心な子育て環境の実現・少子化対策にも資するものである。

本調査は、調査開始から2014(平成26)年3月までの3年間で約10万人の妊婦の参加登録を終え、その後は妊婦から生まれた子供の追跡調査(質問票調査)を継続して実施している。また、2014(平成26)年度からは、詳細調査(全国調査10万人の中から抽出された5千人程度を対象として実施する調査)を開始し、環境試料採取、医師による健康調査、精神発達調査及び生体試料採取を継続して実施している。

(ひとり親家庭支援)
ひとり親家庭への支援の推進

ひとり親家庭等に対する支援については、2015(平成27)年12月21日に決定された「すくすくサポート・プロジェクト」(すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト)に基づき、就業による自立に向けた支援を基本にしつつ、子育て・生活支援、学習支援などの総合的な支援を推進するとともに、こうした支援が必要なひとり親が行政の相談窓口に確実につながるよう、ワンストップで相談に応じることができる体制を整備し、この窓口の認知度を高めるため愛称・ロゴマークを活用するなどして周知に取り組んでいる。

子育て・生活支援

「母子及び父子並びに寡婦福祉法」(平成28年法律第63号)において、保育所等の利用調整を行う際のひとり親家庭の子供に対する特別な配慮を地方公共団体に義務付けている。

また、未就学児のいる家庭が就業上の理由で帰宅時間が遅くなる場合などに定期的に家庭生活支援員(ヘルパー)の派遣等を行うひとり親家庭等日常生活支援事業や、ひとり親家庭の親を対象にして、ファイナンシャルプランナー等の専門家を活用した家計管理等の講習会、ひとり親家庭の子供の生活習慣の習得・学習支援や食事の提供等を行うことが可能な居場所づくり、ひとり親家庭が集い、交流や情報交換を行う場所の提供等を行うひとり親家庭等生活向上事業を実施している。

なお、子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)においては、ひとり親家庭等の利用支援を行う地方公共団体に対して補助を実施している。

就業支援

ひとり親家庭の親が、よりよい収入・雇用条件等で就労することにより、経済的な自立が図られるようにするため、就業支援を行うことは、非常に重要であり、

  • 就業相談から就業支援講習会、就業情報の提供等の一貫した就業支援サービス等を提供する母子家庭等就業・自立支援センター事業、
  • 地方公共団体が指定する就職に結びつきやすい教育訓練講座(例:簿記検定、介護職員初任者研修など)を受講した際に、受講料の一部を支給する自立支援教育訓練給付金事業、
  • 看護師、保育士等、就職に有利となる資格を取得するために、養成機関在学中の生活費の負担を軽減する高等職業訓練促進給付金等事業、
  • 高等職業訓練促進給付金の支給対象者に対し、入学準備金・就職準備金を貸し付け、これらの者の修学を容易にすることにより、資格取得を促進し、自立の促進を図るひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業、
  • ひとり親家庭の親やその子供の学び直しを支援することでより良い条件での就職や転職に向けた可能性を広げ、正規雇用を中心とした就業につなげていくひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業、
  • 個々のひとり親家庭の実情に応じた自立支援プログラムを策定しきめ細やかな生活支援や就業支援等を行う母子・父子自立支援プログラム策定事業や、ハローワークと地方公共団体が締結した協定等に基づき、福祉事務所等とハローワークが連携して就労支援を行う生活保護受給者等就労自立促進事業、
  • ひとり親家庭の親を、ハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して、賃金の一部に相当する額を助成する特定求職者雇用開発助成金、

など様々な支援を実施している。

養育費の確保等

離婚したひとり親家庭等にとって養育費の確保は重要であることから、2002(平成14)年の「母子及び寡婦福祉法」(昭和39年法律第129号)の改正により、養育費支払いの責務等を明記するとともに、養育費に関するリーフレット等を配布し扶養義務の履行を確保するための広報を実施している。また、「民事執行法」(昭和54年法律第4号)の改正による強制執行手続の改善が図られてきたところである。

2007(平成19)年度より、地方公共団体が設置する母子家庭等就業・自立支援センターに養育費専門相談員を配置し、養育費の取り決めや支払いの履行・強制執行に関する相談・調整や情報提供を行うこととするとともに、国においては養育費相談支援センターを設置し、母子家庭等就業・自立支援センターで受け付けられた困難事例等への対応や、養育費専門相談員等地域で養育費相談に従事している人を対象とする研修、ホームページ等による情報提供を実施している。

2011(平成23)年6月に民法(明治29年法律第89号)が改正され(2012(平成24)年4月1日施行)、協議離婚で定めるべき「子の監護について必要な事項」の具体例として、養育費の分担と親子の面会交流が明示された。面会交流は子の健やかな成長を確保する上で有意義であるなどの観点から、面会交流の実現を支援していく必要がある。このため、2012(平成24)年度から、母子家庭等就業・自立支援事業の新たなメニューとして、取り決めのある面会交流の円滑な実施に向けた支援(相談、日程調整、付添い等)を行う事業を実施し、面会交流に関する相談支援体制の充実も図っている。

また、2015(平成27)年12月に子どもの貧困対策会議において決定された「すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト」における決定内容等を踏まえ、<1>養育費に関する法的な知識を分かりやすく解説したパンフレット及び合意書のひな形を作成し、離婚届用紙の交付を求める当事者の方に離婚届用紙と同時に配布する取組を2016(平成28)年10月から開始するとともに、<2>債務名義を有する債権者等が強制執行の申立てをする準備として債務者の財産に関する情報を得やすくするために、財産開示制度等に係る民事執行法の改正の検討を開始した(法務大臣の諮問機関である法制審議会において、同年9月から検討が開始された。)。

さらに、2016年度より、母子家庭等就業・自立支援事業において、弁護士による養育費等の相談を実施している。

経済的支援

ひとり親家庭等の生活の安定と自立の促進に寄与するため、児童扶養手当を支給するほか、ひとり親家庭等の生活や子供の就学に必要な資金等について貸付を行う母子父子寡婦福祉資金貸付金の貸付を行っている。2010(平成22)年の「児童扶養手当法の一部を改正する法律」(平成22年法律第40号)においては、児童扶養手当の支給対象を父子家庭の父にも拡大し(2010年8月)、生活保護の母子加算についても引き続き支給した。さらに、2014(平成26)年の「次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律」(平成26年法律第28号)では、新たに父子家庭を対象とした福祉資金貸付制度が創設された。

児童扶養手当の多子加算額について、特に経済的に厳しい状況にあるひとり親家庭に重点を置いた改善を図ることとし、第2子の加算額を月額5千円から月額最大1万円(36年ぶりの引き上げ)に、第3子以降の加算額を月額3千円から月額最大6千円(22年ぶりの引き上げ)とするなど、「児童扶養手当法の一部を改正する法律」(平成28年法律第37号)が2016(平成28)年通常国会(第190回国会)で成立し、2016年8月1日から施行された。

(児童虐待の防止、社会的養護の充実)
児童虐待防止に向けた普及啓発

2004(平成16)年から毎年11月を「児童虐待防止推進月間」と位置付け、児童虐待問題に対する社会的関心の喚起を図っており、月間中は、関係府省庁や地方公共団体、関係団体等と連携した集中的な広報啓発活動を実施している。2016(平成28)年度は、「さしのべて あなたのその手 いちはやく」を月間標語として決定、「児童虐待防止対策協議会」の開催(11月10日)、「子どもの虐待防止推進全国フォーラム」の開催(11月19日・福井県福井市)、広報用ポスター、リーフレット等の作成・配布、政府広報の活用により、児童虐待は社会全体で解決すべき問題であることを周知・啓発した。(第2-2-6図)また、民間団体(認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク)が中心となって実施している「オレンジリボン運動」を後援している。

第2-2-6図 「児童虐待防止推進月間」啓発用ポスター

児童虐待を受けたと思われる子供を見つけた時などにためらわずに児童相談所に通告・相談ができるように、2015(平成27)年7月1日から、児童相談所全国共通ダイヤルについて、これまでの10桁番号から3桁番号「189(いちはやく)」に変更し、運用している。さらに、2016(平成28)年4月に、音声ガイダンスの内容を見直し、児童相談所につながるまでの平均時間を約70秒から約30秒へ短縮している。

児童虐待の未然防止、重篤化防止のための早期対応

・児童福祉法等の一部を改正する法律の成立

児童虐待への対応については、2000(平成12)年11月に施行された「児童虐待の防止等に関する法律」(平成12年法律第82号。以下「児童虐待防止法」という。)及び「児童福祉法」(昭和22年法律第164号)の累次の改正や民法等の一部を改正する法律(平成23年法律第61号)による親権の停止制度の新設等により、制度的な充実が図られてきた。一方で、全国の児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数は一貫して増加し、2015(平成27)年度には児童虐待防止法制定直前の約8.9倍に当たる、10万3,286件となっている。子供の生命が奪われるなど重大な児童虐待事件も後を絶たず、児童虐待の防止は社会全体で取り組むべき重要な課題である。(第2-2-7図)

第2-2-7図 児童相談所における児童虐待相談対応件数の推移及び主たる虐待者の内訳

このような状況を踏まえ、児童虐待について、発生予防から自立支援までの一連の対策の更なる強化を図るため、2015年12月、第4回子どもの貧困対策会議において、「すくすくサポート・プロジェクト」(「児童虐待防止対策強化プロジェクト」及び「ひとり親家庭・多子世帯等自立支援プロジェクト」からなる「すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト」の愛称)が決定され、2016(平成28)年3月には、社会保障審議会児童部会新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会において、報告(提言)がとりまとめられた。

2016年3月には、これらを踏まえ、初めて子供を権利の主体として法律に位置付けるなど児童福祉法の理念を明確化するとともに、子育て世代包括支援センターの全国展開、市町村及び児童相談所の体制の強化、里親委託の推進等の所要の措置を講ずる「児童福祉法等の一部を改正する法律案」を2016年通常国会(第190回国会)に提出、5月に成立、6月に公布された。改正法の円滑な施行に向け、所要の措置を講ずることとしている。(第2-2-8図)

第2-2-8図 児童福祉法等の一部を改正する法律の概要

・児童相談所及び市町村の体制強化等

児童福祉法等の一部改正に伴い、

  1. 市町村の体制強化として、児童等に対する必要な支援(実情の把握、情報の提供、相談、調査、指導、関係機関との連絡調整等)を行うための拠点の整備に努めることとされたほか、調整機関である要保護児童対策地域協議会への専門職の配置を義務付け、国が定める基準に適合する研修を受けなければならないこと
  2. 児童相談所の体制強化として、弁護士や児童心理司等の専門職の配置を法律上位置付けるとともに、児童福祉司は、国が定める基準に適合する研修を受けなければならないこと

等とされたことを踏まえ、運用に係る検討、予算の確保等、円滑な施行に向けた取組を推進している。

さらに、2016年4月に策定した「児童相談所強化プラン」において、児童相談所の体制及び専門性を計画的に強化するため、児童福祉司等の専門職の増員や資質の向上、関係機関との連携強化等を図ることとしている。

・児童虐待による死亡事例等の検証

児童虐待による死亡事例等について、2004(平成16)年度より、社会保障審議会児童部会の下に設置されている「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」において、児童虐待による死亡事例等について、分析、検証し、事例から明らかになった問題点・課題に対する具体的な対応策を提言として取りまとめており、2016(平成28)年9月には、「子どもの虐待による死亡事例等の検証結果等について(第12次報告)」を取りまとめた。

第12次報告においては、心中以外の虐待死(43例・44人)では、0歳児死亡が最も多く(約6割)、うち月齢0か月が約半数を占めること、実母が抱える問題として「望まない妊娠/計画していない妊娠」、「妊婦健診未受診」が高い割合を占めること、心理的虐待による死亡事例が初めて発生したこと等が特徴として見られた。

・学校による取組

2012(平成24)年3月に、児童虐待の速やかな通告を一層推進するための留意事項を、都道府県等を通じて、学校教育関係者に通知するなど、児童虐待防止法の規定による早期発見努力義務及び通告義務等について周知徹底を図っている。

また、教職員の対応スキルの向上を図るための研修教材を作成するとともに、養護教諭の児童虐待への対応の充実を図る一助とするため、「養護教諭のための児童虐待対応の手引」を作成し、2007(平成19)年12月に配布している。

2016(平成28)年6月、児童虐待防止対策として(1)児童虐待の早期発見(2)児童虐待への早期対応(3)関係機関との連携の強化(4)学校等から児童相談所への情報提供(5)学校等の間の情報共有(6)児童虐待等に係る研修の実施を行うことを周知した。また、同年10月、児童虐待の早期発見・早期対応等、学校における適切な対応が図られるよう、児童虐待防止推進月間(11月)において(1)児童虐待防止に係る研修の実施(2)学校における児童虐待の早期発見に向けた点検及び通告(3)関係機関(児童相談所・福祉事務所)との連携強化のための情報共有(4)家庭に対する支援等の取組を実施することを要請した。

このほか、児童生徒の相談を受けることができるよう、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用等、教育相談体制の整備を支援している。

社会的養護の充実

社会的養護は、かつては親のない、親に育てられない子供を中心とした施策であったが、現在では、虐待を受けた子供や何らかの障害のある子供への支援を行う施策へと役割が変化しており、一人一人の子供をきめ細やかに支援していけるような社会的資源として、その役割・機能の変化が求められている。

こうした中、厚生労働省はこれまで、社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会で2011(平成23)年に取りまとめられた「社会的養護の課題と将来像」に沿って、里親等への委託の推進、施設運営の質の向上、親子関係の再構築の支援、自立支援の充実、子供の権利擁護などを進めてきた。さらに2016(平成28)年5月には、全ての児童が健全に育成されるよう、児童虐待について発生予防から自立支援までの一連の対策の更なる強化等を図るため、児童福祉法の理念を明確化するとともに、子育て世代包括支援センターの法定化、市町村及び児童相談所の体制強化、里親委託の推進等を内容とする「児童福祉法等の一部を改正する法律」(平成28年法律第63号)が成立した。これを踏まえ、新たな社会的養護の在り方を検討することとしている。

家庭養護及び家庭的養護の推進

保護者のいない子供や、虐待を受けた子供など、社会的養護が必要な子供は、温かく安定した家庭の中で養育されることが重要である。

このため、2011(平成23)年3月には、里親委託優先の原則を明示した「里親委託ガイドライン」を策定し、家庭養護(里親、ファミリーホーム)を推進してきた。里親等委託率を伸ばしている地方公共団体においては、児童相談所への専任の里親担当職員の配置や、里親支援機関の充実、体験発表会の開催や、市町村と連携した広報、特定非営利活動法人や市民活動を通じた口コミなど、様々な努力が行われている。また、児童養護施設等における施設養護についても施設の小規模化・地域分散化を行い、できる限り家庭的な養育環境の形態に変えていく必要がある。このため、「児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進について(厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)」に基づき、2015(平成27)年度から2029(平成41)年度末までの15年間に、児童養護施設等の小規模化を図るとともに、「本体施設入所児童の割合」、「グループホーム入所児童の割合」、「里親・ファミリーホームへの委託児童の割合」をそれぞれ概ね3分の1ずつにしていく「都道府県推進計画」を策定し、計画に基づいた施設の小規模化・地域分散化への取組が開始されている。

さらに2016(平成28)年5月に成立した「児童福祉法等の一部を改正する法律」(平成28年法律第63号)では、国及び地方公共団体は、児童が家庭において健やかに養育されるよう保護者を支援することを原則とした上で、家庭における養育が困難又は適当でない場合には、まずは「家庭における養育環境と同様の養育環境」で継続的に養育されるよう、それが適当でない場合には、「できる限り良好な家庭的環境」において養育されるよう、必要な措置を講じなければならないこととされた。これを踏まえ、今後更なる家庭養護の推進を図ることとしている。

施設退所児童等の自立支援策の推進

社会的養護の下で育った子供は、施設等を退所し自立するに当たって、保護者等から支援を受けられない場合が多く、その結果様々な困難に突き当たることが多い。このような子供たちの個々の状況に応じて必要な支援を実施し、将来の自立に結びつけることが重要である。このため、2009(平成21)年改正後の児童福祉法等においては、児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)について、都道府県にその実施を義務付け、費用を負担金で支弁することとした。

また、2007(平成19)年度から、施設等を退所する子供等が、親がいない等の事情により身元保証人を得られないため、就職やアパート等の賃借に影響を及ぼすことがないように、施設長等が身元保証人となる場合の補助を行う「身元保証人確保対策事業」を実施するとともに、2010(平成22)年度から、施設を退所した後の地域生活及び自立を支援するとともに、退所した人同士が集まり、意見交換や情報交換・情報発信を行えるような場を提供する「退所児童等アフターケア事業」を実施している。

2015(平成27)年12月には「児童虐待防止対策強化プロジェクト」を策定し、家賃相当額や生活費の貸付を行う事で安定した生活基盤を築くために「児童養護施設退所者等に対する自立支援貸付事業」を創設するなど、児童養護施設等を退所した児童等の着実な自立を支援するための取組を実施している。

さらに、2016(平成28)年5月に成立した「児童福祉法等の一部を改正する法律」(平成28年法律第63号)において、大学等に通っている自立援助ホーム入居者について、22歳の年度末までの間、引き続き自立援助ホームに入居し続けることができることとされるなど、自立支援の充実を図ることとしている。

被措置児童等虐待の防止

施設等に措置された被措置児童等への虐待があった場合には、被措置児童等を保護し、適切な養育環境を確保することが必要である。また、不適切な事業運営や施設運営が行われている場合には、事業者や施設を監督する立場から、児童福祉法に基づき適切な対応が必要となる。

このため、2009(平成21)年に施行された改正児童福祉法では、被措置児童等虐待の防止に関する事項を盛り込み、被措置児童等の権利擁護を図るための仕組みを整備した。また、同年、「被措置児童等虐待対応ガイドライン」を作成し、都道府県の関係部局の連携体制や通告等があった場合の具体的対応等の体制をあらかじめ定めること、都道府県児童福祉審議会の体制を整備することや、関係施設の協議会等との連携・協議を強化し、被措置児童等への周知や子供の権利についての学習機会の確保を図ること等について、都道府県等に対し具体的に示したところである。

社会的養護関係施設における地域支援機能の充実

施設運営の質を向上させるため、「社会的養護の課題と将来像」では、施設種別ごとの運営指針を策定するとともに、社会的養護の施設における第三者評価の義務化、施設長研修の義務化を行うこととされた。これを受け、2011(平成23)年9月に児童福祉施設最低基準を改正し、第三者評価及び施設長研修を義務付けた。

2012(平成24)年3月には、児童養護施設、乳児院、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、母子生活支援施設の5つの施設運営指針と、里親及びファミリーホーム養育指針を策定するとともに、社会的養護関係施設第三者評価の評価基準を策定した。

また、2014(平成26)年度には、社会的養護関係施設での評価が効果的に行えるよう、評価基準の見直しを行った。

さらに、2015(平成27)年度予算には、虐待を受けた子供等をより家庭的な環境で育てることができるよう、職員配置の改善(5.5:1→4:1等)や民間児童養護施設等の職員給与の改善を行ったところであり、引き続き施設機能の充実を進めていくこととしている。

(障害のある子供等への支援)
共生社会の実現

障害のある子供への支援に関して、障害者に関するもっとも基本的な法律である「障害者基本法」(昭和45年法律第84号)には、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、その年齢や特性等を踏まえた十分な教育を受けられるようにすることや、障害のある子供が可能な限りその身近な場所において療育等の支援を受けられるようにすること等を盛り込んでいる。また、政府は、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者基本法に基づく「障害者基本計画」に沿った施策の総合的かつ計画的な推進を図っているが、2013年(平成25)年9月には、2011(平成23)年7月成立の改正障害者基本法により内閣府に設置された障害者政策委員会の意見等を踏まえ、2017(平成29)年度までの概ね5年間を対象とする第3次障害者基本計画を策定した。この中で、教育については、インクルーシブ教育システムを構築することや、療育については、障害児支援の充実などを盛り込んでいる。

さらに2013年6月、共生社会の実現に向けて、障害者差別の解消を推進することを目的とした「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(平成25年法律第65号)(以下、「障害者差別解消法」という。)が成立した。2015(平成27)年2月には、障害者政策委員会でのヒアリングや議論等を経て、障害者差別解消法に基づく政府の施策の基本的な方向を示す「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」を閣議決定した。

この基本方針には、障害のある子供には、成人の障害者とは異なる支援の必要性があることに留意する旨や、家庭や学校を始めとする社会のあらゆる機会を活用し、子供の頃から年齢を問わず障害に関する知識・理解を深め、障害の有無にかかわらず共に助け合い・学び合う精神を涵養する旨が盛り込まれている。

2016(平成28)年4月から障害者差別解消法は施行され、行政機関等や事業者において、不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供をはじめとする障害者差別の解消に向けた取組が行われている。

障害のある子供の保育等

障害のある子供については、保育所での受入れを促進するため、1974(昭和49)年度より、障害児保育事業において保育所に保育士を加配する事業を実施してきたが、事業開始より相当の年数が経過し、保育所における障害のある子供の受入れが全国的に広く実施されるようになったため、2003(平成15)年度より一般財源化し、2007(平成19)年度より、地方交付税の算定対象を特別児童扶養手当の対象児童から軽度の障害児に広げる等の拡充をしている(2014(平成26)年度実施か所数:1万5,429か所、対象児童5万6,096人)。

このほか、障害のある子供を受け入れるにあたり、バリアフリーのための改修等を行う事業や、障害児保育を担当する保育士の資質向上を図るための研修を実施している。

また、幼稚園においても、特別支援教育コーディネーターの指名などの支援体制を整備するための経費の一部を国が補助するとともに、公立幼稚園において地方財政措置による特別支援教育支援員の配置を進めるなど、障害のある子供の受入れ体制の整備促進を図っているところである。

さらに、障害のある子供に対して、「児童福祉法」(昭和22年法律第164号)に基づき、日常生活における基本動作の指導や、集団生活の適応のための支援を行う児童発達支援等を実施している。また、保育所等訪問支援の実施により、障害の有無にかかわらず、保育所等の育ちの場で全ての児童が共に成長できるよう、地域社会への参加・包容(インクルージョン)の推進を図っている。このほか、従来から引き続き、家族が休息などができるよう一時的に預かって見守る日中一時支援等を実施している。

関係機関の連携の強化による支援の実施

障害のある子供やその家族を支えるため、乳幼児期を含めたライフステージに応じた切れ目のない支援を行うことができる地域の支援体制の確立を図ることが必要である。

また、障害のある子供には、その時々に応じて、保健、医療、福祉、教育及び労働など様々な関係者が支援を行うことが必要であり、協議会の活用(子ども部会の設置)等により関係機関や関係者の連携システムを構築していく必要がある。

2015(平成27)年度より、障害福祉サービス等において、児童発達支援センター等の専門的療育を実施する事業所と保育所、小学校、就業時における企業等との連携を報酬上評価すること等により関係機関の連携の強化を図っているところである。

2016(平成28)年6月に成立した「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」(平成28年法律第65号)により、児童福祉法第56条の6第2項が新設され、医療的ケアが必要な障害児が適切な支援を受けられるよう、地方公共団体において、保健、医療、福祉等の連携促進を図ることが努力義務とされたところである。併せて、障害児支援の提供体制の計画的な構築を図るため、地方公共団体において、「障害児福祉計画」を策定することが義務付けられた。

また、聴覚障害の早期発見・早期療育が図られるよう、新たに2017(平成29)年度予算において、新生児聴覚検査に係る協議会の設置や、研修会の実施、普及啓発等により、都道府県における推進体制を整備することとしている。

発達障害児への支援の充実

発達障害児への支援については、2016(平成28)年通常国会(第190回国会)において「発達障害者支援法」(平成16年法律第167号)の一部が改正されたことを踏まえ、発達障害者の乳幼児期から高齢期までの各ライフステージに対応する一貫した切れ目ない支援の推進を図るため、保健、医療、福祉、教育及び労働等の制度横断的な関連施策の推進に取り組んでいる。具体的には、都道府県・指定都市に、保健、医療、福祉、教育、労働に関する機関が参加する「発達障害者支援地域協議会」を設置し、地域における発達障害児の支援体制に関する課題について情報を共有する等、関係機関の連携の緊密化を図ることとしている。

また、関係機関等が発達障害児の特性に沿った対応ができるよう助言等を行う発達障害者地域支援マネジャーの配置を推進するとともに、発達障害児の早期発見に有効とされるスクリーニングツールの導入を促進している。加えて、発達障害児の子育てに関する相談、助言を行うペアレントメンター(発達障害児の子育て経験のある親であって、その経験を活かし、子供が発達障害の診断を受けて間もない親などからの相談、助言を行う者)の養成等を実施している。

そのほか、発達障害等に関する知識を有する専門員が、市町村の保育所、放課後児童クラブ等の子供やその親が集まる施設・場を巡回し、施設のスタッフや親に対して、発達障害の早期発見・早期対応のための助言等の支援を実施し、地域における発達障害児に対する支援体制の充実を図っている。

「気づき」の段階からの支援

乳幼児健診や子育て家庭の利用する様々な施設・事業において、特別な支援が必要となる可能性のある子供を早期に発見し、適切な専門機関につなぐこと等により、「気づき」の段階からの支援の充実を図っている。

特別支援教育の推進

2014(平成26)年に批准した障害者権利条約を踏まえた特別支援教育推進のため、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、一人一人の教育的ニーズを把握し、その障害の状態等に応じ、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある「多様な学びの場」において適切な指導及び必要な支援が行われている。

通級による指導については、従来小・中学校において制度化されていたところ、2016(平成28)年12月には、2018(平成30)年度から高等学校においても通級による指導が実施できるよう、省令等の改正を行った。

また、障害のある子供に適切な指導や必要な支援を行うためには、特別支援教育にかかわる教員の専門性の向上や、各学校における支援体制の整備を一層充実していくことが重要な課題であるため、大学等への委託により特別支援教育に関する研修を実施し、特別支援教育にかかわる教員の専門性の向上に取り組むとともに、「発達障害の可能性のある児童生徒等に対する支援事業」等の各種事業の実施や、障害のある子供の学校における日常生活上・学習活動上のサポートを行う「特別支援教育支援員」の配置に関する地方財政措置のほか、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所における研究・研修、「インクルーシブ教育システム構築支援データベース」や「支援機器等教材ポータルサイト」、「発達障害教育情報センター」を通じた情報提供等による、特別支援教育の推進を図っている。

(ニート、ひきこもり等の子供・若者への支援)
地域のネットワークを通じた子供・若者への支援

2010(平成22)年4月に施行された「子ども・若者育成支援推進法」(平成21年法律第71号)においては、ニートやひきこもり、不登校等の社会生活を営む上での困難を有する子供・若者に対し、教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用等様々な機関がネットワークを形成し、それぞれの専門性を生かして若者の就業と自立に向けた支援を行っていくため、地方公共団体に「子ども・若者支援地域協議会」を置くよう努めるものとされている。また、社会生活を円滑に営むことができるようにするために、子供・若者の住居その他の適切な場所において、必要な相談、助言又は指導を行うことが必要とされている。

このため、内閣府では「子供・若者支援地域ネットワーク強化推進事業」を実施しており、2017(平成29)年4月1日現在、105か所の地方公共団体に子ども・若者支援地域協議会が設置されている。また、困難を有する子供・若者に対する支援に携わる人材養成を図るため、アウトリーチ(訪問支援)研修を始めとする各種研修を実施している。

遺児への支援

東日本大震災被災地の子供と家族に対する健康・生活支援として、2014(平成26)年度に「被災した子どもの健康・生活対策等総合支援事業」を創設、2015(平成27)年度より復興庁所管の被災者健康・生活支援総合交付金内の事業として引き続き計上し、児童精神科医等が巡回相談により子供の心のケア等を行う「親を亡くした子ども等への相談・援助事業」を実施した。

交通事故遺児支援については、自動車事故による交通遺児等の健全な育成を図るため、独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)において、中学校卒業までの遺児等を対象に、育成資金の無利子貸付を行うとともに、公益財団法人交通遺児等育成基金においては、満16歳未満の遺児を加入対象に、育成給付金の支給を満19歳に達するまで行っている。

自死遺児支援については、2006(平成18)年10月に施行された「自殺対策基本法」(平成18年法律第85号)を踏まえ、自殺又は自殺未遂者の親族等に及ぼす深刻な心理的影響が緩和されるよう、当該親族等に対する適切な支援を行うため、遺族のための自助グループ等の地域における活動を支援するなど、地方公共団体との連携の下、自死遺族支援施策の中で関連施策の推進に取り組んでいる。具体的には、地域自殺対策緊急強化基金を活用して、地方公共団体において、自死遺児支援のためのつどいの開催等の取組を実施している。

定住外国人の子供に対する就学支援

2016(平成28)年5月現在、我が国の公立の小学校、中学校、高等学校などに在籍する外国人児童生徒の数は8万119人である。また、日本語指導が必要な外国人児童生徒の数は、2014(平成26)年5月現在で2万9,198人であり、前回調査の2012(平成24)年度と比べて2,185人(約8.1%)増加しており、多数在籍している。

外国人については、保護者が希望する場合には、その子供を公立の義務教育諸学校に無償で就学させることができ、その支援のために以下のような施策を行っている。

  • 外国人児童生徒等の受入れから卒業後の進路までの一貫した指導・支援体制の構築を図るため、各自治体が行う公立学校への受入促進、日本語と教科の統合指導・生活指導等を含めた総合的・多面的な指導、保護者を含めた支援体制の整備等に関する取組を支援する事業を実施
  • 就学に課題を抱える外国人の子供を対象とした、公立学校や外国人学校等への就学に必要な支援を学校外において実施する自治体を補助する事業の実施
  • 従来、日本語指導を含む個別の課題解決のために、各都道府県からの申請に応じ、教職員定数を加配措置していたが、2017(平成29)年3月の「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(昭和33年法律第116号)の改正により、2017年度以降、加配定数を基礎化し、日本語能力に応じた特別の指導を行う児童生徒の数に応じて教員の定数を算定することとした。
  • 独立行政法人教職員支援機構により、外国人児童生徒教育に携わる教員や校長・教頭などの管理職及び指導主事を対象として、学校全体での外国人児童生徒の受け入れ体制の整備、関係機関との連携、日本語指導の方法等を主な内容とした実践的な研修を実施
  • 日本語指導が必要な児童生徒を対象とした「特別の教育課程」の編成・実施の推進(学校教育法施行規則を一部改正、2014年1月14日公布、4月1日施行)

トピックス:東日本大震災被災地における子育て支援

1 東日本大震災における子供に関する状況

2011(平成23)年3月11日に発生した東日本大震災は未曾有の被害をもたらした。被害が大きかった岩手県、宮城県、福島県の3県において収容され警察による検視等を終えた死者は、2017(平成29)年2月28日までに1万5,824人にのぼり、身元が判明した人は1万5,755人で、そのうち0~9歳は469人、10~19歳は425人となっている。震災により親を亡くした児童については、震災孤児241人(岩手県94人、宮城県126人、福島県21人)、震災遺児1,514人(岩手県488人、宮城県871人、福島県155人)となっている(2014(平成26)年3月1日現在)。

さらに、被害の甚大な3県(岩手県、宮城県、福島県)等被災地の学校から他の学校において受け入れた幼児児童生徒数は、1万7,644人となっており、学校種別の内訳は、幼稚園746人、幼保連携型認定こども園157人、小学校1万82人、中学校5,220人、高等学校1,243人、義務教育学校11人、中等教育学校19人、特別支援学校166人(幼稚部・小学部・中学部・高等部)となっている(2016(平成28)年5月1日現在。国公私立計。同一都道府県内の学校からの受入れ数を含む。)。1万7,644人のうち、岩手県、宮城県、福島県の幼児児童生徒で、ほかの都道府県の学校において受け入れた数は、9,161人となっており、出身県別の内訳は、岩手県225人、宮城県1,088人、福島県7,848人となっている(2016年5月1日現在。国公私立計)。

加えて、物的被害を受けたのは、幼稚園が941校、小学校が3,269校、中学校が1,700校、中等教育学校が7校、特別支援学校が186校となっている(2012(平成24)年9月14日現在)。

2 東日本大震災の被災地等における子供・子育てに関する対応

(1)被災者支援(健康・生活支援)総合対策に基づく子供に対する支援の推進

復興大臣を座長とし、関係府省局長級からなるタスクフォースにおいて、2015(平成27)年1月23日に「被災者支援(健康・生活支援)総合対策」を策定した。この総合対策においては、様々な形で被災の影響を受けている子供に対する支援を柱の一つとしており、2015年度に、新たに創設した「被災者健康・生活支援総合交付金」により、被災した子供に対する総合的な支援を行うとともに、心のケアや学習支援等に関する取組を継続して行うなど、多方面から子供に対する支援事業を実施している。

(2)「新しい東北」の創造に向けた取組

東北地方は、震災前から、人口減少、高齢化、産業の空洞化等、現在の地域が抱える課題が顕著であった。このため、単に従前の状態に復旧するのではなく、震災復興を契機として、これらの課題を克服し、我が国や世界のモデルとなる「新しい東北」を創造すべく、取組を進めている。具体的には、幅広い担い手(企業、大学、特定非営利活動法人等)による先駆的な取組を加速するための「新しい東北」先導モデル事業等を実施してきた(2015(平成27)年度で事業終了)。

被災地では、子供の外遊びの減少や、生活環境の変化に伴うストレスの発生等の課題が生じている。こうした課題の解決に当たっては、子供の居場所(遊び場、運動の場)づくりや、子供の育ちを身体・精神の両面から支援できる人材の育成等を通じ、元気で健やかな子供の成長を見守る安心な社会づくりを進めることが重要である。

2015年度の「新しい東北」先導モデル事業では、子供の遊び場づくり活動を持続可能な取組として様々な地域に広げていくため、災害公営住宅の共用スペースを利用した遊び場づくりや農環境を活用した遊び場づくりなど、地域コミュニティの再生にも寄与する取組を支援している。

3 被災地における子育て支援の例

東日本大震災の被災地においては、地方公共団体や特定非営利活動法人、ボランティア団体などが、子供や子供を抱える人々に対して、引き続き支援を行っている。

大切な人をなくした子どもと保護者のためのグリーフプログラム(岩手県)

【グリーフ(悲嘆・愛惜)サポート】

特定非営利活動法人子どもグリーフサポートステーションは、親や大切な人との死別(震災や病気、事故、自死などによるもの)などの喪失体験をしたことで、グリーフ(悲嘆・愛惜)を抱えることになった子供やその家族に対し、グリーフプログラム(以下「プログラム」という。)を提供する事業を行っている。これらの事業によって、子供やその家族のQOL(クオリティオブライフ:生活の質)の向上と社会との結びつきを図り、QOF(クオリティオブフューチャー:未来の質)の向上と広く支え合う社会づくりに寄与することを目的としている。

前身団体である「仙台グリーフケア研究会」が、2010(平成22)年12月より仙台市で開催していたプログラムに、東日本大震災で大切な人を亡くした子供や保護者が参加するようになったことをきっかけに、2013(平成25)年に特定非営利活動法人格を取得し、岩手県陸前高田市でも活動を展開することとなった。

【子供が安心・安全を感じる場を】

岩手県沿岸部では、住民誰もが震災による大きく深い喪失を経験しており、今なお生活の基盤であるコミュニティなどの変化が日々続いている。

例えば、津波浸水区域内の立ち入り制限や大型車両の往来、校庭や公園に仮設住宅が立ち並び子供たちが安心・安全に遊ぶことのできる場の不足、人口流出や高齢化・過疎化の加速など、社会的にも不安定な状況が続いている。

プログラムでは、子供たちの安心・安全を守るためのルールと様々な遊具を用意し、自由に遊んだり話をしたり、何もしないでいたりすることができる。子供たちが自身で選ぶ過ごし方に合わせて、当団体の研修を受けた大人たちが寄り添い、家のことや学校のこと、亡くなった大切な人のことや震災のこと、町のことや思い出話など、それぞれのタイミングや方法で(遊びや話を通じて)表現する内容を受けとめ、個々の気持ちやペースを尊重して関わることを大切にしている。

2013(平成25)年6月から、陸前高田市内に建設されたコミュニティスペースにおいて、月に2回のペースでプログラムを開催し(2015(平成27)年度からは、同市内の別の施設でも実施)、2016(平成28)年度からは乗馬体験や宿泊のプログラムなども行っている。また、2014(平成26)年度から、岩手県等とも連携し、釜石市・宮古市・盛岡市においてもプログラムを定期的に開催している。

ボードゲームで遊び打ち解けるの写真
ピアノを弾く子どものそばで大人が寄り添うの写真
人や自分を傷つけずにストレス発散大人がその気持ちを受けとめるの写真

子育て関連施設の集約による支援の充実化(宮城県)

【子育て環境の変化に伴う新たな課題】

宮城県沿岸南部に位置する山元町は、東日本大震災の津波により多くの尊い命が失われるとともに、町の約4割が浸水し、約2,500世帯の家屋が被災するなど甚大な被害を受けた。子育て環境が大きく変化したことに伴い、子育て世帯のストレスや不安感が増すなど新たな課題も生じていることから、子育て世帯への計画的な支援や子供の育ちを多方面から支援できる体制づくりが必要となった。

【子育て関連施設の集約と拠点整備】

2016(平成28)年夏に、町の子育て支援の拠点となる「子育て支援エリア」が整備された。子育て支援エリアには、山元町つばめの杜中央公園や山元町立山下第二小学校、芝生を敷設した園庭を中心にコの字型の建物の「山元町つばめの杜保育所」及び「児童館」・「子育て支援センター」・「放課後児童クラブ」の3つの機能を合築した多角形(円形状)の建物「山元町こどもセンター」が設置されている。

子育て支援エリア全景の写真
山元町つばめの杜保育所園庭の写真

こどもセンターの来館者は毎月1,100人を超えており、子供の安心・安全な活動場所として有効に機能しているとともに、子育て世帯の交流の場としても大いに活用されている。

震災後に実施した子育て支援団体へのヒアリングにおいては、子育て世代の集まりや交流会等に参加している親よりも、むしろ震災後顕著に増えている「家にこもって外に出ないお母さんたち」への支援や対応が難しいという課題が挙げられた。

このことから、町では、育児に対する不安を和らげ、また保護者同士の情報交換ができるよう、乳幼児に関するイベントや講座をこどもセンターで行うこととし、個別の案内送付、広報紙やホームページ、乳児健診での声がけ等により積極的に周知を行っている。また、内容についてもベビーマッサージ講座1や鉄道模型の展示など、お母さんや子供の関心が高い分野とし、講師の選定にも工夫を凝らしている。この取組により、普段育児サークルに参加していないお母さんがこどもセンターを訪れることも増え、安心して子育てができる環境に寄与している。

また、地域と子育て世帯との交流にも取り組んでおり、人形劇や演奏会、相撲体験等のイベント時には、地域の方々にも参加を呼びかけたり、地域の方々が講師となって子供たちに対して書道や将棋、茶道を教えたりしている。今後は、公的な取組だけでなく、町民の自主的な子育て支援活動も含めて、地域全体として重層的な子育て支援のネットワークをさらに広げていく必要がある。

山元町こどもセンターの写真
ベビーマッサージ講座の写真

1 3年目となるベビーマッサージ講座は人気の講座になっている。参加者からは、「子供も楽しんでいた様子で、私も今までよりもっとわが子を身近に感じました。帰ったら、上の子(2歳)にもマッサージをしたいと思いました。」などの感想がある。

ちびっこ自然あそび事業(福島県)

【外遊びや自然ふれあい体験の環境整備】

福島県では、原発事故により飛散した放射性物質への不安から、子供たちの外遊びの機会が制限され、子供の体力低下や肥満傾向児の増加が懸念されるようになった。他方、震災後、子供の心身の健やかな発育には外遊びや自然ふれあい体験が重要であることも改めて認識されるようになった。

震災から間もない時期には、県内で屋内の遊び場が整備されるとともに、放射線量の低い県内外の地域に出かけて外遊びを体験する取組なども企画されていたが、震災から5年以上が経過し、県内各市町村での除染が進み、県内で外遊びをする取組が企画されるようになってきている。

【一年を通して継続的にイベントを実施】

福島県は、県中央部(安達郡大玉村)の県有地に1972(昭和47)年からふくしま県民の森「フォレストパークあだたら」(総面積91.5ヘクタール)を開設し、施設内に森林学習施設やオートキャンプ場を整備して、県民に森林とのふれあいを通し自然の大切さを学ぶ場を提供してきた。

2016(平成28)年5月からは、主に未就学児の親子を対象とした自由遊びや自然体験等のイベントを一年を通して企画・運営する「ちびっこ自然あそび事業」を同施設の指定管理者である「ふくしまフォレスト・エコ・ライフ財団」に業務委託し、スタートした。

これまでに、「もりのお仕事体験「はちみつを収穫してみよう~春~」」、「ちびっこも楽しめる!ファミリーキャンプ<1>~はじめてのテント泊&バウムクーヘン作り~」、「ナイトハイク」、「ちびっこも楽しめる!ファミリーキャンプ<3>~焚火と焼き芋を楽しむ~」、「ちびっこ自然探検隊~雪の森散歩とそり遊び~」等、フォレストパークあだたら内の設備や四季折々の自然を活用した体験学習や生物観察、キャンプ等の各種プログラムを30回程実施している。各回10組程度を定員としているが、多くの開催で定員を超えた応募がなされている。

今後も、県内の親子に外遊びや自然ふれあい体験の機会を持ってもらえるよう継続的にプログラムを開催することとしており、2017(平成29)年度も年間30回程度の開催を目指して、引き続き事業を行っていく予定である。

【参加者の感想】
○もりのお仕事体験「はちみつを収穫してみよう~春~」(2016年5月29日(日))

はちみつを収穫するという普段は体験できない体験を子供にさせてあげたかった。たくさんのミツバチにびっくりして近づけないかと思ったが、驚くことなくハチミツを収穫してきて満足そうな表情をしていたので良かった。(参加者の母親)

○ちびっこ自然探検隊~夏の森の虫探し~(2016年8月7日(日))

自分は虫が嫌いだけれども、子供に虫を捕まえて触ったりする経験をさせたくて参加しました。(参加者の母親)

○ナイトハイク(2016年8月12日(金))

暗いところを怖がるかと思ったが、ライトで木のクワガタやカブトムシを一生懸命探したり、池の中の生き物を探したりする様子を見て驚きました。(参加者の母親)

「ちびっこ自然あそび事業」の写真
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