第1章 少子化の現状はどのようになっているのか 

(出生コーホート別にみた出生動向の相違)
 合計特殊出生率には、その年の女性の年齢別出生率に着目する場合(「期間合計特殊出生率」)のほかに、ある世代に属する女性の年齢別出生率に着目する場合(「コーホート合計特殊出生率」)がある。一般に合計特殊出生率として使われているのは、「期間合計特殊出生率」であるが、これは、年次によって変化する「その年の瞬間値」のようなものである。これに対して「コーホート合計特殊出生率」は、出生コーホート(ある時期に出生した人を1つの集団としてとらえたものをいい、出生年で区分した「世代」と同じもの)における出生率を示している。なお、本書では、合計特殊出生率という場合、「期間合計特殊出生率」を用いる。
 出生コーホートの平均出生児数のデータがそろっている「1953(昭和28)年から57(昭和32)年生まれ」の出生コーホートまでのデータを基に、出生コーホートごとにみた出生行動の相違を比較してみよう。

第1−1−10表 出生コーホート別妻の出生児数割合及び平均出生児数
出生コーホート 調査年次 調査時年齢 出生児数割合(%) 平均出生児数(人)
無子 1人 2人 3人 4人以上
1890(明治23)年以前 1950(昭和25) 60歳以上 11.8 6.8 6.6 8.0 66.8 4.96
1891(24)〜1895(28) 1950(25) 55〜59 10.1 7.3 6.8 7.6 68.1 5.07
1896(29)〜1900(33) 1950(25) 50〜54 9.4 7.6 6.9 8.3 67.9 5.03
1901(34)〜1905(38) 1950(25) 45〜49 8.6 7.5 7.4 9.0 67.4 4.99
1911(44)〜1915(大正4) 1960(35) 45〜49 7.1 7.9 9.4 13.8 61.8 4.18
1921(10)〜1925(14) 1970(45) 45〜49 6.9 9.2 24.5 29.7 29.6 2.77
1928(昭和3)〜1932(7) 1977(52) 45〜49 3.6 11.0 47.0 29.0 9.4 2.33
1933(8)〜1937(12) 1982(57) 45〜49 3.6 10.8 54.2 25.7 5.7 2.21
1938(13)〜1942(17) 1987(62) 45〜49 3.6 10.3 55.0 25.5 5.5 2.22
1943(18)〜1947(22) 1992(平成4) 45〜49 3.8 8.9 57.0 23.9 5.0 2.18
1948(23)〜1952(27) 1997(9) 45〜49 3.2 12.1 55.5 24.0 3.5 2.13
1953(28)〜1957(32) 2002(14) 45〜50 4.1 9.1 52.9 28.4 4.0 2.20
資料:1970(昭和45)年以前は総務省統計局「国勢調査」、1977(昭和52)年以降は国立社会保障・人口問題研究所「出産力調査」及び「出生動向基本調査」による。

CSV形式のファイルはこちら


 出生コーホート別の妻の出生児数割合及び平均出生児数をみると、興味深い点がうかがえる。「1911(明治44)年から15(大正4)年生まれ」以前の世代においては、平均出生児数は4人から5人という多産の状況である。子どもが1人のみ、あるいは2人か3人という状態も少なく、妻の6割から7割は、4人以上の子どもを産んでいた。その一方で、全く子どもがいない妻も平均して1割はいて、これは、その後の世代よりも割合が高い。
 一方、「1921(大正10)年から25(大正14)年生まれ」の世代では、平均出生児数は2.77人、「1928(昭和3)年から32(昭和7)年生まれ」では、2.33人と減少傾向となった。1928年以降の世代では、平均出生児数は2人台前半、そのうち約5割は子ども2人、約3割は子ども3人、という構成で、「1953(昭和28)年から57(昭和32)年生まれ」の世代まで、大きな変化がなく推移していることがわかる。この世代の実際の出産時期は1980年代と推測されることから、「子どもは2人または3人」という考え方が、戦後から80年代まで一般化していたといえる。7


7 「出生動向基本調査」(国立社会保障・人口問題研究所)によれば、現在でも、理想子ども数を結婚10年未満の夫婦に尋ねると、子どもは2人または3人と答える人が全体の約9割を占めている。

 第3節 出生の動向の特徴

前の項目     次の項目 目次へ