第1部 少子化対策の現状と課題 

(2)保育サービス分野
 認可保育所6がある市町村は97.3%(1,645団体)であり、ほとんどすべての市町村に認可保育所が設置されている。また、保育サービスの実施にあたっては、保育料の軽減や職員の加配等の措置で、様々な独自事業が実施されている。
 まず、保育料については、国によって徴収基準額表が示されているが、これに準じている市町村は10.6%(175団体)にすぎず、独自に保育料徴収基準を設定している市町村は87.7%(1,443団体)となっている。独自に設定している所得水準による階層区分は、平均で11.2階層となっており、国の7区分よりも細かくなっている。東京都23区では、26区分と大変細かなものとなっている。階層区分を細かく設定することにより、同じ所得水準の場合でも、国基準よりも保育料水準が低くなるなど、利用者の負担軽減となっている。
 保育料の減免措置も多くの区市町村で実施されている。その具体的内容としては、「二人以上の入所児童がいる世帯の減免」が90.3%(1,486団体)で最も多く、次いで「母子世帯の減免」が77.4%(1,273団体)となっている。その他には、「災害・犯罪による損害や高額医療費の支出があった場合の減免」、「父子世帯に対する減免」等が多く、また、「入所児の病休」、「小学生の兄姉がいる場合」、「転入世帯の減免」もある。
 職員の加配補助7についてみると、市町村の独自事業による職員の加配の実施状況は、公立保育所に対して行っている市町村が全体の40.4%(665団体)、私立保育所に対して行っているものが16.8%(277団体)となっている。また、都道府県事業でみると、23都道府県が認可保育所の職員加配について補助を実施している。


6 児童福祉法に基づく施設の設備・人員配置に関する最低基準を満たして、都道府県知事から開設の認可を得た保育所を、一般に「認可保育所」と呼んでいる。認可保育所であれば、運営にあたって、地方自治体から児童福祉法に基づく運営費補助を得ることができる。
7 認可保育所の基準では、0歳児3人につき保育士が1人、1・2歳児6人につき同1人、3歳児20人につき同1人、4.5歳児30人に対して同1人という保育士の配置基準が定められており、この基準よりも保育士を多く配置する場合を、「職員の加配」と呼んでいる。


 
第1−3−5図 市町村における保育料の設定基準など

第1−3−5図 市町村における保育料の設定基準など

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 各種保育サービスについては、都道府県独自事業として国基準への上乗せ補助を行っているものは、障害児保育が57.4%(27団体)と最も多く、次いで延長保育(通常保育の限度である11時間を超えて行う保育)及び休日保育が10.6%(5団体)となっている。市町村では、延長保育(11時間超保育)が65.4%(1,076団体)と最も多く、次いで障害児保育64.1%(1,055団体)、一時保育63.2%(1,039団体)となっている。
 

第1−3−6表 保育分野で地方自治体で行っている主な上乗せ事業の実施状況
 
制度の概要(国制度)
都道府県
市町村
団体数
割合(%)
団体数
割合(%)
延長保育 ・11時間の開所時間の前後に、さらに概ね30分以上の保育を行うこと
・保育士を2人以上配置
5
10.6
1,076
65.4
休日保育 ・日曜日、国民の祝日等を含めて年間を通して開所する保育所を指定して行う事業のこと
・休日等において保育に欠ける児童を対象
・保育士を2人以上配置
5
10.6
298
18.1
障害児保育 ・保育に欠ける障害児(児童特別扶養手当の対象障害児童)に対して行う保育
・障害児の保育について、知識・経験等を有する保育士を配置
・必要な設備を備えていること
27
57.4
1,055
64.1
一時保育 ・保護者の傷病・入院、断続的勤務、短時間勤務、育児疲れ解消に対応して行われる一時的保育
・担当の保育士を配置
・専用の部屋を確保すること
2
4.3
1,039
63.2
夜間保育 ・概ね午前11時からおおよそ午後10時頃までの保育
1
2.1
57
3.5
資料: 内閣府「地方自治体の独自子育て支援施策の実施状況調査」(2005年3月)による。
 注: 市町村は「認可保育所がある」と回答した1,645団体の状況

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 認可保育所以外の保育サービスに対する補助の実施状況では、補助を実施している都道府県は63.8%(30団体)、市町村では22.1%(374団体)となっている。「認証保育所」への補助について、補助を実施している都道府県は6.4%(3団体)、市町村は4.8%(81団体)である。「保育ママ8」について、補助を実施している都道府県は4.3%(2団体)、市町村は3.7%(62団体)となっている。


8 保育ママは、保育士や看護師等の資格を有し市区町村等からの認定により登録される保育者であり、国の制度では家庭的保育事業における保育者として位置づけられる。同制度は、増大・多様化するニーズに合わせた保育サービスを提供するため発足し、事業を実施する市区町村に対し、国または都道府県が必要な経費の補助を行う。運営体制の詳細は市区町村によって様々であるが、保育ママの居宅において、保育ママ1人あたり基本的に3人以内の3歳未満の乳幼児を保育する制度である。


 ┌── 認可保育所
 └── 認可外保育所
     ├── 認証保育所
     ├── 事業所内託児所
     └── その他の認可外保育所

 
第1−3−7図 認可保育所以外の保育サービスへの補助を実施している自治体の割合

第1−3−7図 認可保育所以外の保育サービスへの補助を実施している自治体の割合

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(事例)
(1)東京都の認証保育所や横浜保育室、せんだい保育室
 認可外保育所の中には、東京都の認証保育所や横浜市の横浜保育室、仙台市のせんだい保育室のように、地方自治体が独自の基準を設け、運営費等について単独の補助を行っているものがある。これらは、「産休明けから0歳児を預けたい」、「残業している時間も預かってほしい」、「送り迎えが便利な場所に預けたい」など、多様化する保育ニーズに的確に応えるため、定員や面積、開所時間等の国が定める認可保育所の基準を弾力化するかたちで実施しており、たとえば東京都の認証保育所と国の基準による認可保育所を比較した場合、次のとおりである。
 

第1−3−8表 国の基準による認可保育所と東京都の認証保育所との設備等基準の比較
 
国の基準による認可保育所
東京都の認証保育所
(A型:駅前基本型)
(B型:小規模、家庭的保育所)
定員 60人以上(小規模保育所の場合は20人以上) A型 20人〜120人
B型 6人〜29人
対象年齢(0歳児保育の有無) 0歳〜小学校就学の始期まで(0歳児保育を実施していない保育所もある) A型 0〜5歳児(0〜2歳児が1/2以上)
B型 0〜2歳児
面積 ほふく室の場合、2歳未満児1人当たり3.3m2以上 ほふく室の場合、2歳未満児1人当たり3.3m2以上(2.5m2まで弾力化)
開所時間 11時間が基本 13時間が基本
 注: 「ほふく室」は保育所における設備で、満1歳に満たない乳児の成長発達に不可欠な遊びや活動(寝返り、ハイハイ、伝い歩き等)のためのスペースを指す。

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 東京都の認証保育所の場合、保育にかかる経費(国基準保育所運営費相当額)の負担の考え方は、適正な利用者負担となるよう、都と区市町村とが合わせて2分の1を負担している。2005(平成17)年8月現在で、都内における認可保育所の設置数は1,637か所、認証保育所の設置数はA型205か所、B型73か所となっている。また、利用に当たっては利用者と施設との直接契約方式であり、保育料は基本的に国の基準を上限として施設が自由に設定している。
 いずれも利用者への公正な情報提供や保育水準の維持・向上を確保するための措置として、事業者に対して利用者等向けのサービス内容の説明や情報提供の実施が義務付けられている。

  (2)江戸川区の保育ママ事業
 江戸川区は、乳児期は家庭的な愛情と環境が欠かせない人間形成にとって大切な時期との考え方に立ち、生後9週目(57日目)から1歳未満の乳児について、保護者の家庭保育に代わって「保育ママ」が保育を行うサービスを昭和44年度から継続して提供している。
 同区は、保育士等の有資格者又は育児経験があること等を要件に、2004(平成16)年度で約200人の専業の保育ママを認定し、必要な経費の補助を行っている。2004年度末における区内の0歳児約6,700人のうち、家庭保育が88%(約5,900人)、私立保育所等の利用が6%(約400人)で、保育ママの利用は6%(約400人)の状況である。
 保育時間は、基本時間が午前8時30分から午後5時、時間外保育を含めると午前7時30分から午後6時までであり、保護者の負担については、基本保育料と雑費で月額1万7千円、時間外保育を利用する場合は1時間当たり400円となっている。

 第3節 地方自治体における独自事業の展開

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