第1部 少子化対策の現状と課題 

(スウェーデンの育児休業中の所得保障と代替要員の確保)
 このようにスウェーデンで育児休業制度が機能している背景として、所得保障制度(休業中の賃金の保障)の充実や、休業そのものを取得しやすくする体制(代替要員の確保等)が整っていることを挙げることができる。
 まず、所得保障制度であるが、スウェーデンでは、両親保険(1974年に導入された育児休業の収入補てん制度。財源は、事業主が支払う社会保険拠出による)から休業中の最初の390日間は賃金の80%、その後の90日間は定額の手当を受給することができる。390日間のうち、パパクオータ・ママクオータ(配偶者に譲ることができない休業日数)として、父親・母親のそれぞれが60日ずつ取得でき、両親が譲り合える日数としてはそれぞれ135日ずつある(多くは父親の分を母親が使う)。連続してとる必要はなく、また、全日でとる必要もない。
 両親保険からの高率の給付に加えて、スウェーデンの企業等では独自の上乗せ給付を行っているケースが多く、24.4%の事業所でこれが実施されている。最大90%までの事業所が最も多いが、最大100%以上を支給している事業所もある。
 次に、従業員が育児休業を取得した場合の職場の対応を見ると、わが国では、代替要員を確保しない例が多いが、スウェーデンの事業所では「臨時契約社員を雇う」というケースが74.4%を占めている。「業務を分担する」も54.2%あるが、複数回答であることを考慮すると、残りの職員だけで対応するよりも、業務を分担しつつ、臨時社員を雇用して対応する場合が多いものと思われる。また、休業者に対して休業期間中の連絡を電子メール等で行っている事業所も多く、短時間勤務制度やテレワーク3の利用も多い。そして、育児休業の利用に対して、スウェーデン社会では、否定的な評価がほとんど見られない4。こうした育児休業制度の利用を容易にする体制が整備され、利用しやすい職場の空気があることが、従業員に育児休業の取得やその後の働き方について大きな不安を持たせないことにつながっている。そうしたことが、高い育児休業の取得率につながっているものと思われる。


3 テレワークとは、社団法人日本テレワーク協会の定義によると「情報通信技術(IT)を利用した場所・時間にとらわれない働き方」をいう。
4 日本では、育児休業をとりにくい理由として、職場の雰囲気をあげる人も多い(ニッセイ基礎研究所「男性の育児休業取得に関する研究会報告書」(2003年))


 
第1−4−7図 育児休業中の所得保障(80%)への上乗せ(スウェーデン)

第1−4−7図 育児休業中の所得保障(80%)への上乗せ(スウェーデン)

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第1−4−8図 育児休業中の空きへの対応(複数回答)

第1−4−8図 育児休業中の空きへの対応(複数回答)

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 第2節 欧米諸国の少子化対策

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