第1部 少子化対策の現状と課題 

(仕事と生活の調和)
 イギリスでは、仕事と家庭生活の両立は重要な課題であり、特に、両立が困難な低所得世帯への支援が重要とされてきた。イギリスのブレア政権は、2000年から「仕事と生活の調和キャンペーン」を始めている。「仕事と生活の調和」(ワーク・ライフ・バランス)を進めることにより、労働者にとっては生活の質の向上につながり、企業にとっては競争力を高め、業績向上につながるとしている。
 2000年3月から開始された「ワーク・ライフ・バランス運動」の内容を具体的に見ると次のとおりである。
 国民に対する啓発運動の他、仕事と家庭の両立に資する対策を導入し、成功した企業の実例を政府が集め、一般企業への情報提供によって同様の取組の普及を図っている。特に、運動の当初には、「チャレンジ基金プログラム」を実施し、仕事と家庭の両立策の導入を検討している企業に対して、無料の経営コンサルティングが提供され、2000年から3年間に、1,150万ポンド(約22.5億円)の公的資金が投入された。プロジェクト実施期間中に、計448企業がコンサルティングを受けている。
 さらに、仕事と生活の調和を下支えするための条件整備として、パートタイム労働における同一労働・同一賃金の義務づけ、出産休暇の延長、父親休暇の創設、児童給付の引き上げ、児童税額控除制度の創設、保育所の整備等、様々な施策を講じている。
 仕事と生活の調和策は、出生率の向上を直接の目的としているものではないか、近年のイギリスの合計特殊出生率の水準(1.7程度)をみると、働きやすい環境の整備が結果として出生率の回復に寄与しているのではないかとみられている。

 
第1−4−12図 イギリスにおけるワーク・ライフ・バランスを実現させるための制度(休業及び労働時間に関して取得が保障されている制度)

第1−4−12図 イギリスにおけるワーク・ライフ・バランスを実現させるための制度(休業及び労働時間に関して取得が保障されている制度)

 第2節 欧米諸国の少子化対策

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