(5)子育てに対する社会的支援の充実
わが国では長い間、老後の生活や高齢者の介護、子どもの育児は、家族の責任に委ねられてきた。しかし、寿命の伸長や生活水準の向上、核家族化の進展、生活形態の変化等から、家族のみがこれらの仕事を担うことは難しくなり、高齢者に対しては、年金制度や老人保健、老人福祉、さらには介護保険と、社会的な仕組みとして、生活を支える社会保障制度の充実が図られてきた。一方、子育てに対しても、保育所等の児童福祉や児童手当等の社会手当など、社会的な支援の仕組みがつくられてきた。
しかし、社会保障給付費(2003年度)の規模でみると、全体で84.3兆円のうち、高齢者関係には全体の7割の59兆円が給付されているのに対して、児童・家族関係給付費は全体の約4%、3.2兆円に過ぎない。仮に、高齢者関係給付費を65歳以上人口で除し、児童・家族関係給付費を15歳未満人口で除すると、1人あたり給付費は、高齢者は約247万円であるのに対し、子どもは約17万円となる。これは、高齢者に対する社会的支援に比べて、子どもに対する社会的支援の規模が極めて小さいことを示している。
本章
第2節でみたとおり、わが国の社会全体の子育て費用は38.5兆円(2002年度)であり、そのうち公費負担部分は約5割を占めているが、その3分の2は学校教育費、その約3割が医療・福祉関係費となっている。
図(第1−5−22図)のとおり、OECD諸国において、各国の家族政策に関する財政支出(児童手当、育児休業手当、保育サービス等)の規模を対GDP(国内総生産)比で比較すると、日本は0.6%であるが、大多数の国は日本よりも数値が高く、スウェーデンやフランスは日本の5倍の3%弱となっている。
また、教育費への公的支出の対GDP比をみても、日本は3.5%と、OECD諸国中ではトルコに次いで最も低い水準にあり、フランスは5.7%、スウェーデンは6.3%と日本の2倍前後、教育に関する私的な負担が多いアメリカでも、公的支出は4.8%と、日本よりも高い。
前述したとおり、これまでの施策の見直し・改善を図りながら、社会保障給付について、大きな比重を占める高齢者関係給付を見直し、これを支える若い世代及び将来世代の負担の軽減を図るとともに、多岐にわたる次世代育成支援施策について、総合的かつ効率的な視点に立って、その在り方等の幅広い検討を進め、子育てに対する社会的支援を充実させる必要がある。