第1部 少子化対策の現状と課題 

(経済的支援の状況)
 子どものいる世帯に対する経済的支援として、現金給付と税制(各種控除制度)をあげることができる。
 我が国では、児童手当等の支給のほか、所得税制における扶養控除が実施されているが、欧米の主要国では、我が国と比較して高い給付水準の児童手当制度等の経済的支援が行われている。
 フランスは、欧米の主要国の中で経済的支援が最も手厚いといわれている。まず、「家族手当」(児童手当)は、第2子以降の20歳未満の子どもに対して支給される11。1か月当たりの支給額は、第2子で117.14ユーロ(約1万9千円)、第3子以降で150.08ユーロ(約2万5千円)となっており、11歳以上の子どもに対する加算措置もある。このほか、第1子以降、子どもが3歳に達するまで支給される「乳幼児迎え入れ手当」などがある12。これらの家族給付の財源は、事業主が支払う社会保険拠出金、個人所得に対する所得課税である一般社会拠出金等によって賄われている。
 また、フランスでは、税制においても独特の制度があり、所得税の課税にN分N乗方式が用いられている。これは、世帯を課税の単位とみなし、夫婦及び扶養子女の所得をすべて合計した額を家族係数(大人は1、子どもは2人目までは0.5、3人目以降は1とみなして世帯全員で合計した数値)で割って、係数1当たりの課税額を求め、この課税額に再び家族係数をかけて家族全体の税額を計算する方法である。累進税率の場合、こうした方式を用いると、同じ所得であれば、子どもをはじめ家族の数が多くなると、所得税負担が緩和される場合がある。
 スウェーデンでも経済的支援は充実しているが、税制による支援はなく、児童手当に一本化されている。原則として16歳未満の第1子から手当が支給されている。1か月当たりの支給額は、第1子で1050クローネ(約1万9千円)、第2子で1150クローネ(約2万円)、第3子で1504クローネ(約2万7千円)といったように、子どもが多いほど支給額が多くなる仕組みとなっている。手当の財源は、すべて国庫負担となっている。
 イギリスでは、児童税額控除とともに、児童手当の制度が実施されている。原則として16歳未満の第1子から支給されており、1か月当たり支給額は第1子で週18.1ポンド(月額で約1万9千円)、第2子以降で週12.1ポンド(約1万3千円)となっている。手当の財源は、すべて国庫負担となっている。
 ドイツでは、児童手当のほか、児童扶養控除の制度も実施されているが、いずれか有利な方が適用される仕組みとなっている。児童手当については、原則として18歳未満の第1子から支給されており、1か月当たり支給額は第1子から第3子で154ユーロ(約2万5千円)、第4子以降では179ユーロ(約3万円)となっている。手当の財源は、連邦及び州・市町村の負担となっている。
 アメリカでは、児童手当はなく、所得税制(所得控除、税額控除等)によって経済的支援が行われている。

11 ただし、16歳以上20歳未満の子どもに対する家族手当の支給については、月収が最低賃金の55%未満といった要件がある。
12 乳幼児迎え入れ手当は、出産先行手当、基礎手当、補助手当(保育費用補助又は賃金補助)の3つから構成される。


第1−補−6表 児童手当制度の国際比較
第1−補−6表 児童手当制度の国際比較
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 補章 海外の少子化の動向

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