薬物乱用対策推進会議
議事要旨

平成26年7月8日開催

菅内閣官房長官

  • 最近、いわゆる「脱法ドラッグ」の乱用者が犯罪を犯したり、重大な交通死亡事故を引き起こしたりする事案が後を絶たず、深刻な社会問題となっている。
  • こうした状況を踏まえ、総理から、いわゆる「脱法ドラッグ」対策について、指示が出ているので伝達させていただく。
    1.違法薬物やいわゆる「脱法ドラッグ」の販売等についての実態を徹底して把握するとともに、その危険性についての国民への啓発を一層強化すること
    2.海外情報を積極的に活用するなどして、できるだけ速やかに指定薬物の指定を行うとともに、違法薬物やいわゆる「脱法ドラッグ」に起因する犯罪等の取締りを徹底すること
    3.いわゆる「脱法ドラッグ」の規制のあり方について、新しい薬物乱用の広がりに対処すべく、「できることは全て行う」という基本姿勢で、見直しの検討を行うこと
  • この指示を受け、政府として、迅速にこの問題について対策を講じていく必要があるため、私から森大臣に、本会議の開催をお願いした。関係大臣におかれては、こうした事件や事故の撲滅を図るため、総理指示を踏まえ、政府一体となって、しっかりと検討していただき、迅速かつ徹底した対策を講じていただきますようお願いする。

森内閣府特命担当大臣

  • 合法ハーブ等と称して販売される薬物等、いわゆる「脱法ドラッグ」を使用したことによる事件、事故、健康被害が多発するなど、大変深刻な状況。
  • いわゆる「脱法ドラッグ」については、その危険性・有害性が必ずしも正しく理解されておらず、また、インターネットや店舗などで入手することができることから、青少年へのスマートフォン等の急速な普及なども背景として、更なる乱用の広がりが懸念される。
  • 政府においては、昨年8月に策定した「第四次薬物乱用防止五か年戦略」に基づき、「合法ハーブ等と称して販売される薬物等、新たな乱用薬物への対応」を「特に留意すべき課題」と位置付け、関係省庁が連携して、指定薬物への迅速な指定、販売業者に対する監視指導、取締りの強化、広報啓発活動の強化等に取り組んでいるが、薬物乱用を巡る現在の深刻な状況に対して、更に取組を強化していくことが必要。
  • 違法薬物やいわゆる「脱法ドラッグ」の乱用は、絶対に許されるものではない。総理の指示を受け、政府一丸となって、「できることは全て行う」という基本姿勢で薬物乱用対策に取り組んでまいるので、関係閣僚におかれてもよろしくお願いしたい。

古屋国家公安委員会委員長

  • 6月24日、東京都豊島区において、また、今月5日には、東京都北区において、いわゆる「脱法ドラッグ」を乱用したとみられる者が車両を運転し、多くの方を死傷させるという誠に痛ましい事故が発生している。まず、この事故でお亡くなりになられた方の御冥福をお祈りするとともに、負傷された方の一日も早い御回復をお祈りいたします。
  • 「脱法ドラッグ」については、乱用者が犯罪を犯したり、重大な交通死亡事故を引き起こしたりする事案が後を絶たず、深刻な社会問題となっている。
  • 警察としては、本年四月に施行された、指定薬物の単純所持や使用を禁止する改正薬事法も活用して、引き続き、警察活動全般を通じた情報収集を強化し、乱用者を徹底検挙するとともに、突き上げ捜査により、販売業者の検挙、流通ルートの解明などを徹底するほか、厚生労働省、都道府県知事等とも連携して、販売店舗の実態把握や積極的な立入検査を実施するとともに、いわゆる「脱法ドラッグ」の多くが実際には違法薬物であり、危険性が高いという認識が国民の間に根付くよう努めることとしている。
  • また、「脱法」という呼称が国民に誤解を与えることもあることから、ふさわしい呼称について、広く国民の皆様の意見を伺うこととし、すでに多数の皆様からの御意見が寄せられているところ。各府省においては、一層の御協力をお願いする。
  • 「脱法ドラッグ」「脱法ハーブ」などと放送メディアで言われているが、「脱法」というとそれほど危険なものではないと誤解を与えかねない。特に「ハーブ」の名称は、合法なものとの印象を与えるので、新しい名称が決まるまではメディアおいては「脱法ドラッグ」の名称を使うようにできないか。

田村厚生労働大臣

  • いわゆる「脱法ドラッグ」の対策については、乱用した者による事件・事故が相次ぐなど、その対策は喫緊の課題である。
  • これまでも厚生労働省では、化学構造の基本骨格が同じ物質を包括的に指定するなど、指定薬物の指定を大幅に増やすとともに、昨年10月から、麻薬取締官も指定薬物の取締りができるようにし、併せて、薬事法を改正し、今年4月から、指定薬物の所持・使用にも罰則が科されるようにした。
  • しかしながら、いまだに薬物を使用した者による犯罪や重大な交通事故などが絶えないため、いわゆる「脱法ドラッグ」の取締りを一層強化していく。
  • まず、池袋での痛ましい事故を受け、7月3日に、各自治体の衛生主管部局と各地方厚生局の麻薬取締部に対し、いわゆる「脱法ドラッグ」の指導・取締りを一層強化するよう要請した。
  • また、指定薬物に指定しても、次から次へと新しい薬物が出てくる「イタチごっこ」を解消するため、海外の情報の積極的な収集、国内の販売実態の迅速な把握により、新たな薬物をできるだけ速く指定薬物として指定。
  • 先日、池袋で起きた事故を受け、豊島区で脱法ドラッグの撲滅を訴えるキャンペーンに参加したが、更に東京都北区においても事故が発生した。安い値段で手に入ることから、若者が軽い気持ちで手を出してしまう。
  • 指定薬物に該当しないものについても、今よりも容易に無承認の医薬品として取り締まれるような手法を検討していく。併せて、国民がいわゆる「脱法ドラッグ」を使用することがないよう啓発活動をより一層強化していく。
  • 「脱法」などというと、法律に触れずにそれほど危険なものではないという誤解を与えてしまうことから、これらの薬物が危険性の高い薬物であることを国民に御理解いただけるよう、警察庁と協力して、新しい呼称の募集を現在行っている。これからも、関係省庁と連携し、これまで以上に踏み込んだ対策を徹底的に進めていきたいと考えており、ご協力をお願いしたい。

下村文部科学大臣

  • 脱法ドラッグを使用した者による交通事故が相次いで発生していることは、極めて遺憾。薬物乱用を拒絶する規範意識を向上する上で、引き続き学校における薬物乱用防止教育の役割は重要であると認識している。
  • 文部科学省においては、警察職員や麻薬取締官OB等の専門家の協力を得て、全ての中学校及び高等学校において少なくとも年1回「薬物乱用防止教室」を開催するよう指導している。
  • また、警察庁や厚生労働省と連携し、大学等の入学時ガイダンスで活用することを目的とした学生向け薬物乱用防止啓発教材を作成し、配布している。今後、更に学生たちに資料が使われるよう、しっかりと周知してまいりたい。
  • 今後とも、関係機関との連携を図りながら、薬物乱用防止教育を一層充実してまいりたい。