薬物乱用対策推進会議
議事録

平成26年7月18日開催

  • 森内閣府特命担当大臣
    ただいまから、薬物乱用対策推進会議を開催いたします。
    それでは、私から御挨拶を申し上げます。いわゆる「脱法ドラッグ」の問題については、今月8日に薬物乱用対策推進会議を開催し、安倍総理からの御指示をいただき、政府一丸となって迅速かつ的確に取り組むことを確認しました。その後、直ちに、関係府省が連携して、指定薬物への迅速な指定、販売業者等に対する監視指導・取締り、広報啓発活動等に取り組んでいます。一方で、脱法ドラッグの乱用者による交通事故などの問題が、まだ後を絶たない状況であることも事実です。「脱法ドラッグ」の乱用は、絶対に許されないものであり、また、非常に危険な行為です。その根絶に向けて、政府を挙げて、「できることは全て行う」という基本姿勢で、取組を強化する必要があります。このため、関係府省が一体となって、「いわゆる『脱法ドラッグ』の乱用の根絶のための緊急対策」の案をまとめました。この三連休から、青少年が薬物乱用等の非行に陥りやすい夏休みの時期を迎えます。関係閣僚におかれましては、「脱法ドラッグ」の乱用の根絶に向けた取組を更に力強く進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。
    それでは、議事に入らさせていただきます。「いわゆる『脱法ドラッグ』の乱用の根絶のための緊急対策(案)」について、事務局より説明させます。
  • 事務局(安田内閣府大臣官房審議官)
    それでは「いわゆる『脱法ドラッグ』の乱用の根絶のための緊急対策(案)」の概要について御説明いたします。お手元の資料「いわゆる『脱法ドラッグ』の乱用の根絶のための緊急対策の概要(案)」を御覧下さい。基本的に、7月8日の総理指示3点に沿った形で項目建てをしております。
    まず、大きな項目の1「いわゆる『脱法ドラッグ』の実態把握の徹底とその危険性についての啓発強化」でありますが、その中で、①の実態把握の徹底と致しましては、インターネット上の違法・有害情報対策の強化などを、②の危険性についての啓発の強化では、指定薬物に該当しないものについても、精神毒性等から相当の危険性があると判明した段階で、速やかに、国民に対して、所持・使用しないように勧告するなど、迅速かつ効果的に情報を発信することなどの取組を盛り込んでおります。
    次に、大きな項目の2「指定薬物の迅速な指定といわゆる『脱法ドラッグ』に係る犯罪の取締りの徹底」でありますが、その中で、①海外情報の積極的な活用等を通じたいわゆる「脱法ドラッグ」の指定薬物への迅速かつ効果的な指定と致しましては、海外の流通実態や危険情報に基づく国内流通前の迅速かつ効果的な指定薬物の指定、薬事・食品衛生審議会の適時開催及び緊急を要する場合の指定手続の特例の適用などを、②いわゆる「脱法ドラッグ」に係る犯罪の取締りの徹底では、関係機関による一斉合同立ち入り検査等の実施及び合同共同捜査等集中取締りの実施、指定薬物の判定に必要なデータベース、鑑定資機材、鑑定体制等の充実による鑑定の高度化などを盛り込んでおります。
    最後に、大きな項目の3「いわゆる『脱法ドラッグ』の規制のあり方の見直し」でありますが、ここでは、新たな薬物の出現を押さえるための包括指定の効果的な運用等の検討、指定薬物に該当しない場合に無承認医薬品として取締りを行うための検査方法の研究及び取締手法の検討、危険性の高い薬物であるという認識を国民に根付かせるための新たな名称の募集・検討などを掲げております。事務局からの説明は、以上となります。
  • 森内閣府特命担当大臣
    それでは、続きまして、古屋国家公安委員会委員長より、御発言いただきます。
  • 古屋国家公安委員会委員長
    いわゆる「脱法ドラッグ」については、乱用者が犯罪を犯したり、重大な交通事故を引き起こしたりする事案が後を絶たず、非常に深刻な社会問題となっております。七月八日に開催されました「薬物乱用対策推進会議」における総理指示を踏まえ、政府一丸となって、「脱法ドラッグ」の乱用拡大を防止し、新たな乱用薬物の広がりに迅速かつ的確に対応していく必要があります。
    警察としては、緊急対策に掲げられた施策を強力に推進することとしており、関係機関と連携した集中的な取締りを実施し、「脱法ドラッグ」の乱用者に対する取締り及び販売店等に対する突き上げ捜査を徹底してまいります。また、関係機関と連携をして、一斉合同立入検査等により、販売店舗の実態把握、指導・警告を行います。さらに、「脱法ドラッグ」の危険性を国民に周知できるよう、訴求力の高い名称を今、募集をしておりまして、今日、18日が締切りでございますので、来週早々には公表したいと考えております。関係省庁におかれましては、一層の御協力をお願いいたします。
    なお、メディアにも何度か、「脱法ドラッグ」ということで言っているのですけれども、まだ「脱法ハーブ」というふうに広報している機関もたくさんございまして、「ハーブ」と言いますと、脱法とハーブとくっつけますと、違法性が少ないというようなイメージも与えますので、私どもの方からも督促して、一部のメディアは「脱法ドラッグ」というふうに広報していますが、来週からは、訴求力の高い名称に決定させていただきますので、是非、関係閣僚におかれましては、名称を徹底していただくようによろしく御願い申し上げます。以上でございます。
  • 森内閣府特命担当大臣
    続きまして、田村厚生労働大臣より御発言をいただきます。
  • 田村厚生労働大臣
    厚生労働省では、前回の薬物乱用対策推進会議の後に、関東信越厚生局麻薬取締部が警視庁及び東京都と合同で、脱法ドラッグを販売している店舗への一斉立ち入り検査を実施しました。7月10日であります。池袋で発生した事故の容疑者が使用したとみられる脱法ドラッグ製品に含まれていた物質を、審議会への諮問やパブリックコメントなどの手続を省略し、10日の周知期間で指定薬物として指定をいたしました。7月15日公布、7月25日施行ということであります。
    総理指示や今日の緊急対策を踏まえ、厚生労働省といたしましては、個別の事案ごとに審議会への諮問を省略する手続を活用して指定するなど、指定薬物に迅速に指定していくこと、そしてまた、麻薬取締部において、関係機関と緊密に連携しながら、店舗への一斉合同立ち入り検査を実施するなど取締りを徹底していくこと、更には、無承認の医薬品に対しまして、取締手法、これを徹底するということと併せて、指定薬物である疑いのある物品、これは薬事法の76条の6の1項で、まず、このような指定薬物である疑いのある物品を発見した場合には、保健衛生上の危害が発生するのを防止するために必要があると認める時、当該物品が指定薬物であるかどうかについて、検査を受けるべきことを命ずる、ということがあるわけでありまして、まずは、命ずるということ、それと併せて、命じられたものに関しましては、販売若しくは授受のために陳列してはならないということを命ずることができるということになっております。したがいまして、指定薬物の疑いがあるものについては、検査をしなさい、そして命令を掛けたものに対しては売るな、という命令をかけられますので、まだどうかわからないという状況から売らせないことができるという、76条がありますから、これを使って、徹底的な対応をしていきたいと考えております。ただ問題は、検査をするのに若干の時間がかかるという問題がございますから、この兼ね合いをどうするかという問題はありますが、しかし、この条項をしっかりと使いながら、取締を進めてまいりたいと考えております。
    これからも、いわゆる「脱法ドラッグ」の乱用の根絶に向けて、関係省庁と連携して、取組みを徹底的に進めていきたいと考えておりますので、御協力をよろしく御願いいたします。
  • 森内閣府特命担当大臣
    それでは、御意見、御質問がございましたらお願いいたします。
  • 新藤総務大臣
    ちょっと教えていただきたいのですけれども、「脱法ドラッグ」の中で、危険性のないものもあるのでしょうか。それから、「乱用」ということは、じゃあ「服用」ならいいんでしょうか、ということになりますよね。だから、使ってはいけないということはそもそも乱用以前の問題になりますよね。それから、指定薬物となる、若しくは無承認医薬品ということですが、ということは、その危険の範囲にはまらない、いわゆる「ハーブ」とか、そういったものはあるのだろうか、脱法ドラッグというのは、全てがダメなのではないかと思うのですが、そこの線引きをどのようにすればよろしいのでしょうか。
  • 田村厚生労働大臣
    一般的にハーブは体に良いものもいろいろございますので、ハーブ自体が悪いというわけではないのですが、そこに化学物質を染み込ませて、乾燥させたりして売っているんですね。その化学物質自体が、いわゆるカチノン系でありますとか、例えば覚醒剤でありますとか、よく、アッパー系でありますとかダウン系でありますとか書いてあるんですけれども、そういう精神的に高揚させたり、逆に酩酊状態に陥らせたり、そういう効果のあるものを少しずつ混ぜて売っていくということでありまして、指定をしますとこれは指定薬物ということで、単純所持も販売も、もちろん使用してもダメだといることになります。
    ただ、指定するまでに時間が掛かる、つまり、そういう成分が多分入っているだろうなと思うんですけれども、検査してみないとわからない。それで、検査して指定したら、既に撤去する準備に入ってしまう。撤去してまた、構造式を若干変えたものを出してですね、そして売ると。それで、包括的に指定できるようにしたのですが、それでもまだ、構造式をいじって出してくる。そのうちに、どんどん毒性の高いものやわけのわからないものが出回っていまして、非常に危険な状況に今なっているという状況にあります。「多分、検査したら、指定薬物になるであろう」というものが売られているのは確かなんです。ですから今回、検査しなさいと命令をかけて、命令をかけている間は売ってはいけない、というふうにすれば、これは事実上売れないということになります。暴力団を含めて、いろんな方の資金源になっているケースもあります。警察と協力をさせていただきながら、根絶やしにしていくことを考えていかなければならないと思います。
  • 古屋国家公安委員会委員長
    包括指定しましても、ほんのちょっと加えるだけで、変わってくるんですね。むしろ、これはちょっと極論なんですけど、覚醒剤であればほぼ、中身は決まっている。これくらいの濃さにしたらこれくらいだと。もちろん、危険性という意味では、これ飲んだらこれくらいになるということがわかるわけです。けれども、いわゆる脱法ドラッグというのは、飲んだらいきなりハイになって、車を運転したら瞬時に事故を起こすということで、むしろ危険なんですね。そういうこともあるので、立入りとか突き上げ捜査とか、しっかり知恵を出して対応していく必要があると考えております。
  • 森内閣府特命担当大臣
    松島経済産業副大臣お願い致します。
  • 松島経済産業副大臣
    検査の体制の充実をお願いしたいと思います。私の地元で大分前から陳情を受けていたのですが、普通の人も通る、普通の人も住んでいる地域のマンションの一階に、怖い人たちがいっぱいいて、売り買いの場になっていると。
    それで、そこで実際に売り買いされている場から出てくる人が警察に捕まった事例もあるが、根絶やしにされていない。警察署長にも電話して状況を説明したら、署長も、実は困っていると。検査所へ送って検査するまでに時間が掛かる、いろんなところで摘発しているからどんどん混んでくるということであって、そのあとでどのように体制が変わったかはわからないんですけれど、是非、頑張って人を無理にでも付けていただいて、そしてまた、売っている拠点に対する撲滅というのを是非、よろしく御願い致します。
  • 森内閣府特命担当大臣
    ありがとうございます。ほかにございますか。それでは、御質問等ないようでございますので、本日の議事については原案のとおりとし、これを薬物乱用対策推進会議決定としたいと存じますが、いかがでしょうか。
    御異論等ないようですので、原案のとおり決定したいと思います。今後とも、関係省庁が一体となって、本日決定した「緊急対策」に基づく取組を強力に実行していく必要がありますので、関係閣僚におかれましては、一層の御協力をお願いいたします。
    それでは、これをもちまして薬物乱用対策推進会議を閉会いたします。ありがとうございました。