第6節 |
ボランティア活動による食育推進 |
1 |
食育推進にかかわるボランティア活動への参加 |
平成19年3月の「食育に関する意識調査」によると、食育の推進にかかわるボランティア活動に「参加してみたい」と回答した者の割合は26.9%である。性別にみると、「参加してみたい」者の割合は、男性で20.9%、女性で31.7%となっており、女性で高い(図表-55)。

また、「参加してみたい」と回答した者に、どのような活動に参加してみたいと思うか尋ねたところ、「生活習慣病予防などのための料理教室」をあげた者の割合が63.4%と最も高く、以下、「食生活の改善に関する活動」(49.8%)、「郷土料理、伝統料理等の食文化継承活動」(45.7%)、「食品の安全や表示に関する活動」(42.5%)などの順である(図表-56)。

2 |
ボランティアの取組の活発化がなされるような環境の整備 |
食育の推進に当たっては、地域に密着した取組として推進していくことが重要であることから、健康づくりのためのボランティアとして活動してきている食生活改善推進員の活動を支援し、地域に根ざした食育の活動を推進している。
特に、食生活改善推進員が地域での質の高い活動ができるよう、食生活改善の実践方法、食育の普及活動についてのリーダー研修の実施や、地域住民に対する食育に関する講習会の開催等食育の普及啓発活動への支援を行っている。さらに、「健康日本21」の趣旨を踏まえ中学生から高齢者まですべての住民が自分の健康指標に基づき自己実現を目指す活動として、食生活改善推進員が健康づくり支援者(ヘルスサポーター)を育成するとともに、ヘルスサポーターの自主的な健康づくり活動を推進しているところである。
また、平成18年度から、食育推進の活動を行う民間のボランティアの中核となり、地域の食育を推進していく「食育推進リーダー」の養成のため、研修会等を実施している。
あわせて、地域単位の草の根レベルで食育推進の活動を行うボランティアが、その活動の様子を発表する「食育推進ボランティア発表会」を各地で実施した。九州地区で行った発表会では、学校給食での地場産物の利用、郷土料理の伝承、バランスの良い食生活の推進などに関する発表があった。この「食育推進ボランティア発表会」は、地域で食育の取組をしている人々の間の情報交換や、ネットワークづくりも目的としている。
3 |
草の根活動としての健康づくり活動の促進 |
地域における食育の推進に当たっては、地域の健康課題や食習慣、食文化等を理解し、地域に密着した活動を推進していくことが重要である。昭和30年代から財団法人日本食生活協会では、各都道府県、市町村との連携を図りながら、食生活改善推進員の組織づくりを行ってきたところであり、全国46道府県4市に連絡協議会を設けている。現在、地域の食生活改善推進員の養成については市町村で、組織化及び活動に対しては厚生労働省が支援して地域に根ざした食育活動を推進している。健康づくりの基本は食生活であり、我が家の食卓を健康なものにし、さらには地域においても正しい食習慣が定着することを目指し、「私たちの健康は私たちの手で」を創立以来のスローガンとしてボランティア活動を行っている。
また、平成16年4月には、全国食生活改善推進員団体連絡協議会が、いち早く「食育宣言」を表明し、食生活改善推進員全員が「食育アドバイザー」として役割を持ち、全国で食育活動を展開している。
現在、食生活改善推進員は全国で約19万4千人(平成18年4月1日現在)であり、1年間の活動回数は約310 万回、延べ約1,874 万人に対する地域の人々への普及啓発活動を実施している。
主な活動には次のようなものがある。
平成18年度は、内閣府が毎月19日を「食育の日」と設定したことに賛同し、全国各道府県協議会で、「毎月19日は食育の日 家族そろって食事を楽しみましょう」キャンペーンを実施し、街頭で約40万枚のリーフレットを配り、その普及に努めた。高知県においては、漫画家によるイラストが食育の日の横断幕をかざった。
| 食育宣言(平成16年4月21日 全国食生活改善推進員団体連絡協議会会長) |
|---|
|
21世紀における我が国の発展のために、子ども達が健全な心と身体を培い、未来や国際社会に向かって羽ばたくことができるようにするとともに、すべての国民が心身の健康を確保し、生涯にわたって生きいきとくらすことができることが大切である。 子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けていくためには、何より「食育」が基本である。 また、食育は予防医学に最たるものであり、食生活の改善が糖尿病などの生活習慣病の改善につながるものである。 このことから、様々な経験を重ねて得られる食に関する知識や食べ物を選択する力を習得し健全な食生活を実践することができる人間を育てる食育活動を食生活改善推進員が広く推進することを宣言する。 |
「食育の日」のリーフレット |
高知県の横断幕 |
(2)全国市町村の「郷土料理を使った食事バランスガイド」が完成
全国各地で活動する食生活改善推進員が、郷土料理や食文化の継承を推進するため、自分たちの居住する地域の「郷土料理を使った食事バランスガイド」の作成に取り組み、その作成数は約2千5百となっている。例えば、栃木県栃木市では、宮ねぎやひめきゅうり、とちおとめ等特産物を使った郷土料理を取り入れ、「食事バランスガイド」を作成している。“ぜひ作ってみましょう”というメッセージにあわせて、これら特産物を使ったバランスメニューのレシピ集を作成し、健康まつりや地区文化祭、ホームページ等を通じた普及啓発を進めている。また第2回食育推進全国大会(福井県)において、その一部を会場に展示して紹介したところ、全国各地の参加者から大きな反響を得た。
従来「母と子の料理教室」として取り組んできた活動を、平成16年から食育の理念を取り入れた事業とするため「おやこの食育教室」に改称し活動を行っている。平成18年度は全国630市町村で約1,100回開催し、約3万6千人が受講した。
おやこの食育教室 |
おやこの食育教室のリーフレット表紙 |
日本人に不足しているカルシウム摂取量を高めることを目的に、食生活改善推進員と地域住民を対象として牛乳・乳製品等を活用した「よい食生活をすすめるための料理講習会」を開催している。平成18年度は、1,390市町村で約5,300回開催し、約13万4千人が受講した。
平成17年度からスポーツ少年を対象とした「出前食育教室」活動に新たに取り組んでいる。具体的には、食生活改善推進員がサッカー練習を行っているグラウンドへ出向き、少年とその保護者を対象に食育活動を行うもので、平成18年度は、全国302 市町村で約330回実施し、約1万8千人の参加者に普及啓発を行った。

サッカー少年への食育教室
「健康日本21」の推進のため、中学生から高齢者まですべての住民が自分の健康指標に基づき健康づくりを目指すマンパワーの育成活動としてヘルスサポーター21事業を実施している。平成18年度には、1,224市町村で実施し、約5万人のヘルスサポーターが誕生した。特に、健康づくりにおいては、食生活とあわせて運動習慣の定着が重要であることから、参加者全員に対し、協会作成のメタボリックシンドローム普及啓発のためのチェックメジャーを用いて腹囲の計測を行うとともに、BMI(Body Mass Index)計算尺で適正体重を確認しながら、肥満予防のためのウォーキングを推進している。また、ウォーキングビデオの作成や地域でのウォーキングマップの作成等も手がけ、気軽に誰もが参加できるような取組を進めている。

ヘルスサポーター21事業
減塩運動を進める一環として、減塩テープを使って実際にみそ汁の塩分濃度を目で確認するなどの簡単にできる工夫をしながら、生活習慣病予防のための講習会を開催している。また、肥満予防のために、日常生活での運動習慣の定着化やバランスのとれた食事に関する講習会を開催している。
さらに、各道府県の食生活改善推進員団体連絡協議会においては、その他にも様々な工夫を凝らした食育の活動が行われ、メタボリックシンドロームをモチーフ化した人形の作成や食事バランスガイドのタペストリーの作成など、生活者の目線を大切にした活動を行っている。
家庭で高齢者の介護を行っている人に対して食生活改善推進員が自分の余った時間を「余暇タイム」として提供し、「在宅介護食のサポート」の活動を行うための基礎知識を習得するための講習会を開催している。また、1人暮らしの男性や高齢者を対象に、料理の経験がない男性が自分で食事を作ることができるようにするため、「男性のための20レシピ集」を作成し、全国各地の料理教室で活用している。
このように食生活に関し豊かな知識や経験を有する食生活改善推進員等のボランティアの活動が今後も地域に根ざした食育活動として広がっていくことが期待される。