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第4節 健康づくりのための取組の推進

1 健康づくりと食育推進

平成12年4月から「健康日本21」を推進している。「健康日本21」は、すべての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会とするため、壮年期死亡の減少、健康寿命の延伸及び生活の質の向上を実現することを目的とし、栄養・食生活、身体活動・運動等9分野について具体的な目標を掲げ、疾病を予防する一次予防に重点を置いた施策を推進している。

現状として、男性の肥満者の割合(図表-65)、女性のやせ(低体重)の者の割合(図表-66)、朝食の欠食率(図表-35参照)、脂肪エネルギー比率(図表-67)等について、顕著な改善は見られていない。また、野菜摂取量の平均に(図表-68)変化はなく、一日に野菜を5皿以上食べている人は約3割しかいない(図表-69)。

図表-65 肥満者(BMI≧25)の割合の年次推移(20歳以上)

▲CSVファイル

図表-66 痩身(低体重)の者(BMI<18.5)の割合の年次推移(20歳以上)

▲CSVファイル

図表-67 エネルギーの栄養素別構成比の年次推移(20歳以上)

▲CSVファイル

図表-68 野菜摂取量の年次推移(20歳以上)

▲CSVファイル

図表-69 野菜類の摂取状況(20歳以上)

▲CSVファイル

さらに、生活習慣病の一つである糖尿病が「強く疑われる人」と「可能性が否定できない人」を合わせると約2,210万人と推定され、糖尿病が増加しており(図表-70)、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が「強く疑われる人」あるいは「予備群と考えられる人」は、40〜74歳の男性の約2人に1人、女性の約5人に1人である(図表-71)など深刻な状況にある。

図表-70 糖尿病有病者の推移(推計値)

▲CSVファイル

図表-71 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の状況(20歳以上)

▲CSVファイル

生活習慣病は、現在、国民医療費(一般診療医療費)の約3割、死亡者数の約6割を占めている(図表-72)。このため、平成20年度から、メタボリックシンドロームに着目した特定健康診査・特定保健指導を実施している。この制度は、生活習慣の改善に主眼を置いたものであり、保健指導の実施によって、悪性新生物以外の生活習慣病に係る国民医療費の抑制に対応するものである。

図表-72 生活習慣病の医療費に占める割合と死亡割合

▲CSVファイル

また、生活習慣の改善には生活環境の整備が必要であることから、厚生労働省補助事業「メタボリックシンドローム予防戦略事業」として、地域、職域及び学校等の身近なところで生活習慣の改善による健康増進を図る機会を提供する事業を実施した。

保健所や市町村保健センターにおいては、地域の健康増進計画に基づき健康づくりに関する事業が行われており、管理栄養士等による栄養指導や運動指導の実施、「食生活指針」や「食事バランスガイド」の普及啓発、健康づくりを支援する環境整備等の健康づくりの活動を通じた食育に関する普及啓発活動が推進されている。平成20年度に保健所及び市町村で栄養指導を受けた者は約529万人、うち妊産婦は約326万人、乳幼児は約301万人である(平成20年度地域保健・老人保健事業報告)。

厚生労働科学研究「食育を通じた健康づくり及び生活習慣病予防戦略に関する研究」では、「食育」を健康づくり、生活習慣病予防につなげるため、効果的な研究事例を収集した「食育研究データベース」や各自治体が実施している食育活動事例を集めた「行政取組データベース」の構築を行った。自治体での食育事例については、ホームページ(URL:http://www.nutritio.net/shokuiku/toroku/index.html)で公開している。データベースの登録数は440事例を超え、地域、企業等が、食育活動の推進に必要な情報を相互に情報交換・共有することができるようにシステムの構築が進められている。

食育を通じた健康づくり及び生活習慣病予防戦略に関する研究ー健康づくりに向けた「食育」取組データベース

食育を通じた健康づくり及び生活習慣病予防戦略に関する研究ー健康づくりに向けた「食育」取組データベース

歯科保健活動における食育推進

すべての国民が健やかで豊かな生活を過ごすため、80歳になっても自分の歯を20本以上保つことを目的とした「8020(ハチマル・ニイマル)運動」の一環として、食生活を支える口腔機能の維持等についての指導が推進されてきた。

8020達成者の割合は、6年に1度実施されている歯科疾患実態調査の結果によると、昭和62年の7.0%から平成17年には21.1%へと上昇している。

平成19年6月には、社団法人日本歯科医師会、日本歯科医学会、社団法人日本学校歯科医会、社団法人日本歯科衛生士会の4団体から国民すべてが豊かで健全な食生活を国民的運動として広く推進することを宣言した「食育推進宣言」が出された。

平成21年6月に島根県で開催された第4回食育推進全国大会において、社団法人島根県歯科医師会、社団法人日本歯科医師会、財団法人8020推進財団・社団法人日本学校歯科医会が共同で、「しまね歯ッピーかむかむ大作戦・食べ方から食育推進」というテーマのもと、来場者に対して、「お口の健康セルフチェック」を実施した。そして、セルフチェック調査の結果に基づき、レーダーチャートによる食習慣を中心とした生活習慣に関する情報提供を行った。

平成21年11月21日には、高知県において、「健口維新!〜長寿は歯と口の健康から〜」というテーマのもと、第30回全国歯科保健大会が開催された。その中で、「かみかみ百歳体操」の紹介などが行われた。

平成21年7月13日には、厚生労働省に設置された「歯科保健と食育の在り方に関する検討会」で、それまでの議論を踏まえ、「歯科保健と食育の在り方に関する検討会報告書「歯・口の健康と食育〜噛ミング30(カミングサンマル)を目指して〜」」が公表された。同報告書において、食育推進に向けた今後の取組として、各ライフステージにおける食育推進の在り方、関係機関(職種)における歯科保健と食育の推進方策、新たな視点を踏まえた歯科保健対策の推進などについて提言がなされた(トピックス:歯科保健と食育の在り方に関する検討会報告書の概要より参照)。

また、「8020運動推進特別事業」により、各都道府県において、それぞれの特色を出した「8020運動」に関わる事業が展開されている。その中で、噛み応えのある料理などを用い、噛むことの大切さの教育など、食育に関わる事業も実施されている。

2 医学教育等における食育推進

すべての医学生が卒業までに最低限修得すべき教育内容を定めた「医学教育モデル・コア・カリキュラム」においては、食生活と疾病の関連等に関して、<1>予防医学を概説できる、<2>生活習慣に関連した疾病の種類、病態と予防治療について学ぶ、などを学習目標として設定しており、これらに基づき、各大学において医学教育等の改善・充実に取り組んでいる。


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