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教育改革タウンミーティング イン 愛媛 議事要旨
 
  河村文部科学大臣からの挨拶
     
  資源に恵まれない日本が、ここまで頑張って来られたのも教育の力、人材によるところが大きい。チリのサンチャゴでのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の教育大臣会議に出席したら、様々な国の大臣が日本の教育ついて聞かせてくれと言う。現在の日本の教育には、学級崩壊や不登校などの問題があるが、全国津々浦々高い教育水準にあり、勤勉性の高い国民であることは世界で評価されている。そのことを誇りに思うと同時に、教育力を高めるために国はもっと努力していかなくてはならないと考えている。
  私は、大臣就任にあたり、小泉総理から、知育、徳育、体育、それに食育を加えた人間力向上のための教育改革に努めるようにとの指示を受け、また、教育基本法の改正にも努力するようにとの指示をいただいた。
  食育については、今国会で法案が成立し、学校栄養士の皆様には、栄養教諭として教壇に立ち、子ども達に食べることの大切さを教えていただくことができるようになった。知育、徳育、体育のスタートは、食育にあると思っている。
  教育現場にいろいろな問題が起きている中で、教育を根本から考え直していく。そう考えたときに、教育基本法が今の時代に合っているものなのかどうか一緒に考えていこうということで改正問題を取り上げている。今、与党間でこの問題に取り組んでおり、いずれ取りまとめていきたいと思っている。


  北城経済同友会代表幹事/日本IBM取締役社長からの挨拶
     
  国の将来を考えるときにやはり人材が一番大切であり、教育はこれから国が力を入れていくべき重要な分野だと思う。今、教育改革が進められ、教育基本法の見直しを契機として教育について社会の関心が高まることは非常に良いことだと考えている。
  経営者として教育に関して感じていることを3点話したい。1つ目は、子どもの学ぶ意欲についてである。学習する意欲はどこから出てくるか。いずれ大人になり働くときに、職場が自分の能力や適性を活かせるやりがいのある職場であることが人生を豊かにする。働く場が楽しいことは大事なことであるが、学生に「いずれ、どのような仕事をするのか」と尋ねると、学生には働くという実感がなかなか湧かないようである。そういう意味で、大人が教育の場に出て行って働く姿を見せ、働くことで何が楽しいのかということを伝えることは大事であると思う。
  2つ目は、教えるときに先生に何が必要かということである。例えば、英語教育に関して、残念ながら日本の英語教育が不十分なのは、ひとつには先生に十分な力がないからであり、教え方について十分な経験をもっていない先生も多い。また、先生が教える意欲を持つことも大事である。そして、先生方の評価や評価に基づく措置を考えていくべきであると思う。
  3つ目は、企業の学生採用基準についてである。今、ほとんどの企業はどこの大学を出たということで学生を採用していない。面接の結果が重要であり、本人が何を学び、何を目的としてどのような挑戦の意欲を持っているか、熱意があるかということが重要である。企業はそういう実力を持っている人たちを求めている。


  毛利日本科学未来館館長/宇宙飛行士からの挨拶
     
  私が教育に興味を持ち始めたのは、宇宙から地球を見たときの印象によるところが大きい。
  私たちは日常生活において、自分の見える範囲が空間的にも時間的にも限られてしまう。地球全体を見るという経験をすると、地球には、空気と水があって、生命があり、その中に人間がいる。そして、人間という種が様々な文化を持って懸命に生き延びようとしている。その文化の中のひとつに教育があるが、究極のところ、それをどのように私たちが生き延びて行けるのかということに繋げていけるのかということに帰結するのではないのかと思う。
  我々は、生命として地球に守られているように思いがちだが、決してそういうことはなく、いつでも火星のようになりえる。また、日本という社会の中で、いつも守られているように思いがちだが、そういうことではありえず、かなりの努力が必要である。しかも日本は日本だけで成り立っているのではなくて、地球全体のいろいろな国と一緒になってはじめて成り立っている。そのように考えたときに、教育は非常に大きな役割を果たすのだろうと思い、宇宙から帰ってきて教育に興味を持った。
  私はもともと科学者であるから、科学を通じてどのように社会に貢献したら良いかと考え、現在は日本科学未来館で最先端の科学技術を多くの人に理解していただくという仕事をしている。宇宙から見た視点で言うと、科学も日本の社会を豊かにし、地球全体のことを考え、人間が生き延びるための手段である。今日は、現場のご意見を聞きながら、私なりの哲学を少しでもお役に立てられればと思う。


  鳥居中央教育審議会会長から中央教育審議会答申等についての説明
     
  中央教育審議会についてお話しをしたい。昭和27年に占領時代が終わったわけであるが、中央教育審議会は昭和28年に日本の教育をつかさどる審議会として発足した。その最初の答申が義務教育に関する答申であり、日本が独立した後も、6・3制を続けるか否か、教育委員会制度を続けるか否かが審議され、続けるとの結論を出している。
  中央教育審議会は、昭和28年から平成12年12月までの旧中央教育審議会時代に34の答申を出し、その後、現在の新中央教育審議会になって15の答申を出している。これらの答申全体は日本の教育を改革しようという方向で出されたものである。
  教育改革についてお話したい。今、世界の主要国は、みんな教育改革に取り組んでいる。世界の歴史の中で各国が教育改革に集中的に取り組んだ歴史はめずらしいと思う。その引き金となったのは、イギリスのサッチャー首相であり、子どもの学力低下の最大の原因は学校の教育能力の低下にあり、それを直すためにナショナルスタンダードを大切にしようということ、そして、家庭をもっと大切にしなければ子どもの教育はできないということを強く主張した。そして、アメリカでは、レーガン大統領の下で1983年に「危機に瀕する国家」という報告書が出された。この報告書は「優れた国民をつくることには大変なコストがかかる。しかし、長期的に見るともっとコストがかかることがある。それは凡庸な国民を大量につくってしまったときの後始末である」という印象的な言葉で締めくくっている。この言葉を日本も大切にしなければならない。義務教育費国庫負担金を減らしてもいいのではないかという議論もあるが、国民の質を高めていく努力のためにもっとお金をかけるべきであると思う。
  教育基本法について説明する。どのような視点で教育基本法を改正するのか。今の教育基本法に謳われている個人の尊厳、人格の形成、平和的な国家及び社会の形成者などの理念は憲法に則った普遍的なものとして今後とも大切にしながら、例えば、現行の教育基本法が触れていない大学、大学院の役割、私立学校の役割、あるいは家庭教育、学校・家庭・地域社会の連携について規定することを答申している。また、教育振興基本計画の策定の根拠となる条項が必要であることを答申している。この答申を受けて、国会でいろいろな審議が行われようとしているが、他の国にひけをとらないいい教育基本法を作って欲しいと思っている。


  会場からの主な発言と大臣からのコメント
     
 

教育基本法改正について

     
  教員をしているが、学校現場では教育基本法について議論されたことがないというのが現実である。かつては、教育基本法の目的に沿った学校目標があったが、90年代以降はなくなってしまった。教育基本法が、学校教育の中で大きな力を持っていた時期にどのような問題があったのか議論する必要がある。(会場)
  学校目標については大事なお話であるが、学校の経営に携わってみて、この問題が深刻であることを実感した。「私たちの教育の目標は何か」ということを話し合おうとすると、「目標なんてお前から聞きたくない。それは俺が決めることだ」という先生が現実に存在する。しかし、学校全体として子どもたちに伝えようとするものを目標として掲げることが、むしろ世界の標準的な学校の考え方だと私は思う。(鳥居会長)
  教育基本法はちょうど私が生まれた昭和22年に制定されて57年目を迎えている。その間、一度も改正されることなく今日まで至っているが、制定当時に比べて社会は大きく変化し、教育について様々な問題が生じている中、今こそ教育の根本にまでさかのぼった改革が求められていると考える。
そのためには、これまでの教育基本法の普遍的な理念は引き続き継承しながら、将来を見据え、今後のわが国の教育はどうあるべきか、という視点から新しい時代にふさわしい教育基本法となるよう、改正することが必要ではないかと思う。今後の教育のあり方について今後、50年100年先を見据えた教育のあり方についてどのようにお考えなのかお聞かせ願いたい。(会場)
  50年先を見据えた日本の教育テーマとは、一つには、国民一人一人、一回しかない人生において豊かな幼年時代、豊かな少年時代、豊かな青年期を送れるように子どもたちを育ててやりたいということであり、一つには、我々の社会を背負っていく、いろいろな意味で高い質を持った人々を育て、みんなが仲良くこの国を維持していくことであると思う。これが教育の本来目指すべきところだと思う。(鳥居会長)
  教育基本法の改正案を見ると、男女共学の項目の削除が示されている。確かに、制度的な部分の差異はなくなっているかもしれないが、例えば、PTAの執行員や国会議員などにおける男女の比率を踏まえると、男女共学の項目を削除することはいかがか。(会場)
  依然として、我々の社会で女性の進出は難しい。一方、教育基本法の男女共学は、57年間うたわれ続けてきたわけであり、女性のさらなる社会進出が実現しなかったのは、これを書き続けてきたからではない。そこで、今、男女共同参画法という別の法律で男女共同参画社会の実現を目指そうとしている。教育基本法の男女共学の項目が削除されたからと言って、男女共学を拒否する市区町村や都道府県が現れるとは思われず、これらは切り離して考えていただきたい。(鳥居会長)
  郷土や国を愛する心を教育基本法で規定する必要があるのか疑問に思う。また、大臣は平成の教育勅語を念頭に議論を進めたいとのことであるが、どういうことか。その他、私は大学生であるが、大学生は国家や企業のための人材ではないと言いたい。(会場)
  今、これだけの国際化時代において、世界の国々の皆さんといかに仲良く付き合うか。外国に行ってみると良く分かるのは、その国の人たちから自分のことをよく聞かれるということである。自分のことをよく知っておかないと話にならない。そういう意味で、郷土を愛する気持ちというものを学んでいくことが大事だと思う。それから、私は平成の教育勅語を作ると言ったことはないが、あの中の精神がすべて間違っているということでもないのではないか。(河村大臣)
  単に国家や企業を否定するのではなく、あなた自身が日本という社会に生き、その中で勉強している。あなた自身が社会とつながっておらずには生きられない。自分の頭でいろいろと考えて欲しいのだが、決して自分ひとりでは生きていけないし、おそらく、日本だけでなく他の国も関係している。最終的には自分の子どもがより良い社会で生きて欲しいなとも思うのだと思う。大学はそのようなことに貢献するひとつの時期だと思う。(毛利館長)
  教育基本法のここが悪いから変えるという話ではなく、50年たって古いから変えるというように聞こえる。(会場)
  教育基本法はどこも直すところはないはずであり、書いてないことは何もないとのことであるが、教育基本法に書いていないことがあるから改正しようとしているのである。(鳥居会長)


 

義務教育費国庫負担制度について

     
  小泉総理は就任時に米百俵の話をされ、教育は大事だ、そのための財政措置も大事だということだったと思うが、今、義務教育費国庫負担制度を見ても学校教育が財政の面で切り捨てられるのではないかと心配している。(会場)
  小泉総理の米百俵の精神の話は、教育投資の話であり、我々も頑張らなくてはならないと思う。やはり義務教育については、財政的な裏付けについて国が責任を持ち、先生方に安心して教育をやっていただく義務教育費国庫負担制度の仕組みをこれからも堅持していきたいと思う。(河村大臣)


 

地域の教育力について

     
  教育にはPTAの力が大きく、PTAの活動を近くの家の皆さんと一緒になってすることにより地域の教育力が高まっていく。通学区域の弾力化により、隣の家の子ども同士が別の学校に行くようになると、地域の教育力が低下してくるのではないか。(会場)
  地域の教育力については、PTA・保護者の皆さんの協力が必要である。これからは学校が信頼され、開かれたものであるべきという意見も強く出されているところであり、今、地域の皆さんに学校の運営協議会を作っていただいて校長先生、教員の皆さんとともに学校づくりをしていただくという方向を打ち出している。指定校を全国につくり、研究をしていただいているが、学校でのあいさつ運動を地域と一体となって取り組むことでうまくいっているという成果も出ている。
学校の選択制は東京都などで進んでいるが、地域と一体となって成果を上げている学校ができるとそれに影響を受けてまわりの学校も頑張ろうという動きも出てくると聞いている。そういう意味でも、信頼される学校づくりという動きが出てくるのだと思う。(河村大臣)


 

習熟度別学習等について

     
  習熟度別学習が導入され、学習指導要領の枠を超える内容を教えても良いことになると、ある子はこういった内容を習うけれども、別の子は習わないということになってしまい、子どもの学力に開きが生じ、日本全体の教育水準が落ちてしまうのではないかと懸念する。(会場)
  習熟度別学習については、確かに、学ぶ、学ばないという問題はある。しかし、例えば算数などでは小学校6年生になると残念ながら差がついている。この子どもたちを同じ教室で教えては、分からない人はどんどん分からなくなり、先に進みたい人も先に進めない。差はあるが、分からない人たちをきちんと分からせることがもっと大事ではないかと思う。
また、学力テストをできるだけ行い、子どもが本当にどのレベルまで行っているのかということを評価し、そして、そのレベルを引き上げるにはどうしたらよいか、各学校、県レベルで考えていただくことが大事であると思う。(河村大臣)
  習熟度別授業をすると、子どもたちの学力に差が出ると考えるのではなく、それぞれの進度に応じた教育が大事だととらえるべきだと思う。実際に教育を受けてみる、あるいは、自分で勉強してみれば分かるが、人間には理解できるときと、できないときがある。そして、理解できないときにおいてけぼりにされるのが困る。私の経験からしても、理解できなかったところの穴埋めはすごく大変だった。学校の中でできるだけ取りこぼしがないようにしようというのが習熟度別学習の大事な点ではないかと思う。(鳥居会長)
  習熟度別学習に関して、義務教育では、日本人として最低限のことはぜひ教えていただきたい。例えば、字が読めないとか、書くことができない国民が出ると、やはり問題であり、足し算引き算ができないというのもまた問題である。従って、最低限のことについては、よく分からない子どもたちに時間をかけても教えてほしい。その上で、数学や音楽や体操などいろいろな得意な分野があった方が、かえって良いのではないかという感じがする。(北城代表幹事)
  昨年、ヒトゲノム、私たちの体をつくっている遺伝子情報が全て読み取られた。それは一人一人違う。一人一人の差は、残念ながら持って生まれた遺伝子の組み合わせの差である。ある環境においては、ある遺伝子の組み合わせを持った人が伸びるということで、教育は、機会均等にチャンスを与えるが、同じチャンスを与えても出てくるものは違ってくる。そこをどう埋めていくのかが習熟度別学習であり、もっと伸びる子を伸ばす、それから、今のままではついていけない子をどう救うかということが重要だと思う。(毛利館長)


 

食育について

     
  食育が大切と言われるが、給食の民間委託が進んでいる。それが食育と言えるのか。(会場)
  学校給食の民間委託については、財政上の問題もあり、色々と行われている。しかし、食育については、今度、学校栄養士の皆さんが栄養教諭として学校現場に立つので、食の専門家として、学校と家庭を結び、学校内においても先生方との連携を保ち、食育を進めていただく。そういうことが大事だと思う。(河村大臣)


 

個性ある大学づくりと外部評価について

     
  ここ数年、21世紀COEプログラムや特色ある教育プログラムなど、各大学が個性を出して伸びていけるような動きが出てきており、高く評価している。特に、特色ある教育プログラムでは、大学は研究だけでなく教育にも力を入れなければならないということで、教育が重視されており歓迎している。ただ、今、大学の取組が様々な形で外部評価を受けているのだが、評価のやり方や手続きが曖昧であるなど納得できないことがある。きちんとした評価の体制づくりをお願いしたい。(会場)
  いろいろな大学がいろいろな教育をし、本当に良い教育をしているのかということを評価することは大事なことだと思う。どんな組織でも評価をして、足りないところを直していくことが進歩に結びつくと思う。しかし、誰がどういう基準で評価するかということはそう簡単ではない。必ずしも文部科学省だけがやればいいということではなく、卒業生や地域社会の人、あるいは企業の人など様々な組織の人たちが色々な価値観のもとに評価をしてそれを公表していくことはよいことだと思う。(北城代表幹事)
  日本における大学の評価は始まったばかりであるが、これからは、評価機関がいくつかあって、大学側がどれかを選んで実施するというようになっていくと思う。(河村大臣)
  従来の一部の大学を中心としたピラミッドを崩して日本中どこの大学も個性を光らせるようにしたいということで中央教育審議会、そして文部科学省が取り組んできた様々な改革を評価していただけたのはありがたい。大学の教授たちがともすれば大学の研究にウエイトを置きすぎていたのを、教育にもっと目を向けて欲しいということで、特色ある教育プログラムを進めており、そのようなやり方で大学を変えようとしている。(鳥居会長)


 
―以上―
なお、速報版のため、修正の可能性あり。

[問い合わせ先] 内閣府大臣官房タウンミーティング担当室 電話 03-5253-2111(代表)


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