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教育改革タウンミーティング イン 八戸 議事要旨
 
  小坂文部科学大臣からの挨拶
     
  教育は、国家百年の大計と言われるが、皆さん教育を受けた経験があり、お子さんを通じて、あるいは身近に学校を見たり、毎日の新聞やテレビを見たりしながら、教育の問題に関心を持っていると思う。最近のいろいろな事件や社会現象を見るにつけ、これらの根本にあるものは教育ではないかと考える。
  皆さんも教育に対して、いろいろなご意見をお持ちだと思う。教育改革を進めている文部科学省としては、皆さんからのご意見を十分に勘案し、教育基本法の改正をはじめとする教育の抜本的な改革を進めるために最善の努力をしてまいりたい。
  先の通常国会に教育基本法の改正案を提出した。約50時間あまりの審議を経て、現在、継続審議になっている。教育こそ人材育成の大本である。資源のないわが国が、人材を通じて、21世紀の世界にその存在感を示し、日本人としてのアイデンティティーをしっかりと持った国民によって、世界の中で認められる国として将来大きな活躍ができるように、教育基本法案の早期成立に向けて全力を尽くすとともに、教育関係諸法令の改革に努力をしてまいりたい。本日は、皆さんの忌憚のないご質問やご意見を期待している。


  梶田委員からの挨拶
     
  青森県では、管理職研修や、新しく教頭先生になった方々の研修をさせていただいており、非常に親しい気持ちを持っている。今日は、中央教育審議会の委員ということで、皆さんに情報提供をし、どういう考え方があるかということについてお話ししたい。
  2001年2月に、7つの教育関係の審議会が合併し、新しい中央教育審議会ができた。この5年半くらいの中で、教育の仕組み等、具体的なところについてたくさんの改革があった。その中の一つが、教育基本法の改正である。同時に、指導要領の改訂が今、大詰めにきている。教員についても、今までよりも一層信頼される、力量のある教員としてがんばっていく、そして世の中の人とうまく手をつないでいくために、いくつかの養成や研修、免許制度の改革についての答申も提出したところである。このようなことについて、今日はいくつかお話しできればよいと思っている。


  細川氏からの挨拶
     
  私はもともと教育の専門家ではなく、ジャーナリストとして、特に地方分権という視点から様々な自治体を取材し、東京・品川区の教育改革について取材を進めるうちに、3年前に品川区の教育委員に就任した。今日は、品川区教育委員という肩書きも背負いつつ、ジャーナリストという少し外の立場から、今の教育をどういうふうに見ているのかについて、皆様と意見交換したい。
  家庭では、2歳になる息子がおり、私自身、教育は非常に切実な問題になっている。今日は、大臣や梶田先生のいろいろなご意見やお考えを伺い、これからの日本に生かしていくような政治体制ができることを期待しながら、皆様と一緒に参加させていただきたい。


  小坂大臣からの「教育改革」についての説明
     
  教育は、学校、家庭、社会、それぞれの協力と努力によって充実させるべきものであるが、教育をめぐって様々な課題が指摘されている。現在の日本の子どもたちは、国際的に見て成績は上位にあるが、学ぶ意欲が低い。また、学校では近年、子どもたちの安全が脅かされており、通学路の安全の確保が課題となっている。学校における教育は、画一的、硬直的で、国民や保護者の期待に十分に応えられていないのではないかとの指摘もある。さらに、少子高齢化、核家族化、都市化など環境変化の中で、家庭や地域の教育力の低下が課題となっている。
  このような深刻な状況を打破し、わが国の未来を切り開く教育を実現するために、本年1月に「教育改革のための重点行動計画」をとりまとめた。その中で、「新しい時代の義務教育の創造−義務教育の構造改革−」を第一に掲げ、さらに、活力ある人材を育てるための教育の充実、充実した教育を支える環境の整備、家庭・地域の教育力の向上を掲げている。
  新しい時代の義務教育の創造については、教育の目標を明確にして結果を検証し、質を保証する、教師に対する揺るぎない信頼を確立する、地方・学校の主体性と創意工夫で教育の質を高める、確固とした教育条件を整備する、以上4つの国家戦略を立てている。そして、全国的な学力調査の実施、教員免許更新制の導入、これらの検討と学校評価システムの構築など、義務教育の構造改革に取り組んでいる。教育改革をさらに推進し、新しい時代にふさわしい教育を実現するためには、公共の精神や生涯学習の理念など、新しい時代の教育理念を明確にすることが必要である。
  文部科学省では、現在、教育基本法の改正と教育振興基本計画の策定に向けて取り組んでいる。現行の教育基本法は、戦前の教育勅語に代わり、日本国憲法の精神にのっとって教育の基本を確立するため、昭和22年に制定されたもので、教育の基本理念、義務教育の無償、機会の均等などについての規定があり、すべての教育法規の根本法となっている。
  現在、この教育基本法の制定から半世紀以上が経過したが、その間、教育水準は向上し、生活が豊かになる一方で、都市化や少子高齢化、国際化などによって教育を取り巻く環境は大きく変化し、様々な課題が指摘されている。このような中、新しい時代の教育の基本理念を明確にして、国民の共通理解をはかりながら国民全体で教育改革を進めるために、教育基本法を改正する必要があると考えている。
  平成12年12月に教育改革国民会議から教育基本法の見直しが提言され、平成15年3月には、中央教育審議会から「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」という答申がなされた。その後、教育改革タウンミーティングなどを通じて国民的な議論を深め、また、与党においても、「与党教育基本法改正に関する協議会」、「同検討会」を中心として取りまとめを行った。
  これらの検討を踏まえて、政府では本年4月末に教育基本法の改正案を国会に提出したが、現在、継続審議となっている。文部科学省としては、速やかな成立を目指して全力を尽くしてまいりたいと考えている。
  教育基本法改正法案のポイントについてご説明させていただく。今回の改正案の基本的な考え方は、「個人の尊厳」や「人格の完成」など、現行法に規定されている普遍的な理念は引き続き規定しつつ、今日重要と考えられる事柄を新たに加えるというものである。
  法案の第1章に規定している「教育の目標」は、5つに分類して規定している。第1に、教育の最も基礎的な機能である知識、教養の習得や、豊かな情操と道徳心の涵養、健やかな身体の育成を新たに規定している。これは、知・徳・体に対応するものである。
  第2に、自己実現を目指す自立した人間を育成するという観点から、個人の価値を尊重し、その能力を伸ばし、創造性を培うことを規定している。また、ニート、フリーター問題などが指摘され、職業観の育成が求められていることから、職業との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うことを新たに規定している。
  第3に、国民一人ひとりが自らよりよい社会づくりに取り組むことが重要な責務であるという観点から、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うことを新たに規定している。
  第4に、生命や自然、環境を大切にし、自然との共生をはかることが重要であるという観点から、生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うことを新たに規定している。
  第5に、グローバル化が進展し、日本人が国際社会で活躍する時代に、日本人としての自覚を持ち、伝統や文化についてしっかりとした認識を身につけることが求められている。同時に、他国やその伝統や文化を尊重することが、日本が信頼されるために必要である。こうした観点から、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うことを新たに規定している。
  その他、人々が生涯にわたって学習に取り組むことが不可欠となっていることなどを踏まえ、第3条に「生涯学習の理念」を教育に関する基本的な理念として新たに規定している。また、第4条に「教育の機会均等」を規定し、障害のある者が十分な教育を受けられるよう、国及び地方公共団体は必要な支援を講じなければならないと規定している。
  法案の第2章「教育の実施に関する基本」では、現行法にも規定のある、義務教育、学校教育、教員、社会教育、政治教育、宗教教育に関する規定については、引き続き規定したうえで、その見直しを行う。例えば、現行法にはない義務教育の目的について、改正案では、一人ひとりの能力を伸ばしつつ、社会において自立的に生きる基礎を培うとともに、国家、社会の形成者を育成することであると規定している。
  また、大学、私立学校、家庭教育、幼児期の教育、学校・家庭・地域の連携協力など、現行法には規定されていない条文を新たに追加している。このうち家庭教育の条文では、すべての教育の出発点である家庭教育の役割を規定し、幼児期の教育の条文では、幼児期の教育が極めて重要であり、国及び地方公共団体がその振興に努めるべき旨を規定している。学校・家庭・地域の連携協力の条文では、学校・家庭・地域社会のそれぞれが、子どもの教育における役割と責任を自覚し、相互の連携協力に努めるべき旨を規定している。
  法案の第3章「教育行政」では、教育の中立性、不偏不党性を求めることを規定し、国及び地方公共団体の役割や、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講ずることを新たに規定している。
  また、教育改革を実効あるものとするためには、新しい教育の目的や理念をさらに具体化する施策を総合的、体系的に位置づけ、実施することが必要であり、法案において教育振興基本計画の根拠となる規定を、新たに設けることとしている。教育基本法が改正されれば、ただちに教育振興基本計画の策定に取り組んでまいりたい。
  教育振興基本計画では、信頼される学校教育の確立や、家庭・地域の教育力の向上など、我が国の教育の目指すべき姿を国民の皆様に明確に提示し、その実現に向けてどのように教育を振興し、改革していくかを明らかにしたい。教育振興基本計画の策定によって、国民の皆様のご理解をいただきながら、学校・家庭・地域を通じた社会全体の教育力を向上するための施策を、総合的かつ計画的に進めていこうと考えている。
  文部科学省のホームページでは、現在、教育基本法案の専門コーナーを設け、法案に関する様々な資料等も見ることができる。また、法案に関するご意見も受け付けているので、ご意見をお寄せいただきたい。
  教育基本法を見直すことは、教育改革の第一歩となるものである。そして、学校・家庭・地域が一体となって、社会全体で教育改革に取り組んでいくことが重要である。本日は皆様との率直な意見交換を通じて、教育の在り方について、共に考えてまいりたい。


  会場からの主な発言と大臣、その他登壇者からのコメント
     
 

教育の目標、幼児期の教育について

     
  教育基本法案の教育目標の中に「我が国と郷土を愛し」とあるが、愛するのは当然であり、さらに「我が国、そして故郷を誇る」ような心を育てる施策を講じてほしい。幼児期の教育は大切であるが、幼稚園の教育はどのように変わるのだろうか。また、幼稚園の先生や保育園の保育士の力量を向上させるため、どのような研修が検討されているのか。(主婦)
  英語がいくら話せても、日本文化について語れなければ、国際社会で日本人は、誇りを感ずるどころか日本人として認めてもらえない。学校教育の中で、日本の伝統文化、芸術、音楽といったものに対する認識をしっかりと植えつけておくことが必要であり、それを誇れるような教育にしていきたい。
  幼児期の教育については、先の通常国会で、「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律案」を成立させ、この10月から「認定こども園」の認定が始まる。これは、保育園はあるが幼稚園のない地域については、幼稚園にいくべき子どもがいれば、保育園に幼稚園を併設することができ、幼稚園はあるが保育園がないという地域で、母親が働きに出ている場合、保育の必要な子どもがいれば、幼稚園に保育園を併設して預かることができるなど、幼稚園的な利用の子どもも保育所的な利用の子どもも認定こども園において受け入れるという制度である。また、保育所は厚生労働省担当、幼稚園は文部科学省担当であり、申請、認可の手続きが違うが、一体的に事務を行うこととしている。各都道府県の教育委員会、あるいは地方自治体、基礎的な自治体の役場においては、統一的にできる窓口を設置していただき、補助金の申請等も統一した窓口で受け付けられるようにしたい。(小坂大臣)
  「認定こども園」が正式に始まるが、東京・品川区もそれに先駆け、幼保一元化施設として、保育園と幼稚園を一緒にした施設を作った。子育ては大変だし、女性が自分のキャリアを続けていこうと思うと、なかなか出産に踏み切れない。しかし、0歳児からの保育所というのを増やしていくことが、はたして本当によいことなのか、疑問である。0歳児を保育するにあたり、月におよそ55万円公費を支出するという試算がある。この分を、施設保育ではないかたちで育児支援メニューを増やすことができないかと、実際に子育てをしている母親として常日頃感じている。母親のためにやってもらいたいことはたくさんあるが、やはり子どもの健全な育成のために、親に対してもう少し幅広い支援の手があってもよいと思う。(細川氏)


 

地域の教育について

     
  教育基本法案を読み、これを実行するのは自分たちだと思った。地域の教育については、自分たちで決めていかなければ責任は持てない。預ける親として、預かる社会の一員としての住民の意思が、地域の教育の組織に反映されるために、国はどう考えているのか。また、社会教育、生涯教育が軽んじられているようだが、大切な分野だと思う。(主婦・児童館館長・市社会教育委員)
  法律を実行するのは自分たちだと考える方が増えれば、地域の教育力はどんどん充実すると思う。地域の教育力を生かすためには、地域の皆さんが自分たちの伝統文化をしっかりと誇れるよう、子どもたちに教えるということも必要であり、地域でまず計画を立てていただき、教育の地方自治を進めていくことが必要だと考えている。そして、それぞれの地方自治体の教育力を、教育委員会制度の中に反映できるような教育の分権を進めてまいりたい。
  また、地方教育委員会の責務として、中核市、または基礎的自治体である市町村の教育委員会にも、これからこの社会教育について主体的に計画を進めることができるような分権を進めていきたいと考えており、今後、法律的な整備を進めてまいりたい。(小坂大臣)
  教育委員をしていて、何か問題が起きたとき、なぜもう少し家庭に対して教育委員会や学校が関われないのかと、非常にジレンマを抱えることがある。行政は公権力であり、なかなか家庭には踏み込んでいくことができない。そうした中、家庭は家庭の問題だけではなくて、地域や行政、学校などがみんなで連携し、一つの問題を考えていくことができるようになるのが、教育基本法案第13条の家庭・学校・地域の連携であると思う。この法律ができることによって、そのあたりの意識が変わってくることを期待している。(細川氏)
     
  私の出身地の学校では、郷土芸能や郷土料理を学ぶなど、地元に根付いたカリキュラムが行われているにも関わらず、若年層の人口流出や、農業従事者の後継者不足が問題となっている。地元産業を活性化して、人口流出を止めるためにはどうすればよいか。こういったことも視野に入れた教育改革をしてほしい。(学生)
  産学連携は非常に大切だ。地域活性化は、大学が地域と一緒になって取り組むことが第一だと思う。同時に、大学としての研究の場が、地域の特産品の育成といった中にアイデアを出したり、自分たちの研究成果とマッチングをしたりすることが、大きな力になると思う。産学連携は総務省が中心に行っており、地方自治体の産学連携の事例集や、地域活性化事例集等、いろいろな市町村の取り組み事例集が総務省にあるので、ぜひ見ていただきたい。郷土芸能等を教育として学んでいるような地域であれば、必ず生き残っていくだろうと思う。(小坂大臣)
  私が非常勤講師をしている星槎大学のある北海道の芦別市は、もともとは炭鉱の町である。旧炭鉱の町というのは生き残りのためにいろいろな策を講じているが、芦別市は教育機関を置こうということで力を入れ、市からかなりの多くのバックアップを得て成り立っている。そのようなかたちで自治体もよい教育、よい高等教育機関をおくことによって、ある程度の人口流出に歯止めをかけられるのではないかと思う。(細川氏)


 

教育基本法の改正について

     
  青少年犯罪などの社会的な諸問題は、現行の教育基本法を無視した学歴重視の教育や、国旗国歌を強制する政治が原因だと思う。全国学力テストの実施は、学歴社会を助長させるものではないか。現行の教育基本法を変える必要はなく、現行法を守るべきだと思う。(高校教員)
  現行の教育基本法には、例えば、私立学校、幼児教育、生涯学習についての規定等、足りない部分もあるのではないか、また、教育振興基本計画の策定など、長期的な視野に立って計画的に教育の再生を行う必要がある。今回の改正をひとつの弾みにして、国民の教育に対する意見の再活性化を図っていきたいと考えている。
  また、日本の国歌は君が代であり、日本の国旗は日の丸である。これをしっかりと理解する日本人を育てることが、国家のアイデンティティーを確立させることの基本であると考える。
  全国学力・学習状況調査については、平成19年4月24日に、全国一斉に小学6年生と中学3年生の国語と算数・数学を調査する予定である。現在、地域によって学校における子どもの学習の仕方に相当な違いがあり、保護者からも心配する声が出ているので、現状を把握し、それに対応した新たな対策をとるために学力調査が必要と考えている。その際、学力偏重、学校選別、格付けといったことが起こらないよう、個別の学校や市町村単位での公表はせず、大都市、中核市、その他の市、町村、へき地という単位で公表し、学力の格差が出てきたところには、底上げするための対策を考えていただきたい。そうして、全国的な学力の均一化をしっかりと達成していきたいと考えている。(小坂大臣)
  現行の教育基本法ができたころとは、現在はまったく状況が違う。諸外国では、およそ20年で基本法を改善しているところもあるが、日本はもう50年以上経っている。教育は次の世代に対する責任であるということを理解し、今の時代に合わないところは直さなければならない。世論は、基本法の改正については過半数の国民がやるべきだという意思を持っている。
  皆さん、子ども達の学力に満足していますか。学校は、子どもたちにいろいろなことを教え、力をつけさせるところである。しかし、現在、各地域の学力調査の結果を見ると、できる学校とそうでない学校への二極分化が進んでおり、子どもたちの学力も心の成長も、問題ある状況になっている。そのため、実態調査として、全国学力テストを実施する。学校や個人のいたずらな競争心を煽らないよう最大限の配慮はしつつも、実態把握のために学力調査は必要だということを、皆さんにもご理解いただき、支援していただきたい。(梶田委員)
  東京・品川区では、新しく中学1年生になる小学校6年生に対して独自に学力定着度調査を行っている。結果は、設問ごとの出身校別の正答率を公表し、どこの学校の、あるいはどの先生の教え方が今ひとつ足りないのか、という実態を知ることができる。教育改革は、突き詰めると先生の力量に行きついてしまう。子どもに学力がつかない、あるいは学問を習得できないのは、教え方に何らかの問題があることも一つである。その実態を知るために、学力調査を行うのであり、必ずしも子どもの序列化をするためにやっているものではない。
  現行の教育基本法は、昭和22年、日本が占領下にあった時代に作られた法律である。今、日本が独立国として既に50年以上が経ち、日本人の手で、日本人がどんな日本人を作りたいのか、ということを定める法律を作ることは、真っ当ではないかと思う。(細川氏)
     
  法はそれぞれの分野で、時代に即して変えていくべきだと思う。私はPTAの役員を務めつつ、PTA改革を行っているが、現行の教育基本法も、見直すべきところは見直して、早急に変えてほしい。(建設業)
  PTA活動が変わることは、教育改革につながるので、ぜひともご活躍をいただきたい。(小坂大臣)


 

学校・家庭・地域の役割について

     
  教育の原点は家庭教育だと思うが、家庭の教育力は低下している。教育を安心と温もりある場にすることを国民全員が願い、知恵を出し合っていくべきだが、国の体制はどのようになっているのか。教育基本法案には、家庭教育の規定が追加されており、大変期待している。教育は、学校、家庭、地域がその役割を明確にし、いろいろな取り組みをしていかなければいけないが、詳しい政策があればお伺いしたい。(主婦)
  教師は勉強を教えるだけの存在ではなく人生の師である。最近、教師の給料の切り下げや、少人数化という話が出ているが、我々はどうやって教師を大事にしていくかということに取り組んでいる。そこで、これから教師になる人や、すでに教師の方々に、より一層力をつけていただくための三つの柱を考えている。一つは、教職課程で「人間力」をつける教育もするようにする。二つ目は、教育のプロを養成するための教職大学院の創設。これから教師になる人、現職の教師、そして教育以外の学部を専攻した方などに、教師としての力量をつけていただくための大学院を創設する。三つ目は、教員免許の更新制。教育者としてはふさわしくないという理由があれば、免許を取り上げられるようにするものである。
  すでに、2001年の6月の法律改正で、力量のないと認められた教師は、1年間研修を受け、それでも認められなければ教師以外の仕事に就いてもらうことになっている。これは、世論調査でも支持されており、皆、先生方にがんばってほしいと思っている。(梶田委員)
  家庭の教育力の向上については、家庭教育手帳というものをつくり、子育て講座の全国的な開設とともに支援している。また、19年度から、子育てサポートリーダーというものを充実させ、家庭訪問型の育児相談等を実施して、子育ての不安を解消するという取り組みを行う。
  学校は、地域の皆さんの支援がなければ変わることはできない。学校が明るく楽しい場であるとともに、学びの場として活力が出るよう、皆さんのご協力をお願いしたい。教員免許更新制、教職大学院大学、教員評価とともに、来年には文部科学大臣による教員の表彰を行う予定だ。いろいろな先生が表彰を受けることで、本来の教員とはこういうものだということを、皆さんに理解していただく一助になればと考えている。(小坂大臣)
  初等中等教育分科会の中に設置された、教員給与の在り方に関するワーキンググループでは、教員の給与全体をどう考えるかという審議が始まるところだ。しかし、給与だけで考えるのは難しく、人事や先生方の評価、養成、免許更新制の問題、教職課程の問題等、いろいろと絡んでくる幅広い問題である。その中で、教員のモチベーションを上げる制度を作らなくてならないとおっしゃる方が大変多い。しかし、子どもたちに適切で適正な、質の高い教育を与えられるために、先生とはどうあるべきで、そのためにどういう給与制度が必要かを一番に考えなければいけないと思っている。(細川氏)


 

心や命の教育について

     
  いじめによる自殺や他殺など、少年犯罪が増えているが、これは命を軽視しすぎているからではないか。学力だけではなく、心や命の教育が大切だ。担任が一人では少ないので、「クラスカウンセラー」というような心を許せる先生が必要だと思う。(学生)
  最近、親殺し、学校内での殺人、プールの事故等、あってはならない事件が多い。命の大切さについて、学校でしっかりと教えたい。また、学校の先生方は大変忙しい。現状でも心理学などをマスターしたカウンセラーが学校に派遣されるようにはなっているが、クラス単位でもっと身近にという意見を生かせるよう、今後研究させていただきたい。(小坂大臣)
  教育というのは、ある部分「押し付け」という要素が必要である。例えば、ナイフで切ると痛いということを体験させて「人を切ってはいけない」と教えるのではなくて、「刃物は人を切るものではない」と理屈ぬきに教えるべきなのではないか。詰め込み教育の反省から、体験が重視されるようになっていったようではあるが、理屈抜きに教え込むということが、今の学校教育においても家庭においてももう少し必要なのではないかと思う。
  子どもの様子は本当に様々で、1人の担任の先生が40人の生徒をみるというのはとても大変なことだと思う。これは、教科担任制や学年担任制というかたちで、自治体の自費でやりくりをしているが、現実の子どもの実態を、もう少し国家予算の中に反映をしていただき、子どもの健全な育成のために何が必要かを考えることが大切ではないかと思う。(細川氏)
  命の問題は、特効薬が見つからないが、今は、家庭から幼稚園、小学校、中学、高校、大学まで、やれると思うことはみんなやろうという当たり前の結論を出している。兵庫県では、命の大切さを実感する教育を県下のすべての小・中・高に実施してもらうため、小学校向き、中学校向き、高校向きの具体的な指導案の冊子を作った。核家族等により、命に関わる体験が少なくなっている。命に関わる体験をしようとしても、体験は体験でしかない。それを、友達同士で話し合い、どう思ったかをまとめ、自分なりに生かす試みをしようというような様々なことが、活動計画の中に入っており、今年から実施している。実感、納得、本音のレベルで、命の大切さをきちんと教えなければいけない。(梶田委員)


 

当たり前の教育、総合型地域スポーツクラブの維持について

     
  人づくりの原点は教育である。早寝・早起き・朝ごはん、そして箸の持ち方や鉛筆の持ち方などが、学力向上につながっていくのであり、家庭、学校、地域で、当たり前のことを当たり前にできる教育が大切だと思う。また、中学校では部活ができなくなってきている。文部科学省の予算で総合型地域スポーツクラブを促進していたが、2年しか国の予算がつかないので、財政状況の厳しい地方では、続けていくことができない。これについてどうお考えか。(教育委員)
  「早寝・早起き・朝ごはん」は、文部科学省が言っただけではできない。社会教育団体、PTAの皆さんなど、いろいろな皆さんが参加していただき、国民運動として実施するのがいいと考えられている。食は、人間として当たり前の本能の行動である。かつては本能に基づいて食べるものはみんな安全だった。しかし今、BSEや残留農薬や鳥インフルエンザなど、いろいろな食品の問題が出てきたり、過度のダイエットで栄養をとらなくなってしまったり、朝食を欠食したり、いろいろな問題が出てきている。そこで、学校教育、地域教育も通じて、家庭でも食育に取り組んでいただいている。まさに、当たり前のことをもう一回見直そうという一つの流れである。
  地域スポーツ振興は、2年間予算はついているが、それを過ぎたら地域に任せるということになっている。しかし、2年間の予算を生かす意味でも、財務省としっかりと交渉したいと考えている。(小坂大臣)
  「早寝・早起き・朝ごはん」をがんばって実施しても、一方で「遅寝・遅起・朝食抜き」の父親がいるのはどういうことなのだろうか。子どもが生まれる前の母親学級を半ば強制的な両親学級にして、父親にもともに育てているという意識に、生まれる前になってもらうことも必要なのではないかと思っている。教育と子育てとは切っても切れないものであり、教育改革においては全省庁体制で考える必要があると思う。部活については、東京でも少人数の学校が増えてきており、野球やサッカーなど、定員に満たない部活動を合同で行っている。学校でのスポーツだけではなく、地域の人々の健康という観点からも合わせて、施策として地域スポーツや生涯学習などを行っているところもあるようだ。地域の実情に合わせた工夫を、自治体の方々にぜひやっていただきたい。(細川氏)
  当たり前のことを当たり前にやれなくなったのが、今の時代である。私たちは、今、挨拶ということを、学校や家庭におすすめしている。私の大学でも、学生や教員たちが挨拶し、ゴミ拾いや草取りもする。まずは挨拶をすることから始め、けじめのある社会にしたい。(梶田委員)


 

教育費について

     
  現行の教育基本法では「人格の完成」を教育の目的としており、国際社会の人権宣言に取り入れられており、素晴らしいと思うので守っていくべきだ。国連から、過度な競争を社会現場に持ち込まないよう勧告を受けたが、政府のフォローができていない。昭和41年の人権宣言では、全世界は教育費の無償化に向けて努力することを掲げているが、日本は背を向けていると思う。(無職)
  「人格の完成を目指す」というのは、本当に素晴らしい理念であり、世界中で学んでいただきたい。しかし、これはある意味、達成不可能に近いことである。だから、完全な人格を持つ人間を目指して、みんなが努力をするという一つの努力目標であると思う。教育費の無償化については、できればそうしたいと思うが、高校を卒業して就職し、一生懸命働いて税金を払っている方もいることを考えると、それで済むのだろうかということになる今いきなり無償化はできないため、大変にお金がかかることは事実ではあるが、各大学でしっかりと経営していただくためにどうすればよいか考える必要がある。このため、条約の中の教育の無償化部分については現在条件付きとしているところである。(小坂大臣)
     
  学校の先生には、より良い授業を考えるための時間がなく、また人手不足のため、臨時免許で自分の専門外の科目を教えることもある。これらは、学校にゆとりがないからではないか。義務教育費が減ったが、日本が教育にかける費用は貧弱だと思う。また、学力向上も重要だが、心や生き方も教える必要がある。(中学校教員)
  いろいろな先生方がいて、時間があるかないかには差があるのではないかと思う。教員給与の在り方に関しても、がんばっている先生にはよりがんばっていただき、あまり向いてない先生や、あまりやる気がないに先生は、それなりの待遇をするというような制度にしていかなければいけない。簡単には結論は出ないと思うが、結論が出るように全力を尽くしたい。(細川氏)
  教育問題は、歯がゆいことがいっぱいある。学校では、毎日100万人の先生が2000万人を超える子どもたちを指導している。急にどこかを手当てしてもうまくいかず、バランスを考えていかなければならない。そして、家庭でやること、幼稚園、小・中・高・大学という教育機関でやることに関わっているということを、お互いにしっかりと考えなければいけない。戦後60年、教育に関わる人たちは分裂し、対立し、抗争してきた。しかし、文句を言うだけでは、教育はよくならない。子どもたちの未来のために、ひいては、社会の未来のために、我々の子孫がもっと安全で人間らしい生活ができるために、手をつなぎあっていかなければいけない。(梶田委員)
  この世の中、すべてにおいてお金と時間が足りない。教員の方々が大変忙しいという状況は、現場を訪問するたびに感じている。努力すれば努力するほど、時間がなくなってしまうし、PTAや親からも、昔はこんなことを学校に要求してこなかったということが、今は要求され、本当に大変だと思う。しかし、国会議員も、通常国会で100数十本の法案を審議するために勉強し、週末は地元で有権者とのコミュニケーションとりながら、夏休みも土日もないような状態でやっている。お互いにがんばって努力しなければいけない。
  義務教育費の国庫負担は2分の1から3分の1になる。しかし、少なくとも全額保障するという制度だけは守っている。ただ、そうなったとき、地方の割合が増えるため、将来、大都市と地方都市の格差が生じる可能性がある。これをどう担保していくかは、これからの課題であり、次の政権でしっかり考えてもらわなければいけない。(小坂大臣)


 
―以上―
なお、速報版のため、修正の可能性あり。

[問い合わせ先] 内閣府大臣官房タウンミーティング担当室 電話 03-5253-2111(代表)


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