平成29年 青年国際交流事業に関する検討会(第6回)議事要旨

  1. 日時:2017年7月25日(火)15:00~17:00
  2. 場所:中央合同庁舎第8号館8階特別中会議室
  3. 出席者:
    牟田座長、池上委員、井上委員、竹尾委員、田中委員
    (内閣府)和田内閣府青年国際交流担当室長
    中村青年国際交流担当室参事官
    越田青年国際交流担当室参事官補佐
    金児青年国際交流担当室参事官補佐
    大部青年国際交流担当室参事官補佐
    吉田青年国際交流担当室参事官補佐
    坪井青年国際交流担当室上席政策調査員
  4. 概要:
    • ◇ 報告書のとりまとめについて
      • ・ 報告書の構成として、まずそれぞれの事業の青年像とカリキュラム・プログラムのあり方があり、その後事業経験者や委員会メンバー等の意見が示されており分かりやすい。それをどういう形で事業の改善につなげていくかがポイントとなる。
      • ・ 日本の青年がどうあるべきなのか、人材育成の目指すところは何なのかについて議論ができた。
      • ・ 一つ一つの事業のプログラム評価ではなくて、もう一つ上のある種の政策評価のような形で、人材育成がどうあるべきか、または国がやらなければならない人材育成はどういうものか明確になった。
    • ◇ 事業を通じて育成すべき青年像について
        国際社会で活躍できるグローバルリーダー人材の資質、地域の共生社会実現に貢献できるグローカル人材について
      •  諸外国には若いころからとにかく世界を変えようとする人たちが非常にたくさんいる。世界、社会を持続可能なかたちにすべてを持っていかないと、一番苦しむのはやはり子供たちということになる。初等・中等教育の段階から自分たちが大人になったときの役割みたいなものを意識させながら、大学等で学び、さらにこういう事業にも参加させて、課題解決の主人公にしていくといった、ある程度連続性のあるもののひとつという位置づけを是非していただきたい。
      •  SDGsが今「Transforming Our World」と提唱しているように、自分たちが大人になったときにどういう社会をつくっていきたいのか、どういう社会であってほしいのかということを、自分で考えられる、そのような青年というのはわかりやすいイメージ。
      •  持続可能な社会が求められている今、例えば貧困を世界の問題としてだけではなく、日本国内の課題としてどう解決できるのかというところまで、自分の身の回りのことをきちんと把握できるということが非常に重要。
    • ◇ カリキュラムの在り方
      •  人材育成のプログラムにおいては、アクティブ・ラーニングが非常に重要である。東南アジア青年の船だと、8つのトピックがあり、8人のモデレーターがいる。その8人のモデレーターに英語で3冊専門書または報告書を課題として出してもらって、参加者に事前に読ませてはどうか。トピックについて自分なりに考える視点が必要だ。たとえ英語は拙くても、自分の知っているトピックや、これは絶対に言いたいというものがあると、相手には十分伝わるもの。それを補強するためには専門書を3冊位読んでほしい。
      •  参加する人が多様なため大学で授業するようにはなかなかいかない面もある。ただ、知識水準をそろえて議論しないと、論点が相当ばらついてしまい、やりにくい面がある。参考図書を航海中に置くことも考えてはどうか。
      •  外国の方に伝えられる日本の良さを武器として日本派遣青年がもっていれば、もっと対等に話ができるようになる。日本の良さを知るためのカリキュラムが加わるとよい。
    • ◇ 青年の募集について
      •  今後のこととして一番大切なのは、応募してくる青年に対し、この事業が目指すものは何かを明確につたえること。これを応募要綱等に反映してほしい。各事業で何を目指すかが明確に伝わらず、期待したものとの間にギャップが生じたことが、日本青年の事業への満足度が低い結果となった要因かもしれない。
      •  コアコンピタンスをもっと明確に示したほうがいいのではないか。グローバルな人材、グローカルな人材のコアコンピタンスとは何なのか。それは語学力だけの問題ではなく、コミュニケーション能力や、まとめる力、共感する   力など、抽象的なものでもいい。少なくとも「グローバルに、グローカルに活動できる青年たちに求められるコアコンピタンスを明確にした上で、それぞれの事業に参加することで高まるものを整理してみる。
      •  日本のよさを自覚的に説明できることについて指摘があったが、大抵は自覚せずに参加し、参加した後に目が開かれる。自分のやっていることの意味を自覚するプログラムであることを示し、それを項目化することができると、ピンポイントに志望者が絞れるのではないか。
      •  大学で事業説明会を行う際、事業数が多いため網羅的な説明となり、学生にとってのインパクトが薄いという面がある。絞り込みやマーケティングの工夫が必要。例えばスーパーグローバル大学への働きかけ等、広報の濃淡必要ではないか。
      •  企業への働きかけももっと具体的にやってみてはどうか。中堅・中小で社会貢献意欲の高い会社の経営者の中で、声をかけたら社員を出してくれそうな企業はある。具体的に“どれくらい社会人を増やす”といった目標があれば、それに合わせた動き方ができるので、そこも明確化してみては。
    • ◇ 事業評価について
      •  今回報告書で「世界青年の船」と「地域コアリーダープログラム」の2つが取り上げられている理由を明確にしてはどうか。
      •  日本人参加青年のプログラムへの期待値のポイントが、外国人参加青年より低いということが印象的であり残念だ。この傾向がコンスタントに出るなら、どういう理由で低いか、個人要因等も詳しく分析し改善に生かすことが望ましい。
      •  効果がどう出たのか、中長期的にはどうなのか、議論されること多い。いろいろな形で模索されているが、さらに短期的なインパクトをどうはかるか等、もっといろいろな形の効果の測定を試みることが必要ではないか。
    • ◇ 青年国際交流事業の意義と今後望まれる方向性について
      ① 事業プログラムの在り方
      •  3年後の今頃はオリンピックが開催されている。東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、様々な世代が様々なかたちで参加する。参加青年が活躍できる場であることを意識して、積極的な能力の発揮を支援していく。その後の国際的な課題面に、より理解を深めるような機会にも生かしていくべき。
      •  オリンピックの前年にラグビーワールドカップがあり、日本全国の各地で試合をすることから、これがまさにグローカルである。2020年前後は国際イベントが目白押しになるため、それらをうまく活用することも一つの手法である。
      •  人材育成において、日本の青少年活動が本当に活発化しているのかどうか、その辺をもう一度見直すことがあってもいいのではないか。SDGsの日本の課題を考えるという意味では、地方創生に向け地方にいる青年たちとか、今どういうかたちの問題点が青少年活動の中に出てきているのかということを、考慮されてよい。
    • ② 人材育成に貢献
      •  人材育成の観点からいうと、何年もかけて成果を見ていく必要があるが、具体的な場がないとそれが見えにくい。東京オリンピック・パラリンピック競技大会は本当に良い機会だ。海外からの多くの来訪者を、日本人がグローバルな感覚を持って対応できれば印象が変わる。プログラムへの参加者が、この面で協力して質を上げることになれば効果が認められることになる。事後活動のなかで、勉強会やイベントの積極的な開催を行っていくとともに、東京オリンピック・パラリンピック競技大会のような国際的なイベントの運営企画やボランティアスタッフとして、プログラムの参加者も巻き込んでみてはどうか。
      •  終了に当たっては、身につけたスキルを対外的に示す意味で、資格を与えることを考えてはどうか。
    • ③ 参加青年のフォローアップ調査について
      •  フォローアップ調査は必要。今はEメールがあり、だんだんと捕捉できる人数は減るが、かなりの方は後々までできるのではないか。
      •  日本人と一緒に非常に密な生活をした人が世界のいろいろなところにいて、その人がその国で偉くなって、何かのときにまた日本を助けてくれるということは大事なことだと思う。日本を助けるだけではなくて、この事業に参加した青年との付き合いがあれば、10年20年たったときに、仕事でもいろいろな面でも役に立っていくのだろうと思う。
        日本人だけではなくて外国人も含めて、できる範囲でフォローアップを行い、外国人に対してどういうインパクトがあったかを調べることも次のプログラムをつくるときの役に立つ。
      •  外国青年が構築している独自のネットワークはかなり機能しているように思う。たとえば、5年・10年のスパンで参加者がどのような発展をとげたか、どう展開しているか、網羅的でなくともサンプリングのような形で、ネットワークを使って追いかけてはどうか。いろいろなところでネットワークがまだ生きていると思うので、それを使うともっと事業の効果が事例としてでてくるのではないか。
    • ④ 広報について
      •  アウトプットの問題として、事後活動を含めて出版物が送られてくるが、非常に多岐にわたり、しかも学会誌でもないので、媒体として微妙である。誰に向けて発信するのか、紙媒体のみならず、Webでの公開や、フォローアップ等もう一度見直してはどうか。もっと認知についても寄与するものがあるのではないか。
      •  参加青年を取材し、事後かかわっている活動を意識して捉え、広報に活用すると効果がある。
以上