青少年育成推進要綱

平成13年2月28日
青少年育成推進会議申合せ
平成14年10月21日最終改正


目次



一 基本方針



二 当面特に取り組む課題

第1 青少年の非行等問題行動への対応の推進

1 凶悪・粗暴な非行及びいじめ・暴力行為問題への対策の推進

2 薬物乱用対策の推進

第2 青少年の社会参加活動等多様な活動の促進

第3 児童虐待問題等への対応の推進



三 重点推進事項

第1 国民的な取組の推進

第2 青少年の健全育成活動の推進

1 青少年の多様な学習・体験活動の推進

2 青少年のボランティア活動への参加促進

3 青少年の国際交流の推進

4 高度情報通信社会に対応した青少年育成の推進

第3 家庭への支援の充実

第4 学校教育の充実

第5 職域における青少年育成施策の充実

第6 青少年の非行防止活動の推進

1 地域における非行防止活動の強化

2 非行防止に関する広報啓発活動等の推進

3 有害環境の浄化活動等の推進

4 青少年相談機関の充実と連携の強化

第7 少年事件等の処理体制及び非行少年の処遇の充実

第8 被害少年の保護対策の推進

第9 調査研究及び情報基盤整備の充実







一 基本方針

 次代を担う青少年の育成は,社会全体の責務である。
 政府は,青少年の育成を国政上の最重要課題の一つに位置付け,広範な国民の理解と協力を得ながら,教育,福祉,保護,矯正等多くの分野にわたる青少年にかかわる施策を,総合的に進めていかなければならない。
 青少年行政に関係する省庁からなる青少年育成推進会議は,緊密な連携の下に青少年の健全育成及び非行等問題行動の防止に関する施策を総合的かつ効果的に推進するため,青少年行政の基本的な方針,当面特に全政府的に取り組む課題に関する方針及び重点的に推進する事項に関し,この要綱を策定する。

(基本方針)
 21世紀を迎え,引き続き我が国社会全体が歴史的な転換期にある中,少子化,情報化,国際化,地域社会の変容等青少年を取り巻く環境も大きく変化している。
 このような中で,近年,青少年による凶悪事件の多発や薬物乱用問題,学校における生徒指導上の諸問題,児童虐待問題や少年が被害者となる凶悪事件の増加等青少年をめぐる問題は深刻な状況にあり,その対応は国民的課題となっている。
 政府としては,青少年をめぐる問題は,社会風潮や社会状況,家庭,学校,地域社会等広範な領域にわたる様々な要因が相互に絡み合った問題であり,社会を挙げた取組を総合的に進めていく必要があるとの基本認識の下,「次代を担う青少年について考える有識者会議」の提言(平成10年4月)及び第15期青少年問題審議会答申(平成11年7月22日)の趣旨を十分尊重し,また,その他の関係審議会の答申等,国会における審議の動向等を踏まえ,関係省庁等の連携を一層強化し,広く国民全体の理解と協力を求めつつ,青少年施策を総合的かつ効果的に推進する。
 政府の青少年行政においては,21世紀の社会のあるべき姿を念頭に置きつつ,すべての青少年が,社会とのかかわりを自覚しつつ,自律的個人としての自己を確立し,自己を向上させていけるよう支援し,また,健やかな成育を阻害する要因を除去していくことを基本方針とする。
 青少年行政の運営に当たっては,青少年問題審議会答申の趣旨を踏まえ,「青少年は地域社会からはぐくむ」という観点に立って,地域社会の構成員である家庭,学校,地域住民,企業,民間団体,関係機関が『開かれた』関係を構築し,地域で一体感を持った自主的取組を促進していく方向を重視するものとする。
 関係省庁は,相互に連携を図りつつ,青少年が様々な社会体験,自然体験,スポーツ・文化活動等を通じ,豊かな人間性や多様な個性をはぐくんでいけるよう,基盤的制度・システムの整備,情報提供,関係者のネットワーク化の促進等といった,民間・地域の主体的取組を誘発・支援するための環境整備に努めるとともに,これまで以上に,国民,民間団体との対話,協力を重視した運営に努める。
 また,高齢者施策,障害者施策,少子化対策,市民活動促進施策,男女共同参画施策,人権擁護施策等といった関連する行政分野との間の連携や国際的な取組との連携の強化にも,一層配慮するものとする。
 さらに,青少年の心身の健やかな成長のためには,幼児期から,成長発達権が十全に保障されていることが基本的な前提となることにかんがみ,青少年行政においても,「児童の権利に関する条約」(子どもの権利条約)の趣旨を踏まえ,子どもの権利の尊重及び擁護の促進に資するよう留意する。

(青少年行政の総合的な推進体制の見直しについて)
 青少年の育成が国政上の最重要課題の一つであることを踏まえ,青少年行政の総合的な推進体制をそれにふさわしいものとしていくことが重要である。このため,本要綱等がこれまでの青少年行政全般において果たしてきた役割を踏まえつつ,青少年行政の総合的な推進体制の見直しに着手し,国民へよりわかりやすく青少年育成の方向性を提示し,青少年行政をより一層総合的に推進するための基本となる計画(「青少年プラン(仮称)」)を平成15年度のできる限り早期に策定すべく所要の検討を行うものとする。


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二 当面特に取り組む課題


第1 青少年の非行等問題行動への対応の推進


1 凶悪・粗暴な非行及びいじめ・暴力行為問題への対応の推進

(凶悪・粗暴な非行への対策の推進)
 平成13年中の少年非行は,前年に比べ刑法犯少年の検挙人員が平成10年以来3年ぶりに増加した。凶悪犯の検挙人員は前年に比べ増加し,平成9年以降5年連続して2,000人を超えるなど,非行の凶悪化・粗暴化の状況がうかがわれ,さらに触法少年による殺人(未遂を含む。)が昭和35年以来の記録となるなど,極めて憂慮すべき状況にある。
 このような少年犯罪を未然に防止するため,「少年の凶悪・粗暴な非行等問題行動について当面取るべき措置」(平成13年2月28日青少年育成推進会議申合せ)の趣旨を踏まえ,引き続き以下の取組を推進する。
1) 非行の前兆となり得る問題行動等の段階での的確な対応
2) 悪質な少年犯罪に対する厳正な措置
3) 最近の特異・重大事件に関する動機・原因の解明
4) 非行等問題行動の防止にもつながる積極的な青少年健全育成施策の実施
[主要推進省庁:内閣府,警察庁,法務省,文部科学省,厚生労働省等]

(いじめ・暴力行為問題への対応の推進)
 公立小・中・高等学校及び特殊教育諸学校におけるいじめについては,平成13年度に約2万5千件発生しており,平成7年をピークに減少しているものの依然として憂慮すべき状況にある。また,公立小・中・高等学校の児童生徒による暴力行為については,平成13年度に学校内で約3万3千件,学校外で約5,100件と多数発生するなど,深刻な事態となっている。これらの問題の解決に向け,「弱い者をいじめることは人間として絶対に許されない」との強い認識に立って家庭,学校,地域社会の関係機関との連携の下に的確に対応し,相談体制の充実や児童生徒等への広報に取り組むなど,「深刻ないじめ問題への対応について」(平成6年12月27日青少年対策推進会議申合せ)の趣旨を踏まえた施策を引き続き推進する。また,新しい学習指導要領の下,わかる授業による楽しい学校の実現,体験活動の充実など心の教育の充実,教員の資質・能力の向上,スクールカウンセラーや「心の教室相談員」を配置するなど教育相談の充実,問題行動を起こす個々の児童生徒に着目したふさわしい関係機関からなるサポートチームの取組など学校・家庭・地域の連携の推進等,いじめ・暴力行為問題の解決に向けた取組を総合的に推進する。さらに,義務教育段階の子どもたちの教育を受ける権利を保障するために設けられている出席停止制度について,平成13年7月の「学校教育法(昭和22年法律第26号)」の改正を踏まえ,一層適切な運用を図る。
[主要推進省庁:文部科学省,警察庁,内閣府,法務省等]

2 薬物乱用対策の推進

 青少年の薬物乱用については,平成13年において,特に,覚せい剤事犯についてみると,検挙された少年は946人と高水準にあり,最近の少年の覚せい剤乱用の背景には,覚せい剤に対する抵抗感の希薄化,来日外国人による密売事案の増加などが挙げられ,依然憂慮すべき状況にある。こうした状況を踏まえ,青少年による薬物乱用の根絶を図るため,「薬物乱用対策推進要綱」(平成9年4月18日薬物乱用対策推進本部決定)及び「薬物乱用防止五か年戦略」(平成10年5月26日同)に沿って,関係機関の緊密な連携の下,学校における薬物乱用防止教室の開催の推進,薬物乱用防止広報車や視聴覚教材の活用等による学校内外における効果的な啓発の実施,密売等に対する取締りの強化,薬物を乱用した青少年に対する更生への支援,青少年が薬物乱用に至る背景の分析等,関連施策の一層の充実を図る。
[主要推進省庁:内閣府,警察庁,法務省,文部科学省,厚生労働省等]

第2 青少年の社会参加活動等多様な活動の促進

 21世紀の社会を担う人材の育成方策として,青少年の社会性,主体性等をはぐくむ上で,ボランティア活動,職業体験,自然体験,スポーツ・文化活動,環境美化活動等の青少年の社会参加活動を推進することは,極めて重要な意義を有するものである。
 このような認識の下,第15期青少年問題審議会答申,第4期生涯学習審議会答申(平成11年6月9日),第1期中央教育審議会答申(平成14年7月29日)等における提言や,第151回国会において社会奉仕体験活動,自然体験活動等の体験活動の充実等を内容とする「学校教育法」及び「社会教育法(昭和24年法律第207号)」の改正が行われたこと等を踏まえ,ボランティア活動をはじめとする多様な地域活動の振興,学校教育や社会教育における体験活動の充実等を通し,青少年が多様な人間関係を経験しながら主体的に活動できる場を充実していくとともに,青少年自身の積極的な参画を促進するため,「新子どもプラン」等に沿って,関係省庁の連携・協力により,指導者の養成・確保等も含めた体験活動の推進体制の整備などの広範な施策を総合的かつ計画的に推進する。
[主要推進省庁:文部科学省,内閣府,警察庁,厚生労働省,農林水産省,経済産業省,国土交通省,環境省等]

第3 児童虐待問題等への対応の推進

 青少年の非行等の問題の背景には,家庭や地域における子育て機能の低下があるが,近年,これらが性的被害も含めた児童虐待など,より直接的なかたちで顕在化しており,児童相談所における児童虐待に関する相談処理件数は,平成2年度1,101件であったのが,12年度に17,725件へと急激な増加を示すなど,深刻な状況となっている。
 児童虐待問題をはじめ家庭の子育てに関する問題については,予防対策及び早期発見,早期の適切な対応が重要であり,そのための地域ぐるみの体制整備を緊急に進める必要がある。
 また,家庭以外の場所で少年が凶悪な犯罪の被害者となる事件も相次いでいることから,このような問題に関しても,地域社会全体での対応を呼びかけつつ,関係省庁が連携して,犯罪の防止対策や被害を受けた少年の支援のための取組を促進する。
 これらの対応に当たっては,「児童の権利に関する条約」や関係法令の趣旨も踏まえ,関係機関の緊密な連携に努めつつ,青少年の権利の擁護,心身の保護,健やかな成育に関する国民の理解を深めるための教育や広報啓発活動の充実を図るとともに,以下の取組を推進する。

(児童虐待問題への対応)
 平成12年11月20日に,「児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)」が施行されたことを踏まえ,児童虐待防止施策の一層の推進を図るべく平成13年4月に厚生労働省に設置した虐待防止対策室を中心として,国レベルでの関係省庁間の連携及び地方レベルでの各種関係機関等の連携などを強化するとともに,児童虐待市町村ネットワーク事業の推進,乳幼児健診等の育児不安相談の充実,地域子育て支援施策の展開等の各種児童虐待防止対策の一層の充実を図る。
 また,平成13年12月1日の民生委員・児童委員の一斉改選において,主任児童委員の定数約6,000人の増員が図られたことを踏まえ,地域での積極的な活動を推進する。
 なお,児童虐待等の事件については,事案の解明に努め,事案の内容に応じて適切な処分と科刑を実現できるよう努めるなど厳正に対処することとする。
[主要推進省庁:厚生労働省,警察庁,内閣府,法務省,文部科学省等]

(少年が被害者となる犯罪への対応)
 学校は,児童生徒が集まって長い時間を過ごす場所であり,児童生徒が安心して教育を受けられるようにすることが重要であるが,平成13年の学校内への不法侵入者数1,771件,学校内での犯罪件数は41,606件で,それぞれ前年比416件,5,018件の増加となっている。こうした状況を踏まえ,各学校における安全管理の在り方について見直すとともに,各学校が行う緊急対策に対する支援,学校と警察等関係機関との連携強化,学校の安全管理に関する事例集等の作成,学校安全の推進のためのモデル事業の実施などの取組を行う。
 また,地域社会において,関係機関,関係民間団体,ボランティア等が連携して行う防犯活動等を推進することにより,地域社会における防犯機能を高め,少年の犯罪被害防止を図る。
 被害少年への支援については,学校や少年サポートセンター等の関係機関において,専門家によるカウンセリングを実施して心のケアを図る等により,心身のダメージから早期に回復できるよう対策の充実に努める。
[主要推進省庁:警察庁,文部科学省,内閣府,法務省,厚生労働省等]


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三 重点推進事項

第1 国民的な取組の推進

 青少年の健全育成及び非行等問題行動への対応の推進を図るためには,広く国民の理解と協力を得つつ,家庭,学校,職場,地域社会,民間団体及び行政が一体となって国民的な広がりを持った取組を行うことが重要であることにかんがみ,青少年の育成のための国民的な取組を推進する。国民的な取組の推進に当たっては,青少年問題審議会答申等を踏まえ,関係者の『開かれた』関係の構築,民間主導・地域主導の取組の促進,総合性の確保等の観点に特に留意する。

(国民運動の展開)
(1) 関係省庁,地方公共団体,関係機関・団体等のより一層の協力及び密接な連携の下に,「全国青少年健全育成強調月間」,「青少年の非行問題に取り組む全国強調月間」,「社会を明るくする運動」,「〔子どもと話そう〕全国キャンペーン」等において諸活動や諸行事を集中的・重点的に実施するとともに,これら諸活動等の内容を不断に見直しつつ,国民への定着に努める。各種の月間等の実施に当たっては,大人自身に向けた意識啓発,青少年育成に悪影響を及ぼすような社会風潮・社会環境の見直し,民間・地域住民の主体的取組の促進等といった観点を重視し,青少年育成は社会の責務であり,国民一人一人が取り組んでいくべきであるという機運の醸成に努める。
 また,青少年の育成のための国民運動を展開する団体を支援し,マスコミ団体や経済関係団体の協力を得つつ,国民運動の一層の広がりを持った推進を図る。
[主要推進省庁:内閣府,警察庁,法務省,文部科学省,厚生労働省等]

(広報啓発活動の強化)
(2) 青少年の育成について,広く国民各層や地域社会における関心を高め,その理解と協力が得られるよう,各種媒体を通じた広報啓発活動を積極的に行う。また,地域において青少年の育成にかかわる関係者が青少年をめぐる問題の現状や育成方策等について懇談・協議を行う機会を充実し,相互の連携を深める。このほか,青少年の犯罪被害や交通事故の防止等のための広報啓発活動についても積極的に行う。
[主要推進省庁:内閣府,警察庁,法務省,文部科学省,厚生労働省等]

(企業や情報メディアの取組の促進)
(3) 広く社会全体で青少年を育成する環境を整備していく観点から,企業や情報メディアの社会的な責任の自覚を促しつつ,青少年育成に配慮した企業活動や青少年育成に積極的に貢献する取組を促進する。特に,青少年に大きな影響を与えている情報メディアに対しては,青少年が人格形成過程にあることに配慮した情報提供の在り方について,情報の受け手との対話を重視しつつ,自律的に積極的な対応を講じていくよう促す。
[主要推進省庁:内閣府,総務省,文部科学省等]

第2 青少年の健全育成活動の推進

 青少年の健全育成を図る上で,ボランティア活動,職業体験等の社会体験,環境保全活動,森林保全活動等の自然と触れ合う体験や国際交流等の多様な活動を通じて,青少年の社会参加を推進し,人や社会,文化,自然と接する体験を豊富に得られるようにすることは重要である。また,国際化,情報化の著しい進展の中で,青少年の様々な手段を通じたコミュニケーション能力の向上を図っていくことが強く求められている。
 このため,平成14年度からの完全学校週5日制の実施も踏まえつつ,地域で青少年をはぐくむ環境を整備し,多様な活動を振興する体制を整備するため,「新子どもプラン」等に沿って,関係省庁の連携・協力により施策を推進する。
 青少年の多様な学習・体験活動の展開に当たっては,地域の小・中学校施設,公民館・博物館等の社会教育施設,文化施設等を多機能的に活用しつつ,地域社会の様々な資源を有効に活用していく観点に留意する。

1 青少年の多様な学習・体験活動の推進

(青少年育成のための地域活動の振興)
(1) 地域における青少年の健全育成活動を促進するため,青少年に多様な地域活動の機会と場の提供を行うとともに,関係省庁の連携・協力により,農家等での長期の自然体験,環境保全活動,森林保全活動,商業活動体験,国立大学等の教育機能の開放,博物館・美術館での体験型学習プログラムの開発など,その教育機能の活用による地域学習活動や博物館・美術館機能の活性化の促進,地域の様々な人材を活用した週末等における青少年の活動支援,スポーツに親しむ機会の充実,芸術文化活動や芸術文化の鑑賞の機会の充実,ふるさとの文化等の文化活動の充実等,青少年にとってより魅力的な体験活動が行われるよう,あらゆる取組を総合的に推進する。また,これらの取組に当たっては,青少年が乳幼児,高齢者,障害者等多様な人々と交流できる機会の充実にも努める。
 また,独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センターが行う,「子どもゆめ基金」による民間団体が実施する青少年の体験活動等への支援の推進を図る。
 さらに,学校外の学習・体験活動を積極的に評価していくことが重要であり,高等学校における単位認定の促進や生涯学習審議会答申及び第1期中央教育審議会答申(平成14年7月29日)を踏まえた所要の取組を推進する。
[主要推進省庁:文部科学省,内閣府,警察庁,総務省,厚生労働省,農林水産省,環境省等]

(地域活動に関する情報提供システムの整備)
(2) 「エル・ネット(教育情報衛星通信ネットワーク)」を利用して,学校が休業となる土曜日等に,全国の受信先の子どもたちに,一流のスポーツ選手や科学者が直接語りかけるなど,子どもたちの夢と希望をはぐくむ番組を提供する「子ども放送局」事業を実施する。また,全国の市・郡単位に設置する「子どもセンター」において,親や子どもたちの様々な活動に関する情報提供を行う。
[主要推進省庁:文部科学省]

(活動の場の整備充実)
(3) 児童厚生施設,社会教育施設,勤労青少年福祉施設をはじめ,スポーツ・レクリエーション施設,文化施設,野外活動施設など青少年活動や育成活動の場の充実を図る。
 その際,「身近で気軽に利用できる」,「小さなグループや個人でも気軽に利用できる」,「興味を持って利用できる」等といった青少年や地域住民の意見,要望を踏まえた柔軟な施設運営に努める。
 また,地域の子どもたちの体験活動の場にふさわしい水辺づくりや都市公園づくり,農業用水路,森林や漁港等の整備を進める事業を推進する。
[主要推進省庁:文部科学省,厚生労働省,農林水産省,国土交通省,環境省等]

(人材の養成,確保)
(4) 青少年の諸活動を促進するため,青少年の団体活動及び育成活動を行う関係団体を支援するとともに,自然体験活動指導者の共通登録制度の充実を支援するなど,活動に対し指導,助言等を行う青少年指導者の養成・研修の充実,地域の人材の有効活用を図る。また,専門的な指導者の人材確保を図るため,大学,研修機関等における養成・研修を充実する。
 さらに,指導者相互の連携を進めるため,指導者相互の交流機会の充実等を図る。
[主要推進省庁:文部科学省,厚生労働省等]

(子どもの読書活動の推進)
(5) 「子どもの読書活動の推進に関する法律」(平成13年法律第154号)の規定により,平成14年8月に閣議決定された「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」に基づき,子どもの読書活動の推進に関する施策の一層の充実を図る。
 このため,子どもが自主的に読書活動を行うことができるよう環境の整備を推進する観点から,家庭,地域,学校を通じた,子どもが読書に親しむ機会の提供,図書資料の整備などの諸条件の整備・充実,学校,図書館などの関係機関,民間団体等が連携・協力した取組,社会的気運の醸成のための普及・啓発等を推進する。
[主要推進省庁:文部科学省,厚生労働省等]

2 青少年のボランティア活動への参加促進

(参加促進のための環境整備)
(1) 青少年育成のための各種の運動や活動の展開に当たっては,第1期中央教育審議会答申(平成14年7月29日)の提言や,2001ボランティア国際年の取組を発展させるために国連総会で採択された「ボランティア活動支援のための勧告」(2001年12月5日採択)にも留意し,青少年期のボランティア活動の振興を重点の一つとして位置付け,できるだけ多くの青少年がボランティア活動に参加する機会を持つよう各般の機会を通じて働きかけ,社会的な機運の醸成を図る。
 また,青少年期のボランティア活動の意義への理解を広げるため,小・中・高等学校の教職員を対象としたボランティア活動に対する研修の実施,参加体験するための場の整備,種々の情報提供を積極的に行うなど,青少年が参加しやすくなるような環境整備を促進する。学校教育,社会教育,スポーツ・文化活動等においても,地域の関係機関等との連携による情報提供等を通じ,ボランティア活動を奨励するよう努める。
 さらに,企業等において,ボランティア休暇の拡大等の環境整備が促進されるよう配慮する。
 なお,ボランティア保険の周知を図るなど,安全に関しても十分配慮する。
[主要推進省庁:文部科学省,内閣府,厚生労働省等]

(人材の養成,確保)
(2) 活動を支える人材の確保に向けて,青少年のボランティア活動を促進する専門家(ボランティアアドバイザー,ボランティアコーディネーター等)を養成する場を充実する。
 なお,青少年と接する機会の多い教職員については,ボランティア活動に対する理解を持つようにすることが望ましい。このため,ボランティア活動に対する理解を教職員の養成,採用等に当たり留意する点の一つにするとともに,ボランティア活動に対する理解の増進に資するよう研修等において配慮する。
[主要推進省庁:文部科学省,内閣府,厚生労働省等]

(地域における関係機関,団体の連携強化等)
(3) 青少年団体,ボランティア団体,青少年施設,学校,受入れ施設等の関係者が,相互に情報交換等を行う場を設けるなど,地域における関係機関,団体の連携を図る。また,青少年期のボランティア活動に関する国内外における取組事例や人材等に関する情報を収集,提供し,各地域における取組の活性化に資する。
[主要推進省庁:文部科学省,内閣府等]

3 青少年の国際交流の推進

(国際交流事業の推進)
(1) 青少年が我が国の国際的立場などについての認識を深めるとともに,国際的な連帯感や協調の精神を身に付ける機会を充実するため,青少年の国際交流・協力活動を促進する各種の事業を推進する。その際,我が国全体として均衡のとれた相互交流の推進に配慮するとともに,世界への貢献を図る観点から,世界の青少年が交流できるような場を積極的に提供することにも努める。
 また,地域における国際交流・協力活動の充実を図るための施策を推進する。
[主要推進省庁:内閣府,総務省,外務省,文部科学省等]

(国際理解教育の充実)
(2) 内外の歴史・文化の学習や外国語教育の一層の充実に努める。
[主要推進省庁:文部科学省,総務省,外務省]

(施策・事業の連携の強化等)
(3) 国際交流に関連する施策・事業について,国の行政機関相互,国と地方公共団体,行政と青少年関係団体との連携・協力を強化する。
 また,交流プログラムの企画・開発,指導者の研修,交流のために必要な内外の情報・資料の収集,資料の作成及び提供等を充実する。この際,高度な情報通信手段等の積極的な活用を推進する。
[主要推進省庁:内閣府,総務省,外務省,文部科学省,厚生労働省,農林水産省等]

(事後活動の促進)
(4) 国際交流事業に参加した青少年の事後活動を奨励するため,情報提供その他の支援方策の充実を図る。
[主要推進省庁:内閣府,外務省,文部科学省等]

4 高度情報通信社会に対応した青少年育成の推進

 高度な情報通信技術を,青少年のコミュニケーションの選択肢を広げ,新たな社会参加の機会をもたらすものとして位置付け,学校における情報教育を一層充実するほか,青少年のメディア・リテラシーの向上,情報通信技術の青少年育成への活用方策について具体的な検討を進め,特に以下の諸施策について取り組む。

(情報発信・学習の支援)
(1) 青少年が利用する施設における必要な機器の整備,青少年相互の情報発信等を促進する取組等について積極的に支援・推進する。
 また,マルチメディア技術を活用した表現技法等,高度な情報通信を活用する能力を身に付けるための学習機会の充実等の環境整備に努める。
[主要推進省庁:総務省,文部科学省等]

(青少年育成関係者相互の連携のための活用)
(2) 高度な情報通信技術を活用し,青少年に対してもわかりやすい情報提供に努めるとともに,青少年の育成に関する情報の整理・提供,政府部内の連携の強化,様々な機関相互の連携のあっせん等に努める。
[主要推進省庁:内閣府,文部科学省等]

(情報提供等)
(3) 使いやすいソフトウェアの整備,ソフトウェア等に関する情報提供及びこれらを十分に活用した指導方法について,研究に努める。
 また,不適切な情報へのアクセスを防ぐいわゆるフィルタリングシステムの研究開発・普及,青少年が社会参加を進めるための活動に有用なアプリケーションの開発等を進める。
[主要推進省庁:総務省,文部科学省,経済産業省等]

第3 家庭への支援の充実

 家庭は,規範意識をはぐくむ等人格形成の行われる最初の場であり,子どもの成長にとって大きな役割を担うものであるが,近年,家庭における基本的なしつけの不足,親子の触れ合いや信頼関係の不足,家庭の地域社会からの孤立等家庭の教育機能の低下が各方面で指摘されている。
 このため,親や保護者がこのような家庭の重要性を認識し,家庭でのしつけの在り方や親の役割などについて見直すことができるよう知識の普及,広報啓発活動の充実に努めるとともに,家庭の育成機能を支援・補完する観点等から,子育て支援ネットワークの構築等の諸施策の充実を図る。また,その際,関係機関の連携の一層の強化に努める。

(学習・相談機会等の充実)
(1) 就学時健診や乳幼児健診等の機会を活用した家庭教育に関する講座の充実,「家庭教育手帳」,「家庭教育ノート」の内容等の改善を図った上で作成することとしている新たな子育てに関する資料の親への配布,幼稚園における子育て相談の開催等の子育て支援活動等により,親及び将来親となる青年層を対象に,父親・母親が子どもに対して果たすべき役割などの家庭教育に関する知識の普及や相談体制の充実に努める。その際,特に,乳幼児期における親子の信頼関係の重要性,基本的生活習慣の形成の重要性,思春期にある子どもとのコミュニケーションの重要性,協調・安定的な家庭生活や父親の子育てへの参画の重要性等についての啓発に努める。
 また,親が少年非行の実情を正確に認識し,気軽に少年非行に関する相談ができるよう,家庭に対し,少年非行に関する情報をより一層提供するとともに,相談機関等を積極的に広報するなどして,相談機会の充実を図る。
[主要推進省庁:文部科学省,厚生労働省,警察庁,内閣府等]

(子育て支援ネットワークづくりの推進)
(2) 健康な心を保つ観点に立った育児の在り方などについて,親子の指導・相談等を行う地域活動の振興を図る。また,孤立しがちな親等が,子育ての経験のある者等の協力を得て家庭教育について情報交換・相互扶助を行えるような子育て支援ネットワークづくりを推進し,地域の子育てサークルや学校,関係機関等も含め地域社会で一体となって家庭の子育てを支援する体制を整備する。
[主要推進省庁:文部科学省,厚生労働省等]

(家庭の育成機能に対する支援・補完)
(3) 市町村保健センター等を通じた乳幼児の保健指導等の推進,児童福祉施設における利用入所の推進,幼稚園における預かり保育の推進,「子育て支援基金」の運営など家庭の子育てに対する適切な支援方策の推進に努める。また,養育に欠ける子どもに対しては,家庭の育成機能を補完するための福祉関連諸施策の充実を図る。特に,児童相談所の対応力強化,子どもの虐待防止のための広報,啓発の充実等児童虐待防止施策の充実を図る。
 なお,家庭における育成機能を補完する観点からも,地域における子どものグループ活動,団体活動その他の児童・青少年の健全育成活動の振興を図る。
 さらに,職業を持つ親が仕事と育児を両立させるという観点から,育児休業制度の一層の定着を図るとともに,仕事と育児との両立を支援するための施策を推進する。
[主要推進省庁:厚生労働省,文部科学省等]

第4 学校教育の充実

 青少年の健全育成に学校教育が極めて重要な役割を果たすことにかんがみ,学校教育においては,自ら学ぶ意欲や思考力,判断力,表現力等の資質や能力の育成を重視し,個性を生かし,「生きる力」をはぐくむ教育を充実するとともに,「心を育てる場」としてその役割を見直し,「心の教育」を充実する観点及び地域に開かれた学校を目指す観点に立って,特に以下の諸施策を推進する。

(教育内容の改善)
(1) 完全学校週5日制の下,ゆとりの中で特色ある教育を展開し,子どもたちに豊かな人間性や自ら学び自ら考える力などの「生きる力」を育成することをねらいとして改訂した新学習指導要領の趣旨の徹底に努めるとともに,「心の教育」を充実する観点から,特に,道徳教育においては,校長や教頭の参加など指導体制の充実を図り,家庭や地域社会との連携を進めるなど,その一層の推進を図る。
[主要推進省庁:文部科学省]

(体験活動の振興)
(2) 学校教育においても,児童生徒の社会性や豊かな人間性をはぐくむため,平成13年7月に改正された「学校教育法」及び第1期中央教育審議会答申(平成14年7月29日)の趣旨を踏まえ,関係団体・機関との連携に配慮しつつ,ボランティア活動など社会奉仕体験活動,自然体験活動等の体験活動の充実に努め,それらの促進を図る。
[主要推進省庁:文部科学省]

(生徒指導の充実等)
(3) 各学校における生徒指導体制について,校長のリーダーシップの下,全教職員が一致協力して対応しているか,関係機関との実効性のある連携が図られているか等について教育委員会や学校で点検がなされるようにする。
 スクールカウンセラーの配置等児童生徒が悩みや不安を相談できる教育相談体制の充実,体験活動の充実など心の教育の充実,教員研修の充実等による教員の指導力の向上などにより,生徒指導の一層の充実を図る。
 とりわけ,深刻な状況となっている暴力行為等や薬物乱用等の非行については,平成13年4月に文部科学省の専門家会議が問題行動への対応方策についての報告を取りまとめたところであり,これも踏まえ家庭,学校,関係機関・団体等の地域社会がそれぞれの役割を果たしつつ相互に補完し合い,一体となった取組を行うことが重要であるとの考え方に立って,問題行動を起こす児童生徒を支援するサポートチームづくりを推進するなど,関連施策の一層の充実を図る。
 また,平成13年7月の「学校教育法」の改正に基づき,小中学校の出席停止制度の一層適切な運用を図る。
さらに,年々増加している不登校の問題については,適応指導教室等を中心とした不登校児童生徒の学校復帰のサポートのための地域ネットワークの整備を促進するとともに,文部科学省の専門家会議において,今後の施策の在り方について幅広い観点から検討を行い,より一層きめ細かい不登校施策の充実に努める。
 このほか,これらの問題や高等学校中退者等いわゆる学校不適応の問題に対応するため,生徒指導担当教員や養護教員の増員を図る。
[主要推進省庁:文部科学省,内閣府,警察庁,法務省,厚生労働省等]

(教育相談の機能の充実)
(4) 学校における教育相談機能の充実を図るため,スクールカウンセラーの配置の充実を進めるとともに,教職経験者や青少年団体指導者等の地域の人材を「心の教室相談員」として配置するほか,子どもの心の居場所をつくるため,「心の教室」(カウンセリングルーム)の設置を促進するなどの施策を充実する。また,各学校において,「相談週間」を設けるなどして児童生徒が悩みや不安を気軽に話せるような取組を行うようにする。
[主要推進省庁:文部科学省等]

(進路指導の充実)
(5) 中学校・高等学校段階においては,生徒一人一人の能力・適性,興味・関心,将来の進路希望等に基づいた進路指導を充実する必要があることから,指導資料の作成・配布,教職員の研修の充実等に努める。特に中学校においては,業者テストの偏差値等に依存することなく,適切な進路指導が行われるよう改善に努める。
 また,中学校においては職場体験,高等学校においては就業体験(インターンシップ)など将来の進路にかかわる啓発的な体験活動を積極的に実施し,生徒が望ましい職業観・勤労観や主体的な職業選択能力を身に付けることができるよう配慮する。
[主要推進省庁:文部科学省,厚生労働省等]

(情報化に対応した教育の充実)
(6) 新しい学習指導要領において,小・中・高等学校を通じて各教科や「総合的な学習の時間」においてコンピュータやインターネットを積極的に活用するとともに,中学校技術・家庭科で「情報とコンピュータ」を必修とし,高等学校で情報科を新設し必修とするなど,体系的な情報教育を推進し,児童生徒の情報活用能力の育成を図る。このため,平成17年度末までに概ね全ての公立学校教員がコンピュータを用いて指導できるようにすべく,「エル・ネット(教育情報衛星通信ネットワーク)」等を活用しながら,国・都道府県・各学校で体系的な研修を実施する。
 また,「e−Japan重点計画2002」を踏まえ,平成17年度までに各学級の授業において,コンピュータ等を活用できる環境を整備する。
[主要推進省庁:文部科学省,総務省,経済産業省等]

(学校評議員の導入)
(7) 学校が地域の信頼に応え,家庭や地域と連携協力し,一体となって子どもたちの健やかな成長を図っていくため,学校運営に関し,保護者や地域住民の意向を把握反映し,その協力を得るとともに,学校運営の状況等を周知するなど学校としての説明責任を果たしていくことができるよう,学校評議員の導入を促進し,より一層地域に開かれた学校づくりを推進する。
[主要推進省庁:文部科学省]

第5 職域における青少年育成施策の充実

 青少年がその適性と能力に応じた職業選択を行い,充実した職業生活を営み,有為な職業人,社会人として成長ができるよう,「第7次勤労青少年福祉対策基本方針」等に基づき,職業指導,職業紹介等の推進,職業能力の開発,ボランティア活動その他の余暇活動の促進等を通じた勤労青少年福祉の充実等に努める。また,農山漁村においては,その活性化にも配慮し,後継者の育成の支援に努める。

(職業・職場への適応の推進)
(1) 職業安定機関,学校等の教育関係機関その他の関係機関の緊密な連携の下,職業指導,職業紹介,インターンシップ,職業体験活動を充実するとともに,職業・職場に関する問題についての相談・指導,情報提供等の充実を図る。特に,関係省庁の連携の下,高校生の就職難等近年の深刻な雇用情勢への効果的な対策を緊急に講ずる。
 また,経済社会の変化に対応し,青少年の多様な適性等に応じた職業能力開発を進めるため,民間企業における計画的な職業能力開発の実施及び公共職業訓練の効果的な実施を促進する。
[主要推進省庁:厚生労働省,文部科学省等]

(従業員の社会活動等への配慮の充実等)
(2) 企業において,勤労青少年のボランティア活動の意義を積極的に評価し,その促進を図るとともに,従業員の家庭生活の充実や地域社会等における多様な活動への参加の促進に関して十分な配慮が行われるよう,また,企業の施設開放やノウハウの提供,学校教育への支援等青少年の育成に資する取組が促進されるよう必要な支援策を講ずる。
[主要推進省庁:厚生労働省等]

(農山漁村青少年の育成)
(3) 農山漁村青少年に対する各種の研修及び学習機会の充実,地域における集団活動や都市部を含めた他地域との交流活動の促進等により,農林水産業に従事する者として,必要な技術の習得及び意欲の向上を図り,これらの地域の将来を支える人材の育成を支援する。
[主要推進省庁:農林水産省]

第6 青少年の非行防止活動の推進

 平成13年中の刑法犯少年は13万8,654人(全刑法犯検挙人員の42.6%,少年1,000人当たりの検挙人員は16.0人)で,前年に比べ6,318人増加し,平成10年以来3年ぶりの増加となった。凶悪犯は5年連続,ひったくりは3年連続して2,000人を超えるなど,非行情勢は依然深刻な状況にある。また,学校における児童生徒による暴力行為等も増加傾向にあり,深刻な問題となっている。さらに,非行等のように外形的に現れる問題行動のみならず,社会生活への積極的な適応ができなかったり,その努力を避けたりする内面的な問題行動についても,注視していく必要がある。
 このような青少年の問題行動に適切な対応を行うためには,社会全体としての問題行動の認知機能の強化,家庭,学校,職場及び地域社会と行政との密接な連携による補導・保護活動等の一層の促進,悩みを抱えている青少年や親に対する適切な助言,援助等が重要である。これらにかんがみ,各相談機関をはじめとする関係機関・団体等の緊密な連携の下,地域における非行防止活動の強化,広報啓発活動の推進,青少年を取り巻く社会環境の浄化及び相談機能の充実に努める。

1 地域における非行防止活動の強化

(地域における体制の整備)
(1) 全国の警察に設置された少年サポートセンター等の関係機関の活動を充実・強化し,地域における街頭補導等の非行防止活動を組織的,計画的に展開するとともに,少年警察ボランティアをはじめとする少年の補導・保護活動を行う民間団体の活動に対する支援を図る。
 また,学校,職場,警察,青少年育成団体その他地域における関係機関・団体と地域住民が地域ぐるみで非行防止活動等を行うための連携・協力を促進する。
[主要推進省庁:警察庁,内閣府,法務省,文部科学省,厚生労働省等]

(補導活動の強化等)
(2) 少年サポートセンター,少年補導センターをはじめ,その他の関係機関・団体が密接な連携の下,計画的な街頭補導等を推進する。特に,重大な非行の前兆ともなり得る不良行為等の問題行動の早期発見を図るため,補導活動を強化するとともに,家庭等で適切な指導ができるよう必要な援助を行う。また,補導活動等により把握した不良行為少年等について,非行への発展を防止するために特に必要があるときは,少年やその保護者に対し,継続的な助言・指導を実施する。他方,薬物乱用の広がりが深刻な問題となっていることにかんがみ,薬物乱用少年の早期発見・補導活動を強化するとともに,関係機関の実質的な連携が図られるよう各機関の専門家によるチームを結成して,継続的な指導・助言を行い再乱用防止を図る。
 さらに,非行グループや暴走族グループ等については,関係機関・団体との連携の下にグループからの離脱支援や,離脱後の居場所づくりの推進に努める。
[主要推進省庁:警察庁,内閣府,文部科学省等]

2 非行防止に関する広報啓発活動等の推進

 第1の(2)の広報啓発活動の強化のほか,覚せい剤・シンナー等の薬物乱用及び飲酒・喫煙が青少年の心身に及ぼす弊害,テレフォンクラブ等に係る女子少年の非行及び被害の防止について,家庭,学校,地域社会において認識を深めるため,関係機関・団体と連携しながら,啓発資料や指導資料の作成・提供を行うなど,広報啓発活動を推進するとともに,薬物乱用防止教育や健康教育を充実する。
 特に,覚せい剤等の薬物の乱用が少年の間にも広がり深刻な問題となっていることにかんがみ,少年やその保護者等に重点を置いた薬物乱用防止のための広報啓発活動に取り組む。また,青少年に薬物乱用の危険性,有害性を的確に理解させるため,学校教育において,警察等関係機関との連携の下, 薬物乱用防止教室を全国的に開催するなど薬物乱用防止に関する教育,指導の一層の充実を図る。
[主要推進省庁:警察庁,内閣府,法務省,文部科学省,厚生労働省等]

3 有害環境の浄化活動等の推進

 様々なメディアに性や暴力に関する情報が氾濫しているほか,いわゆる出会い系サイトやテレフォンクラブ等の営業の多様化に伴い,これらへの接触を契機として福祉犯の被害者となったり非行に及ぶ青少年がみられる。青少年を取り巻く社会環境は,発達途上にある青少年の人格形成等に強い影響を及ぼすことから,特に青少年に対する悪影響が懸念される有害環境については,社会において十分な配慮がなされることが必要である。

(各種メディアを通じた有害な情報等)
(1) 各種メディアを通じた青少年にとって有害な情報等に関する問題に対しては,情報化社会の進展に対応する観点も含め,「青少年を取り巻く環境の整備に関する指針」(平成13年10月19日青少年育成推進会議申合せ)の趣旨を踏まえ,各種の月間等の機会を捉えた国民の意識啓発の推進,各種の調査研究の実施やPTA等の第三者の民間団体によるメディアのモニタリング調査等の支援,青少年のメディア・リテラシー向上のための教育の推進,都道府県警察による関係法令に基づく取締りの促進,関係業界団体等との意見交換の実施に取り組む。また,同指針に基づき,地方公共団体に対して,青少年の保護育成に関する条例等に基づく取組や住民等による各種環境浄化活動のより一層の推進を要請するとともに,関係業界団体等に対して,各業界の実情に応じたより一層の自主規制の取組の充実や青少年のメディア・リテラシー向上のための取組の推進等を要請する。
[主要推進省庁:内閣府,警察庁,総務省,法務省,文部科学省,厚生労働省,経済産業省等]

(飲酒及び喫煙)
(2) 法律により飲酒や喫煙が禁止されている未成年者が酒類やたばこを容易に入手できるような環境の浄化についても,関係業界への働き掛けを強化するほか,法令に基づく取締りを行うなど幅広い観点から引き続き効果的な取組を推進する。特に,未成年者の飲酒の問題に関しては,「未成年者の飲酒防止等対策及び酒類販売の公正な取引環境の整備に関する施策大綱」(平成12年8月30日酒類に係る社会的規制等関係省庁等連絡協議会決定)に盛り込まれた関係施策を着実に推進する。
[主要推進省庁:警察庁,財務省,内閣府,総務省,文部科学省,厚生労働省等]

(その他)
(3) 「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)」の趣旨を踏まえ,風俗営業及び性風俗関連特殊営業等に関して,少年の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止を図る。
 また,暴力団が依然として青少年に加入の勧誘をしたり,青少年の福祉を害する犯罪に関与するなどして青少年の健全な育成を阻害している。したがって,関係機関・団体,民間ボランティア等と連携して,青少年の健全な育成を阻害する暴力団等から青少年を保護するための活動を推進する。
 このほかにも,法令に違反した行為等により,青少年を取り巻く環境に様々な問題がみられる。したがって,「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」も含め青少年の保護にかかわる関係法令による規制を厳正に行うとともに,青少年の保護育成に関する条例の効果的な運用の促進に努めるほか,非行を誘発しやすい環境や条件の改善について関係者の協力を求める。
 特に,いわゆる出会い系サイトに係る児童買春等の犯罪が急増していることから,「「出会い系サイト」に係る児童買春等の被害から年少者を守るために当面講ずべき措置」(平成14年10月21日青少年育成推進会議申合せ)に基づき,諸施策を推進する。
[主要推進省庁:警察庁,内閣府,総務省,法務省,文部科学省,厚生労働省,経済産業省等]

4 青少年相談機関の充実と連携の強化

(相談機関・機能の充実)
(1) 非行その他の問題行動に悩んでいる親や悩みを抱えている青少年に対し適切な助言,支援を与えることができるよう,相談機関の整備・充実を図る。その際,第15期青少年問題審議会答申等を踏まえ,関係省庁が十分協力し,警察による少年相談,学校による教育相談,児童相談所の相談等の各相談機関相互が緊密に連携できるようにするほか,少年サポートセンター等を中心に,少年補導センターや民間で活動を行う団体等の関係機関・団体が相互に機動的な情報提供や協力依頼ができるようなネットワーク化を推進し,連携を一層強化する。
 また,青少年や親が気軽に相談できるよう,24時間いつでも電話で相談できる体制の整備,住民が利用しやすい場所への総合的な相談窓口の設置,巡回相談機能の充実といった地域ぐるみでの非行防止のための体制づくり等を推進する。
[主要推進省庁:内閣府,警察庁,法務省,文部科学省,厚生労働省等]

(相談活動の改善充実)
(2) 相談活動について,問題の状況によっては,面接カウンセリングのみならず,並行して,対人関係を促進するグループ活動等いわゆる活動療法を取り入れるなど,多面的な対応ができるよう努める。
 また,一定地域ごとに,統一テーマを設けて「相談強化月間」を実施するなど,各分野の相談機関の専門家が連携して的確な支援ができるようにし,相談を必要としている人にとって相談機関が一層身近なものとなるよう体制の整備・充実等を図る。
 なお,薬物乱用少年については,立ち直るまで多面的な対応が必要とされるため,各機関の実質的な連携が図られるよう各機関の専門家によるチームを結成し継続的な相談・指導を行うことができる体制を整備する。
[主要推進省庁:内閣府,警察庁,法務省,文部科学省,厚生労働省等]

(相談担当者の資質の向上)
(3) 相談に従事する担当者の資質の向上を図るため,それぞれの相談機関の相談担当者の研修を充実させるとともに,カウンセラー等の専門家の養成に努める。
 また,児童相談所,教育センター,少年院,少年補導センター,勤労青少年ホーム,保健所,医療機関,大学,警察,法務局,少年鑑別所,保護観察所等の異職種の相談担当の専門家や学校の教師などによる合同の研修や事例研究会,研究協議などを促進する。
[主要推進省庁:内閣府,警察庁,法務省,文部科学省,厚生労働省等]

(相談に関する広報の充実)
(4) 各種相談機関の機能,役割,利用方法について,周知を図るための一覧的な資料の作成・配布等により,各種相談機関の利用の促進を図るなど,広報活動を推進する。
[主要推進省庁:内閣府,警察庁,法務省,文部科学省,厚生労働省等]

第7 少年事件等の処理体制及び非行少年の処遇の充実

 少年による非行の早期発見及び非行の再発防止を期し,青少年の健全育成を図るため,保護者や教員を含め関係機関の連携を一層強化し,少年事件等の処理体制の充実強化を図るとともに,矯正処遇及び更生保護の充実に努める。

(少年事件の処理体制の充実強化)
(1) 少年事件における捜査・検察体制を充実・強化するとともに,警察,検察庁,家庭裁判所,少年鑑別所,少年院,保護観察所,児童相談所,児童自立支援施設等の関係諸機関相互の連携を一層強化し,非行事実はもとより,非行原因等についても総合的に考慮して適正な処遇の実現を図る。
[主要推進省庁:警察庁,法務省,厚生労働省]

(矯正処遇の充実)
(2) 少年院,少年刑務所等の矯正施設における矯正教育を充実するとともに,関係機関,保護者等と緊密な連携を図り,少年の社会への円滑な復帰を図る。
 また,児童自立支援施設においても,学校等関係機関との連携強化により自立支援活動を充実し,児童の社会への円滑な適応を促進する。
[主要推進省庁:法務省,文部科学省,厚生労働省]

(更生保護の充実)
(3) 保護観察中の少年に対しては,保護観察官と保護司の協働態勢による指導や援助の充実を図るとともに,学校,地域の関係機関,民間団体やボランティアの協力を得て,少年の円滑な社会復帰を図る。
[主要推進省庁:法務省,文部科学省,厚生労働省]

第8 被害少年の保護対策の推進

 近年,凶悪犯罪やいじめ等の被害に遭う少年が増加していることにかんがみ,関係機関の連携の一層の強化に努め,被害少年の心身のダメージからの早期回復に向けた保護対策等を推進するため,以下の諸施策を推進する。

(福祉犯の取締りの強化等)
(1) 少年の心身に有害な影響を与え,その福祉を害する事件がみられることにかんがみ,青少年の権利の擁護に関する啓発等に努めるとともに,少年の福祉を害する事件について厳正な捜査・処理に努める。
[主要推進省庁:警察庁,法務省等]

(被害少年の支援対策)
(2) 犯罪やいじめ等の被害に遭う少年が増加していることにかんがみ,少年サポートセンターその他の関係機関の連携を強化するとともに,専門職員による継続的なカウンセリングを実施して心のケアを図る等により,被害少年の心身のダメージからの早期回復に向けた支援対策の推進に努める。
[主要推進省庁:警察庁,法務省,文部科学省,厚生労働省等]

(児童虐待に対する取組の強化)
(3) 児童虐待は,人格形成期にある児童の心身に深刻な影響を及ぼす重大な問題であるという観点から「児童虐待の防止等に関する法律」の趣旨に則り,関係機関の連携を強化して,児童虐待事案の早期発見及び適切な対応に努める。
[主要推進省庁:厚生労働省,警察庁,内閣府,法務省,文部科学省等]

第9 調査研究及び情報基盤整備の充実

 青少年にかかわる施策や各種の活動が効果的に推進されるためには,青少年の意識・生活実情や問題の背景・要因等についての的確な把握の上に,関係者が共通理解を持って施策・事業の展開に当たることが重要であることにかんがみ,青少年の意識・生活・行動,非行等問題行動に関する調査研究,諸外国の青少年,青少年施策等に関する調査研究の充実を図る。
 その際,青少年に関する調査を実施している関係省庁,関係機関,関係民間団体等の連携,情報の共有化を推進する。
 また,各方面で行われている青少年に関する調査・研究の成果等を収集・整理・分析し,これらの情報を提供する機能の充実を図る。
 さらに,国民的な取組の推進に当たっては,青少年も含め,各自が持つ様々な情報を発信し共有できる双方向的な情報基盤の整備が重要であることにかんがみ,青少年のための総合的な情報ネットワークシステムの整備を進める。
[主要推進省庁:内閣府,警察庁,総務省,法務省,文部科学省,厚生労働省]

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