総合科学技術会議 科学技術システム改革専門調査会

産学官連携プロジェクト第5回会合議事要旨(案)

 

 

1.日時: 平成13年10月17日(水)16:00〜18:00

2.場所: 虎ノ門パストラル新館5F 菊の間

3.出席者:

           佐々木 元     日本電気株式会社代表取締役会長 (当プロジェクト座長)

 

尾身 幸次   科学技術政策担当大臣

仲道 俊哉   大臣政務官

 

石井 紫郎        総合科学技術会議 議員

桑原  洋                    

白川 英樹                     

前田勝之助                   同   (科学技術システム改革専門調査会 会長)

 

青木 昌彦        スタンフォード大学教授

阿部 博之        東北大学長   (当プロジェクト座長代理)

安西 祐一郎    慶応義塾塾長

小野田 武           三菱化学株式会社顧問

笠見 昭信     株式会社東芝監査役

岸   輝雄        独立行政法人物質・材料研究機構理事長

黒川  清           東海大学医学部長

関澤  義           富士通株式会社取締役会長

南谷  崇           東京大学先端科学技術研究センター長

松尾  稔           名古屋大学長

山下 義通     株式会社21世紀産業戦略研究所代表取締役社長

山本 貴史     株式会社先端科学技術インキュベーションセンター代表取締役社長

 

4.議題:

l                  今後の進め方について

l                  中間まとめ(骨子案)について

l                  第4回産学官連携プロジェクト議事要旨について

 

5.議事要旨

 

(1)今後の進め方について

(座長より、資料1について説明。)

 

(2)中間まとめ(骨子案)について

(資料2の産学官連携の基本的な考え方の部分について事務局より説明。)

 

 

新しい原理・原則という箇所であるので、産学官だから研究だけではない。原理原則は重要だが、インターネットでみられるように皆が使う文化をいち早く入れていくというのも必要だと思う。ウォークマンみたいなものが例として挙げられる。そういうところも盛り込んでおかないといけない。

 

 

新たなる財・サービスの提供ということか。

 

 

世界に先んじて対応しないとデファクトもとれない。

 

 

キャッチアップからフロントランナーの時代の意味だが、実際は危機感が理念の中に入っているべき。中国の台頭というのはすごい。情勢認識、特に中国に対する危機感を出したほうがいいと思う。

米国大学R&D支出ランキングについてNSFの資料からとったものを配布させていただいたが、120円に換算すると3兆円強が大学全体で研究開発に使われていて、連邦政府からは2兆円弱渡されている。あと、州政府、産業界、民間等がある。トップのジョンズホプキンズ大学が約1000億円、9番目のMITが約500億円の研究費を扱っている。

日本の大学と比較してみたが、資料がないので事務局にいつか教えてほしいと思っている。東大のホームページからとったものを見ると、東大の科研費が150億円とある。米国の大学だと80番目くらいのあたりの大学に相当する水準になっている。これは何を意味するか考えた。研究費が少ないのではなくて、大学の科学技術研究活動全体が米国よりレベルが低いのではないか。人材、ファシリティも含めて小さいのではないか。遠山プランのトップ30にしてもハードルが高いのではないか。したがって、基本的な考え方の大学のあり方の部分に、産業界との連携だけでなく、大学での研究活動を活発にするという方策も反映させる必要があるのではないか。

 

 

日本の大学については、研究費、特に競争的研究費が少ないという点はご指摘の通り。しかし日本は研究成果で劣るかというとそうでもない。ISIのトータルサイテーションでも19の分野の中で、日本も3つくらいの大学はベスト5或いはベスト20に複数箇所で入っている。競争的研究費は少ないが、そのわりに成果は出ている。問題は、絶対額が少ないということと、国立大学には制約があるということがある。しかし民間資金を当てにする必要がないというのは間違いだと思う。米国の産学連携に熱心なところは国からの費用もたくさん入っている。日本の大学は今のままでいいということは言っているつもりはなく、産学官連携の推進に向けて飛躍が必要であることは重要。

 

 

産学官連携の指標で大学発ベンチャーの設立件数が出ているが、米国の場合は、基本的な研究があくまでも中心であって、ベンチャー設立それ自身は大学の仕事ではない。大学の先生や大学院生が大学から出て行って大学の外にベンチャーが設立されるわけであり、産学が連携しながらベンチャーが出てくるだけではない。日本でもそれなりに産学連携はやっていた。大企業にいる大学の卒業生と出身の研究室は密接な関係があったわけである。従来の産学官連携の仕方でいいのかという問題なのだと思う。またIMDの競争力年鑑はあまり権威ある評価機関ではないと思っている。日本の大学は最低だなどと卑下する必要はなく、むしろ元気付けることを言ったほうがいいのではないか。

 

 

山下委員のデータについて気をつけないといけないのは、米国の場合は大学院の学生を雇う資金が入っていること。東京大学は大学院生が約5000人おり、一人当たり約600〜700万円かかる。これを親や奨学金で払っている。この中身を知りたい。それがないと比べようがない。

 

事務局

NSFの支出ランキングの中には大学の教員の給与も入っていて、むしろ給与分が増えてきているということもある。科研費と人件費を加えたものを米国の場合と比較しないといけない。

 

 

文科省にデータを調べて出していただきたい。金を増やしたほうがいいと単純なことをいっているつもりはなく、米国の大学の方がアクティビティが活発なのではないかなという印象を受けた。

 

 

数字は一人歩きするので是非適切な分析をお願いする。

 

 

この資料は研究活動ということに特化した産学官連携に収斂している。それは一つの考え方。大学の機能として最大のものは人材の育成機能。産学官連携による人材育成は重要だと思う。海外の大学と連携をやってきて大学のリーダー達は異口同音に、内容を知ることによって学生たちの教育にフィードバックすることができるということ、より社会にマッチングした研究を組むことができるということを言っている。

 

 

3(2)が不満。本質的なシステムの議論をしないと変わらないのではないか。例えば米国はバイドール法で変わったが、これは、いわば国有特許をやめ、特許を大学帰属にしたということである。以前は米国の大学も440件だけしかなかったが、自身の財産となるため大学がどんどん取得するようになり、大学は知的財産を生み出すファクトリーとなって今では5000件生み出すに至っている。TLOが橋渡しとなりシステムとして大学が知的財産を生み出すインセンティブとなっている。

国立大学は法人格がないので特許を持つことができないが、日本版バイドールを国立大学に適用するかということに議論を突っ込まないと抽象的なところで終わってしまうのではないか。日本はまだ国有特許をやっているのは何か戦略があるのではないかと海外の者から言われる。大学が独法化しても財産である研究成果を自分たちで管理する体制を作らないと抽象論で終わってしまう。

5(1)で産業界も努力が足りないということを言っているが、橋渡しをしている立場から見ると、当然どこの会社でも大学の研究でいいものがあれば導入するのは当然となっていて、扱いやすいものであればどんどん使っていこうとしている。国有特許、国立大学の独法化に触れない総論はいかがなものかと思っている。

 

 

大学は学術の発展と人材の育成を通して社会貢献するということが使命だが、自由で個性的な研究をすることが基本。しかしこれだけの国費が使われている中で大学の研究者の新しい産業や雇用等の認識が不足するということは自省としてある。昔は大学の研究者は金のない中でやってきていたので、新しい産業・雇用というところに頭が回らなかった。今後頭が回るようにやっていかねばならないという意味で、4(1)の部分はこれでいいと思っている。

産学協同は進んできているが、官にも問題がある。中央省庁と地方自治体の役割分担の問題を入れるべき。名古屋でもいろんな人間が計画等を持っているが、リエゾンが非常に乏しい。自治体が中継して実行力あるものに作っていくことも大切かと思っている。

 

 

4の部分はどう大学を変えるかということとも関係する。私が産学連携をやりたいのは、そこが世界的にみて強い力をもっているから。世界的にみて個性ある技術、ポテンシャルを有するということが重要。そこがないと産業界としては魅力がない。

さらに、人材という意味では、大学院の学生、特にドクターの学生のポテンシャルが海外に比べて低い。日本の大学の教育は本当にきちんとやっているのか。

優秀な人材が産業界にもいけるし、広く世界で活躍するという流動性の問題も重要。

以上3つが重要。理念のところについては、優秀な人材が出てそれがうまく回っていくためのストラクチャーを社会システムとしてどうやって作っていくかという点がポイントではないか。

 

 

企業現場の開発ニーズを反映という箇所がある。このこと自体は否定をしないが、本当のところは日本の大学が、海外からみてもアトラクティブでフロンティアとしての研究を進めているかということが産業界にとって魅力的かどうかを左右する。したがって、これだけを言っていくのは総合科学技術会議としての見識が低い気がする。

 

 

日本の大学院のレベルの低さについて反省があるのは確か。人材育成に力を入れないといけない。人材育成については大学と産業界に非常に強い双方向的な相関性があると思っている。産業界が突出した人材を求めていたかというとかつてはそうではなかった。ここへ来て非常にレベルの高い独創的な人材を求められているので対応しつつあるのは事実だが、人材育成には一定の時間を要するということを理解いただく必要がある。

 

 

大学は、産業界におもねる必要はないが、世界的に輝く仕事をやろうとするならば、産業界とインターラクションをして大学自身の力で将来何が必要になるのかを見極めなければならない。この真のインターラクションが無いとこれまでと変わらない。産業界と議論して大学側からも提案型でやっていけるような形が望ましい。

 

 

いま言われたことだろうと思う。したがって、これだけだと大学が弱体化してしまう。

 

 

相互作用が重要だと思う。

 

 

大学が大学として本来の使命をやることが大前提だと思う。ここで、本来の在り方を判断していくときに、産業界なり社会的なニーズが一つの重要な要素だと思うが、現場の開発ニーズを反映してという表現が妥当か。民間との研究協力体制を積極的に進めることだけが基本姿勢として大事であるかのように誤解されるおそれがあり、もう一つ表現上工夫を要するのではないか。大学に企業がアウトソーシングすべきということについて、これはどういうことを考えているのか。

 

 

役割分担の中で、大学の基礎研究を企業が念頭において事業を行っていくと言う意味合いと考えている。

 

事務局

最近の企業は自前主義から変わってきている。コアコンピタンスのところの研究は維持しつつも、周辺のところは関係機関の能力を使っていこうという雰囲気をここの文章で表現している。

 

 

産業界において、一時期は大学からはいい素材をいただいて会社で育てていこう、技術も全部社内でやろうという雰囲気があった。しかし、今は大学と一緒にやって行かないと人材の確保も含めて世界と競争できない。新しい時代の新しい役割分担を関係者でセットすべき。

 

 

(対応方策の部分について事務局より説明。)

 

 

産学連携で大学の改革は重要な要素であることはそのとおりである。法人化を待たねばならないという印象を受けるがそれでは遅いと思う。具体的にいうと、科学技術振興調整費で戦略的研究拠点ということで東京大学先端研が組織運営改革をやることになっているが、人材の流動化が必要。資料には産業界の人材交流の促進とあるが、大学の人材の流動性が触れられていない。法人化を待たずに対応すべきという箇所にも書かれていなくて、間接的に能力に応じた処遇を可能にし人材流動化を促進、のところに書かれている。科学技術振興調整費で、先端研では国内外から定員の枠外で任期付の教員を採用しようとしているが、今の制度では非常勤の国家公務員ということになっており、常勤の公務員より高い給与を払えない。任期付の人間は高い給料を与えないと流動化しない。法人化を待つというのでは遅い。早急に対応すべき事項に入れるべきだと思う。

 

 

スケジュール的なものについては、改革工程表のほうとも整合的な対応をすべき。

 

 

産学官の官は昔から政策なのか研究機関の官なのか議論のあるところ。独立法人となり法人格をもった。産学独という言葉が研究者の間で使われ始めている。

純血主義その他の議論があったと思う。退職金の問題が大きいので、研究職、教育職は退職金を廃止して年俸制にしないと特に産業界からは人が行かない。兼業については、週1日くらいというのは進歩。

公務員倫理法で産とつきあうのは悪だという前提ができたという気がする。研究者と企業との関係が希薄になっている。公務員倫理法の研究職・教育職の部分での適用範囲について加えてほしい。

 

 

アメリカの兼業ルールは、1年間20%までコンサルティングをやっていいという意味であり、皆が週1回コンサルティングをしているわけではないので誤解のないように。

独法化となると、評価が非常に重要。セントライズした評価は効果がないのではないか。競争的資金の獲得を通して評価が行われていく。そこでの間接経費の取得を通して、すなわち、競争メカニズムを通して大学の格差づけがなされていくべきことだと思う。

地域におけるクラスター形成についてであるが、総合科学技術会議のシステム改革専門調査会で競争的資金について議論したが、文科省から大学発ベンチャー創出支援制度をやるという話を聞いた。どういうマネージャーを置くのかということを質問してみたがベンチャーキャピタリストだという。文科省がそこまでやるのはおかしいと思う。省庁の仕切りにこだわると、うまくいかない。文部科学省、経済産業省、国土交通省など共同の予算請求をする媒介を総合科学技術会議が行っていくということをやってほしい。産学官連携に関し仕切りをはずしたプロジェクトを作っていくことが重要ではないか。大臣にはその点で指導力を発揮して頂きたい。

 

 

どうしても大学を改革するためには規則や法律までにメスを入れないといけない。講座制の制約の排除はだいぶ行われてきた。助教授、講師の独立した活動を保証するという点で、資金、スペースの面からだけ確保するというのは上面だけをみることになる。学校教育法における教授の役割の規定があり、これが基本になっているところで金とスペースを確保しても個人の自由な発想による研究が促進されるか疑問。ここまでメスを入れることを書いていくことが必要。

 

 

前回の議論で、実行をどうやっていくのかという具体的な方策を議論すべきという発言に共感を覚えたが、その辺が今日の資料ではみられない。大学の先生方が、日本の企業は日本の大学の良さを知らずに海外と連携しているという話をして、非難合戦になってしまった会議があった。日本の中で手を組もうとするとこういう障害があるから、海外と組まざるを得ないという具体的な話で進めていくべき。各大学ですばらしい成果がある。産業側はそれを見ていかねばならないが、産業の世界は世界の競争原理で勝たないといけなくて、相手は日本の大学である必要はない。日本の大学ですばらしいことがあれば是非一緒にやりたい。この中間まとめは具体的な中身について細かすぎる。全体がかくあるべき、結局、日本同士が組むと世界で非常に競争力がつくということが産学官の目的だと書くべきではないか。細かいことは余計な制約があるぞということで付録資料に載せておけばいいのではないか。

それから省庁間の仕切りの問題について、前回紙で出させていただいた。複数省庁の金を集めることによって、企業からも大学からも人間も金も出る。省庁を越えてのマッチングファンドがいいと申し上げた。本当に必要なことだと思う。

 

 

スケジュールを明示する点については検討する。

 

 

産学官連携のスタンスの基本は、資料には産業界のニーズを理解しとあるが、将来の産業界をリードできる基礎研究をやることが大学の使命。大学が将来の産業界をリードできるようなということを忘れ重箱の隅をつつくような基礎研究をやっていると錯覚している人がいることは大学側の間違いではあると思う。しかし産業界のニーズを大学側が理解して対応するのでは遅い。将来の産業界をリードするような基礎研究を大学がしっかりやるということが大学と企業の役割分担ではないか。

私立大学は産学官連携がやりやすいのではないかと世の中で思われている。歴史的にも産学官連携をリードできればと思っている。パイプの詰まり、手続きや法を掃除することが必要。助教授、講師の独立をやると彼らは忙しくなるよということになる。今までは、教授が資金集めをし、それ以外の人が研究に専念できた。これをばらばらにするとスタッフを雇うための資金が必要になる。間接経費である程度できているが、大学院学生のサポートができていない。研究費を経済的支援に今のところ回せない。生活費の支援が必要。私立大学は金がなくて貧乏で忙しい。国立大学は縛りが厳しい。それを洗って掃除していくことが必要。

 

 

自分は研究所の生活が一番長かった。どこの研究所でも同じだと思うが、研究費の中で一番大きいのは人件費。急激に研究費が増えたときにはプロジェクトの人が増えている。国の制度が硬直化しているというときには、民間の実態と比較して明らかではないかということを産学官も一緒になって直していくべきではないか。米国の事例を持ち出すまでもなく、明らかに大きな違いが日本の中の産と学の間にある。長年、縛られてきている。これほど馬鹿なことはない。民では一番重要なのは人件費だというのがわかっている。したがって、いい人をとらねばならないということになる。

ベル研究所で研究者は測定器を動かしてはいけないということが言われたことがある。そういうようなメリハリが必要ではないか。民間では明らかに違っているので、大臣にもご認識いただいて、大臣の腕力を発揮いただければと思う。

 

 

大学の役割は、質の良い研究をやるのが第一で、産学官は二次的なもの。産業界は探索の機能が非常に弱い。産業界のニーズを大学が理解するというのは本末転倒。

大学へのアウトソーシングについても企業の判断でしたければすればよい。今でも共同研究や受託研究がある。研究している人間には自分達のスキルとナレッジをいかに評価してくれるかが大事。

研究成果がどの程度開発にいくかというインキュベーションが問題。会社側の研究所は失敗を恐れてコミットできない。失敗についてはその会社のマネジメントの見る目の問題。会社は評価ができない。コミットするという意思決定が遅い。失敗を恐れている。

国立には法人化を待たずに早急に対応すべき問題。日本の研究費は研究助成金。米国の場合はグラント。国立では非常にやりにくい。エンダウメントを作っても年間5000万円で人を雇えるが、国立大学では寄附講座の教員は二流の扱いになってしまう。私立ではある程度できる。年俸制でもやろうと思えばできる。産業界にアプローチしても返事が遅く数字が一桁違うというバリュエーションしかできない。

国立はエンダウメントを作っても使いにくい。今は法人化を待たないといけない。

米国の大学はデパートみたなもの。ルイヴィトンやフェラガモが大学の教授に相当する。すぐれた教授がくれば研究費やポスドクが集まりスペースが増える。大学の先生は三越の従業員ではない。専門店を抱えるぞというのが一流の大学の仕組み。

シーズはいくらでもある。日本の企業には大学のシーズに目をつけ共同研究等を進めていく意思決定ができてない。

大学教官を官だと思っているメンタリティに問題がある。大学教員ではないか。

政府は応援してプッシュしているが、プッシュしていても動けないので効率が悪い。いかに規制緩和してプルできる体制が重要。日本の従来のいろんな制約と精神構造がかかわっているのでやりにくいが今は非常に熟成してプルにはいい機会になってきている。

 

大臣

いろいろと意見をいただいて感謝。産学官の共同研究を進めることが日本の経済と学問の両方の発展にプラスになると思っている。この前MITに行ったときも、MITの幹部が産学官の共同研究は問題の所在がわかって大学の水準を高めることになるのだと思っていると言っていた。私もたぶんそうなのではないかと思っている。日本は第3セクターが多い。ビジネスの方も大学も官僚システムがはびこっていて、前例等を打破しないといけない。まず始めに、大学のトップ、産業界のトップ、行政とか政治のトップが本気で産学官連携を進めていかないと日本の大学も会社も発展しにくいということを認識して進めていくことを皆で確認して、旗をかけていただくことが重要。11月19日のサミットに向けて、旗をかけろということをはっきり言っていただきたい。産学官連携を会社や大学が本気でやるかというときに、意思の一番本体のところが金の無駄遣いではないかということになっては進まない。

大学の現場のほうはフレキシビリティがない。現場での問題意識、制約を取っ払ってやるのだということを国全体として決意して、その後このチームに期待することとして、どこにどういう壁があるのかを適切に指摘していただかないと現実の政策にならない。指摘を的確に政治にも行政にも現場の担当者にもわかるようにしてほしい。そこをどう直せばいいのかということを具体的に言っていただきたい。それをどこでどう直すのかということでやっていただきたい。その2段階が必要で後のほうは政治家にはわからないところ。産学官連携サミットを打ち出して、それを行政なり政治家なりが受けとめて壁を除き、グローバルスタンダードで競争できるシステムにしていきたい。後半は抽象論ではなく具体論で問題点の指摘をしていただきたい。現場の意見を踏まえてレポートをまとめていただきたい。総理にも大きなポイントは理解していただき、大学・会社の幹部の方の頭の切り替えも必要と思っている。必ず、1〜2年で壁を取り払い、少なくともシステム上は競争できる社会に日本を変えて行きたいと思っている。

 

 

助教授等の独立性や日本の大学院のレベルが低いという話があった。そのあたりは非常につながっているのではないか。教授が資金をかせぎ、助教授、助手が担い、さらに大学院の学生に分散される。大学院の学生の研究テーマの視野が非常にせまくなっていて、科学全体をみる目がなくなってきている。その辺が利いてきている。一つのことをいじればいいのではなく、複数のことが絡んでいる。それを一つ一つほどいていくことが必要。

 

 

産学官連携に関する大学改革は上記のとおりで間接的に産学官連携の促進に資するという箇所。上記の部分で産学連携が米国に近づくとは思えない。これだけ科学技術がボーダレス化している中で、産学官連携に関し米国の大学ができるようなことは日本でもできるよう近づけるようにしていくことが必要。大学からみたハードルを一つ一つ低くしていくことが必要。一例は特許の問題。契約に関しても同様。産学連携のシステムをそういう方法で日本の大学が海外と同じ条件で産学連携ができるような方向で改革していくべきだという視点が必要。

 

 

まず、国立大学が独法化したあとに、独法化した大学に知的財産の管理を任せるのかどうかについて明記すべき。大学に帰属させるのかどうかということを書かないと具体的にならない。ここでは大学がやるんだという点で一致した見解だと思うので明記してほしい。

法人化を待たずに早急に対応すべき事項ということがあった。マテリアルトランスファーの問題は独法化を待てない。例えば癌のトランスジェニックマウスがある。このねずみを企業が買えば企業がいろんな薬を適用すれば新しい薬がいろいろ出てくることになる。文部省通達では知的財産は原則個人有。但しねずみは国有になっていて、入札で買わないといけなくなる。この所有権が誰のものかの明確なルールがない。ねずみがいるのであれば、その子供を買えばいいができない。独法化後には機関帰属になるが、それまで待てない。民法246条の加工の問題の適用が可能かどうかということを検討したが、発明委員会の判断に準じ大学が決められると書けばいいだけなので、考えていただきたい。

特許制度についても、論文出願に関して、アポロ計画の次に力を入れようとしたプロジェクトの技術を東京大学の先生が開発した。外科的治療にも役立つかもしれない。先生が一部分を特許庁が指定しない学会で発表してしまった。日本では指定してないところで発表したものは特許にならないので、自分たちはその残りのところで特許化する。これを米国にライセンスすると米国企業は特許化できなかったところを特許化する。

研究費で経済支援を大学院生にできるかという点について、ジャックウェルチの回顧録があるが、GEはEMIに対抗してCTスキャナを作ったが、どんどん赤字になっていった。そこで、4つの大学にアウトソーシングした。主にやっているのは大学院生。10分の1のコストでやれた。研究した研究生は生活費を貰っていた。日本では家庭教師をやらないといけないのか。研究費で経済的支援とあるが、給与と記述して行くべき。この中で、独法化後の大学とTLOの関係について具体的に書かかれていない。大学の独法化後にどれだけの自由度があるかということにもよるが、最低限TLOに業務委託はできると思っている。今は大学の事務の方には技術移転はできない。大学はTLOに委託できてTLOは民間を活用できるとしていくべき。

 

 

日本は大学も大学院も同じようなところだというところが問題。ドクターをとったらポスドクでよそに行くのは米国では常識。自分たちの育てたプロダクトであるドクターを外に出してピアに評価させるというのが米国の大学の常識。日本の場合は囲い込む。学術振興会のポスドク等の公的なものは、ドクターをとったら例外なくよそにいくべき。

研究費を「助成金」でなくグラントのようにするということも必要。そうすれば、ほかのところからも人が来る。

 

 

アメリカでは生活費だけでなくて、授業料まで先生が払わなければいけない。大学院の学生やリサーチアシスタントもそういう先生のところに行く。そしてPh.Dをとってアシスタントプロフェッサーとして全国に広まっていくのが研究成果伝播の中心となる。大学院の学生の研究を支援することは重要。

 

 

産学の認識のギャップということだが、産業界や大学という組織ばかり言うから無機質となり情感がこもらない。大学や産業界の中にいる人間が認識を共有してギャップを埋めていくことが重要。共同研究に対する期待で言えば、大学人は何かいいことあるかなという感じであり、産業界は半信半疑という感じである。また大学人にはスピード感がないが産業界の中にいる方にはそれが重要。トップの方ではなく現場の方の認識を共有してギャップを埋めていくことが重要。

 

 

大学と企業の関係は点とか線の結びつきが多かった。大学と企業の戦略提携を進めることによって、大学全体、企業全体の戦略がわかってくる。これをステップとしてやっていけば、認識のギャップが埋められているなと思っている。網羅的であると思うので、重要度の高いものとそうでもないものを整理できるのではないか。あとスケジュールを入れてほしい。

 

 

きちんと読むと大学のこともきちんと考えて書いていただいている。ざっと読むと、表に出ると産業界のニーズだけを組んで書いているような印象を受ける。基礎研究の方から反感を買う恐れがある。

学術研究があってトランスファーするという文を最初に入れるべき。大枠でやるということは5年もやっていて進んでいないので、一点突破全面展開しかないと思う。

 

 

産学連携のイメージを簡潔に表現できないか。最大のポイントは、大学は基本的には自分で選択する自由があるが、企業とのインタラクションがないとよくならないし、世界に勝つということは大学だけでは勝てない。一つ絶対変えないといけないのは大学のマネジメント。うちはここを強くするから金がほしいという形にして予算等もつけていくべき。

もう一つ社会還元ということで大学にどのような機能をおくか。TLOや特許の問題などそこを担当する副学長をおくべき。大学院をどう強化すべきか。

そういう大きなところを明確に出していただきたい。その中で、個別事項を書いていくべき。

 

 

意見は今週中に事務局に伝えていただきたい。

 

(3)第3回会合の議事要旨の確認その他

第3回会合議事要旨について了承。中間まとめに向け自由闊達な議論をするため、資料2は非公表。

 

大臣政務官

尾身大臣の言ったことに尽きている。今がチャンス。総理は一内閣一大臣と言っており、尾身大臣の間に前に進む。何とか実現していきたい。

 

座長

次回会合は10月23日(火)

以上