総合科学技術会議 科学技術システム改革専門調査会
産学官連携プロジェクト第6回会合議事要旨(案)
1.日時: 平成13年10月23日(火)14:00〜16:00
2.場所: 中央合同庁舎第4号館 共用第3特別会議室
3.出席者:
佐々木 元 日本電気株式会社代表取締役会長 (当プロジェクト座長)
石井 紫郎 総合科学技術会議 議員
井村 裕夫 同
桑原 洋 同
白川 英樹 同
青木 昌彦 スタンフォード大学教授
阿部 博之 東北大学長 (当プロジェクト座長代理)
安西 祐一郎 慶応義塾塾長
小野田 武 三菱化学株式会社顧問
笠見 昭信 株式会社東芝監査役
岸 輝雄 独立行政法人物質・材料研究機構理事長
黒川 清 東海大学医学部長
関澤 義 富士通株式会社取締役会長
南谷 崇 東京大学先端科学技術研究センター長
堀場 雅夫 株式会社堀場製作所取締役会長
山下 義通 株式会社21世紀産業戦略研究所代表取締役社長
山本 貴史 株式会社先端科学技術インキュベーションセンター代表取締役社長
4.議題:
l 企業からのヒアリング結果
l 中間まとめ(案)について
l その他
5.議事要旨
(1)企業からのヒアリング結果について
(資料1、続いて資料2に基づいて我が国大学及びMITの契約書に関する比較等について事務局より説明。)
(2)中間まとめ(案)について
(資料3の産学官連携の基本的な考え方について事務局より説明。また、資料4について提出のあった各委員より説明。その後、資料1及び2も含め議論。)
(資料4の説明に加えて以下の点について言及。)
中間とりまとめ案についていえば、例えば、3ページの1番上の(2)①にある資金面に関する記述のうち、「・・・・国からの経費でまかなわれており」の部分は誤解を受ける。現在の国立大学においては国からの資金の比率は60%。東北大学は国の資金が多い方。米国でも連邦から大きい金が入っているところは産学官連携にアクティブなところ。国立大学に悪いところがあるとすれば、別の部分によるのではないか。1ページの(4)の部分。確かに基礎研究、応用研究の後、実用化研究を行うというモデルから、基礎研究が直ちに実用化につながるという実例がたくさん出てきているが、やはり工学でいえば、製品、企業が何を開発しているかによっては、基礎から実用化までの時間がかかるものもある。「転換している」というのは誤解を招く。そういう事例が増えてきているのは事実。「リニアモデルに加え」という言い方がいいのではないか。
(資料4の説明に加えて以下の点について言及。)
基礎研究者に対する配慮も必要。
また、物質・材料・モジュールのどこにおいても基礎研究はあると思っているので、リニアモデルの件についてはどこかで詰めておくことが必要。
学術研究はボトムアップ、競争的資金での実施、自主的・自立的な実施というのが主になる。また、研究者間のネットワークの必要性に関する議論も増えてきている。
産学官連携の大きなポイントは大学改革。大学改革のポイントは、定員制制約の排除による柔軟な研究体制と任期付き任用による人材の流動化を制度としてつくっていくこと。具体的には、戦略的研究拠点育成プログラムが大学に適用され、定員制約の克服と人材流動化の促進をねらいとした組織運営改革を実行しようとしている。東京大学では、定員外に「特任教授/特任助教授制度」を定め、内外の優れた研究者を任期付き契約のフルタイム雇用で招聘しようとしているが、そのためには、任期付き教員の給与は任期なし教員の給与より格段に高いことが当然に必要。「任期付き教員の給与上の特例措置を常勤、非常勤を問わず可能とすること」が必要であり、法人化を待つことなく早急に実現すべき。
任期付教員の給与上の特例については中間まとめの6ページの③に書いてあり、時期についても早ければ次期通常国会となっているが、早急に実現すべきではないかと思う。
(資料4の説明に加えて以下の点について言及。)
中間取りまとめについては改善されている。
5ページの対応方策の最初の部分。これはこれでよいが、いいにくいかもしれないが、遠山プランのように上から30を決めるなんてやめてほしいということは言えないか。間接経費は直接大学に入るので、学長、学部長の裁量の経費になる。米国ではNIHでは国の機関だから税金の二重取りになるので間接経費の対象ではないのに対して、日本は国立も30%もとっているので税金の2重どりという議論もある。州立大学は間接経費を扱っているが、私立はもっと大きな間接経費を集めている。いい研究者を集めるために間接経費がある。遠山プランなんてやめて、間接経費で競争して進めてほしい。
2つ目であるが、研究成果について「一括して大学帰属」という点については、大学は自ら運営できない。大学のTLOでは決して儲かるわけではない。スタンフォードでもあれだけやっても20億円の利益があるだけ。AUTMデータベースでも経済的なリターンは総経費投資の50%程度。特許の70%がバイオ。大学自らが運営しないで、運営は外部に委託してもいいのではないか。
任期制については、今までの国立大学のようなフルタイム・年功序列のところにこれを入れるから無理がある。米国では、アシスタントプロセッサーについては7年間の時限がついていて、そこからテニュアをきめる。テニュアは定年はないといっているが、大学はフルタイムの給与をコミットしていない。給与体系をフレキシブルにしていくことによっていろいろできる。
科研費であるが、補助金こそグラントにして、本人の人件費の大部分に占めることを可能にしていくべき。引き続き検討してほしい。
人材の流動化の促進の点であるが、大学の研究職と教育職だけではなく、企業も公務員も含めて、また、年金等も含めてやらないといけない。
対応方策の部分の2(1)①の部分にあるように、大学側からマーケティングをやるのは結構だが、大学側にノウハウをもった評価等できる人材がいるか。目利きができる人間が外部からきてやってくれるといい。これはビジネスになると思う。
サクセスストーリーを出すということは何なのかということを考えて、大学はあくまで質のいい人材の育成・教育が最重要。研究はコンペティティブな環境で質のよい環境でやるべきである。産業界は調子が悪くなると大学に頼ってくるのは情けない。これをなんとかしないといけない。マイケル・ポーターの日本の企業戦略をみていても、企業はこれまでの日本の全体として成長物語の発想で来ている。野口悠紀雄さんも昨日の日経の経済教室で言っているが、日本の短期的なプランと長期的なプランとは違うと、その辺を間違えないで現在日本が何をすべきかを考えていかねばならないと。大学はずいぶん変わってきたなと思っている。企業にはもっと変わっていただきたい。
日本版バイ・ドールの大学への適用をはっきりしてほしい。5ページの④に追加するか⑤を起こすか等で対処してほしい。未来開拓とかプレベンチャーとかCRESTなどでやった成果については是非適用し大学に任せるという形にしていくべき。
2点目は、(2)②の部分。MITにおいても、マテリアル・トランスファが大事だということがあった。国立大学の法人化を待たず早急に措置すべきという箇所に対応してほしい。5ページの(2)の中に入れてほしい。
3点目は、昨日ライフサイエンスサミットに参加したが、味の素の江頭社長が産学官連携のスピード感は国際競争の中でスピードに対するリアリティがないという指摘をしていた。「非公務員型独法化への移行を早期に」とある。いつからかということが決まっていない。国としての大改革をするときに締め切りをきめて今対応すること、次に対応することをきめていくことにより話が進む。だいたい締め切りを決めてそれに向けてスピード感も得られる。独法化の日を決めてしまうのはいかがか。
全体として今までの議論を織り込んである。スケジュールも入っており、非常によくなったと思っている。改革工程表との整合性はあるかと思う。2点意見を申し上げる。
まず、時代背景の部分。前回会合のときよりは理解しやすくなった。大学の重要性を感じている人間として申し上げれば、前文では大学が重要だという趣旨が足りないのではないか。歴史的に、資源の時代とかものの時代から、知識の時代、知の時代にかわりつつあるのは間違いないと思う。富の源泉は知識・知恵によって得られる時代となっている。これもフロントランナーであるからこうなるわけなのだとは思うが、知の時代になってくると、体系的な知識はサイエンスであろうし、サイエンスの富との関連での重要性がますます高まる。企業が具合悪いから大学に帰るのではなくて、企業も大事だが大学が学術研究を通して知を追求することが経済発展に即つながるので、大学との連携が必要であるということを加えてほしい。
次に、この会合においては、大学の経営・マネジメントを強調しようと言う議論があったのではないかと思う。とりまとめにおいては各論にちりばめられてかかれている気がするが、とりまとめのどこかできちんと強調してほしい。マーケティングとか人事の問題は経営という問題に集約する。教授会は労働組合みたいに全体のコンセンサスを得る。大学の経営はどこに存在するのだろうと疑問に思った経験がある。この点を見直して経営概念を徹底すれば、ずいぶんのことは改善するのではないか。企業でも60年代は経営の概念がかけていた。経営の概念、経営意識に基づく意思決定のプロセスがしっかりして今日の発展の基礎となった。大学においても、経営の概念の徹底により多くの問題は解決するのではないか。
改革工程表との時期的な整合はとれている。それ以外のものについても、あわせて書いている。大学の法人化の問題は時間軸の原点になるものであり全体を揺るがせる話であるので工夫をしていきたい。
大学の使命が変わってきているという点は入れておくべき。それから、6ページの⑤の部分で「学部を越えた境界領域の研究組織」の話をここにおさめるのはすわりが悪い。むしろ、7ページの一番上の④の学部学科の弾力的設置の部分に入れるべきではないか。
次に、6ページの(3)①純血主義による教員人事の排除の部分。ポスドクの他の機関への移動という話が今年度から措置とあるが、その他の項目の措置と性格が異なるのではないか。これは、大学個々が自主的に判断して措置すべきものであり、外部で制度として措置すべき話ではないのではないか。
事務局
措置という言葉がなじむかは検討の余地があると思うが、各大学の自主的な判断でやるべきものとして手をつけてほしいという意味で書いたものだが、一律にというニュアンスで受け取れるということであれば表現を検討してまいりたい。
措置の中には、法改正を必要とするもの、通達等ですむもの、或いは、各大学で自主的な判断でやっていただくもの等いろいろある。最後の点についてはどうやってお願いするかという方法論もあるかと思う。手段と対応を明記すれば理解がしやすくなるのではないか。
大学を活性化する上では、若い研究者のインセンティブをどれだけ保証するかという点が重要。
大学院学生に給与を払っていいという形で科研費が改正されたようだが、どういう形で行われたのか説明してほしい。次に、助教授の独立した活動の件であるが、学校教育法の見直しは結構だが、任期付ということで議論してきたこととの関係についても考えることが必要。優秀な研究者を産業界或いは外国から呼んでくるという議論とテニュア制度と対になった任期制というのがあるはず。テニュアになる前に助教授は任期制として、しかも7年くらいの期間を与えてきちんと研究成果を出してそこで評価されてテニュアがもらえるような形をはっきりしていくべき。米国でも7年たったらアップ・オア・アウトしないといけないということになっている。昇進しないときは外に出て行くという厳しい審査をすることでお互いの規律になるわけであり、モラルハザードがおこりにくいシステムとしていくべき。東京大学の先生とも話をしたが、助教授からの昇進のプロセスの透明性を確保する旨きめてほしいといわれているところでもある。
事務局
科研費の種目を伝える通達を改正し、研究の遂行のために必要となる研究支援者として学生を雇用してよいというものが流れている。量的なものでどれくらいということはかかれていないがいずれにしてもできるようになっている。それから、テニュア制についていえば、6ページの(3)の①の部分については確かに前回会合より分量が減っているかと思うが、抜本的な改革でもあるのでどこまで言及するかということもあり、テニュア制の導入は視野に入れていたが、あまり決め付けなかったということでもある。委員の御指摘を賜りつつ対応してまいりたい。
今の問題も含めてまとめていきたい。
任期付の問題は、国大協の委員をやっているときに問題となって人事院ともかなり話をした。当時の国研はわりときちんとした制度になっていて、若い人と招聘型の2通りにわけてそれぞれ再任をしないという条件で給与をよくした。しかし、条件は十分ではなかったと思っている。大学が認められなかったのは、任期付といってもいろんな形があって、再任ができるということになると、給与が際限なく上がっていくことになる。したがって、再任はしないという条件でないと給与面の話は解決していかない。具体的にもう少し考えていかないといけない。
大学発ベンチャー1000社の議論があり、大学でベンチャー論の講師に招かれることもある。大学生になった時には公務員、大企業志向が既に強くなっており、大学での教育では手遅れ。アントレプレナーシップは大学に入るまでに作って行かないといけない。どこかの文章に小さいときからの教育の中にアントレプレナーシップを作っていくためのものが必要ということを盛り込んでほしい。
また、産業界は調子が悪くなると大学に頼ってくるという指摘に関係することであるが、何も企業は助けてくれとは言っていない。このままほうっておくとどんどん欧米の大学に金が流れていって国家としてもったいないということではないか。大学としても税金をたくさんもらっていて社会還元ができていないというのは問題だろうということで産学官連携が必要だという議論を行っているのだと思っている。この会合もそういう意味合いで作られたものではないと思っているので、そういう形で対応してほしい。
国立大学は兼業が可能だが、府立・県立・市立大学だと制度ができていない。いろいろ聞くと、当局側からは、国はやっているかもしれないが、府とか市とかでは知らないといわれる。これは、自治省の問題なのか、文科省の問題なのかよくわからないが教えてほしい。
大学の今までの問題は、講座制というドイツのプリンシプルを入れたもの。しかし、ドイツでは、教授の権限は強いが助教授から教授にはあげないというプリンシプルが徹底されている。日本においても、今でもやろうと思えばやれる。リーディングユニバーシティがやらないと進まないので、是非やってほしい。バイ・ドールの件は国の資金はいろいろな形で出ているが是非やってほしい。遠山プランは加藤寛さんも含め文科省を除けば広くいろんな人が批判している。大学も企業も自分たちのミッションに対して、グローバル化した世界中でいかに競争できるようにしていくかということ。今度の報告書案はこの点はずいぶん反映されている。
もう一つ、今までの日本は国の政策として護送船団できていたが、これは変わってきている。今元気になっているのは朝のメジャーリーグ。このニュース如何でアップ&ダウンしている。野茂というアドベンチャリストが米国に飛び出ていったから今の状態がある。プッシュではなく、プルする人がいて、これがみんなに見えればこの点はずいぶんかわるはず。野茂がいってからも読売からは一人も行っていないというところが暗示的。佐々木とかイチローというすごい人がやっているのであの人達は違うんだと言い訳を日本の、特に巨人の選手たちは心の中に思っているわけだが、新庄が面白そうにやっているというところに価値観の変化があるわけで、自分たちでもやればできるのだという点が意味があること。
3点申しあげる。
2ページの理念の部分。大学と企業のそれぞれが強くなってはじめて意味のある連携ができるようになるのであって、今はそう言う状況になっていないということ。双方向でお互いを認識することは重要だが、”グローバルな視点”で相互に議論しなければ意味がない。その中で自分たちは何をすべきかを考えていくべき。
次に、5ページの対応方策だが、大学のマネジメント力強化が重要である。非公務員型の独法化に全部を期待しているのか。大学のマネジメントの強化はちりばめられているが、全体として弱い印象を受ける。独法化する前にも対応していくべきことがある。TLOもどうするかということもその中で考えていくべき。
3番目は、是非お願いしたいことだが、省庁の縦割りを排したマッチングファンドの促進。これからの情報化社会の中で、重要な技術に穴がないように戦略的にマッチングさせた対応が必要。それを産業界主体だけではなく、産業界と大学の先生がともに責任をもって進めていくということが重要。大学の中には、大学院生の問題もある。大学だけでは教育できない部分を産学連携で進めていくというトライアルを早急に進めることが必要。
大学の経営についての御指摘については文字として見える表現にしていくつもり。
先ほどTOP30について言及があった。これまでの固定された組織・特定の分野に金をつけるというこれまでの慣行の延長戦に見えるが、こうしたことはやめていくべき。
とりまとめであるが、どうやって具体的にやっていくかということが重要だという話について、誰がやるのか、自分でやるのか、お願いをするのか等があいまいに見える。例えば、5ページの1(1)の大学改革の部分について「以下の措置を図る」というのがあって、私立大学については減免等を行うことを「求める」の部分は意味合いがどう違うのか。気にする必要があるのかないのか。前から申し上げているように、国立大学の方は法人化をして自由度を増すことが目標かもしれないが、私立大学の人間にとっては、すでに経験して来ていていろんなことがわかっており、どうやって実行に移すかに関心がある。きちんと持っていけるように担保していくことが不可欠であり、その場合には、細かいことかもしれないが、微妙なニュアンスの違いが大きく影響しうる。
どうやって実現するかという点では付表を作ってアクションアイテムを盛り込んだものを添付することにより明確にしていきたい。
先ほど産業界しっかりせよという話があり、これに対し、産業界の立場からの話があり、合意が図られた。要すれば、もっと理解しあって前に進もうよということだと思う。5の(1)のところに、「企業の連携相手となる研究機関は国を選ばないとはいえ」という部分がある。産業界全体として海外との連携案件は増えている。日本の大学は何もしてないということを言っても詮無いので、どうしてかということをお互いによく話し合っていくことが必要。
コンカレントモデルだけではないというのはそういうことだと思う。基礎研究はいろんな形があると思う。例えば、昔、光ファイバーレーザーをやっていたとき、電総研と光ICの研究をやろうということになった。とてもコンカレントだとは思わなかった。我々は実用化が常に念頭にあったので、この研究では何か出てくるかもしれないという感覚で行った。基礎研究という定義に入るかわからないが、波長多重の超高速の光通信の頭の部分には、最初の大きなLSIが小さくなって実用化されている。見えている部分をやるのと、もしかしたらどこかでものになるかもしれないという基礎研究は違うかもしれない。十把一絡げで基礎研究とはいえないと思う。先ほど、野茂、イチローの話があるが、是非黒川先生にイチローになってほしい。黒川先生にこの指とまれということをやっていただくことによって、実行していくに当たってこれ邪魔だ、あれ邪魔だということが出てくる。制度の問題はここで見えてくる。何で馬鹿なことをやっているのということを具体的な形で訴えていくことにより応援団が増えていくことになると思う。具体例を出して突破口を開いて行くべき。これを読んだ人にとってという話があったが、これだけでは、提言して打破していくという意味では、一生懸命議論した答申だけでは難しいだろう。
私の研究室は年俸制で外部資金でまかなっている。自分で目的をもって研究をやっていると実によく勉強できるし、国としてもいろいろな措置がなされてきているということもわかる。いろいろなことがわかる。日本の企業は決定が遅い。コミットできない。シリコンバレーの人とも話をしているが、日本の企業とは本当はやっていきたいが、しんどい。できない理由をたくさん出してくる。これは情けない。成功例を出していくことが重要。大学でやっている研究は面白いぞ、こんなこともできるということをやっていきたい。しかし、大学の仲間からも足を引っ張られることがよくある。出る杭は打たれるのではなく、出る杭をたくさん作ろう、出すぎた杭は打たれないと言う形にしていきたい。メジャーリーグでのテレビの役割りのように、成功例はマスコミもきちんと訴えることが大切。
先ほどからリニアモデルの話が出ているので誤解なきよう申し上げる。コロンビアのネルソン教授、スタンフォードのローゼンバーグ教授などの科学技術がどういうプロセスで発展していくかと言う確立された研究がある。リニアモデルは基礎研究があって後に実用化があるという一方的な流れだけを考えているのでだめだということは一致した認識となってきている。これは、基礎研究が必要ないという意味ではない。先程も話があったが、基礎研究と実用研究はそう簡単な一方的な流れではなくて、実用研究をやっていても基礎的・理論的なことがわかってるとか、特許などの審査をするときに基礎的・科学的な知識のストックが重要だとか、基礎研究と実用云々は一方的な流れではなくて両者は並存していると言う形で捉えて行くのが正しい考え方ではないかということ。大学では基礎研究を中心にというのは米国でも同様であるが、産業界が金を出して大学で基礎研究をやってもらうということにもなってきている。基礎研究は大学が中心、産業界は応用が主であり、両者は並存していてインターラクションをしているという形になっていればよいのではないか。
国立大学の非公務員型法人への早期移行という話であるが、この場所で提言していくことは強烈なインパクトの話。以下の措置はもう少し整えたほうがいい。①及び②はディシジョン・メイキングを早くするという形で経営問題に触れる。③競争的資金の関係で遠山プランの基本的な考え方との兼ね合いに触れる。④で日本版バイ・ドールを広く適用していくということをきちんと書き込んでいくというのがよいのではないか。
資料2−5についてであるが、重要なのは大学でディシジョン・メイキングをするということ。海外の大学は共同研究契約のやり方、知的財産権の取扱等については大学がそれぞれ考えてやっている。そういう流れの中で、雛型を作って皆さんこれに従いなさいということになると、かえって問題となる。加える「べき」事項としない方がよいのではないか。大学に意思決定の自由度を担保していくべき。
国家公務員型とか非国家公務員型と言う形の議論をしたのか。産学官の観点ではそれがよいというのは確かである。
「非公務員型」という言葉は人によって受け取る意味合いがかわってくるかもしれない。米国では学生の75%は州立大学、私立大学は25%。日本は逆で私立の学生が75%で25%が国公立大学。教育の場の提供という意味で財源が違うという不均衡がある。大学はまず教育の場であるということであるのでパブリックの金を使っているとして、教育をするのが大学の先生だとすれば、州立大学は9ヶ月は授業をするが、残りは教育の責任を果たしていないので州からは給料は出ない。そのかわり、サマースクールをやる、社会人講座をやる等のいろいろなことができる形になっている。独法化は、新しい教育公務員の姿を作るんだという考え方により、給料は、9〜10ヶ月分にするという話もできる。大学はいわば専門店のオーナー。大学は場所を貸して、研究費を稼いでくるとindirect costで大学にも金が入ってくる。先生はどんどん外部資金をとってくれば、大学もその先生に対するスペースはますます広がる。教授の下で仕事をする研究者は自分で雇ってくださいということになる。自信がある先生は、大学の給料のコミットメントが少なくても自分の自由度を増やすということを毎年契約していけばよい。教育にコミットすることが必要であれば大学は金をくれるが、その分だけ自分の時間が減ってくる。このあたりは教授自身の判断によってどういうところから金を持ってくるかということになる。こういう観点から、教育についてどうするかというのは一度議論をしておくべき。
次回、時間をとって明記して行きたい。改革工程表の中に明記されているので、それとの関係でどうするか検討して行きたい。
(3)その他
(会合資料のうち、前回会合と同様の趣旨で資料2−5と資料3、資料4は非公開とすることを決定。また、次回会合は11月8日(木)17:00〜19:00に開催。)
以上