展示内容:
ヒト不死化骨髄間葉系幹細胞株の利用について
長井篤、小林祥泰、島根医科大学第三内科
【目的】
骨髄間葉系幹細胞は多分化能が注目され、再生医療の移植細胞の候補として考えられている。我々は、ヒト胎児骨髄間葉系幹細胞にv-myc腫瘍遺伝子を導入することにより、不死化間葉系幹細胞株(HBM10)を作製した。
【方法】
ブリティッシュ・コロンビア大学の倫理規定に基づき、ヒト胎児骨髄より付着性の間葉系幹細胞を分離培養した。レトロウィルスベクターによりv-myc腫瘍遺伝子を導入し、不死化させた。
【結果】
1)HBM10細胞はFACSによりCD44, CD13, CD49b, CD90が陽性で血液幹細胞特異的マーカーは陰性であった。また、グルココルチコイドなどの因子により脂肪細胞への分化がみられた。
2)RT-PCRで、IL-3, IL-6およびthrombopoietinの発現が認められた。
3)CD34陽性細胞のHBM10細胞層上での共培養下で、 細胞数の著明な増加とCD34+CD38-分画の増加がみられた。
4)HL60細胞をHBM10細胞層上で共培養することで、HL60細胞のmacrophage系細胞への分化傾向がみられた。
【結語】
今回作成されたヒト不死化間葉系幹細胞株(HBM10)は、ヒト血液幹細胞の増殖能も有しており、間葉系幹細胞の研究のみならず、骨髄移植時の幹細胞の増殖にも利用できる可能性が示唆された。


|