展示内容:
低温コーティングによるガスバリアー薄膜作製技術の開発
ガソリンタンク用ポリエチレン樹脂は、ガソリンを微量ではあるが透過するので、それによる環境汚染がアメリカのカリフォルニア州では問題となり、ガソリン透過量に対する環境基準が制定された。本プロジェクトでは従来製造されていた樹脂にガスバリアー膜をコーティングすることで金属製タンク、ナイロンなどの多層樹脂に匹敵するガスバリアー膜の開発を目的とした。
コーティングに使用するSiO2前駆体溶液の開発ではバルク試料の状態観察や構造解
析結果から調整条件は溶液濃度1.0M、圧力5Mpaの時最適となった。また、ほぼ同じ条件でスケ
ールアップが可能となった。酸化物前駆体溶液からの薄膜製膜条件を検討した結果、低温でコーティング後、100℃で乾燥さらに、紫外線照射することで溶媒として使用した有機物に起
因する炭素が減少することが判明した。製膜後のガソリン透過性を測定した結果、SiO299%と1%のTiO2の混合酸化物膜が、緻密でバリアー性が高いことをつきとめた。ガソリン透過試験セル内の内圧測定やガスクロによる透過量測定から実験レベルの試料樹脂板にコーティングした結果、カリフォルニア規制をクリアーできることが判明した。今後、耐久性試験や衝撃試験などの実用化試験が必要であり、本プロジェクトでは、プロトタイプの実用品まで完成した。
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オートバイ用ガソリンタンクへのコーティング |
透明金属酸化物前駆体溶液(左)
従来型ゾル溶液(右) |
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