展示内容:
(1)有機ELディスプレイ材料の評価と設計
京都産業大学工学部教授 坪井 泰
住高輝度で視野角が広く画面速度が速く色彩度に優れた高画質で,自発光型で消費電力が低く超薄型軽量フレキシブルでモバイル可能などの条件を満たす次世代ディスプレイとして,有機ELディスプレイが最も有望視されている。期待に適う製品に至るための重要な点は、用いるべき有機発光材料の選択および材料設計合成であり,デバイス積層構造用物質の選択組み合わせである。有機分子の選択と設計には,電気伝導率や励起子再結合発光効率を高めるもの,励起電子のエネルギー散逸拡散の少ないもの,発光開始電圧の小さいものなどを求めなければならない。材料の光学特性とそれを引き起こすしくみを量子力学的見地および配位子場理論に基づいて探ることにより、よりよい材料に近づくことができる。我々はまず,現在有機ELデバイスに使われている材料の特性を分光学的物理学的測定により調べ,種々の材料の比較からそれらの評価を行い,評価の差異を引き起こす要因の物理学的な突き止めに取り組んでいる。長寿命安定高輝度発光するメカニズムを探り、有機材料設計と多層膜有機ELデバイス構築に必要とされる指針や指導原理を追求する研究も行っている。さらに,有機EL素子に付加価値を見つけ出し、ディスプレイ素子としてではなく多用途有機エレクトロニクス素子として活用する取り組みを行っている。
(2)腫瘍組織形成におけるムチンの作用機構の解析と抑制剤の開発
京都産業大学、工学部、生物工学科 中田 博
腫瘍組織形成においてシクロオキシゲナ-ゼ2(COX2)の誘導が大きな役割を果たし、同酵素の阻害剤が治療薬として用いられている。しかしながら、COX2の誘導機構については未解明で
あった。我々は上皮性癌細胞の産生するムチンが腫瘍組織に浸潤したマクロファ-ジを活性化し、COX2を誘導することを見い出した。更に、この反応はマクロファ-ジのスカベンジャ-リセプタ-(SCR)を介した反応であることを明らかにした。これらの解析結果をもとに、様々な抑制剤の開発を試みている。すなわち、結合部位に対するアンタゴニスト、SCRに結合するとされているデキストラン硫酸、スルファチドなどの効果について検討している。
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